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【DX事例10選】デジタルトランスフォーメーションの成功事例|リテール・通信・流通・メディア業界

2024.04.23

日本企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への積極的な取り組みが広がっていますが、成功に至るケースはまだまだ少ないのが現実です。多くの企業がDXに取り組む中、適切な成功事例を見つけることが自社のDX推進において大きな意味を持ちます。

当サイトでは、様々な業界や企業での10件の厳選されたDX成功事例を紹介しています。これらの事例は、DXが果たす可能性を具体的に示しており、課題を克服するためのアプローチを提供するもので、DX戦略の展開における示唆に富んだヒントがここにあります。

皆様が積極的なDX戦略を展開し、自社のビジネスグロースを実現する一助となるよう、DXの未来を切り拓くための貴重な情報を提供し、ビジネスの成功に向けた参考事例をご紹介します。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは

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世界でも、日本国内でも注目を浴びているDXですが、一体どのようなものなのでしょうか。

経済産業省は下記のように定義づけています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化·風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」*1出典:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc2.pdf

DXは元々、2004年にスウェーデン・ウメオ大学スイス人教授、エリック・ストルターマンが提唱したことで始まりました。その内容は「テクノロジーが進化し続けることで、人々の生活はより豊かになる」ということを表しています。

つまり、DXとは、『企業がIT技術を用いて顧客体験を豊かにすることで、企業自身のビジネスもグロースすること』を意味しています。これはグロースマーケティング*2の考え方にも通じるものです。

欧米におけるDXの定義については こちら や こちら をご参照ください。

DXが必要な理由

ここまででDXの定義を説明しましたが、それではなぜDXが必要なのでしょうか。

多くの企業が必死になりDXに取り組んでいる大きな理由が、経済産業省が2018年に発表した「2025年の壁」問題です。

「2025年の壁」とは、大多数の日本企業で現在使用されているシステムが、2025年には完全に時代遅れのシステムとなることです。また、ただ時代遅れになるだけではなく、2025年から2030年にかけて年間12兆円の経済的損失を被ると計算されています。

非効率なシステムを使用しているために競争力が低下し、これだけ多くの損失を生むと懸念されているのです。

これらの膨大な損失を避けるためにも、2025年までに現在使用しているシステムから新システムへの移行が急務なのです。

その手がかりとなるアイデアがDXです。

また、企業を成長させるためのグロースマーケティングを実施するためにもDXを進めることが重要となっています。

DXのメリット

業務効率化と生産性向上

DXを推進することで、自動化やプロセスの最適化や業務の可視化などが実現でき、人的ミスの削減や作業時間の短縮、業務の効率化などが可能になります。

またデータの可視化によって業務の把握や改善点の特定が容易になり、より高度な業務を迅速かつ正確に実行することができるようになる効果が期待できます。

レガシーシステムからの脱却

過去の技術・仕組みを利用して構築されたシステムを指すレガシーシステムは、既に代替品が世に出ていたり、長年のシステムの蓄積によって複雑化しメンテナンスやアップデートに多大なコストと時間が必要であるにもかかわらず、惰性で使われ続けることが多くあります。

DX推進により、新しいテクノロジーを積極的に活用することで従来のシステムの問題点をあぶり出し、最新のITインフラに移行することで、社内のIT環境を劇的に改善することができます。これにより、システムの安定性やセキュリティの向上、開発期間の短縮なども実現できるでしょう。

新しいビジネスの創造

DXによって、新しいビジネスモデルの創造も可能となります。最新のテクノロジーを活用することで、従来では実現が難しかったビジネスモデルを構築することができるようになり、顧客満足度の向上や新たなビジネスチャンス創出の可能性が飛躍的に高まります。

市場や消費者の変化に対応しやすい

さらに、DXを推進することで市場や消費者の変化に迅速かつ柔軟に対応することができます。テクノロジーを活用して市場のトレンドを把握し、それに基づいた戦略を実行することができるのか、データを分析して消費者のニーズを正確に把握し、それに基づいて商品やサービスの改良を進めるなど、臨機応変で細かいビジネス戦略の調整も可能になるでしょう。

