リバースETL(Reverse ETL)とは?今後のデータ活用の新常識

2024.01.24

DearOneの小林と申します。グロースマーケティング部という部署でツール導入のアーキテクチャ設計や実装の支援を行っています。

近年、データ活用の重要性がますます高まっていますが、その中で、注目を浴びているのが「リバースETL(Reverse ETL)」です。これまでのETL(Extract, Transform, Load)はデータウェアハウス(DWH)にデータを集約するためのプロセスでした。リバースETLは、DWHから他のツールへデータを戻す、つまり「リバース」することで、より深い分析や効率的な活用を可能にしてくれるツールです。

最近では、このようなデータ連携のお問い合わせをいただくことが増えており、リバースETLの需要の高さを感じています。

今回は、リバースETLついて、その定義や効果、ユースケースをご紹介します。

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リバース ETLとは?

そもそもETL(又はForward ETL)とは、データソースからデータを抽出(Extract)、整形・変換(Transform)、データウェアハウスへのロード(Load)を行うデータ処理手法のことをいいます。近年ではDWHの性能が向上したことで、DWHにデータを送った後に整形・変換の工程をDWH側の環境で行う「ETL」という考え方も生まれています。

リバースETLは、名称の先頭に「リバース」と付いているように、ETL(又はForward ETL)と逆の動きをするという意味合いです。具体的には、DWHからデータを取り出し、適切な形式に変換し、分析ツールやMAツールなど目的のツールにデータを送り込む処理を行います。

リバース ETLとは?

ETLなどでデータを連携する工程や流れについては、下記の記事でわかりやすく解説しております。

今後注目されるリバース ETL

リバースETLは、今後企業のデータ活用において間違いなく重要度が高まる分野になると考えます。なぜなら、ここ数年、日本企業でデータ活用を推し進める動きが急速に盛り上がっているからです。「データをしっかりとためて、ビジネスに活用していこう」と戦略のもと、データをためるためのDWHや、分析をするためのBIツール、One to OneコミュニケーションのためのMAツールなどの導入が様々な業界で進んでいます。

こうした取り組みを行う企業が、データ活用の具体的な検討を始めた時に、必ず考えなくてはいけないことが、「ためたデータをどうやって使うか」ということです。これをデータ設計の観点から見ると、「データをたまっている場所(DWH)から、活用する場所(BIツールやMAツールなど)へどうつなぐのか」というように捉えることが出来ます。

今後注目されるリバース ETL

リバースETLは、この「つなぐ」の部分にあたる工程で、不可欠であるにもかかわらず、まだ十分に注目が集まっていない分野になります。そのため、今後、日本企業のデータ活用においては「ためる」「活用する」と同じように「つなぐ」についても注目が増し、それを担うリバースETLも同様に重要度が増してくる分野になると考えられます。

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リバース ETLの効果

前述した通り、リバースETLは、データウェアハウスから各種ツールヘデータを送出するプロセスを指し、データウェアハウスに蓄積された情報をより活用しやすくします。

この章では、リバース ETLを導入することで具体的に得られる効果をご紹介します。

データ連携の工数削減

DWHのデータを各種ツール(BIツールやMAツールなど)に連携する際、ツール間のコネクターが用意されていない場合は、従来であればAPI開発が必要でした。 API開発には数週間程度かかる場合があり、エンジニアの工数確保や、必要に応じてクイックにデータ連携を構築できないなどの課題がありました。

これが、リバース  ETLツールを活用することで、従来のAPI開発で必要となる以下のタスクを、ツール上の数ステップの設定だけ*1Hightouchを活用した場合で完結することができます。

API連携に必要なタスク

そのため、データ連携をよりスピーディに、かつ少ない工数・コストで実現することが可能となり、深堀分析、One to Oneマーケティングなどのデータ活用で時間をかけるべき業務により注力することができます。

また、簡単なデータ連携であれば、マーケティングや営業などのビジネスサイドの担当者でも行えることから、「データの民主化」という視点でも大きなメリットがあるといえます。

