企業にあるデータを有効に活用することができていますか?
大きな企業になればなるほど、扱うデータの量は多くなります。いわゆるビッグデータです。しかし、データを集めている多くの企業がデータを最大限に利用できていません。データを集めて終わってしまっている、または活用はしているけどそこまで有効に活用できていないといった企業が多くあります。
大勢の企業がいまだにデータの活用方法を理解できていない中「データの民主化」を実現し、企業の成長、利益をあげている企業があることも事実です。
そこで今回の記事ではデータを最大限に活用し、最大限の結果を得るために「データの民主化」実現事例4選を紹介します。
データを有効に活用してグロースマーケティングを施し利益を最大化したい、データの民主化の効果を知りたいと思っている方はぜひ参考にしてみて下さい。
DXを実現するために必要なデータの民主化
そもそもデータの民主化とは「一企業において社員全員がデータにアクセスでき、データを有効に活用できる環境を構築すること」です。
グロースマーケティングを実現するための3要素である「行動分析」「施策の高速化」「的確な目標設計」の内、「施策の高速化」を実現するための方法として今、データの民主化が注目されています。
多くの企業はデータを集めることに注力しますが、どれだけ莫大な量で、どれだけ良質なデータを収集できていても使うことができなければ何の価値も持ちません。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の要として、誰もがデータにアクセスでき、必要な時に必要な情報を活用できる環境を構築することがデータの民主化のゴールです。
データの民主化とは
経済産業省が2018年に発表した「2025年の壁」問題
データの民主化が不可欠な背景として、経済産業省が2018年に発表した「2025年の壁」問題があります。
「2025年の壁」とはザックリ言うと、大半の日本企業で使用されているシステムが、2025年には時代遅れのシステムになってしまうことを指します。その結果、2025年から2030年にかけて年間12兆円の経済的損失が発生するという試算もあります。
非効率なシステムを使っているがための膨大な損失を回避するため、企業にとってはデータの民主化やDX、そしてグロースマーケティングの推進が急務とされています。
DX成功の定義
上記と関連して、経済産業省によれば「デジタルトランスフォーメーション」の定義は
“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”
というものです。
ここから導かれる「DX成功」の定義は、「AIなどの新技術の積極的使用によるビジネスモデルそのものの創出・変革、そして『2025年の壁』を超えるための新システムの導入による、市場における競争上の優位性の確立」であると言えるでしょう。
このような成功を実現するためには、
・従来の勘と経験に頼っていた判断をデータを基にしたデータドリブンなものに変える
・施策実施を時間をかけずに早く試し、その結果に基づき改善を進めるOODAループを採用することなど
・データサイエンティストしか扱っていなかったデータを全社員が活用するデータの民主化を推進すること
が重要な鍵になってくるでしょう。
「2025年の壁」と「DX成功の定義」については「【日本国内·海外企業10選】デジタルトランスフォーメーション(DX)の成功事例」もご参照ください。
データの民主化が必要な4つの理由
それではなぜデータの民主化を行うことが必要なのでしょうか?
1. 組織のパフォーマンス向上と競争優位の維持
1つ目の理由、それはデータに基づいた意思決定やイノベーションを促すことにより、組織全体のパフォーマンスを向上させ、市場の変化に対応し、競争優位を維持することができるためです。
私たちが現在生きている時代はあまりにも世の中の変化、進歩が早すぎる不透明で、不確実な時代です。そんな時代を生きているからこそ、いかに早く意思決定をし、行動に移すかが重要な鍵となります。
そこでこの混沌とした時代を生き抜く手段として、誰もが容易にデータにアクセスができ、データを取得し、そのデータに基づいて迅速に意思決定を行える環境を構築するためデータの民主化が必要なのです。
2. 部門間の相違・齟齬や行き違いの防止
2つ目の理由は、部門間の相違・齟齬やそれが原因での行き違いを防ぐためです。現在多くの企業ではデータを分析したい側の企画部門と、データを分析する側のデータサイエンティストがそれぞれ独立をして動いています。そのため、物事に対する定義の仕方が異なっていることがあります。そこで、まずその相違を発見し、確認し、そこから定義し直し、とデータ分析に至るまでに無駄なやり取りが増えてしまうのです。
データの民主化が実現されると、組織内のすべてのメンバーが同じデータを共有し、利用することができるため、コミュニケーションが向上し、タスクのスムーズな遂行が可能になります。これにより、組織内の誤解や不明瞭な点を解消することができ、タスクの遂行がスムーズになります。また、組織内のすべてのメンバーが同じデータを共有し、利用することで、タスクやプロジェクトの進捗状況を共有し、共同作業を行うことも可能です。