働き方改革の推進

DXにはまた、従来の業務や労働環境を改善し働き方改革を促進する側面もあります。例えば、テレワークやフレックスタイム制度の導入が容易になり、また業務の自動化やプロセス最適化によって、社員の業務負荷を軽減することができます。これにより、働き方の多様化やワークライフバランスの改善といった効果も期待できます。

以上のようにDXの推進には様々なメリットがあり、これらは企業の競争力を高め、さまざまなビジネスグロースのチャンスを生み出します。

グロースマーケティングの考え方

DX成功にはグロースマーケティングの考え方も必要。詳しくは下記動画で解説しています。

【ウェビナー動画】顧客のファン化を目指す『グロースマーケティング』|Growth Summit 2023

「DX成功」の定義と実践ポイント

「DX成功」の定義

上記で、経済産業省が言及しているDXの定義は

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

であると紹介しました。

ここから何がDXの成功であるかを推測すると、まず、新たな技術例えばAI、データを使用すること。そして、それらを使用するだけではなく、ビジネスモデルそのものを変革し、優位性を確立すること

さらに、既存システムを使用し続ければ2025年までに日本は膨大な経済損失を被ると言及していることから、新システムを導入し、その上で新しい技術を使用してビジネスモデルを創出、または変革し競合上の優位性を確立することが「DX成功」の定義であると言えます。

さらに、こうした成功へ向かう過程において、社内でこれまで勘と経験に頼っていた判断がデータを基にしたデータドリブンな判断に変わっていく、特定のデータサイエンティストしか扱わなかったデータを全社員が活用するデータの民主化が推進する、施策を実施するまでの検討に時間をかけるより早く試してその結果を踏まえて改善を進めるOODAループの考え方が浸透するなど、企業文化・風土の変革も生み出していくことになるでしょう。

DX成功のポイント

DXを成功させるには、以下のポイントが重要です。​​

経営トップが先頭に立って推進:DXは、単にITツールやシステムを導入するということではありません。組織全体の文化やプロセスの変革を伴うため、経営トップがDXをリードし、全社員に対して理解を促すことが必要です。

経営陣が積極的に関与し、DXプロジェクトに予算やリソースを投入することで初めてDXを成功させることができるため、経営陣の強いリーダーシップがDX成功の鍵だといって過言ではありません。

部署の垣根を超えた情報共有:DXを成功させるには、部署の壁を取り払い情報共有を促すことが重要です。情報を共有することで全社員がDXに参加する機運が生まれ、組織全体が一丸となってDXを推進することができます。

積極的な社内SNSやコミュニケーションツールの導入、定期的なMTGの開催などを通じて情報共有を促しましょう。

適切な外部ツール/サービスの導入:DXでは、ITツールやサービスの活用が不可欠ですが、ただし、それには適切なツールやサービスを導入することが重要です。自社に合ったツールを選定し、必要なカスタマイズや導入支援を受けることで、DXを効果的に成功させることができます。

また、導入後の運用やメンテナンスにも注意が必要で、ツールやサービスの導入後は定期的に評価・検証を行い、必要に応じて改善を行うことも重要です。

データ分析を行い検証サイクルを回すこと:DXにおいては、データ分析を行い検証サイクルを回すことが必要です。データを分析することで、課題を明確化し改善策を検討することが容易になり、継続的な改善によってDXの成果を最大化することができます。

顧客行動の分析・理解には、ビジネスグロースにつながるファネル分析を自動で行え、コンバージョン向上と相関関係のあるユーザー行動を自動で導き出してくれる行動分析ツール「Amplitude」が便利です。

Amplitude(アンプリチュード)|世界No.1プロダクト分析ツール

DX・デジタイゼーション(Digitization)・デジタライゼーション(Digitalization)の違いと関係性

ここまで解説してきたDXとよく似た言葉としてデジタイゼーション(Digitization)、デジタライゼーション(Digitalization)があります。いずれもデジタル技術を活用してビジネスや社会の変革を促すという共通点がありますが、それぞれの意味やニュアンスは大きく異なります。

DXは企業全体の視点からビジネスを変革することを目指す取り組みで、デジタル技術を活用した新しいビジネスモデルやサービスを開発するだけでなく、社内プロセスや組織文化も変革することが求められるものでした。

