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【ウェビナーレポート】本音で語る!ゴルフダイジェスト・オンラインのCXの裏側【Growth Summit 2022|セッション3】

2022.12.20

この記事は、この記事は、2022年11月16日に開催した「Growth Summit2022 本音で語る!ゴルフダイジェスト・オンラインのCXの裏側」のウェビナーレポートです。

CX向上とは?必要なのは顧客視点に立ったステップ

DearOne 河野|
株式会社DearOneの河野と申します。本日は「本音で語る!ゴルフダイジェスト・オンラインのCXの裏側」と題し、豪華なゲストをお迎えして進めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
私は2008年にGDOに入社し、その後IT戦略に携わり現在は執行役員CMO/CIOという立場にいます。よろしくお願いいたします。

河野|
それではまず、CX向上に取り組んだ背景について教えてください。

CX向上とは?

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
最初に、そもそも「CX向上」とは何かについて認識合わせをさせていただきます。

「CX向上」とは、まず顧客の行動・感情・本音をしっかり理解し顧客視点で体験をデザインすること。そして、そのデザインによって、お客さんが心地良い消費体験/ユーザー体験をすることです。

CX向上のためのステップ

次に「CX向上のためのステップ」には3つあり、まずは行動文脈・チャネルデバイスをしっかり整理し、お客様とどういう接点を持っているか一度きちんと整理することです。

次に必要なサービス・コンテンツとタッチポイントをしっかり出していくこと。つまり、今あるタッチポイントが全てではないと捉えた方がいいということです。

新しいものがそこから生まれてくるかもしれないので、お客様の周りに足りないタッチポイントやサービスがないかどうか、しっかり考えていくということですね。

GDOのサービス

最後に、そのタッチポイント・チャネルがあるとわかったら、そこにどういうものを置いてコミュニケーションを発生させるかを考えていくこと。以上の3つについて考えることが重要です。

CX向上の最先端!GDOのサービス内容を紹介

CX向上には「最適なサービス・コンテンツを適切なコミュニケーションで」

最適なサービス・コンテンツを適切なコミュニケーションで届ける

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
弊社には「ゴルファーの360度をカバー」と言われるくらいさまざまなサービスがあり、ブッキング、EC、予約のほか「オフコースゴルフ」と呼んでいる練習場など、ゴルファーが必要とするサービスに関しては網羅的に提供しています。

しかし各事業部がそれぞれの都合でコミュニケーションをしてしまっていたため、結果として「最適なサービス・コンテンツを適切なコミュニケーションで届ける」ことができていませんでした。

そこでコミュニケーションをしっかり見直して改善しましょうと訴えたのがCX向上の一番最初の取り組みでした。

トレジャーデータ 堀内|
状況が良くないと気づいたきっかけは「離脱」などですか?

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
いえ、むしろ顧客に対してメールを送りすぎていることは、実は皆が薄々気づいておりました。

先ほど紹介したように事業やサービスがたくさんあり、顧客とのタッチポイントもたくさんある中、同じ顧客に対しそれぞれの担当の人たちが一斉にアピールしていたわけです。

「買ってください」「予約してください」「読んでください」「これがお役に立つと思います」など、めいめいが思いを込めて送るものだから、ものすごい数のメールが出ていました。

もちろん、それがすべて悪いことかというと、そういうわけではないです。ただ、それを全てGDO側の都合で出していたというのが一番良くないことでした。

よくよく調べてみると、年間で最大1,200通のメールを受け取っているお客様もいる計算になり「一歩間違えばスパムじゃないか!」と驚いたのを覚えています。

社員たちも、別にお客様を追いかけ回してどうにかしようとしたわけではなく、皆ただただゴルフ自体やゴルファーのお客様が大好きで、良かれと思って行動した結果こうなっていた次第でした。

ただ、本当にこれが適切なのかもう一度、少し考え直し設計し直そうということで始めたのが、CX向上の一番最初の取り組みでした。

ディレクタス 岡本|
メールに対して何人の人が反応しているかや、そこからいくら売り上げが上がっているかなど、メール1本1本のレベルの部分最適で見ると「どんどん送った方がいい」と判断してしまうというのは、メールマーケティングやマーケティングオートメーション(MA)の現場で必然的に起きることで、その結果、炎上して荒れてしまいます。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
そうですね。空気を読めずに膨大な量のメールを送りつけ、実際にはそれがノイズになっていると気づかず、単純に「たくさん出せばたくさん反応してくれる」と思い込んでしまうのですね。

ただ、それはお客様に対して「焼き畑」をしているようなもので実際、メールボックスにメールが山ほど来ていたらだんだんそれを見なくなり、反応したくなくなることは自明の理ですよね。そこをちゃんと「適正に直していこう」と見直したのが最初の取り組みでした。

GDOが実際に行ったCX向上の取り組みとは?