データの民主化は、社員と企業の双方にメリットがあり、データ活用を推進する企業の多くが取り組みを始めています。

社員へのメリット企業へのメリット
・データ活用のノウハウを得られる・データにより課題が可視化される
・スピーディーな意思決定ができる

データの民主化の考え方やメリットは以下の記事で詳しく解説しています。

リアルタイム性の高いデータ連携

データ連携における大きな課題の一つに、データ連携時のタイムラグが挙げられます。リバースETLを利用すると、クラウドDWHからリアルタイム性を損なわずにデータ連携ができるというメリットがあります。

データ活用範囲の拡大

リバースETLが連携できるツールはそれぞれの製品仕様により異なりますが、例えば、DearOneが推奨するHightouchでは、200を超える業務システムやBIツール、MAツールなどにデータを連携可能です。また、連携先のツールが増えた場合にも、直感的な操作だけで柔軟に連携先を追加することができます。

特に、データ活用が進んでいる企業では、ツールのPoCや導入において、様々なツール間のデータ連携にお悩みを抱える方も多くいらっしゃると思います。

DearOneは多くの企業様のツール導入をサポートしていますが、リバースETLツールを利用すると、新しいツールを導入する際のデータ連携が簡単に行えるため、このような課題をお持ちのお客様にはリバースETLを推奨しています。

データ活用のコスト削減

削減できるコストには、以下の2つが挙げられます。

  1. API開発のコスト
  2. 既存CDP(カスタマーデータプラットフォーム)の運用コスト

リバースETLを使うと、データ連携を簡単に行えるため、これまで連携開発にかかっていたエンジニアリソースの削減や期間の短縮をすることができる点は前述した通りですが、リバース ETLツールのお問い合わせをいただく際、お客様の抱える課題として意外にも多いのが既存CDPの運用コストの増加です。

SaaSのCDPツールは、データをDWHとCDPに二重に持つ必要があり、利用期間が長くなるほどCDPに貯まるデータが増えるため、ストレージや管理など運用に関わるコストが継続的に増加していくという課題があります。

一方でリバース ETLツールは、データを溜めるわけではないのでストレージコストは発生しないことが、これまでのCDPとの大きな違いと言えます。

CDPについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

リバース ETLのユースケース

今まで解説した通り、Reverce ETLには様々な導入メリットがあります。最後に、私が最適と感じるETLの主なユースケースについて、以下にまとめたいと思います。

【主なユースケース】

  1. 連携開発のノウハウやリソースが足りない場合
  2. スピーディーにデータ転送を行いたい場合
  3. 既存CDPの運用コストを抑えたい場合
  4. 新ツールの導入やPoCなど、ツール導入をもっと簡単に行いたい場合

リバースETL機能搭載ツール「Hightouch」とは?

DearOneでは、リバースETL機能を搭載した「Hightouch(ハイタッチ)」というツールを取り扱っています。

HightouchはクラウドDWHのデータの価値を最大限に引き出すデータ活用ツールです。リバースETL機能を中心に、セグメント機能やリアルタイムでパーソナルデータを提供するAPI機能など、データ活用を強力に推進する利便性が高い機能が多数搭載されています。

リバースETL機能では、

  • 200を超える種類のツールをデータの連携先に設定できる
  • データソースとなるDWHにデータマート*2DWHにあるデータから、利用目的に合わせて抽出を行った状態のデータの集まり。やビュー*3データベースからSQLによって操作を行った状態のデータの集まり。を用意しておくことで、HightouchのUI上で連携の設定、データ送信を実行することができる

といった強みを持ち、操作性や柔軟性に優れたツールです。具体的な連携先は「Hightouchの連携先一覧」からよりご確認ください。

Hightouchの資料はこちらよりダウンロードいただけます。「データ連携に課題がある」「ツールについて知りたい」など、ございましたらお気軽にお問い合わせください。

References
*1 Hightouchを活用した場合
*2 DWHにあるデータから、利用目的に合わせて抽出を行った状態のデータの集まり。
*3 データベースからSQLによって操作を行った状態のデータの集まり。

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