一方、デジタイゼーション(Digitization)とは単純に、従来の紙やアナログ媒体をデジタルデータに変換することを指します。例えば、紙の書類をスキャンしてPDFファイルに変換することや、音楽CDをデジタルデータに変換してストリーミング配信することが挙げられます。デジタイゼーションにより、情報やデータを電子化することで、保管や利用の効率化を図ることができます。また、デジタルデータは複製や送信が容易であるため、情報の共有や利用範囲の拡大なども可能になります。

このようにデジタイゼーションは、主に業務プロセスの最適化やデータの管理・共有などに焦点を当てたもので、通常、デジタル技術を活用して情報やデータを電子化し効率的な保管や利用を可能にすることで、ビジネスプロセスの改善やスピードアップの実現を目指すといった以上の意味が込められることはありません。

また、デジタライゼーション(Digitalization)とは、デジタル技術を活用してビジネスモデルやサービスを変革することを目的とした取り組みを指します。具体的には新しいビジネスプラットフォームを作ることや、ブロックチェーン技術を活用してトランザクションの信頼性を高めることなどが挙げられます。

このように、デジタライゼーションでは既存のビジネスプロセスやサービスを変革することで、新たな価値を創造したり競争優位性を獲得して、ビジネスモデルやサービス自体を変革するといった意味合いが強いです。デジタル技術を活用して新たなビジネスプラットフォームを構築することで、新しい顧客層を獲得することや業界全体の変革を牽引するなどの側面が強い概念ですが、DXに込められるような「組織や文化の変容・変革」といった意味まではありません。

以上のように、DX、デジタイゼーション、デジタライゼーションは「デジタル技術を活用したビジネス変革」という共通点を持ちながらも、それぞれ異なる視点やアプローチから用いられることが多い用語です。

国内のDX成功事例

DXについて理解ができたところで、実際にDXを成功させた国内事例を2つ見ていきましょう。

スマホ完結ネットオークションアプリを開発したメルカリ、”One ID”化を実現させ顧客体験向上へと導いたGODIVAの2社を紹介します。

リテールからデジタルへシフトし顧客満足度向上/ GODIVA(食品業界)

世界中で愛されているチョコレートを提供するGODIVA*2出典:https://moduleapps.com/case/godiva/,
https://forbesjapan.com/articles/detail/31407/1/1/1
は、バラバラに管理されていた顧客データを一貫して管理することで顧客体験向上へと導きました。

GODIVAはまず、DXを促進するために宮野敦子氏が「最高デジタル責任者」に就任しました。宮野氏は日本ロレアル、アマゾンジャパンを経て2019年にGODIVA JapanのChief Digital Officer兼マーケティングコミュニケーション&デジタル/ IT トランスフォーメーション総括本部長に就任。

当時GODIVAがDXを進める背景として「一元管理」ができていないという問題を抱えていました。

各部署ではデータを持っているものの、Eコマースの販売履歴、店舗での販売履歴、メンバーシップの情報が統合的に管理されていませんでした。

そこでGODIVAは消費者の行動データを取得することから開始。それを元にどのようなお客様がどのようなニーズを持っているのかの理解を始めました。

データ収集や追跡はアプリやプラットフォームを活用し、Webに来た時点でタグ付けから情報を取得することも可能に。それをまた他のデータを紐づけることで、”One ID”化を実現させました。

全データの統合的管理、”One ID”化したことで、消費者のデータと個人情報をトラッキングし、「どのタイミングで(いつ)」「どんな場所で」「どんなものを求めているのか(ニーズ)」を把握し、顧客一人一人の最適なタイミングで、最適な内容の通知を行うことを可能にしたのです。

また、アプリをダウンロードしていただき、メンバーシップに登録して来店すると何かメリットがあるようにする、ことなどを可能にして顧客満足体験を向上させることに成功しました。

顧客満足を考え抜き、国内最大級のフリマサービスへ/ メルカリ(ソフトウェア・通信業界)

国内最大級のフリマアプリを提供しているメルカリ*3出典:https://about.mercari.com/press/news/articles/20190424_it_strategy_company/従来はパソコンが前提だったネットオークションサービスにおいて、スマートフォンで完結できるサービスを構築し、その使いやすさや利便性が好評で大人気のサービスとなりました。

