ECサイトの分析方法 アクセス解析からユーザー行動分析まで

2021.10.15

ECサイトを運営されている方は、サイトの分析・解析を日常的に行われていると思います。しかし、その分析方法にお悩みの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ECサイトの分析方法を、一般的に行われるアクセス解析からユーザー行動分析まで幅広くご説明します。

ECサイト分析の目的

そもそも、ECサイトの分析は何を目的に行うのでしょうか?

それは当然、ECサイトの売上を上げるためです。
そして、そのためにより多くのユーザーにより多くの購入をしていただくことが必要になります。

そんなことは当たり前、と思われるかもしれません。

しかし、Web解析を行うとあまりに多くのデータを扱うことができるため、分析を行うこと自体が目的化して、本来の目的を失ってしまうことがあります。

分析のための分析にならないように注意したいものです。

上記のように、最終的に売上につなげることが目的であることから、ECサイトの分析は一般的なWebサイトの分析とは注意すべき点が異なります。

一般的なWebサイトの分析と、ECサイトの分析の違いを以下の表にまとめてみました。

区分分析の目的主な指標
Webサイト  サイトへの流入
ページ閲覧数の最大化    
・ユニークユーザー数(UU)
・ページビュー数(PV)
・メディア別流入数
ECサイトコンバージョンの最大化・コンバージョン数
・購入単価
・顧客生涯価値(LTV)
一般的なWebサイトの分析と、ECサイトの分析の違い

ECサイトの方が、サイトへ訪問するだけでなく訪問後のコンバージョンにつながるサイト上のユーザーの行動を重視する必要があることがお分かりいただけるかと思います。

ECサイトで見るべきKPI

ECサイトの運営がうまく進んでいるかを評価するKPI(Key Performance Indicatoer)を設定しましょう。

ECサイトで見るべきKPIには以下のようなものがあります。

  • 利益率
  • 売上高
  • アクセス数
  • コンバージョン率(CV率)
  • 顧客単価
  • 顧客生涯価値

それぞれ紹介します。

利益率

利益率は、ECサイトを運営する上で、特に重要視したいKPIです。使用するチャネルや達成したいゴールによっても異なりますが、ECサイト運営での目的は一般的に売上が設定されますので、利益率がどれくいなのか把握することで、サイトの運営状況が良好であるか判断できます。

利益率は以下の式で求めることができます。
利益率=利益÷売上

売上高

売上もECサイト運営において、重要なKPIです。売上は、下記で算出することができます。
売上=訪問者数×コンバージョン率×顧客単価

売上高が低い場合、どこに問題があるのかをデータを基に仮説立て、施策を打ち、A/Bテストなどで効果測定をし、さらに改善を繰り返していくことが重要です。

単に「売上が低い」と捉えるのではなく、原因が訪問者数にあるのか、コンバージョン率にあるのか、顧客単価にあるのか、分解して考えましょう。

アクセス数

アクセス数とは、サイトにどれだけの訪問があったかを示す指標で、一般的には「ページが表示された回数」を意味するPV数、またはサイトに何人の人が訪問したのかを測る「ユニークユーザー数」のことを意味します。

コンバージョン率(CV率)

コンバージョン率(CV率)とは、ある一定期間でのECサイト総訪問者数のうち、実際に購入した人の割合です。

コンバージョン率は以下の式で求めることができます。
コンバージョン率=購入者数÷訪問者数×100

コンバージョン率が低ければ、顧客が購入に至るまでの導線に何かしら問題や、使いづらさが生じていることが多いため、改善を検討しましょう。

顧客単価

顧客単価は、商品の購買。サービスの利用1回に対してどれだけの金額を支払ったのかを示す指標です。

顧客単価は下記の式で求めることができます。
顧客単価=売上高÷売上件数

顧客生涯価値(LTV:Life Time Value)

顧客生涯価値とは、顧客が取引を開始してから、終了するまでの期間に企業に対してどれだけの利益をもたらしたのかを算出するための指標です。顧客生涯価値が高ければ高いほど、リピートして製品を購入してくれていたり、継続的にサービスを利用してくれていることを意味します。

顧客生涯価値は下記の式で求められます。
顧客生涯価値(LTV)=平均購買単価×購買頻度×継続購買期間

この指標が高ければ高いほど、ECサイトを継続的に利用してくれており、多くの利益をもたらしてくれているということです。

ECサイト分析の流れ

ECサイトの各KPIを達成し、成長をさせていくためには、現状を分析して課題を解決していく必要があります。

ECサイトの分析は一般的に以下の流れで進めます。

データ分析

収集したデータを分析します。

分析時のポイントは、分析の目的を明確にすることです。目的によって必要となるデータが異なりますので、関連性のないデータを分析しても、効果が思うように出ません。

また、データ分析を手作業で行うのはあまりにも時間がかかり過ぎてしまいますので、分析ツールを導入するのがいいでしょう。手作業では数週間かかるものを、わずか数分で分析可能です。ツールに任せることでリソースを他の業務に当てることができるので、作業効率もアップし、大きな成果をあげやすくなります。

