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Cookieレス時代のデジタルマーケティングとは?ファーストパーティデータ活用方法を解説

2023.09.01

デジタルマーケティングの進化に伴い、従来のCookieを活用したアプローチが変わりつつあります。サードパーティデータ(3rd Party Data)の段階的廃止により、企業は自社で収集したファーストパーティデータ(1st Party Data)に焦点を当てる必要が生じています。

この記事ではグロースマーケティングの専門知識をもとに、Cookieレス時代におけるデジタルマーケティングの新たな展望について詳しく解説し、ファーストパーティデータの活用方法や成功事例について探究。目まぐるしく変化する環境に企業が適応し、競争力を維持していくための方法を示します。

Cookieレス時代のマーケティングとは?

Cookieレスによる課題

近年、プライバシー保護のためにブラウザでのCookie規制の強化が進んでおり、マーケターにとって大きな課題となっています。CookieはWebサイトを訪れたユーザーの情報を収集するための技術であり、従来の広告配信やサイト改善のために欠かせないものでした。

しかし、Cookie規制によりユーザーの訪問履歴や属性などを収集することが難しくなり、ターゲティング精度の低下や広告収益の減少などが懸念されています。また、同一ユーザーの複数デバイスでの訪問情報の連携も困難となるため、クロスデバイスでのマーケティング手法にも影響を与えることになります。

このようなCookieレス時代にマーケターに求められるのは、より効率的な広告配信や顧客エンゲージメントの実現であり、そこで注目されるのがファーストパーティデータの活用です。ファーストパーティデータとは、自社が保有する顧客情報やWebサイトのアクセス履歴など、自社で収集したデータのことを指します。ファーストパーティデータはCookie規制にも影響を受けず自社で完全にコントロールできるため、それを有効に活用することで精度の高いターゲティングや顧客エンゲージメントの実現が期待できます。

Cookie規制や法規制の影響と、その具体的対策については以下の記事もご参照ください。

Cookieレスがデジタル広告に及ぼす影響

こうしたCookieレスの状況では、プライバシー保護の観点からサードパーティCookieが制約を受けるため、広告主は従来の方法でのデータ収集やターゲティングを行うことが困難になり、デジタル広告業界に大きな影響を与えています。

Cookieレスの影響により、具体的には以下のような変化が生じています。

ターゲティングの制約とデータ収集の困難さ

サードパーティCookieの制約により、従来の広告主によるターゲティングや再マーケティングの手法が困難になりつつあります。代わりに、よりプライバシーに配慮した方法やコンテキストに基づくターゲティング、同意に基づくパーソナライズなどに注目が集まっています。

メディアの影響評価の変化

Cookieレスの状況では、広告のインプレッションやCV(コンバージョン)の計測が従来の方法よりも困難になるため、メディアの影響評価手法や指標の見直しが求められています。例えば、従来のクリック数やCVR(コンバージョン率)だけでなく、ブランド露出や広告のクリエイティブの品質、エンゲージメントなど、より広範な指標を活用する必要があります。

CVやCVRについては以下の記事もご参照ください。

上記のように、Cookieレスの状況において、デジタル広告業界はプライバシー保護を目的としたターゲティングの制約という課題に直面しています。こうした課題に対応するため、後述のように、広告主は自社が直接収集したユーザーデータでありCookieレスの状況下でも利用が可能なファーストパーティデータの重要性を再評価しています。今後は、自社Webサイトやアプリ内でのユーザー行動データなど、ファーストパーティデータを活用しターゲティングやパーソナライズに活かすことが重要となります。

Cookieレス時代に重要なファーストパーティデータとは?

ファーストパーティデータの定義

Cookieレス時代にますます重要性が高まるファーストパーティデータとは、前述のように企業自身が保有するデータのことを指します。具体的には、直接自社のウェブサイトやアプリを利用するユーザーのデータをはじめ、企業が自身で収集したデータなどがこれに当たります。このデータは、企業が自社のサービスや商品の提供に当たって、消費者との関係性を構築していく上で非常に重要な役割を果たすものです。

ファーストパーティデータは、消費者から提供してもらう形で自社で収集したデータであるため、適切なプライバシーポリシーに基づきデータの収集・活用を行うことが求められます。

このように、Cookieレス時代においては企業にとっての貴重な資産であるファーストパーティデータについては、正確なデータ収集と分析を心がけ、消費者との信頼関係を築きながら有益な情報を得ていくという姿勢が重要です。

欧米でのファーストパーティデータの定義やその活用法については こちら をご参照ください。

ファーストパーティデータの例

ファーストパーティデータには、Webサイト上の訪問者の行動履歴や購入履歴、メールマガジンの購読履歴、イベント参加履歴などが該当します。

例えば、顧客が何を購入したか、どのようなカテゴリの商品を見たか、どのような商品に興味を持っているかなどの情報もこれに当たるため、適切に活用すれば顧客に対してパーソナライズされたメールやコンテンツを配信することも可能です。

