DWHとCDPの違いを解説|データ活用基盤における役割とは?

2024.02.22

DWHとCDPの違いとは?

近年、事業の成長に欠かせないデータ分析。そのための手段として、「DWH(データウェアハウス)」と「CDP(カスタマーデータプラットフォーム)」という2つのソリューションがあります。しかし、これらの違いや適用範囲は一見すると複雑で、把握するのは簡単ではありません。

本記事では、DWHとCDPの基礎概念、近年のデータ活用におけるトレンドなど、自社のデータ活用をより進めたい方に向けて、実践的な内容をご紹介します。

DWHとCDPの違いとは?

DWHとCDPは、それぞれデータを収集して統合するプラットフォームですが、元々は用途や目的が異なっていました。ここで、それぞれの役割についてご紹介します。

DWHとCDPの違いとは?

DWHの役割

またDWHは、様々なデータソースからの幅広いデータを収集するデータサーバーです。

財務、会計データ、マーケティングデータなど多岐にわたるデータを統合し、主にBIツール、レポート作成、データ分析などの目的で利用され、ビジネスの傾向、パフォーマンス指標、戦略的なインサイトなどを抽出するために活用されることが一般的です。

CDPの役割

CDPは主に顧客データを集約、統合、活用するために設計されたデータプラットフォームです。

収集した顧客の属性、行動、購買履歴データを利用して、マーケティング、顧客サービス、パーソナライゼーションなどの目的で利用されます。マーケティングキャンペーンのターゲティング、パーソナライズされたコミュニケーションの作成などに活用されることが一般的です。

CDPについてもっと知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

データ活用基盤におけるDWHとCDP

マーケティングにおけるデータ活用基盤では、DWHとCDPは組み合わせて使われることが多いです。下図のように、データソースからDWHへのデータ収集や、DWHのデータを外部ツール(MAツールや広告ツール)に連携させるためにCDPが使われます。(あくまで一例であり、データ活用基盤は企業によって異なります。)

データ活用基盤におけるDWHとCDP

他にも、CDPにはDWHのデータを活用させる豊富な機能が揃っています。例えば、ID統合。

DWHに溜まっているデータを活用して、マーケティング施策を行う場合、Webやアプリ、POSデータなどデータソースが多種多様である場合、同じ顧客でも別データとして取り込まれるため、顧客全体の行動を把握できません。この時、ID統合ができるCDPがあることで、異なるデータソースに存在する顧客データを共通のIDで紐付けることができます。

これにより、顧客の行動をより詳細に把握でき、それぞれのチャネルにてシームレスなコミュニケーションを取ることができます。

その他にも、CDPとDWHを組み合わせることで、企業は顧客行動のデータを使用しながら、DWHからの他のビジネスデータと組み合わせることが可能です。この組み合わせにより、企業は包括的なビジネスインサイトを獲得し、顧客中心の意思決定を行うことができます。

リバースETLの台頭とコンポーザブルCDPの登場

前章でDWHへのデータ収集や外部ツールへのデータ連携でCDPを活用するケースが多いと解説しましたが、近年リバースETL*1DWHからデータを取り出し、適切な形式に変換し、分析ツールやMAツールなど目的のツールにデータを送り込む処理の登場などにより、DWHでも複数のデータソースやツールとの統合がより簡単にできるようになりました。

リバースETLは、DWHやデータストレージから直接、ビジネスアプリケーション、CRMシステム、マーケティングツールなどに繋ぐことができるので、データを取り込むだけでなく、DWHに蓄積された顧客データをマーケティング目的などに活用できるようになりました。

例えば、顧客の購買履歴や行動データをDWHから抽出し、それを元に個別の顧客プロファイルを作成して、ターゲティングされたマーケティングキャンペーンを展開することなども可能です。

これにより、DWH側でもより包括的な顧客プロファイルを作成できるようになることで、マーケティングキャンペーンやパーソナライゼーションなど、CDP的な利用アプローチが可能になり、DWHとリバースETLなどを組み合わせた、コンポーザブルCDPという考え方が登場しました。

コンポーザブルCDPと既存CDPの違い

従来のCDPとDWHとリバースETLなどによって実現されるコンポーザブルCDPの違いは、「柔軟性」と「拡張性」などにあります。

従来のCDPは一体型のパッケージ化されたプラットフォームですが、コンポーザブルCDPは、モジュール化されたアーキテクチャのため、ユーザーが必要に応じて必要な機能のみを選択し、自由に組み合わせることができます。そのため、特定のビジネスニーズや要件に応じて柔軟に適応できるところに魅力があります。

コンポーザブルCDPと既存CDPの違いはこちらで詳しくご紹介しております。

コンポーザブルCDPの利用ケースとは?

例えば、以下のような顧客マーケティング施策において、欲しい情報があるデータソースとマーケティングツールをクイックに繋げることにより、スピーディに施策を行うことなどが可能です。

  • リターゲティング広告用に、ユーザー行動をリアルタイムに把握し、ユーザーリストをGoogle広告に連携させたい
  • Webサイトから資料請求したユーザーのリストをSalesforceに連携してクイックに利用したい
  • 30日以内にウェビナーに参加したユーザーのみを抽出して、近日中に開催される別のセミナーの告知案内をしたい

従来のCDPの場合には、施策内容によっては別途データを追加する開発が必要となり、スピーディーに対応することが難しい場合もあります。施策ケースやセグメントを絞り、特定のアクションをミニマムにクイックに行いたいという場合には、コンポーザブルCDPはとても有益です。

当社で取り扱っているコンポーザブルCDP「Hightouch」は、リバースETL機能を中心に、セグメント機能やリアルタイムでパーソナルデータを提供するAPI機能など、データ活用における様々な価値を提供するツールです。詳しくはこちらをご覧ください。

コンポーザブルCDPの注意点

その一方で、モジュール型のアーキテクチャであることによる柔軟性やカスタマイズ性は、実装のハードルを上げる場合もあります。また、なんとなくでツール導入してしまうと、結果ランニングコストが既存のCDPより高くなるということもあります。

それぞれのニーズに合わせて、どういった組み合わせが適しているかなどの目利きやエンジニアリングの知識や体制も必要となります。

まとめ

DWHとCDPについて解説してきましたが、いずれを利用すべきかや連携して利用すべきかは、各企業のニーズや状況セキュリティ要件などによって変わります。今後はより多角的な視点で、その企業にとっての最適なアーキテクチャは何かを考慮して、導入を検討することが重要です。

当社では、マーケティングにおけるデータ活用のご支援をしております。CDPの選定に課題がある、自社に最適なデータ活用を進めたいと考えている企業様は、お気軽にご相談ください。

References
*1 DWHからデータを取り出し、適切な形式に変換し、分析ツールやMAツールなど目的のツールにデータを送り込む処理

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