仮説立案

データ分析の結果を基に仮説を立てます。特に、数字などの客観的にわかるものではなく、結果から「読み取れる」部分に注力して、顧客が本当に求めているものは何かを考え、立案していきます。

顧客が真に求めているものは、行動によって表されていることが多く、「買い物カゴに入れたけど、購入に至らなかった」「購入直前で離脱してしまった」などの顧客行動から考えることが大切です。

施策実行

仮説を基に、改善のための施策を実行します。データを分析して終わりではなく、データ分析結果に基づいた施策を打つことが大切です。分析によって売上の足枷になっている点を把握できても改善のためのアクションを取らなければ、問題点は解決しません。

把握した問題点に対して対策を施すことで、成長に繋げることができます。

結果検証

施策実行をして終わりではありません。

どのようなインパクトがあったのか、結果検証を行います。

施策が成功した場合、さらに大きな結果を出すためには何が必要なのか考え、施策が失敗した場合に、何が根本的な問題となっているのか再度、洗い出します。そしてまた仮説を立て、施策を実行し、結果検証を行うといった、ECサイト成長のためのサイクルを繰り返すことで、より大きな成果を上げることができるでしょう。

ECサイトのアクセス解析ツール

ECサイトのアクセス解析ツールで最も有名なのが、Google Analytics(グーグルアナリティクス)です。

マーケターのみなさんなら、一度は使用したことがある、もしくは、使用を検討したことがあるのではないでしょうか。

Google AnalyticsはGoogleが提供する無料のアクセス解析ツールです。Google Analyticsでは紐付けしたサイトのアクセス数に関するデータを把握することができます。例えば、サイトにどれだけの人が来たのか(訪問者数)」「訪問者はどこから来たのか(流入元)」「使用されているデバイスは何なのか」「頻繁に離脱されているページはどこなのか」などのデータを収集できます。

以下に、主なGoogle Analyticsの機能をご紹介しましょう。

・リアルタイム
リアルタイム分析では、今現在サイトに訪れている読者の属性、読んでいるページなどを把握することができます。

EC分析(GA)リアルタイム

・ユーザー
ユーザーセクションでは、ある一定の期間内のサイトの訪問者数、属性、PV数などを把握することができます。

EC分析(GA)ユーザー

・集客
集客セクションでは、サイト訪問者がどこから来たのかなど、流入経路を把握可能です。

EC分析(GA)集客

行動
行動セクションでは、PV数、滞在時間、離脱率、どこのページでよく離脱が起こっているのなどを把握することができます。

EC分析(GA)行動

ECサイトの行動分析ツール

ECサイトのアクセス解析にはGoogle Analyticsが最適です。

しかし、Google Analyticsで見られるのはページ別のアクセス数や流入経路となっており、ECサイトのコンバージョン獲得に向けて、サイト内でどういった行動をユーザーが行っているかを細かく分析することは、Google Analyticsだけでは難しいと言わざるを得ません。

また、ECサイトを運営されている企業では、販促アプリを提供してアプリからも購入できる導線を準備している企業も多いでしょう。アプリとECサイトをクロスして、ユーザーがどういった行動を行っているかも気になるところです。

例えば、アプリで配信したクーポンからECサイトでの購入につながったユーザーはどのくらいいるのか、アプリのプッシュ通知からECサイトに訪れたユーザーはどの程度増えたのか、といった観点での分析もしたいことでしょう。

こういったケースでは、アクセス解析ツールと合わせて、行動分析ツールを活用すると良いでしょう。

行動分析ツールとして有名なのは、世界40,000サービスで利用されている行動分析ツールの「Amplitude(アンプリチュード)」です。

AmplitudeはWebサイトやアプリにタグを設定し、そのタグの発火データを収集することでユーザー行動データを分析するツールです。

タグの発火は単なるページ閲覧だけでなく、ボタンの押下や検索、クリック等細かく設定することが可能ですので、ユーザーの行動を詳細に分析することができます。

以下に、主なAmplitudeの分析チャートを3つご紹介しましょう。

・コンパス

ユーザーの行動の相関性を簡単に見ることができるチャートです。

例えば、ECサイトで購入するユーザーを増やしたい場合に、購入したユーザーは他にどういった行動をサイト上で行っているのかを簡単に見つけることができます。

EC分析(Amplitude)コンパス

上記の例では、購入と相関性の高い行動が上から並んでいます。

1位:カートにアイテムを入れる、2位:カートを見る、等は購入しているので当たり前ですが、3位:広告を見る、が購入の前の行動として良く行われるというのは一つの発見になるでしょう。