まずはユーザーの行動観察と課題抽出を

河野|
今のお話は本当によくあるケースで、恐らく身に覚えのある企業さんもたくさんいらっしゃるのではないかと思います。

それでは、その改善に取り組もうとしたとき、実際にどこから取り組んだのか伺えたらと思います。

ユーザーの行動を観察し、課題を抽出する

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
ユーザーのCXを向上させていくには、メールのコミュニケーションだけではなく、サイト全体の作りやサービスそのものの使いやすさなど、いろいろなアプローチの仕方があります。

メールの改革以外ではユーザーテストなども行いました。例えばモックアップを用意し、そのWebサイトをユーザーさんに触っていただき、それをビデオで撮ってどういう動きをしているか観察するユーザーテストやログ分析も行いました。

最近ではNPS(Net Promoter Score)*1 … Continue readingなどを導入し、お客様がどういうところに満足しているのか、あるいはしていないのかを分析して、サービスの向上に取り組むなど、多角的に課題抽出をしております。

ペインポイントの改善が購買意欲にも影響

ペインポイントを改善する

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
そうして出てきた課題に対し、まずペインポイントを改善していく取り組みを行っています。オンラインで服を買う際、自分に合うサイズがわかりにくいという問題に突き当たりますよね。

ここは改善されて当たり前のように思えて、なかなかソリューションを起こすのが難しい部分になります。

サイズレコメンドエンジン「unisize」を導入

そういった課題に対してしっかり手を入れていこうと考え、「unisize」というレコメンドエンジンを導入して、CX向上を実現しています。

いろいろなアパレルブランドに関して、「このサイズで着ています」という自身のデータを入れると「でしたら、この服ならこのサイズが最適ですよ」と提案してくれるものになります。数を重ねるほど精度が向上して、適切なレコメンドをしてくれます。

ただこれはエンジンだけの問題ではなく、アパレルではそもそも同じ「Sサイズ」といってもブランドごとに大きさが全然違ったり、結局実測しなければならないことも多々あります。

そうしたバックエンドでのサイズ測定に至るまでの情報が、全部データとしてセットでたまっていて、適切なレコメンドを可能にしています。

かゆいところに手が届く「気の利いたコミュニケーション」を設計

気の利いたコミュニケーションを設計する

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
もう一つが「気の利いたコミュニケーションの設計」です。これはMAを導入して実現しているものです。

例えば、お客様がゴルフ場を予約した翌日に、そのゴルフ場の情報をお届けするとか、ユーザーが検索した内容を覚えていて、その検索した条件をもとに、オススメのゴルフ場の案内メールを出すなどといったコミュニケーションを実現しています。

「良いCX向上は良いEX(Employee Experience)から」!重要なバックエンドの整備

バックエンドを整備する

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
CX向上のため「サービスを良くしたい」と考え、フロントのお客様との接点におけるコミュニケーションを一生懸命良くしていくことは当然ですが、実はそれに加えて、それを作り上げるバックエンドの人たちのエクスペリエンスも改善しないとベースがおろそかになってしまいます。

つまり「CXを考えるのであれば、EX(Employee Experience)もきちんと考えましょう」ということです。AIを導入して使い勝手のいい管理画面にするなどのEXを推進し、いかに体力をかけずにサービスが維持できる環境を整えるか考えることが不可欠です。

ディレクタス 岡本|
そこまで考えが及んでいる企業はまだまだ少ないですよね。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
はい。ただ「そのCXを誰が担保しているのか」と考えれば、それは当然コンピュータだけではなく、やはり後ろで働いている人たちが一生懸命サービスを作っているという事実がすごく重要だと気づけるはずです。

ここを押さえていないといくらCX向上を叫んでも意味がなく、CX向上を続けていくためには、やはりしっかりと環境を整えていかないと駄目です。

ディレクタス 岡本|
そういうことですよね。

河野|
良いCX向上は良いEXから」。すごく重要なことですね。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
はい、両方やらないといけません。フロント側にCXがあり、バックエンド側にEXがあり、それを支えるITがあるという構図です。