現代ではほとんどの方が所持しているスマートフォン一つで容易に出品、購入ができます。さらに匿名配送や宛名書き不要で配送できるサービス「らくらくメルカリ便」もとても好評です。また決済サービスのメルペイも導入し、お金のやり取りの面でもユーザーに寄り添ったサービスを提供しています。

同社はDXで成功した実例として参考にされることが多いですが、アプリの使い方を教えてくれる教室も開催して顧客との接点を増やし、リアルとデジタルを超えたサービスを行なっています。DXと聞くと「IT技術導入」についつい意識がいってしまいますが、オンラインとオフラインを融合するなど、徹底的に顧客目線に立つことで、顧客体験を向上させ、より大きな成果を出すことができます

グループ全体でDX推進し「DX銘柄2021」に初の選定/ 株式会社セブン&アイ・ホールディングス(流通業界)

日本最大手の流通持株会社である株式会社セブン&ホールディングスは、セブンイレブンジャパン、イトーヨーカ堂を傘下に持っています。

同社は顧客の価値観や行動の変化に応じた製品やサービスを常に作り出し、提供するために企業の成長戦略の一環としてDXを進め、2021年に経済産業省と東京証券取引所が共同で実施している「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄2021)」に選ばれました*4出典:https://www.7andi.com/company/news/release/18954.html

2020年に「グループDX戦略本部」を立ち上げ、グループ共通の「DXプラットフォーム」の構築や、エンジニアの採用・育成を実行している。さらに、エンジニア採用に特化した人事担当を設ける、所属するメンバーがAIの使い方などを学ぶことができる「AI人材育成プログラム」を実施するなどして、会社全体でデジタルやAIに対しての障壁を無くし、スキル向上に向けて取り組んでいる。

具体的にはグループ横断で取り込むDX施策の内容をまとめた「グループDX戦略マップ」の作成、DX戦略を「新たなお客様体験価値の創造」をテーマとした”攻めのDX”と「セキュリティと効率化」をテーマとした”守りのDX”の2つにわけ、AI利用と内製化により各施策を推進しました。

操作性に優れた故障診断サービスで顧客満足向上へ/ 株式会社クボタ(農機業界)

建設材料、鉄管、産業機械のメーカーであり、納期メーカとして国内1位、世界3位を誇る株式会社クボタは3Dモデル・ARを活用した故障診断アプリ「Kubota Diagnostics」を開発しました*5出典:https://monstar-lab.com/dx/portfolio/case_kubota-diagnostics/

グローバルに展開する同社は、海外にも多数の子会社を設立していますが、担当者の経験・スキルによってはマニュアルだけではサポートが不十分になってしまうことがありました。ダウンタイムによる稼働率の低下は、顧客の収益に直接関わる問題で、早急に誰もが容易に扱える故障診断サポートが必要でした。


そこで、Kubota Diagnosticsを開発しました。Kubota Daiagnosticsでは機械が発するエラーコードや症状を入力するだけで自動で点検箇所や修理方法を確認することができます。また3スマートフォンでかざすことで、建機内部の故障箇所や対象製品の特定を視覚的に認識することができます。


誰もが簡単に操作でき、さらには3Dモデル・ARを活用してビジュアルで故障診断ができる仕組みが大きく評価され、注目されています。

時代に適した非対面のモデルルーム見学/ 長谷コーポレーション(建設業界)

マンションの設計、施工から管理、運営、リフォーム、建て替えなどを行う長谷コーポレーションは非対面のモデルルーム見学が予約できる「マンションFit」をLINEアプリで開発し、顧客体験の向上に成功しました*6出典:https://monstar-lab.com/dx/portfolio/portfolio-case_haseko/

マイホームをいつか購入したいと考えているものの「誰に相談したらいいのかわからない」「どのような準備をしたらいいのかわからない」「そもそも希望条件がわからず、イメージがわかない」などの初期段階にある潜在顧客に対してどのようにアプローチしてくかが課題となっていました。