3. 時間・工数の削減
3つ目の理由は、「時間・工数の削減」です。データ分析の専門家であるデータサイエンティストが行っても時間が1週間程度時間がかかることがほとんどです。1週間も時間をかけて分析をしてもその間にも市場は変わっていて、それに伴い求めるデータも変わります。データの民主化を進めることで、即座にデータを使って仮説を立て、次のアクションを起こすことができるようになるのです。
4. データの可視化による経営効率化
そして、データやその分析結果に表れた意味が、どの部署の誰が見てもわかるよう可視化されるデータの民主化が必要な最たる理由は経営の効率化です。
データの可視化とは具体的には、数字の羅列に過ぎないデータを、誰もが一目見て理解できる形に加工することです。例えばデータを表や図に置き換えることで、なかなか一見しただけでは把握しづらかった数字データが、一目で明瞭に理解できるようになります。
データが可視化され直感的な理解が可能になれば、従来は特定のデータサイエンティストや現場レベルの社員の間でしか共有されていなかった知見や暗黙の了解を、マネージャー層や経営者レベルにも迅速に共有することが可能なります。
この結果、現場からデータに基づくさまざまなアイデアが上がってくるようになり、経営陣がデータに基づいた経営戦略をスピーディに実施に移すことができるなど、さまざまな効果が期待できます。
現代のビジネス環境は、常に変化しています。データの民主化により、組織内のすべてのメンバーが最新の情報にアクセスし、利用することができるようになれば、めまぐるしく変わる市場の状況にも柔軟に対応することができるでしょう。
データを最大限活用する「データドリブンマーケティング」が重要
上述の通り、データを集める行為自体にそれほど価値はなく、データを活用できてこそデータが本来持つ可能性を利用することができます。このようにデータ分析結果に基づいてビジネスの意思決定を行うことを「データドリブン」と言い、さらに施策をより効果的なものにするために、顧客に関するありとあらゆる行動データを分析し、より正確に市場動向・顧客情報を把握してビジネスに生かす手法を「データドリブンマーケティング」と呼びます。
ビジネスにおいて「データドリブン」がなぜ重要なのか?
それは、様々なメリットを受けることができるからです。例えば、コスト削減、現状の正確な把握、利益最大化、新たな仮説・潜在的可能性の発見などです。
データの民主化により組織内のすべてのメンバーがデータにアクセスし、利用することができるため、新しいアイデアやイノベーションが生まれやすくなります。これは、多様な視点からデータを分析することで、自社のプロダクト・サービスが持つ潜在的なポテンシャルや、新しい可能性を発見することができるためです。
特に、データを活用しユーザーを理解することで今日のビジネスにおいて重要とされている「ユーザーファースト」を実現することができるようになります。ユーザーを理解し、ユーザーのニーズを把握し、それをプロダクトやサービスに当てはめることで商品・サービスを成長(グロース)させることができるのです。
さらに、全てのデータを可視化、数字化することができるので、経営状況などを客観的に見ることができ、重要な決断を下す際にとても役に立ちます。
データドリブンマーケティングに必要な4Step
データドリブンマーケティングを実施するには下記の4ステップを踏むことが重要です。
Step1:データ収集
Step2:データの可視化
Step3:データ分析・アクションプラン検討
Step4:アクションプラン実行
順を追ってそれぞれ紹介します。
Step1:データ収集
データドリブンマーケティングを実施するにはまず、データを収集する必要があります。マーケティングに必要なデータを収集するために、企業はさまざまな手段・ツールを使用します。これには、Webアナリティクス、CRM、SNS分析などがあります。
Webアナリティクスによって、ウェブサイトのトラフィックやコンバージョンデータを収集できます。CRMでは、顧客の属性や購入履歴などの顧客データを収集します。そしてSNS分析では、ブランドに関連するSNS上の最新トピックやトレンド、顧客の嗜好性などの情報を収集します。
データをうまく利用するためには、データの取得時点から一貫性を持って貯めていくことが重要となります。具体的な方法に関しては「データをゴミにするか宝にするかはタクソノミー設計次第」で詳しく解説していますので、ご参照ください。
Step2:データの可視化
データ収集が完了すれば、データの可視化を行います。データの可視化とは、数字で表わされ表わさらているデータを、一目見れば理解できる形にすることです。
収集したデータを視覚的に理解しやすくするために、可視化ツールを使用します。これには、などがあります。例えば多くの場合は、データを表や図、グラフやチャートで表します。