目指すはマーケティング業務の「オートメーション化」による顧客に合わせたコミュニケーションの実現

マーケティング業務の高度化・効率化(オートメーション化)

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
さらに、マーケティング業務の高度化・効率化、つまりオートメーション化をいかに推進するかが、CX向上のための重要なテーマになってきます。

始めに手をつけたのは「ちゃんとデータを貯めましょう」というCDPの整備や、その次の「顧客分析をしていきましょう」という、後で紹介するAmplitudeの導入でした。

それをベースに、MAでオートメーション化したことによる、顧客とのコミュニケーションの精度向上、Web接客の実現、チャットエンジンの導入などの施策につなげることができました。

河野|
これらはもちろんCX向上が目的ですが、実はツールを入れることでEXも上がっているということでしょうか?

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
その通りです。そのくらいツールの導入は重要なのですが、ただし、目的がないままツールありきで入ってしまうと「一体何がやりたいんだっけ」ということになりかねません。

そこは要注意で、あくまでしっかりCXを見据え、CX向上という目的に即した形で導入することが肝心で、そうしないとツールに振り回されてしまいます。

マーケティングオートメーションを活用し、顧客に合わせたコミュニケーションを実現する

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
MAの活用について整理すると、上図のようにCDPや顧客分析ツールを駆使してターゲティングリストを作成し、それをMAのシステムに渡し、そこからさらにコミュニケーションを自動化していくイメージになります。

もちろん、メールを送るなどの作業自体は自動化されても「クリエイティブにもっと時間をかける」など、やはり人間が力を入れないといけないコミュニケーションの土台となる部分があることも確かです。

ただ、顧客の反応を見てどのメールを送るかの振り分けの部分などは、コンピューターが行えば十分ですからね。

CX向上の決め手は「優秀な店員に接客してもらうような購買体験」かどうか

河野|
誰に何を送るという「シナリオ設計」の部分は人間が行うのでしょうか?

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
はい。将来はAIがエージェントとして担うようになるのかもしれませんが、現状はまだそこまではいっていません。CX向上のイメージとして思い描いているのは、こうしたツールを駆使して「優秀な店員さん」を作っていこうというものです。

まずはマーケターがそのイメージを持って、「どういう接客がいいか」「どういうお手紙が適切か」などを一生懸命考え、シナリオ化していくことが重要だと考えています。

河野|
「優秀な店員を作る」というイメージは、まさに言い得て妙ですね。こうした業務には岡本さんや堀内さんも普段から携わっていらっしゃると思いますが、他社さんのケースも含め、CX向上の取り組みの好事例があれば、ぜひ教えていただければと思います。

ディレクタス 岡本|
私は割と実行側の仕事をお手伝いすることが多く、GDOさんのMA部分の運営もお手伝いしております。その中でも、まさにお客様とのコミュニケーションの部分がメインになります。

大半の企業はどうしても「それによっていくら売り上げが上がるか」「どれくらい訪問が増えるか」など企業側の目線でシナリオを考えがちなのですが、そうではなくいわゆるカスタマージャーニーを考えながら、顧客視点で作れるかどうかがポイントになってきます。

ただ、言うは易く行うは難しで、そこを例えば「自社の顧客体験がどうあるべきか」「カスタマーインサイトはどうか」など、企業さまが実際にお持ちのノウハウに即して行う必要があります。

私たちにできることは、必ずしもCXに詳しくないお客様の視点から見てどうあるべきかといった点を、一緒にディスカッションしながら作っていくことだと思っています。

CX向上という観点からすると、実はそういう顧客視点に立てるかどうかという部分にこそ、価値の出し方として意味があるのではないかと考えています。

河野|
確かにそういう観点で意見をもらえると、企業さま側としても嬉しいですよね。

トレジャーデータ 堀内|
カスタマーデータプラットホーム(CDP)という形でデータベースを提供している視点から言うと、GDOさんがマーケターとしてお客様と対峙するときに、機械学習をかけながらデータを使うわけですね。

つまり「このお客様にこのメールを送ったら、開封してくれる確率は何パーセント」「買ってくれる確率/予約してくれる確率は何パーセント」といったスコアリングをAIにかけていきます。

その際、やはりデータというのは結果の数値をためていくものなので「それをどうにか予測にも使いたい」といった声は、GDOさんに限らず増えていますね。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
優秀な店員さんって、店舗で顧客が次にどうしてほしいかを予測して要望に応じられるいろいろな「引き出し」を持っていますよね。それと全く同じ発想です。