最終的な購入(コンバージョン)を増やしたい場合に、購入の前の行動(マイクロコンバージョン)を増やすことから取り組むと、施策も進めやすくなります。

リテンション

ユーザーがどの程度の継続率でECサイトを訪問しているかを見ることができるのが、リテンションチャートです。

購入のためには継続してサイトを訪問してもらわないといけません。

このチャートでは、初回訪問者を100%とし、横軸の時間が経過するごとにどの程度の人が再訪問しているかを見ることができます。

EC分析(Amplitude)リテンション

当然、右に行くほどグラフが下がる(再訪問する人の率が下がる)分けですが、これをいかに高く保てるかが重要です。

このチャートでは、ユーザーのセグメント別でグラフを分けることができます。

上記の例では青いグラフは全ユーザーの平均値です。
一方、黄緑のグラフは広告を1回以上見た人のみのグラフです。

こうしてみると、広告を見た人の方が再訪問率が高いことが一目で分かります。

・ライフサイクル

ユーザーの利用状態を一目で可視化できるのがこのチャートです。

一般的にECサイトを利用するユーザーの状態は以下の4つに分けられます。

新規:新しくECサイト利用を開始したユーザー
定着:ECサイトを継続的に利用しているユーザー
休眠:ECサイトの利用が減少し、使わなくなったユーザー
復帰:一度は休眠状態になったものの、再度利用頻度が上がったユーザー

当然、ECサイトでのコンバージョン向上を目指すのであれば、新規、定着、復帰を増やし、休眠を減らすべきです。

ライフサイクルチャートはユーザーの状態をこの4区分で可視化できます。

EC分析(Amplitude)ライフサイクル

この例では左から右へ、時系列に沿って週ごとに、ライフサイクル区分におけるユーザー数の推移を表示しています。

水色(新規)より、赤(休眠)が多ければ、総合的な活性ユーザー数は減少しており危険な状態にあると言えます。

逆に休眠が少なく、新規が多ければいずれ定着ユーザーが増えていくでしょう。

単純な新規ユーザー数を見るだけでなく、サイトを利用したユーザーが定着しているか、休眠しているかといったポイントまで行動を把握することが重要です。

ECサイトの行動分析例

ここで、ECサイトの行動分析を行った事例を2つほどご紹介します。

カート投入率を増やす|Amplitudeグロースハック事例

ファッション系フラッシュセールEC la belle vieは、新規ユーザーの購入を増やしたいという目的でECサイトを分析したことにより、コンバージョン(購入)に繋げるためのマイクロコンバージョンを高めるためのヒントを得ることができました。

わずか15分の分析でEC購入率を大幅改善|Amplitudeグロースハック事例

35歳〜49歳女性をターゲットに、高感度な商品を取り扱うファッションを中心としたECデパートメントを運営している、ストライプデパートメントは、ECサイト上で顧客行動を分析したことで、購入率を大幅にアップすることができました。

ECサイト分析に必要な考え方

ECサイト分析で結果を出すためには、施策を実行するまでに時間をかけず、早く多くの施策を試し、その中で効果のあった施策を継続していくことが重要です。

この手法を実践するフレームワークとして、「OODA(ウーダ)ループ」をご紹介します。

OODAループとは、現代の混沌とした複雑化した社会を生き抜くための重要な鍵と言われているフレームワークです。OODAはそれぞれ「Observe(観察)」「「Orient(方向づけ)」「Decide(意思決定)」「Action(実行)を意味しており、PDCAのように計画に時間をかけるのではなく、市場を観察し、進むべき方向性を考え、施策を決め、実行するといった行動ベースで迅速に意思決定し、改善を常に試みます。

PDCAのように時間をかけて計画を立てても、現実世界では凄まじいスピードで市場、顧客ニーズは変化し続けており、計画が終了する時には、その計画はすでに必要でなくなっているということが起こりうるのです。OODAループでは、施策を試して、その結果を見て、順次に改善を施し、常に市場・ニーズにマッチした製品を提供し続けることを目的としています。

OODAループについては「より早く!OODAループを加速させる方法 3」で詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。

まとめ

今回はECサイトの分析方法についてご紹介しました。

基本的なアクセス解析にとどまらず、ユーザーの行動分析を行って、コンバージョン数を増やし、ECサイトのグロースを目指してください。