そこでアプリのダウンロードやログインが不要でユーザビリティに優れたLINEでサービスを立ち上げ、容易におすすめ物件が表示され、ユーザーがモデルルーム見学の予約を簡単にできるようにしました。

おすすめ物件の質問は「家族構成」「年齢」「自宅・勤務先の最寄り駅」「世帯年収」「現在の居住形態」の最低限に絞っており、初期段階の潜在顧客でも容易に入手できるようになっています。

パンデミックの影響で一時的にサービス中止を余儀なくされましたが、非対面での見学が、時代に適したサービスを話題になり、注目を集めています。

海外のDX成功事例

データ活用によって購買数を大幅に増加させたフランス最大手日刊紙Le Monde(ル・モンド)、約1兆1,170億円の投資を行なったWalmart、足をスキャンすることで最もフィットする靴を提案するアプリを開発したNike、仮想空間で部屋に家具が合うか確認できるサービスを行うIKEAの事例を紹介します。

データの活用によりオンライン購読者数を 20% 増加/ Le Monde(ル・モンド)(メディア業界)

フランスの大手日刊紙Le Monde(ル・モンド)*7出典:https://amplitude.com/case-studies/le-mondeは紙面からオンラインへと移行し、購買者数を20%増加させることに成功しました。さらにサブスクリプションへのコンバージョン率はなんと46%も増加させました。

同社は2008年からモバイルアプリを介して読者にニュースを配信し始めました。一部のコンテンツは無料公開をしており、他の記事は定期購読者だけが閲覧できます。

過去10年間で同社のオンライン事業はオンラインサブスクリプションが牽引する傾向が高まっていました。そこで新規購買者を獲得、購買者の維持をするためには購買者の行動を理解することが大切であることを発見し、ウェブサイトのトラッキングを始めました。

同社は2018年にこれまでに貯蓄してきた知見、データからサイトを再構築する必要があることがわかりました。

従来のサイトでは購買者は有料ユーザー専用のコンテン流を掲載する特別なタブに誘導されていました。しかし、このポイントが顧客が満足をしていない点であることを見つけ、新しいサイトでは、エンゲージメントが最も高いコンテンツを特定し、それをホームページに表示することで。無料読者のサブスクリプション申し込みを促進することにしました。

また、全ての読者に同一のホームページを表示し、黄色いフラッグでサブスクリプションが必要なコンテンツを明らかにしました。

これらの改善を行なった新しウェブサイトでは、サブスクリプションへのコンバージョン率を46%も向上、デジタルサブスクリプション数を20%以上増加させることに成功しました。

世界第3位のIT投資家、世界最大の小売店へ/ Walmart(小売業界)

ウォルマート*8出典:https://agilitymatters.jp/article/dx_success_stories_on_retialbusinessは、DXを行うために2018年度に合計117億ドル(約1兆1170億円※1ドル100円換算)もの資金をテクノロジーに投資しました。この数字はアマゾン、アルファベット(Google)に次いで世界第三位のIT投資家になったことを意味しています。

また、ウォルマートはテックチームの増強にも力を入れており、2018年には1,700人のテクノロジー従業員を採用しました。さらに新たなCTO兼CDOに元アマゾンの世界的な小売りシステム担当副社長で、直近ではGoogleのディスプレイ、動画、アプリ広告、アナリスティック担当副社長兼ゼネラルマネージャーを務めていたSuresh Kumarを任命しました。

Eコマースビジネスだけではなく、会社全体をプラットフォーム化して、ビジネスのあらゆる側面で変革戦略を展開しようと考えていたのです。

そこで同社が行った改革のうちの1つが、スキャンロボットです。350店舗でスキャンロボットを使用して棚の在庫を管理することを開始しました。商品ごとに在庫の数を把握し、商品ごとに合計いくら分の在庫が残ってるかを常に管理でできるようにしました。スキャンロボットのおかげで、損失に繋がる不良在庫を回避し、需要予測の精度を向上させています。

2つ目の改革が、店舗管理者の指示に応じて自動的に価格調整を行うことができる機能です。この機能によって、サードパーティのデータと統合することで、リアルタイムで価格調整を行えるようになるのです。