データを可視化することによって、数字だけではなかなか把握しづらい大量のデータをパッと見るだけで具体的に理解できるようになります。
Step3:データ分析・アクションプラン検討
データを可視化して分析しやすい形に変えれば、次はその結果をもとに実際に分析して、アクションプランを検討します。
分析結果をもとにして、ユーザーがどのような点で満足しているか、満足していないかや、顧客の行動・購入傾向などを理解し、それに基づいて最適なマーケティング戦略を立てます。
顧客が不満を感じている点がわかれば、何が要因となっているのか仮説を立て、それに対して打つ施策を検討します。仮説を立てる際は、多角的に物事を見るようにしましょう。方法としてはツールの活用がおすすめです。もちろん手作業でも行えますが、莫大な時間を要してしまい、その間に欲しいデータも変わってしまいます。「せっかく仮説を立てたのに、もうすでに不要になってしまった」という事態を避けるため、スピーディに分析・検討を回していきましょう。
スピーディーに顧客の深掘り分析をするツールには、Amplitudeが適しています。Amplitudeは、SQL不要でデータ抽出・分析まで行うことができます。
さらに、セッション軸ではなく「クリックした」「商品詳細を閲覧した」などのイベント軸(ユーザーの行動)でデータを収集します。例えば、「月に10,000円以上購入するユーザーに共通する行動を把握する」といった高度な分析を数分でできます。
Amplitudeの詳細はこちら
Step4:アクションプラン実行
アクションプランの検討ができれば、立てたアクションプランを実行し、その結果を評価します。また、実行したプランに対するユーザーの反応を再度データとして計測・収集することで、どのような戦略が最も効果的であるかを判断し改善につなげることができます。そして分析を行い、仮説を立て、アクションプランを実行というサイクルを回すことも重要です。ここではいかに短い期間でサイクルを回せるかが鍵となります。
これらのステップを繰り返し、常に最新のデータに基づいて決定を下し、アクションプランを実行することで、データドリブンマーケティングは高い効率性を持ち、常に最適なマーケティング戦略を採用することができ、効果的なマーケティング戦略を構築することができます。
以上のように、データドリブンマーケティングとは、収集したデータをもとに、アクションプランを立て、実行することで、効果的なマーケティングを行うためのプロセスです。決定を下す際にデータに基づく考え方を取り入れることで、より効率的なマーケティング活動を行うことができます。
また、アクションプランに対して継続的に評価を行うことで、常に最新のデータに基づいた最適な戦略を採用することができるようになることも、データドリブンマーケティングのメリットの一つです。
データドリブンマーケティングについては、次の記事で詳しく解説しています。
データの民主化を行うときの注意点
データの民主化に必要なデータプレパレーション
データの民主化を実行に移す前に、データプレパレーションを行うことでより効果的なデータの民主化を実現させることが可能になります。
データプレパレーション(Data Preparation)とは、データ準備とも呼ばれ、処理・分析前のデータをクレンジングして使用可能な状態にする「データ変換プロセス」のことを指します。データプレパレーションを行うことで、データ処理・分析中に起こるエラーの可能性を抑えてくれ、効率的な分析が可能になります。
全社員がデータにアクセスし、データを有効活用できる環境構築を目指すデータの民主化において、データプレパレーションはそのデータ活用の精度を高めてくれるためとても大切です。
例えば、全社に散在する別々のデータを単に共有サーバにまとめて、全社員でこのデータを見なさい、と指示をしてもデータの活用は進みません。それぞれのデータが名寄せされていないとデータをつなげて見ることができませんし、ファイルごとにデータの意味が違っている場合もあります。
前者の例でいえば、Webのアクセス履歴データと購買データをどの値をキーにつなげばよいか分からないケースがありますし、後者の例でいえばECサイトの「会員ID」と顧客管理システムの「会員番号」が同じものか分からない、というケースが発生します。
データを貯めることは大切ですが、単にデータを貯めるだけでは有益とは言えません。目的なく収集したデータは活用したい時に「何の役のも立たない」ということになってしまう可能性があります。有効的に活用するにはデータを集める目的を明確にし、目的に沿ったデータを集める事が大切なのです。
データ取得時点から一貫性を持って貯める準備作業については「データをゴミにするか宝にするかはタクソノミー設計次第」で解説していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
データの民主化の前に注意すべきデータガバナンス