ファーストパーティデータのより詳しい定義やゼロパーティデータ(Zero Party Data)、セカンドパーティデータ(2nd Party Data)、サードパーティデータとの違いなどについては こちらこちら、そして以下の記事で詳しく解説しています。

Cookieレス時代におけるファーストパーティデータ(1st Party Data)の重要性

ファーストパーティデータには、例えばWebサイト上の顧客の行動履歴、購入履歴、アプリの利用履歴、顧客からの問い合わせ履歴などがあります。これらのデータを活用することで、よりパーソナライズ化されたマーケティングが可能となります。

ファーストパーティデータを収集するためには、Web解析ツールやCRMツール、メール配信ツールなどの導入が必要です。これらのツールを活用することで、顧客の行動に関する詳細な情報を収集することができます。また、収集したデータを分析し、適切なマーケティング戦略を策定するためには、データ分析のスキルも必要であるほか、データ保護やプライバシー規制も重要なポイントです。

このようなファーストパーティデータを活用するためには、目的を明確にし、顧客にとって価値のある情報を提供することが重要です。さらに、収集したデータを分析し、改善点を把握することで、マーケティングの精度を高めることができます。

以上のように、Cookieレス時代においては企業が自身のファーストパーティデータを最大限活用することで、よりパーソナライズされたマーケティングを実現することができます。企業が顧客との関係を強化し、より正確なターゲティングや顧客ニーズを実現するなど競争力を高めて収益の増加につなげるためにも、積極的にファーストパーティデータを収集・活用することが求められています。

欧米でのマーケティングにおけるファーストパーティデータ活用や重要性の解説は こちら をご参照ください。

Cookieレス時代のファーストパーティデータを活用したマーケティング手法

パーソナライズドメールの配信

パーソナライズドメールとは、顧客の属性や行動履歴に基づいて作成されたメールを、それぞれの顧客に対し送信することです。この手法により、広告を受け取る顧客はより自分に合った広告を見ることができると同時に、企業側はよりターゲットに合わせたマーケティング施策を打つことが可能になります。

そのため、パーソナライズドメールを配信するにはまず、顧客の属性や行動履歴を蓄積するために、顧客に会員登録を通して自分自身の情報を入力してもらう必要があります。また、オンラインで商品を購入した際の購入履歴や、ウェブサイトで閲覧したページの情報を蓄積することも欠かせません。

パーソナライズドメールの配信においては、配信時期やタイトル、本文内容などが重要です。例えば、誕生日前に誕生日クーポンを送信するなど、タイミングを合わせた配信がとても効果的です。また、タイトルには個人的な情報を用いたり、本文では過去の購入履歴に基づいたおすすめ商品を紹介するなど、顧客にとって有益であると感じる内容であることも重要です。

パーソナライズドコンテンツの配信

パーソナライズドコンテンツとは、メールよりもこまめに顧客にとって必要な情報をより詳しく提供することができるコンテンツのことを指します。具体的にはアプリのプッシュ通知やポップアップ通知などを通じたランディングページや特設サイトへの誘導などがあります。ファーストパーティデータを活用することで、最適なタイミングで顧客の興味関心や行動履歴に基づいたコンテンツを提供することができます。

例えば趣味が旅行である人には、その時々の季節にぴったりの旅行情報を提供するようなパーソナライズドコンテンツを配信することで、企業やサービスにより興味を持ってもらえる可能性があります。また、過去に商品購入履歴がある人にはその商品の関連情報を提供することで、リピート購入率の向上につながる可能性が高まります。

このようなパーソナライズドコンテンツを配信するためには、Webサイトやアプリでのアクセス履歴や、SNSでの投稿履歴などのファーストパーティデータの収集が不可欠です。これらの情報を収集・分析することで初めて、企業は顧客の興味関心や行動履歴を理解することができます。

パーソナライズドコンテンツの配信には、MoEngageやBrazeのようなカスタマーエンゲージメントツールやMAツールなどを活用することが一般的です。これらのツールを使うことで、顧客に対して自動でパーソナライズドコンテンツを配信することができます。

以上のように、ファーストパーティデータを活用したパーソナライズドコンテンツの配信は、Cookieレス時代における顧客との関係構築の重要な手段の一つです。ただし、配信するコンテンツが顧客にとって有益であることが重要なので、ファーストパーティデータの正確かつ慎重な収集・分析が求められます。