またCXの設計上、企業にとって良いことではなく、お客様にとって良いことを考えることが重要です。

企業にとって良いことと考えると、どうしてもコンバージョンが基準とされ、前述のように大量のメールとして顧客に送られ、ノイズとなってしまいかねません。

そうではなく、あくまで「お客様にとっていい体験って何だっけ?」と考え、コンバージョンはその結果生まれるくらいに捉える必要があります。

だから、岡本さんが言われたように、外から客観的に「顧客目線の考え方の方がいいですよ」と導いてあげないと、なかなか企業側の目線や発想を変えるということは難しいですよね。

河野|
なるほど。何かを決めるとき「ユーザー目線になっているか」を振り返って、常にそこを軸に確認したり、考えていくといいかもしれないですね。

GDOが実際に利用しているCXプラットフォームを大公開!

トレジャーデータ・Amplitude・セールスフォースマーケティングクラウドの「ゴールデントリオ」を駆使!

河野|
CX向上施策を実現するにあたり、GDOさんの方で今使っているCXプラットフォームを教えていただければと思います。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
はい。大分以前から構想していて、やっとピースがはまって出来上がってきたプラットフォームを紹介します。

GDOのCXプラットフォーム

一番最初に導入したのは「トレジャーデータ」と「セールスフォースマーケティングクラウド」でした。MAを実現し、伝票でなくお客様の行動ベースでコミュニケーションを変えていくには、大量のログをきちんとため処理を行う必要があるため、トレジャーデータを導入しました。

また、最近導入したのがDearOneさんが日本総合代理店を務めておられるプロダクトアナリティクスツール「Amplitude」です。マーケターが使う統計解析ツールとして、Excel、Accessなどさまざまものが入っていますが、そのうちの一つがAmplitudeです。

河野|
トレジャーデータ、Amplitude、セールスフォースマーケティングクラウドの組み合わせは、まさにゴールデントリオですね!

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
はい。上図の「顧客を知る」の部分はずっと空いたままで、マーケターはもっぱらBIを使っていました。MAへのデータ連携は、それこそ毎日実行する必要があるので最適なツールを探し続けていたのですが、それを実現できるものはなかなか世の中に出回っていませんでした。

そんなとき、たまたま岡本さんにAmplitudeの存在を教えていただき、DearOneさんとつながってやっと理想のツールにめぐり会うことができました。

ディレクタス 岡本|
私も以前から志賀さんとお話しする中で「こういう分析ツールがあるといいんだけど」と伺っていましたからね。

Amplitudeなしだと「顧客を知る」の部分は、どうしても人が常に行わないといけなくなります。SQLを書き、シナリオを作って分析した結果に基づき、お客様に何かを送ろうと思ったら、そのためにまたSQLが必要になる。

さらにそれをMAに実装するとなると、誰か人が常にずっと付いていないといけないため、膨大な時間がかかることが一番大きなネックになります。

実際にお手伝いしているときでも、何か一つ分析を実行し、テストした結果を踏まえてさらにPDCAを回そうと思うと、どう考えても1〜2カ月、長いものになるともっと時間がかかることもざらです。

志賀さんは以前からずっと「分析した結果から、すぐに実行に移れればいいのに」とおっしゃっていて、ちょうど「なかなかいいツールがないですよね」と話してたときに、たまたまDearOneさんからAmplitudeの話を聞きました。

そこで「これが使えそうだ」とピンときてご紹介した次第ですが、志賀さんの場合は元々やりたいことのイメージをはっきり持っていたのがすごいと思います。「分析ツールの使い方によっては、この課題が解消できるはず」と早くから目星をつけ具体的に探しておられましたから。

河野|
さすが志賀さんですね。一般的には「このピースが抜けてるから、これが欲しい」といって探し始めるよりも、ツールに出会ってから「これが便利そうだ」と認識する方が多いですからね。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
私の場合はBIベンダーに「このピースがすっぽり抜けてるから、こういうもの作って」と相談したのですが当然、実際に作ることは難しかったです。本当にAmplitudeに出会えたおかげで、分析の時間が相当短縮されていますね。

これがGDOの「マーケティングプラットフォーム全体像」だ!

