データの民主化実現事例3選から見る、得られる成果とは?

2021.06.14

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あなたはデータを有効に活用することができていますか?

大きな企業になればなるほど、扱うデータの量は多くなります。いわゆるビッグデータです。しかし、データを集めている多くの企業がデータを最大限に利用できていません。データを集めて終わってしまっている、または活用はしているけどそこまで有効に活用できていないといった企業が多くあります。

大勢の企業がいまだにデータの活用方法を理解できていない中、データを民主化し、企業の成長、利益をあげている企業があることも事実です。

そこで今回の記事ではデータを最大限に活用し、最大限の結果を得るために「データの民主化実現事例3選」を紹介します。

データを有効に活用してグロースマーケティングを施し利益を最大化したい、データの民主化の効果を知りたいと思っている方はぜひ参考にしてみて下さい。

データの民主化とは

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そもそもデータの民主化とは、一企業において社員全員がデータにアクセスでき、データを有効に活用できる環境を構築することです。グロースマーケティングを実現するための3要素である「行動分析」「施策の高速化」「的確な目標設計」の内、「施策の高速化」を実現するための方法としてデータの民主化が注目されています。

多くの企業はデータを集めることに注力しますが、どれだけ莫大な量で、どれだけ良質なデータを収集できていても使うことができなければ何の価値も持ちません。

誰もがデータにアクセスでき、必要な時に必要な情報を活用できる環境を構築することがデータの民主化のゴールです。

データの民主化が必要な3つの理由

それではなぜデータの民主化を行うことが必要なのでしょうか?

1つ目の理由、それは私たちが現在生きている時代があまりにも不透明で、不確実だからです。世の中の変化、進歩が早すぎるのです。そんな時代を生きているからこそ、いかに早く意思決定をし、行動に移すかが重要な鍵となります。

そこでこの混沌とした時代を生き抜く手段として、誰もが容易にデータにアクセスができ、データを取得し、そのデータに基づいて迅速に意思決定を行える環境を構築するためデータの民主化が必要なのです。

2つ目の理由は、相違が生まれてしまうからです。現在多くの企業ではデータを分析したい側の企画部門と、データを分析する側のデータサイエンティストがそれぞれ独立をして動いています。そのため、物事に対する定義の仕方が異なっていることがあります。そこで、まずその相違を発見し、確認し、そこから定義し直し、とデータ分析に至るまでに無駄なやり取りが増えてしまうのです。

3つ目の理由は、「時間がかかる」です。データ分析の専門家であるデータサイエンティストが行っても時間が1週間程度時間がかかることがほとんどです。1週間も時間をかけて分析をしてもその間にも市場は変わっていて、それに伴い求めるデータも変わります。データの民主化を進めることで、即座にデータを使って仮説を立て、次のアクションを起こすことができるようになるのです。

データを活用することが大事

上記で述べた通り、データを集める行為自体にそれほど価値はなく、データを活用できてこそデータが本来持つ可能性を利用することができます。

データを活用することがビジネスにおいてなぜ重要なのか。

それは、様々なメリットを受けることができるからです。例えば、コスト削減、現状の正確な把握、利益最大化、新たな仮説・潜在的可能性の発見などです。

特に、データを活用しユーザーを理解することで今日のビジネスにおいて重要とされている「ユーザーファースト」を実現することができるようになります。ユーザーを理解し、ユーザーのニーズを把握し、それをプロダクトやサービスに当てはめることで商品・サービスを成長(グロース)させることができるのです。 

さらに、全てのデータを可視化、数字化することができるので、経営状況などを客観的に見ることができ、重要な決断を下す際にとても役に立ちます。

データの民主化に必要なデータプレパレーション

データの民主化を実行に移す前に、データプレパレーションを行うことでより効果的なデータの民主化を実現させることが可能になります。

データプレパレーション(Data Preparation)とはとは、データ準備とも呼ばれ、処理・分析前のデータをクレンジングして使用可能な状態にする「データ変換プロセス」のことを指します。データプレパレーションを行うことで、データ処理・分析中に起こるエラーの可能性を抑えてくれ、効率的な分析が可能になります。

全社員がデータにアクセスし、データを有効活用できる環境構築を目指すデータの民主化において、データプレパレーションはそのデータ活用の精度を高めてくれるためとても大切です。

例えば、全社に散在する別々のデータを単に共有サーバにまとめて、全社員でこのデータを見なさい、と指示をしてもデータの活用は進みません。それぞれのデータが名寄せされていないとデータをつなげて見ることができませんし、ファイルごとにデータの意味が違っている場合もあります。

前者の例でいえば、Webのアクセス履歴データと購買データをどの値をキーにつなげばよいか分からないケースがありますし、後者の例でいえばECサイトの「会員ID」と顧客管理システムの「会員番号」が同じものか分からない、というケースが発生します。

データを貯めることは大切ですが、単にデータを貯めるだけでは有益とは言えません。目的なく収集したデータは活用したい時に「何の役のも立たない」ということになってしまう可能性があります。有効的に活用するにはデータを集める目的を明確にし、目的に沿ったデータを集める事が大切なのです。

データ取得時点から一貫性を持って貯める準備作業についての記事はこちらで解説していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

データの民主化実現事例3選

ここまでデータの民主化について、データの民主化とは何か、なぜデータの民主化が必要でデータを活用する必要があるのかについて紹介をしました。

ここからは、データの民主化の実現事例3選を紹介します。

事例1:Microsoft(マイクロソフト)社

マイクロソフト社は、データの民主化を実現させたことによって迅速に意思決定を行える環境を整え、ユーザーのエンゲージメント率が4倍*1出典:https://amplitude.com/blog/how-microsoft-uses-amplitude-to-help-office-365増加し、ユーザーがアプリに費やす時間も4倍向上させることに成功しました。