これは時間、エネルギー、リソース、資金、人的資本をテクノロジーの開発に注ぎ、DXを成功させた事例です。

一人一人に合った靴を提案するNike-Fitを開発し顧客体験向上/ Nike(アパレル業界)

スポーツウェアや、スニーカーなどスポーツ関連用品を扱うNike*9出典:https://techcrunch.com/2019/05/09/with-new-fit-technology-nike-calls-itself-a-tech-company/はモバイルに重きを置きDXを成功させました。

同社は、人工知能、コンピュータービジョン、データサイエンス、機械学習や推奨アルゴリズムの技能を掛け合わせ、顧客が自分の足をスキャンすると最もフィットする靴を提案してくれるモバイルアプリ、Nike Fitを開発しました。

Nike Fitは顧客のカメラを使い、超細密なスキャンを行い、13点のデータを収集して両足のマップを構築します。靴の種類によってサイズが異なるため、顧客が靴を試着する時間を大幅に節約することが可能になりました。

さらに、収集した顧客のデータは今後、商品を開発するときに役立てることもできるのです。同アプリはより一層の顧客体験向上のための大きな役割を担っています。

ARを使用して購入前後のギャップを解消/ IKEA(小売業界)

スウェーデンの家具メーカーであるIKEA*10出典:https://growth-marketing.jp/knowledge/growthhackercasestudy_ikea_lvmh/の成功事例はいかにDXが従来の組織を変えることができるかを示しています。新しい技術を導入したおかげで同社は顧客体験をより良いものにし、さらに大幅なコスト削減にも成功しました。

同社は2017年に、IKEAで購入した家具の組み立てや住まいへの配送を手伝ってくれる人を検索できるウェブサイト、TaskRabbitを買収。このウェブサイトのおかげで、IKEAでの商品購入を検討しているが、組み立てたりすることに不安を感じている人にアプローチをすることができるようになりました。

さらに、同社はスマートホームプロジェクトでは、実際に店舗で家具を選び、購入する前にAR(拡張現実)を利用してバーチャル空間に選んだ家具を設置して、視覚的に自分の部屋にその家具がフィットするかを確認できるようにしました。このサービスのおかげで、購入前と購入後でのギャップを減らすことができ、顧客体験向上へと繋がりました。

AI活用でドライブスルーの自動化に成功/ McDonald’s(飲食業界)

McDonald’sは2017年に当時のCEOであるスティーブ・イースターブルック氏が「Velocity Growth Plan」と名付けられたDXの長期的ビジョンを打ち出しました*11 … Continue reading

このビジョンは主に下記6つの柱を中心に作成されました。

・顧客維持(Customer retention or “retain”)
・失った顧客の再獲得(”Regain”, recruiting lost customers)
・新規顧客獲得(“convert,” attracting new customers)
・デジタル(顧客体験のデジタル化)
・Delivery(マクドナルドでの体験をより多くの顧客に)
・Drive thru(ドライブスルーの最適化)

McDonald’sはこれらのテーマをもとに、AIの活用を大きく進めました。

例えば、ドライブスルーの自動化に成功しました。人間の代わりにAI音声アテンダントが注文を取ることで、パンデミックで屋内での食事がタブーとなり、ドライブスルーの数が急増しても、待ち時間を1分近く短縮することができました。また、過去2年間には、(顧客の許可を得て)ナンバープレートをスキャンして注文を予測するAI搭載機器や、さまざまなタッチスクリーンキオスクを試験的に導入しました。

また、2019年にマクドナルドは過去20年間で最大となる推定300億円にも及ぶAIスタートアップDynamic Yield社に投資し、顧客の購入履歴や好み、時間帯、さらには天候に応じてAIがメニューをパーソナライズして提供するドライブスルーを開始しました。アメリカやオーストラリアのほとんど全てのドライブスルーにはこのAIを設置されましたが、実際には期待したような売上アップを実現できず、分離を検討していることを明らかにしています。

まとめ

DXとはデジタル技術を用いて、顧客体験を充実させ、顧客満足度向上をはかるための改革です。

顧客体験を向上させるためには、まず正しく顧客を理解することが重要です。グロースマーケティングの3つの軸の1つである「顧客理解」を進めることで、貴社のDXもより円滑に進むことでしょう。

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