マーケティングプラットフォーム全体像

こちらがマーケティングプラットフォームの全体像です。当初、トレジャーデータやMA導入以前に「基幹システムからデータを連携、どこかに貯めた上でビッグデータ処理をし、最終的にはトラッキングや分析後のメッセージ配信もできたら」と考え整理した、概念的な構想図を作っていました。

マーケティングプラットフォーム全体像2

そこに今の状況をピースとしてはめてみました。トレジャーデータがCDPとして活躍しており、またAmplitudeで分析を行っていることがおわかりかと思います。

データの大量処理はBig Queryとトレジャーデータで、トラッキングはトレジャーデータとGAでそれぞれ行っています。

お客様とコミュニケーションを行うディストリビューション層にはセールスフォースのほか、KARTEやReproが入ったりといったツールの導入状況です。

河野|
結構な量のツールを使っておられますね。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
そうですね。世間一般で見ても比較的多い方だと思います。

河野|
全体の構想は志賀さんが考えたのですか?

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
はい。一番最初はまさにこの図から始まっていて「この図をGDOマーケティングプラットフォームとしましょう」と概念図を描いて整理し、その後ツールを1個1個見つけてはめていった次第です。

2週間かかっていた工程が5分に!CXプラットフォームの絶大な効果

河野|
ご紹介いただいたマーケティングプラットフォームで、実際にどんな効果が出ているのかを教えてください。

作業工期が2週間から5分に短縮

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
はい。当初のトレジャーデータとセールスフォースの連携状況が上図です。そこへ下図のようにAmplitudeが真ん中に入ることで何が一番変わったかというと、当然分析がやりやすくなったことと、もう一つは予測分析ができるようになったことです。

岡本さんがおっしゃった通り、分析後のオートメーション化にはSQLの開発が必須です。データのSQLが毎日実行され、そのリストが吐き出されるとセールスフォースに連携されてメールその他のメッセージが配信されます。

Amplitude導入前、まだBIを使っていた頃は、アドホックでたまにマーケターがテストをするくらいならいいのですが、それを毎日実行するとなるとSQL開発による実行エンジンが不可欠でした。

そうして、MAがどんどん肥大化していろいろなことができるようになると、それだけ大量のSQL開発が必要になり、順番待ちのような状況になってきます。

そうなると1〜2週間、下手すると1ヶ月くらいずっと開発を待つ羽目になり、だんだん「シナリオ1本に一体何カ月かかるのか」といった状況になってきてしまいます。

そのように積み上がった後にはチューニングが必要なため、そのSQL案件も入ってくるし、新しい案件も入ってきてどんどん積み上がると、データベースのエンジニアはずっとフル稼働し続けないといけないことになります。

しかも、マーケターが考えたロジックをヒアリングした上でSQLに落としていく必要があるため、そこでも往々にして間違いが起こります。

河野|
状況が目に浮かぶようです。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
これに対し、Amplitudeは前述のリストを吐き出して毎日実行してくれるので、2週間かかっていた工程が5〜15分で済むようになったのには驚きました。

トレジャーデータ 堀内|
マーケターが自分で行えるようになったわけですか。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
はい。マーケターが自身で作ったロジックから、ボタン一つという手軽さで実行環境を作成し毎日実行できる状況が実現し、SQLを開発する必要がなくなりました。これぞまさにEXですよね。

トレジャーデータ 堀内|
良いEXが良いCXにつながる」というわけですね。

河野|
2週間が5分に短縮されるというのはすごいですね!

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
そうすると、本数がこなせるようになった分「打席に立てるようになる」し、加えてチューニングもやりやすくなるなどいいこと尽くめです。

河野|
ツールの導入の効果としてはコスト削減も大きいですが、それ以上に「打席に立つ回数を増やせた」ことが一番の効果だというのはまさにその通りで、これは志賀さんの金言と言えますね。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
おっしゃる通りです。やはりマーケターは失敗して成長していくもので、お客さんに怒られてそっぽを向かれて「駄目でした」というところから学習しチューニングしていくわけですからね。

CX向上施策成功事例 –CXプラットフォームをフル活用

Amplitudeを活用した施策事例:レディース新作ウェアの顧客抽出と相関分析

Amplitudeを活用した施策事例:レディース新作ウェア

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
もう一つ別の効果の例として、実際にAmplitudeを活用した事例を紹介します。メールの配信後5日間のCVR実績を見て、「お客様が購入する前にはこういう特徴があります」とAmplitudeで特徴出しを行いました。

つまり、直近の閲覧者のうち「過去購入者」「直近閲覧者」のようにセグメントしていくと、コンバージョンしやすい人の傾向が当然見えてくるわけです。

すると、その結果「直近14日以内に関連ページを閲覧すると、コンバージョンとより強く相関する」ことがわかりました

結果は一見、当たり前なように思えます。でも「直近14日以内」という数値が具体的にわかるかというと、実際に分析してみないとわからないのですね。

そこをマーケターの感覚で「2カ月以内くらいかな」と誤って仮定してしまうと、不必要に広範囲の人まで配信対象に入り、全然関心がない人にまでメールが届いてノイズになってしまいかねないわけです。

そういう意味で、やはり顧客分析ツールを使わないと「14日」という意味ある数字が出てこないということは強調したいです。

河野|
こちらはすでに実際の施策として、この条件で抽出した上でメールを送っているわけですよね?

