ニーズをつかむための顧客分析手法

2021.12.28

皆さんは顧客分析をされているでしょうか?

商品・サービスを多くの顧客に届けていこうとすると、どうしても顧客を深く知ることが重要になってきます。

顧客が何を求めているのか、ニーズを知ることができれば、ニーズを満たす商品・サービスを提供することができます。

逆に、売り手目線だけで商品・サービスを作っていては、なかなか顧客に受け入れられるものにはなりません。

この記事では、ニーズをつかむための顧客分析手法をご説明します。

顧客分析とは

顧客分析とは、自社製品やサービスを購入した顧客の年齢層や性別などの基本情報をはじめ、どのような経路で購入至ったのかなどの顧客の行動情報を分析することです。

分析結果をもとに、顧客との関係性を向上し、継続的に自社製品、サービスを利用してもらい、売上や利益を拡大することを目的としています。

これまでも顧客分析は行われてきましたが、これからはより深い顧客理解が必要です。

SaaSやサブスクリプション型サービスが普及したことで、顧客は容易に類似製品・サービスに乗り換えることが容易になり、企業は顧客に継続して利用してもらわなければ収益を上げ続けることが困難となったのです。

また、顧客のニーズも多様化しています。

同じ年齢・性別でも、より顧客のニーズに沿った提案や機能の提供を行わなければ、受け入れられにくくなってきています。

そのため、一人一人の顧客満足度を高め、継続して利用してもらうため、顧客分析の重要度が高まっているのです。

顧客分析の手法

顧客分析をする方法はいくつかあります。

ここではRFM分析、デシル分析、CTB分析、セグメンテーション分析、行動分析の5つを紹介します。

・RFM分析

RFM分析とは、Recently(最近の購入日)、Frequency(購入頻度)、Monetary(累積購入金額)の頭文字を取った分析方法です。3つの指標で顧客をランク分けし、それぞれの特性にあったマーケティング施策を打ちます。

RFM分析は、短期的に収益を上げたい場合には効果的な分析方法であると言えます。

一方で購入という短期の行動にフォーカスしすぎているため、自社ブランドに好意的だが購入頻度が低い顧客のランクが低くなる等、長期的には顧客育成が行いづらいため、注意が必要です。

・デシル分析

デシル分析とは、顧客を購入金額順に10グループに分類し、各グループの購買データから顧客を読み解く方法です。購買金額の高いグループには継続して購入し続けてもらうための施策を打ったり、購買金額の低いグループには、他社への乗り換えを引き留め、購買金額を上げるための施策を打つなど、ランクごとに異なる施策が打てるようになります。

しかし、グループ化の基準が購買金額と単純すぎるため、精度が低くなってしまうという点には注意しなければいけません。

・CTB分析

CTB分析とは、Category(カテゴリー)、Taste(好み)、Brand(ブランド)の頭文字を取ったもので、これら3つの指標で顧客を分析します。高い精度で顧客がどんな製品を購入するかを予測できる方法です。

Categoryではレディース、メンズ、生活用品、食用品などの大分類、ファッション、インテリア、キッチン用品などの中分類、さらに細分化したボトムス、Tシャツ、コートなどの小分類に分けられます。

Tasteでは、サイズや色、模様など、顧客がどういった好みを持っているのかを把握します。

Brandでは顧客の好きなブランドを把握できます。どのようなキャラクターを好きなのかもこのブランドに含まれています。

・セグメンテーション分析

セグメンテーション分析とは、市場や顧客を性質ごとにグループ化し、各グループがどのようなニーズをもっているのか、どのような特性をもった顧客が多いのかを分析する方法です。

一般的にセグメンテーション分析では下記4つの項目によって顧客をグループ化します。

  • ジオグラフィック変数(地理学的変数)
    地方・気候・人口密度・都市化の進展度・交通手段などで分類すること
  • デモグラフィック変数(人口統計学的変数)
    年齢・性別・人種・国籍・所得水準・宗教などで分類すること
  • サイコグラフィック変数(心理学的変数)
    購入動機・価値観・ライフスタイル・パーソナリティ・社会的地位などで分類すること
  • ビヘイビアル変数(行動学的変数)
    購買履歴・購買頻度・購買パターン・アクセス方法・購入経路などで分析すること

セグメンテーション分析では市場を細分化し、ターゲットに適したマーケティング施策を打つことができるようになります。

・行動分析

行動分析とは、文字通り顧客の行動を分析することを意味します。マーケティングにおける行動分析とは、具体的に顧客が製品購入時に行う意思決定プロセス、影響力、行動を分析することです。

現代のマーケティングではこの行動分析が重要となってきています。

従来の顧客属性に基づいた分析では、細分化された顧客ニーズをとらえることが難しくなっています。

同じ30代男性でも、商品を購入する人としない人にはどういった差があるのか。

それは属性ではなく顧客の行動を基に分析していくしかありません。

顧客の行動には本人でさえも気づいていな、ニーズが隠れていることがあります。それをユーザーインサイトと言い、ここに顧客を理解して利益を拡大する大きなヒントが転がっているのです。もちろん顧客が自身でも気づいていなニーズを探るわけですから、簡単ではありません。

具体的には「離脱の原因となっている行動」「コンバージョンに至った顧客が共通で取っている行動」などの行動ベースで顧客を理解することで売上拡大に繋がるでしょう。

ユーザー行動分析の重要性

それではなぜユーザー行動を分析することが重要なのでしょうか。

まず第一に、ビジネス環境の複雑化という点があります。インターネットが普及したことで、従来の店舗型販売からオンライン販売へ移行するなど、ビジネスの環境がここ数年で大幅に変化しました。さらに現在は私たちは「VUCA(ブーカ)」と呼ばれる、混沌とした時代を生きており、未来のことを予想するのが困難になってきている現状があるのです。

