早速ですが、皆さまは自社のデータ活用基盤がどのような構成をしているかご存じでしょうか。
これを見た時に
- データ活用基盤の全体像が思い浮かべられなかった
- あるメガベンダーのロゴだけが思い浮かんだ
- 「うちのデータ基盤システムは使いづらいよなぁ…」という感想が先に思い浮かんだ
このいずれかに当てはまった方は、本記事が紹介するModern Data Stack(モダンデータスタック)というデータ活用基盤の新しい考え方から得られるものがあるのではないかと思います。
この記事でわかること
- データ活用をするために必要なインフラ機能の全体像
- Modern data stackという新しいデータ活用基盤の考え方
- Modern data stackが企業にもたらすメリット
Modern Data Stack(モダンデータスタック)とは?
では、Modern Data Stack(モダンデータスタック)とはどのようなものでしょうか。
Modern Data Stack(モダンデータスタック)とは、様々なデータソースからデータを収集し、形式を整え、分析や施策に活用するといった企業のデータ活用基盤が持つ機能を、それぞれに特化したSaaSを組み合わせることによって構築する考え方、又はその考え方に基づいて構築されるデータ活用基盤のことを指します。
SaaSが台頭するまでのデータ活用基盤は、一部のメガベンダーが提供するオンプレミス型のものが主流でした。それが2010年ごろに Google BigQuery や Snowflake といったクラウド型のデータウェアハウス(DWH)が登場したことを皮切りに一変しました。数多のデータ活用に関わるSaaSツールが出現してきたのです。
これらのツールは企業にとって利便性やコストメリットをもたらすだけでなく、それらを自由に組み合わせてその企業にとって最適な構成を作ることを可能にしました。また、日進月歩で進化するIT業界で新たに生まれるツールを導入しやすくなったり、ツールの入れ替えもしやすくなりました。
このようにして、様々な機能のツールを組み合わせることによって1つのデータ活用基盤を構築するModern Data Stack(モダンデータスタック)の考えが生まれ、現代のSaaSサービスの普及、発展と共にこの考え方も新たなトレンドになってきています。
ファッション通販サイトGRL(グレイル)様では、分析ツールやMAツールなど、さまざまなツールを組み合わせてマーケティング基盤を作っています。詳しくは以下の記事をご覧ください。
Modern Data Stack(モダンデータスタック)のメリット
Modern Data Stack(モダンデータスタック)の考え方を企業が導入する主なメリットは下記の3つになります。
【スピーディな環境構築】
SaaSを使ってデータ活用基盤を構築する第一のメリットは、それぞれのサービスの導入のしやすさです。
オンプレミス型のデータ基盤などと比べソフトウェアのインストールやインフラのメンテナンスが不要になるため、導入を決めた後すぐに使い始めることができ、その分の時間をデータを活用しビジネスで貢献させるための本質的な業務に注ぐことができます。また、多くのサービスではデモ環境やフリーミアムプランが提供されているため、「まずは使ってみる」ことができ、かつ本格的に導入した後のギャップを防ぐことが可能です。さらに、既に企業の中で使っているサービスがあれば、それを軸に環境構築をすることもでき、システム移行のための様々な手間を抑えることができます。
【高いスケーラビリティ】
多くのSaaSはスケーラビリティを意識したサービス設計がされています。
それぞれの企業のサービスの使い方に合わせて、リソースのスケールアップ/スケールダウンが自動で行われたり、簡易に行うことができるため「使った分だけ支払う」事が基本になっています。Modern Data Stack(モダンデータスタック)型のデータ活用基盤であれば、それぞれの企業の「その時のデータ活用のステージ」に合わせた最適なスケールで環境を構築することが可能になります。
【データの民主化】
Modern Data Stack(モダンデータスタック)型のデータ活用基盤の特徴の1つは、エンジニアリングの知見のないユーザーでも活用しやすい点になります。