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
そうです。そして実際にコンバージョンが上がった例になります。

Amplitudeを活用した施策事例:「GDOスコア」のセグメント化と行動分析

Amplitudeを活用した施策事例:GDOスコア

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
次の事例は「GDOスコア」の管理アプリになります。アプリをたくさん使ってくれるユーザーにはどんな特徴があるのか、Amplitudeで分析してみました。

それによると「4回以上スコア登録しているユーザーは、パットに関するスコア分析機能の利用率が高い」ため、その後もずっと使ってくれる可能性が高くなるとわかりました。

つまり、データが貯まるほど他ブランドにスイッチしにくくなるということで、これも感覚的には当たり前に思えますが、実際に分析しないとこの「4回」という数字はわからないですよね。もしかしたら「5回」かもしれないし「6回」かもしれないわけですから、そこには明確なデータの裏付けが必要です。

そして、「パットに関するスコア分析機能の利用率が高くなる」ため、もっと「パットのスコア分析機能を使ってください」とリマインドしてあげることでユーザーの行動喚起が可能になります。分析によって、以上のようなコミュニケーションが有効だとわかりました。

ディレクタス 岡本|
今までももちろん、専門の分析官がついてデータを分析すれば同じ結論にたどり着くことは可能だったのでしょうが、それを普通のマーケターがツールで見ながら出していけるというのが本当に画期的ですね。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
はい。本当にすごいツールで、隠れた特徴をカジュアルに分析できるので、いろいろな施策を試したくなりますね。同じことをSQL開発経由で依頼して「1カ月後になります」って言われると、施策を打つ気持ちが萎えてしまいますから。

だから、最初は気軽に「とりあえず一度、テストでやってみよう」という感覚でアドホックに分析してみたらいいと思います。そして、その結果が良ければ本格的なMA推進を検討して見るという順番でいいと思います。

河野|
これに関しては二つポイントがあって、まず「4回以上のスコア登録」というのはいわゆる「マジックナンバー」と言われるもので、つまり4回以上スコア登録しているユーザーはリテンション率が高いということです。まず、このマジックナンバーを把握することが重要です。

さらに、4回以上登録する人には「パットのスコア分析機能の利用率も高かった」という特徴があったということですが、まだまだ別な特徴もあると思います。そうすると、他にもいろいろな施策が打てるでしょうから、本当に素晴らしいです。

UXD本部が活躍!GDOのマーケティング組織体制とは

河野|
CX向上を推進する上では、どんな組織や体制で運営をしていけばいいかを教えてください。

全社横断のマーケティング部門 UXD本部とは?

GDOのマーケティング組織図

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
GDOの場合、今の体制が出来上がったのはここ数年のことです。特に私がCMOとCIOを兼任していることが、大きな特徴の一つです。大抵、この両者は立場の違いから敵対関係に陥りがちなので、特に外国の人をはじめ、いろいろな人によく「面白いね」と言われます。

トレジャーデータ 堀内|
兼任している人って、なかなかいないですよね。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
攻めのCMOと守りのCIOを同一人物が兼ねているので、通常よりも組織の風通しの良さはいいのではないかと自負しています。

全社を横断するマーケティング部門:UXD本部

私が統括する組織の一つが「UXD本部」で、ここがCRMやCXをつかさどる全社横断の組織です。

もちろん、事業部は事業部で別にあって店内の売り場作りや、コンバージョンをいかに上げてリピーターを作っていくかなどの販促施策を一生懸命考えています。

その上で、事業部とは別に全社的に会員獲得や集客、複数サービスの推進などを行っているのがUXD本部です。

先ほど紹介したスコア管理もそのひとつで、これは直接コンバージョンに関わるサービスではありません。事業部は損益計算書や今日、明日の売り上げのことで精一杯で「そんなことやっていられない」現実がありますが、顧客とのタッチポイントはとても重要なので、そこのギャップを埋めていくのに必要な部署がUXD本部であり、さらにその下にUXを考える部署やCRMを考える部署などがあります。