データの民主化を実施する前に、データガバナンスについて考慮・注意する必要があります。データガバナンスとは、企業がデータを取得・管理・使用する方法を規定する枠組みであり、データの品質、セキュリティ、アクセシビリティ、利用可能性などの確保を目的としています。
データの統制管理の質が低いと、データの出典がわからない、データの形式がバラバラ、必要なデータが検索しても見つからないといった問題に直結します。データガバナンスを充実させることで、会社全体のデータ活用能力が向上し、透明性や公正性のある意思決定が実現することが期待されます。
データの民主化のための基礎的な知識は身につけているか
データの民主化により、せっかく社内の誰もがデータにアクセスできるようになっても、実際にデータに触れる社員にデータ収集・分析に関する基本的なスキルや知識がなければビジネスで活用することはできません。
真にデータの民主化を実現するには、社員にデータの収集・分析と解釈を行う能力が必須であり、これらデータ分析や解釈のスキルを身につけるための教育やトレーニング、リスキリングが欠かせません。
データの民主化実現事例4選
ここまでデータの民主化について、データの民主化とは何か、なぜデータの民主化が必要でデータを活用する必要があるのかについて紹介をしました。
ここからは、データの民主化の実現事例4選を紹介します。
事例1:ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)社
同社はCRMやCXをつかさどる全社横断組織「UXD本部」を立ち上げることで、データの民主化を実現しました。
UXD本部は、店舗の売り場作りや「コンバージョンをいかに上げてリピーターを作っていくか」などの販促施策を考える事業部とは別に、UXやCRMを担当する部門を束ね、全社的に会員獲得や集客、複数サービスの推進などを行っています。
各部署個別の事業目標とは別にLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)という指標を立て、例えばアプリの「スコア管理機能」のような直接コンバージョンに関わるサービスではないが、顧客とのタッチポイントとして重要な施策を実行しています。
結果、UXD本部で「ワンID」で管理する会員情報など、ユーザーの行動データが貯まればこれを他部署にも全社横断で共有し、またユーザー行動分析やプロダクトアナリティクスが容易に実行できるBIツールAmplitudeを導入したことで、以前なら分析に伴う膨大なSQL開発によって2週間以上かかっていた分析の作業が5分で完了できるようになりました。
また、これにより同社では、マーケターが自身でデータ分析を行ってシナリオ作成を行ったり、開発を担当するエンジニアがマーケティング施策についても議論・評価したりすることが可能になったと言います。
企業がビジネスグロースのために、全社横断で追うべき重要指標の設定については「North Star Metric(ノーススターメトリック)とは - 顧客体験を踏まえた指標設定によるプロダクト改善」をご参照ください。
顧客ロイヤリティなどを反映したマーケティング活動における重要指標LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)については「LTV(Life Time Value / 顧客生涯価値)とは?意味と向上させるためのポイントを徹底解説」をご参照ください。
事例2:Microsoft(マイクロソフト)社
マイクロソフト社は、データの民主化を実現させたことによって迅速に意思決定を行える環境を整え、ユーザーのエンゲージメント率が4倍*1出典:https://amplitude.com/blog/how-microsoft-uses-amplitude-to-help-office-365増加し、ユーザーがアプリに費やす時間も4倍向上させることに成功しました。
同社は、各種組織およびインフォメーション・ワーカー(業務を遂行する上で企業内外のコンピュータ・システムに散在する情報にアクセスするユーザー)がOffice365による知見や解決策を生かし、より効率的に時間を使うことを支援することを目的に行動分析プラットフォームを使用し、データの民主化を行いました。
行動分析プラットフォームを利用したことで、ユーザーが各デバイススクリーンにそれぞれ異なる頻度でアクセスをしていることを発見しました。そこで、他に比べ特定のスクリーンを使用するペルソナを素早く特定し、このデータを生かしてより魅力的な機能を訴求するべく、プロダクトに戦略的な変更を施しました。
その結果、ユーザーの習慣的なプロダクト使用を促し、リテンション率と反響度を向上することに成功しました。
エンゲージメントの改善のみならず、生産性の向上を測定し、新機能のエンゲージメントとの相関性を把握することが出来ました。
ユーザーは新規機能を求めているのではなく、既存のアプリで生産性を向上できる、シンプルなプロダクトを望んでいることがわかりました。