さらに、インターネットの普及によって顧客は常に新たな情報に晒され続けることになり、ニーズの多様化が進みました。ユーザーニーズが多様化したことで、従来のマーケティング手法では訴求力が低下してしまっているのです。

例えば、これまでテレビ、新聞などを用いた「マスマーケティング」は有効な手法だとされ、そこに莫大な費用が費やされてきました。しかし、現在ではテレビよりもインターネット広告にかけられる広告費の方が大きくなりました。これはいうまでもなく、インターネット広告では特定個人の趣味趣向に合わせて広告を打てるようになり、漠然とした大衆に向けてマーケティングを行うテレビよりも訴求力が高くなったからです。

また、属性軸ではもうニーズを追うことができない、という点もユーザー行動分析が重要である背景の一つです。これまでは地域、年齢、性別などの属性軸で顧客をわけ、マーケティング施策を打ってきました。しかし、それだけで本当にユーザーが求めているものを把握することはとても困難となってきています。

そのためユーザーを行動軸で分析し、ユーザーでさえも気づいていない「ニーズ・本音」を探し出すことが重要なのです。この本音のことをユーザーインサイトといい、ここにプロダクト改善のヒントや、ユーザーニーズを満たすために必要なものが隠されています。

ユーザーインサイトについて「ユーザーインサイトとは?売上拡大に導くユーザーの隠れた本音」で詳しく説明していますので、参考にしてみてください。

代表的なユーザー行動分析ツール

ユーザー行動分析ツールとして有名なのは、世界40,000サービスで利用されている行動分析ツールの「Amplitude(アンプリチュード)」です。

AmplitudeはWebサイトやアプリにタグを設定し、そのタグの発火データを収集することでユーザー行動データを分析するツールです。

タグの発火は単なるページ閲覧だけでなく、ボタンの押下や検索、クリック等細かく設定することが可能ですので、ユーザーの行動を詳細に分析することができます。

以下に、主なAmplitudeの分析チャートを3つご紹介しましょう。

・コンパス

ユーザーの行動の相関性を簡単に見ることができるチャートです。

例えば、ECサイトで購入するユーザーを増やしたい場合に、購入したユーザーは他にどういった行動をサイト上で行っているのかを簡単に見つけることができます。

上記の例では、購入と相関性の高い行動が上から並んでいます。

1位:カートにアイテムを入れる、2位:カートを見る、等は購入しているので当たり前ですが、3位:広告を見る、が購入の前の行動として良く行われるというのは一つの発見になるでしょう。

最終的な購入(コンバージョン)を増やしたい場合に、購入の前の行動(マイクロコンバージョン)を増やすことから取り組むと、施策も進めやすくなります。

リテンション

ユーザーがどの程度の継続率でECサイトを訪問しているかを見ることができるのが、リテンションチャートです。

購入のためには継続してサイトを訪問してもらわないといけません。

このチャートでは、初回訪問者を100%とし、横軸の時間が経過するごとにどの程度の人が再訪問しているかを見ることができます。

当然、右に行くほどグラフが下がる(再訪問する人の率が下がる)分けですが、これをいかに高く保てるかが重要です。

このチャートでは、ユーザーのセグメント別でグラフを分けることができます。

上記の例では青いグラフは全ユーザーの平均値です。

一方、黄緑のグラフは広告を1回以上見た人のみのグラフです。

こうしてみると、広告を見た人の方が再訪問率が高いことが一目で分かります。

・ライフサイクル

ユーザーの利用状態を一目で可視化できるのがこのチャートです。

一般的にECサイトを利用するユーザーの状態は以下の4つに分けられます。

・新規:新しくECサイト利用を開始したユーザー
・定着:ECサイトを継続的に利用しているユーザー
・休眠:ECサイトの利用が減少し、使わなくなったユーザー
・復帰:一度は休眠状態になったものの、再度利用頻度が上がったユーザー

当然、ECサイトでのコンバージョン向上を目指すのであれば、新規、定着、復帰を増やし、休眠を減らすべきです。

ライフサイクルチャートはユーザーの状態をこの4区分で可視化できます。

この例では左から右へ、時系列に沿って週ごとに、ライフサイクル区分におけるユーザー数の推移を表示しています。

水色(新規)より、赤(休眠)が多ければ、総合的な活性ユーザー数は減少しており危険な状態にあると言えます。

逆に休眠が少なく、新規が多ければいずれ定着ユーザーが増えていくでしょう。

単純な新規ユーザー数を見るだけでなく、サイトを利用したユーザーが定着しているか、休眠しているかといったポイントまで行動を把握することが重要です。

ユーザー行動分析で成果を上げた事例

最後に、ユーザー行動を分析することで成果を上げた事例を2つ、ご紹介します。

カート投入率を増やす|Amplitudeグロースハック事例

ファッション系フラッシュセールEC la belle vieは、新規ユーザーの購入を増やしたいという目的でECサイトを分析したことにより、コンバージョン(購入)に繋げるためのマイクロコンバージョンを高めるためのヒントを得ることができました。

わずか15分の分析でEC購入率を大幅改善|Amplitudeグロースハック事例

35歳〜49歳女性をターゲットに、高感度な商品を取り扱うファッションを中心としたECデパートメントを運営している、ストライプデパートメントは、ECサイト上で顧客行動を分析したことで、購入率を大幅にアップすることができました。

まとめ

以上、ニーズをつかむための顧客分析手法についてご紹介しました。

敷居が高く感じるかもしれませんが、自社の顧客を知らずして効果の高いプロダクトの改善やマーケティング施策は実行できません。

少しずつでも顧客分析を進めてみましょう。