同社は、各種組織およびインフォメーション・ワーカー(業務を遂行する上で企業内外のコンピュータ・システムに散在する情報にアクセスするユーザー)がOffice365による知見や解決策を生かし、より効率的に時間を使うことを支援することを目的に行動分析プラットフォームを使用し、データの民主化を行いました。

行動分析プラットフォームを利用したことで、ユーザーが各デバイススクリーンにそれぞれ異なる頻度でアクセスをしていることを発見しました。そこで、他に比べ特定のスクリーンを使用するペルソナを素早く特定し、このデータを生かしてより魅力的な機能を訴求するべく、プロダクトに戦略的な変更を施しました。

その結果、ユーザーの習慣的なプロダクト使用を促し、リテンション率と反響度を向上することに成功しました。 

エンゲージメントの改善のみならず、生産性の向上を測定し、新機能のエンゲージメントとの相関性を把握することが出来ました。

ユーザーは新規機能を求めているのではなく、既存のアプリで生産性を向上できる、シンプルなプロダクトを望んでいることがわかりました。

データの民主化は困難な道のりですが実現させることによって、マイクロソフト社は以前ならプロダクトにおけるユーザーの行動を理解するための投資を、数ヶ月分も節約することに成功しました。

事例2:Dave(デイブ)社

同社は会社としてデータに基づく意思決定をより多く行えるように分析行動プラットフォームを導入し、データの民主化を実現させました。 

従業員の82%*2出典:https://amplitude.com/case-studies/daveがデータに容易にアクセスし、データを活用することができる環境が構築されたことで、アプリの新規利用が前月比で平均10%増加、リテンションが5.7%増加、MAU(Monthly Active User=特定の月に1回以上利用や活動があったユーザーの数)を2倍増加させることができました。

同社は大手銀行に挑むアメリカのフィンテック企業です。同国では現在5人に4人が厳しい生活を強いられており、包括的な金融システムを構築することで、この状況の改善を試みています。数百万のユーザーが同社の金融サービス・アプリを使用し予算計画立案や信用構築、求人検索及び給与支払日前の費用支払いなどを提供しています。

同社はPMF(プロダクトマーケットフィット=市場においてプロダクトが適切に受け入れられている状態)を改善するために、リテンション(継続利用)に至るまでの過程を調査し、ターゲット・ユーザーの顧客体験向上をはかりました。

また、アプリにおけるオンボーディング(新規ユーザーが定着するまでの流れ)を再設計することで、ユーザーが利用するアプリ機能数の平均を大幅に増加させ、リテンションと収益の向上にも繋がりました。

さらに同社は、データを分析することでユーザーに評価を求める上で最適な場所を特定することができました。この結果、ユーザーがアプリストアに残す際のクリック率(広告などが表示された際のクリック率)が46%向上し、Google Playの評価も3.9から4.6に増加しました。

以前ならデータアナリストが最低1人で1週間以上もの時間を費やして行っていた業務をを行動分析プラットフォームを利用することで5秒で終了することが出来たと述べています。

事例3:Underarmour(アンダーアーマー)社

アンダーアーマー社は、データの民主化を実現させるため、行動分析ツールを使用しました。その結果、ユーザーがアプリに費やす時間を増加、ユーザーのエンゲージメントを3倍*3出典:https://amplitude.com/case-studies/under-armour増加、リテンション30%向上と大きく成果を伸ばしました。

アンダーアーマー社のフィットネス事業部門は世界に2億人もの登録ユーザーを擁しています。アスリートに焦点を当て、パフォーマンスを改善するために役立つテクノロジーを提供しています。

2015年までに同社のフィットネス事業部門アプリMapMyRunとMyFitnessPalといった人気アプリを買収しました。

MapMyRunは「ランナーのパフォーマンスとモチベーションを高め、走りを変える」をモットーに、ランニングをトラッキングし、アプリに記録するアプリで、ペースやルート、距離カロリーなどパフォーマンス向上に役立つデータを取得することが出来ます。

MyFitnessPal目標を達成するために、カロリーの記録や材料の明細、アクティビティの記録が可能なアプリで、健康維持に役立つアプリです。

それらのプロダクトがいかにフィットネスの目標達成に役立っているかを把握するために、行動分析ツールを活用を決めました。その結果、上記の通りリテンション向上、利益増加させることができました。

行動分析ツールを使用することによって、自信を持って素早く意思決定を行えるようになり、結果として、時間とお金共に節約をしながら、最大限の利益を上げることに成功しました。

導入以前は、データの民主化が行われておらず、データの構築、管理、分析を行うチームが組織されていました。しかし、時間がかかりとても効率的とは言えないものでした。そこでツールを導入したことにより、誰もがデータにすぐアクセスできる環境が構築され、分析を即座に行えるようになりました。

結果、より多くの仮説を立て、迅速にテスト・検証を繰り返しすことでより大きな成果を上げることに繋がりました。以前なら3ヶ月かかっていた業務を1ヶ月に短縮することにも成功しました。

まとめ

データの民主化とは、一企業において誰もがデータに容易にアクセスをでき、データを必要な時に有効に活用できる環境を構築することです。

データの民主化を実現させることで、様々な結果を出すことが出来ます。民主化までの道のりは困難ですが、実現をさせることでこれまでに費やしていた時間、お金を節約することが可能です。

データの民主化を実現させることで、迅速に意思決定を行えるようになりグロースマーケティングをより効率的に実施することが出来ます。

データの民主化をより効果的なものにするために必要なデータ分析のステップをこちらの記事で解説していますので、ぜひ参考にして下さい。