データの民主化は困難な道のりですが実現させることによって、マイクロソフト社は以前ならプロダクトにおけるユーザーの行動を理解するための投資を、数ヶ月分も節約することに成功しました。
事例3:Dave(デイブ)社
同社は会社としてデータに基づく意思決定をより多く行えるように分析行動プラットフォームを導入し、データの民主化を実現させました。
従業員の82%*2出典:https://amplitude.com/case-studies/daveがデータに容易にアクセスし、データを活用することができる環境が構築されたことで、アプリの新規利用が前月比で平均10%増加、リテンションが5.7%増加、MAU(Monthly Active User=特定の月に1回以上利用や活動があったユーザーの数)を2倍増加させることができました。
同社は大手銀行に挑むアメリカのフィンテック企業です。同国では現在5人に4人が厳しい生活を強いられており、包括的な金融システムを構築することで、この状況の改善を試みています。数百万のユーザーが同社の金融サービス・アプリを使用し予算計画立案や信用構築、求人検索及び給与支払日前の費用支払いなどを提供しています。
同社はPMF(プロダクトマーケットフィット=市場においてプロダクトが適切に受け入れられている状態)を改善するために、リテンション(継続利用)に至るまでの過程を調査し、ターゲット・ユーザーの顧客体験向上をはかりました。
また、アプリにおけるオンボーディング(新規ユーザーが定着するまでの流れ)を再設計することで、ユーザーが利用するアプリ機能数の平均を大幅に増加させ、リテンションと収益の向上にも繋がりました。
さらに同社は、データを分析することでユーザーに評価を求める上で最適な場所を特定することができました。この結果、ユーザーがアプリストアに残す際のクリック率(広告などが表示された際のクリック率)が46%向上し、Google Playの評価も3.9から4.6に増加しました。
以前ならデータアナリストが最低1人で1週間以上もの時間を費やして行っていた業務をを行動分析プラットフォームを利用することで5秒で終了することが出来たと述べています。
事例4:Underarmour(アンダーアーマー)社
アンダーアーマー社は、データの民主化を実現させるため、行動分析ツールを使用しました。その結果、ユーザーがアプリに費やす時間を増加、ユーザーのエンゲージメントを3倍*3出典:https://amplitude.com/case-studies/under-armour増加、リテンション30%向上と大きく成果を伸ばしました。
アンダーアーマー社のフィットネス事業部門は世界に2億人もの登録ユーザーを擁しています。アスリートに焦点を当て、パフォーマンスを改善するために役立つテクノロジーを提供しています。
2015年までに同社のフィットネス事業部門アプリMapMyRunとMyFitnessPalといった人気アプリを買収しました。
MapMyRunは「ランナーのパフォーマンスとモチベーションを高め、走りを変える」をモットーに、ランニングをトラッキングし、アプリに記録するアプリで、ペースやルート、距離カロリーなどパフォーマンス向上に役立つデータを取得することが出来ます。
MyFitnessPal目標を達成するために、カロリーの記録や材料の明細、アクティビティの記録が可能なアプリで、健康維持に役立つアプリです。
それらのプロダクトがいかにフィットネスの目標達成に役立っているかを把握するために、行動分析ツールを活用を決めました。その結果、上記の通りリテンション向上、利益増加させることができました。
行動分析ツールを使用することによって、自信を持って素早く意思決定を行えるようになり、結果として、時間とお金共に節約をしながら、最大限の利益を上げることに成功しました。
導入以前は、データの民主化が行われておらず、データの構築、管理、分析を行うチームが組織されていました。しかし、時間がかかりとても効率的とは言えないものでした。そこでツールを導入したことにより、誰もがデータにすぐアクセスできる環境が構築され、分析を即座に行えるようになりました。
結果、より多くの仮説を立て、迅速にテスト・検証を繰り返しすことでより大きな成果を上げることに繋がりました。以前なら3ヶ月かかっていた業務を1ヶ月に短縮することにも成功しました。
まとめ
データの民主化とは、一企業において誰もがデータに容易にアクセスでき、データを必要な時に有効に活用できる環境を構築することです。
データの民主化を実現させることで、様々な結果を出すことができます。民主化までの道のりは困難ですが、実現をさせることでこれまでに費やしていた時間、お金を節約することが可能です。
また、迅速に意思決定を行えるようになりグロースマーケティングをより効率的に実施することができます。
データの民主化をより効果的なものにするために必要なデータ分析のステップをこちらの記事で解説していますので、ぜひ参考にして下さい。
「『とりあえずデータ分析せよ』と言われたら」