オンライン上での顧客行動の分析

Cookieレス時代のオンライン上での顧客行動の分析は、顧客の行動履歴、購入履歴、アクセス履歴などのファーストパーティデータを収集することで実現できます。

顧客行動の分析にあたっては、Amplitudeのような行動分析ツールを利用することが一般的です。このようなツールを使うことで、サイトの訪問者数やページビュー数などの基本的な情報だけでなく、ユーザーがどのようなページを見ているのか、どこで離脱しているのかやコンバージョンに至るまでの経路など、詳細な情報を把握することができます。

また、ツールを使って得た情報を元に、サイト内の改善点やキャンペーンの効果を検証することもできます。例えば、特定のページにアクセスしているユーザーに対してターゲティング広告を配信することで、コンバージョン率を上げることができるかどうかを検証することができます。

ファーストパーティデータの活用事例については以下の記事もご参照ください。

Cookieレス時代におけるファーストパーティデータ収集・活用のポイント

Cookieレス時代を迎えつつある現代、顧客行動の分析に基づきファーストパーティデータを活用するにあたっては、以下のポイントが重要です。

1. データ収集の目的を明確にすること

2. 行動分析ツールの選定と導入・学習

3. データを測定・活用後、改善点についての検証サイクルを回すこと

これらを踏まえた上で、ファーストパーティデータを活用したマーケティング施策を実施することが、企業のビジネスグロースにとっての一番の近道になるでしょう。

目的の明確化と価値の提供

Cookieレス時代、ファーストパーティデータを収集する際には、まず目的を明確にすることが重要です。なぜデータを収集するのか、どのような目的で活用するのかを明確にすることで、必要な情報を収集し、それを活用する具体的な方法を考えることができます。

また、顧客にとっての価値も重要です。顧客が自分たちの情報を提供するメリットがあると感じなければ、データ収集に消極的になる可能性があります。顧客にどのような価値を提供するかを考え、それを明確に伝えることが必要です。

例えば、「顧客に対してよりパーソナライズされたサービスを提供することで、利便性や満足度を向上させることができます」、「購買履歴や閲覧履歴を分析することで、おすすめ商品やキャンペーン情報を提示することができます」といった価値をアピールすることなどが有効になります。

このように、ファーストパーティデータを収集する際には目的の明確化と顧客に対する価値提供が重要なポイントとなるため、これらを踏まえた上でデータを収集・活用することで、より効果的なマーケティングが実現できるでしょう。

ツールの導入と学習

Cookieレス時代を迎えファーストパーティデータを収集するためには、適切なツールを導入し最大限利用するための学習が必須です。例えば、Ampitudeのような行動分析ツールを導入することで、ウェブサイト上での顧客行動を分析し、DAU、MAU、LTVなどのファーストパーティデータをリアルタイムで収集できる上、セグメンテーション機能などにより、効果的なターゲティングに不可欠な特定の属性や行動パターンに基づいてのユーザー分類も可能です。

これらのツールを正しく活用するためには、それらを操作するためのスキルや知識が必要です。ツールの利用方法を理解するためには、オンラインで提供されるマニュアルやトレーニングコースなどを利用することができます。これらの学習資料は、初心者向けから上級者向けまで幅広く用意されているため、自分に合ったものを選択することができます。

また、ツールの導入にあたっては、専門家に相談することも重要です。ツール導入時の設定やカスタマイズについて、スタートダッシュプログラムなどのオンボーディング講習を通じ専門家からアドバイスを受けることで、より効果的にファーストパーティデータを収集することができます。

総じて、ツールの導入と学習には時間やコストがかかるものの、ファーストパーティデータを効果的に収集するためには必要不可欠なステップです。ツールの選定や学習方法には慎重に取り組み、しっかりと基礎を固めた上でファーストパーティデータを活用したマーケティングに取り組むことが大切です。

測定・活用後の改善と検証

Cookieレス時代を迎えつつある今、ファーストパーティデータを収集し、マーケティングに活用するためには、測定後の改善と検証のサイクルを回すことが重要です。

データを収集しマーケティングに活用する際には、その結果をしっかりと測定しそれをもとに改善点を見つけ出すことが必要です。また、その改善点を検証するために、A/Bテストや多変量テストなどを実施することも重要です。

Cookieレス時代にあっても、データドリブンなファーストパーティデータの収集・分析と施策実施後の検証サイクルをマーケティングに活かすことで、より効果的な次の施策につなげることができるでしょう。

データドリブンマーケティングについては以下の記事もご参照ください。

まとめ

今後のCookieレス時代のマーケティングにおいては、自社で収集したファーストパーティデータの活用が不可欠です。

この記事で紹介したポイントやパーソナライズコンテンツなどのマーケティング方法を用いて、Cookieレス時代にあっても有効な、ファーストパーティデータを用いたデータドリブンなグロースマーケティングを実践してみてください。

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