SaaSツールの多くはローコード/ノーコードで使えたり、かんたんなUI上の操作で作業ができるように設計されているなどの特徴を持っています。そのためマーケターや営業、事業計画に関わる方など、コーディングが出来る方やエンジニア以外の方でも直感的に操作をすることができます。これにより、企業の資産であるデータを社内のより多くの人が活用できるようになり、データの民主化、DXを加速することが可能になります。
Modern Data Stack(モダンデータスタック)の例
最後にModern Data Stack(モダンデータスタック)の一例をご紹介いたします。
今回ご紹介するModern Data Stack(モダンデータスタック)のイメージは
「Snowflakeをデータウェアハウスとして使っている企業が、データ分析のツールとしてAmplitudeを、2つのツール間のデータ連携のためのツールとしてHightouchを導入する事例」
になります。
この企業ではこれまでSnowflakeにデータを溜め、そのデータを使ってMAツールで施策を打っていたのですが、施策の精度や施策効果の検証に課題を抱えていました。これらの課題を解決するために、プロダクトアナリティクスツールのAmplitudeを導入することにしました。
プロダクトアナリティクスツール「Amplitude」の導入
Amplitudeは、世界トップのデータアナリストの分析を基にした14の分析テンプレートを使って、ユーザーの行動分析が出来るツールです。ノーコードでUI上の操作だけで分析することができ、作成したチャートをURLで簡単に共有することも出来ます。これによって特定の人材、部署、プロダクトに限らないデータ分析環境を実現することができます。
さらに、Amplitudeは様々な外部のSaaSツールとのコネクタを備えているため、MAツールへのユーザーセグメントの連携や施策効果の検証なども素早く柔軟に行うことができます。
この企業はAmplitudeを導入することによって「Amplitudeの高度な分析に基づくユーザーセグメンテーションによる施策精度の向上」「MAツールとデータ連携をすることによる施策後のユーザー行動の変化やABテストの結果など、詳細な効果検証のリアルタイムでの実施」を実現し、課題の解消を目指しました。
Amplitudeの詳細については下記よりご確認いただけます。
さらに、このAmplitudeへ自社のデータウェアハウスであるSnowflakeから定常的にデータを連携する部分において、この企業はデータウェアハウスからのデータ連携*1リバースETLに特化したツールHightouchも同時に導入することでデータ連携に関わるコストを大幅に抑え、かつスケーラブルなデータ活用基盤にすることが出来るのではないかと考えました。
リバースETL機能搭載「Hightouch」の導入
リバースETL機能を搭載した「Hightouch」を使ってデータ連携を行うことで、ツールの導入時にDWHとツールをつなぐ個別のAPIを開発する必要がなくなり、それにかかっていた時間や費用のコストを削減することができます。運用面においても、データ連携時のエラー検知などHightouchが備えている機能を活用することで運用を省人化、効率化することが出来ます。さらに、拡張面においてHightouchは、200以上*22024年2月時点のSaaSとのコネクタを持っており、今後新しいツールを導入した際にもHightouchを使ってデータウェアハウスとのスピーディな連携を実現することが可能になります。また、Hightouchの課金体系はデータ連携先のツールの数に因るため、連携先が1つのみや少ないという場合はこのツールをミニマムな料金から導入することが出来ます。
Hightouchのより詳細な情報やユースケースについては下記でご紹介しております。
この企業は、AmplitudeやHightouchといったSaaSツールと既存のDWHと組み合わせたModern Data Stack(モダンデータスタック)型のデータ活用基盤を構築することで、Modern Data Stack(モダンデータスタック)のメリットを十分に活かし、結果的には企業全体のデータ活用が促進され今後のビジネスのさらなる成長につなげることが出来ました。
最後に
ここで上げた事例はあくまでも一例ですが、それぞれの企業の実態に合わせてソリューションの形を考えメリットを発揮していけるのもModern Data Stack(モダンデータスタック)の考え方ならではの強みです。
今回ご紹介したツールに関するお問い合わせや、Modern Data Stack(モダンデータスタック)型のデータ活用基盤に関するご相談は、下記よりお気軽にご連絡ください。