現在のマーケティング組織図

元々はUXD本部に、SQLをバンバン書いたりトレジャーデータでCDPを構築するマーケティング専用の開発部があったのですが、私がCMOとCIOを兼任するようになって、これをシステムマネジメント本部に移しました。

これによって開発の人たちがマーケティング施策についても議論・評価できるようになったので、「移した」というよりむしろスピード感を持って「本来あるべきところに置いた」のだというべきかもしれません。

トレジャーデータ 堀内|
なるほど。

UXD本部の担当部分

ディレクタス 岡本|
今のお話は、我々がお付き合いしている企業さまでも結構多いケースです。情報システム部は守りの部分をがっちり行う必要があり、一方でマーケがやりたいことを全部依頼して行おうとするとなかなか動かなかったり、時間がかかって間に合わないということが多々あります。

しかし、今はツールがどんどんクラウドで高度化していますので、実は開発しなくてもできることが増えてきています。おそらく、ご紹介いただいたUXD本部というのも、極力マーケ側で回せるようにしようといった試みですよね?

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
そうです。

ディレクタス 岡本|
実はそうしないとうまくいかないことが多くて、データウェアハウスにあるデータからトレジャーデータでCDPを作って、そこはマーケ側が管理するようにしているというケースが今、結構多いですね。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
その方がスムーズですし、やはりマーケターは打席に立たなければいけないので、どうしても「失敗するために施策を作る」といった側面があります。

その分、情シスが開発しなくてはならなくなり、相当な業務量の圧迫を受けることになりますから、やはりマーケと情シスとはある程度分けた方がいいです。両者はマインドが全然違いますからね。

トレジャーデータ 堀内|
敵対関係になりがちですよね。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
でも、お客様のことを中心に考えれば、どこが作ったかなんてことは本来どうだっていいことです。

河野|
GDOさんではUXD本部とシステムマネジメント本部の仲はいいですか?

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
風通しがいいですから比較的、仲はいいですよ。万一、軋轢が出てくるようなことがあっても、そこは私が兼任している強みで「認識が合っていないよ、どこ見て仕事しているの?」と調整が利きますから。

河野|
なるほど。

トレジャーデータ 堀内|
理想的ですね。

ディレクタス 岡本|
当初は志賀さんがマーケ側におられたので、UXD本部の方にエンジニアの部隊があったというわけですね?

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
はい。ですがその後、システムを管理していた部長が理解ある人物だったので「一緒にやろうよ」ということになりました。

河野|
なるほど、それは大きい。

ディレクタス 岡本|
やはり、そういうことがうまくできるのが大事ですよね。

もちろん、UXD本部でユーザーの行動データが貯まれば、システムマネジメント本部の方にも「こういう状況になってるよ」と共有しているので、それがいろいろなところで役に立っています。このように本来、両者は敵対してはいけないはずです。

河野|
まさに「データの民主化」ができたわけですね。

全社を横断するマーケティング部門:UXD本部2

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
はい、UXD本部が全社横断でカバーしているからこそ「データの民主化」が実現できているのだと思います。

会員に関しても「ワンID」で全社横断で共有されていますし、ゴルフのプレー中となれば事業部はなかなか手を出せないので、そこでUXD本部の方でスコア管理アプリを出すなどして補い合っています。

岡本さんが言われた通り、顧客接点に関する施策は、損益計算書に縛られるとなかなか実施しづらいものです。しかし、それでもやはり欠かせないサービスもあり、最終的にそれによってLTVが上がっていきますから無視できません。

河野|
なるほど。

トレジャーデータ 堀内|
そうですよね。

ディレクタス 岡本|
そういう意味では、UXD本部は各部署個別の事業目標とは別に独立していて、代わりに追うのはNPSやLTVということになるのでしょうか?

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
はい、基本的にはLTVです

ディレクタス 岡本|
やっぱり、事業目標と分けて考えることが重要かもしれません。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
はい。その上で事業部と一緒に高めていくことを重視し、そこを一生懸命追っております。

河野|
LTV指標は各部門で見ることができ、皆さん同じ数字を追っているということですか?

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
そうです。そこはお互いに突き合わせをして、しっかり握っております。

まとめ CX向上を成功させる秘訣!

まとめ

河野|
上に本日のまとめを記載しました。どれも本当に金言ばかりですね。

ディレクタス 岡本|
最近、MA運用などのお手伝いをしていて思うのは、ツールもすごく進化して増えてきたということです。

昔と比べてできることが増えた分、やろうと思えばいくらでもできてしまうので、放っておくとメールが1,000本出てしまったり、またオートメーションのシナリオも100、200とどんどん増えていきます。

そこをどうやって運用していくかという視点が重要だと考えております。ツールを導入するときは各社、本当に膨大なパワーとお金をかけるのですが、その後もうまく回していけるよう、前述のEXも含めてきちんと設計できている企業は少ないです。

そこを設計できるかどうかが実際の成果に一番大きく影響してきますし、GDOさんはそこにしっかりフォーカスして考えられているからこそ、これだけ成果を出せているのだと思いました。

トレジャーデータ 堀内|
志賀さんのお話をお聞きして、一般的な企業ではCMOとCIO間で板挟みになりがちですが、そこが一体化していることが本当に大きな強みで、CX向上に効いていると実感しました。

岡本さんがおっしゃったように、ツールはどんどん進化し数も増えるので、ツールアレルギーになってしまうマーケ側と、業務量がたくさんあり過ぎて管理が大変になる情シスとをうまくつなぐことで課題が解消できるなど、有益な情報を教えていただき非常にありがたかったですし、皆様もぜひ真似されてみてはどうかと思います。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
組織・体制という意味では、まさに「システムを開発するだけではなく、社内で運用できる計画も考慮する」ということに尽きますね。便利なツールであっても実装だけで満足するのでなく、その後ずっと継続して使い続けることが重要ですから。

トレジャーデータ 堀内|
はい。SaaSは使い続けないと、全く意味がありませんからね。

河野|
至言ですね。本日はどうもありがとうございました。

アーカイブ動画

スピーカー

株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン 執行役員CMO/CIO 志賀 智之 氏

2008年株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン入社。IT戦略室長、情報活用推進部長を歴任し、お客様体験デザイン本部(現UXD本部)を設立、2018年より執行役員としてCMOとCIOを兼任。データを活用したブランディングからCRMまでフルファネルでのマーケティングと、全社的なIT統制やシステムのモダナイズを推進している。最近はライフワークとして、ゴルフのリブランディングに挑戦中。

株式会社ディレクタス 代表取締役 岡本 泰治 氏

リクルートを経て、ディレクタスを設立。数多くの大手企業のCRM及びEメールマーケティングの戦略を立案し、実行を支援。現在は顧客データを活用したクロスチャネルでのOne-to-OneマーケティングのためのコンサルティングとマーケティングオートメーションやCDPなど各種マーケティングツールの導入・運用支援を行う。著作に『BtoC向けマーケティングオートメーション CCCM入門』『ケースで学ぶマーケティングの教科書』がある。

トレジャーデータ株式会社 取締役 堀内 健后 氏

トレジャーデータの日本法人設立当初2013年2月より事業展開に従事しており、PRからマーケティング、事業開発まで担当している。それ以前は、PwC株式会社(現 日本アイ・ビー・エム株式会社)にて業務改革、システム改革のプロジェクトに参画。その後、マネックスグループにて顧客向けWebサービスの企画・開発のプロジェクトマネージャーを担当していた。外資企業、日本企業、大企業からスタートアップなど幅広い環境で幅広くキャリアを経験している。

株式会社DearOne 代表取締役社長 河野 恭久

人材ビジネスを営むスタートアップからキャリアをスタート。営業、経営企画、事業企画に従事し収益構造改革や新規事業を企画・立案。2004年には東証一部上場を果たす。2009年におてつだいネットワークスにジョイン。販売・企画・戦略立案等に携わりながら、イマナラ!事業の立ち上げに参画。

2011年に現DearOneを共同創業、スマホアプリ開発サービスModuleAppsを立ち上げ2015年1月より現職。アプリビジネスを軌道に乗せ、現在は米国Amplitudeとの協業により国内のデジタルマーケティング活性化に邁進中。モットーは「WOWを創る」

References
*1 企業やその製品・サービスに対する顧客の満足度を企業の業績向上に結び付けるため、「自社の製品・サービスを家族や友人等周囲の人間に勧める可能性」に応じ顧客を「批判者」「中立者」「推奨者」に分類。集計・算出した「推奨者の割合」から「批判者の割合」を引き、正味の推奨者の割合をスコア化し測定する方法。

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