ファーストパーティデータの活用事例

2023.12.13

マーケティングに携わる方であれば、最近ファーストパーティデータという言葉をよく聞くようになったことでしょう。

データドリブンマーケティングやデジタルマーケティングを行っている方であれば、デジタル広告の出稿の際に利用者のCookie情報やDMPの属性情報を活用してターゲティングを行うことは日常茶飯事かと思います。

しかし、こうしたサードパーティデータの活用が徐々に難しい環境に代わってくる中で、注目を集めているのが企業内にある顧客データであるファーストパーティデータなのです。

この記事では、マーケティングにおいてより重要性を増している、ファーストパーティデータについて、その活用事例をご紹介します。

ファーストパーティデータとは

ファーストパーティデータとは、企業が自社で収集し、管理しているデータのことです。自社サイトやアプリから収集するケースが多く、顧客に関する詳細なデータを収集することができます。

データの種類はファーストパーティデータ以外にもセカンドパーティデータやサードパーティデータと呼ばれるものもあります。セカンドパーティデータとは、特定のパートナー企業が取得して管理しているデータのことです。

サードパーティデータは第三者から提供されるデータのことです。例えば、DMP(Data Management Platform(データ マネジメント プラットフォーム)を介して、Web上の行動履歴や属性情報などを入手し、デジタル広告の出稿に役立てるケースがあります。

ファーストパーティデータ、セカンドパーティデータ、サードパーティデータの違い

ファーストパーティデータが重要視される背景

ファーストパーティデータは今後、マーケティング活動においてますます重要な役割を果たすことになるでしょう。

ファーストパーティデータが重要視されている背景には、Googleがサードパーティクッキーのサポートを終了すると宣言しているというのがあります。

クッキーとは、ウェブサイトを快適に閲覧するサポートをしてくれるものです。訪れたウェブサイトが発行するクッキーを「ファーストパーティクッキー」、訪れたウェブサイト以外の場所から発行されるクッキーのことを「サードパーティクッキー」と呼びます。

これまでのマーケティングはGoogle Choromeなどから得られるサードパーティデータに、その多くを頼っている状態にありました。しかし、Googleは2023年をもってこのサードパーティクッキーの廃止を宣言しているのです。

新型コロナウイルスにより、デジタルへのシフトが加速しました。リモートワークやネットショッピングが増えると共に、利用者は収集されるデータの活用方法や、管理方法など、「データ」への関心も高まり、プライバシー保護の観点からサードパーティデータを廃止することになったのです。

日本でも、2022年4月より個人情報保護法が改正され、個人情報の扱いについてはより厳密化されていく流れは避けられないでしょう。

そこで、自社企業で収集して、管理する「ファーストパーティデータ」が注目を浴びるようになりました。

マーケティングにおけるファーストパーティデータ活用のステップ

ファーストパーティデータを使ったデータドリブンマーケティングを行う際は、以下の「ためる」「整える」「分析する」「つかう」の4ステップで進めていくとよいでしょう。

データマーケティングの4STEP

4つのステップのうち、どうしても分かりやすい「つかう」がフォーカスされやすくなります。

データを使って顧客にメールを送る、アプリでプッシュ通知を送る、Webサイトのユーザーインターフェースを修正する、など。

しかし、実際には保有するデータを活用できる状態にしておくための準備フェーズ「ためる」「整える」が重要だったりします。

ファーストパーティデータをためて、整え、分析することによって正しいマーケティング施策を見つけ、施策を実行することができるのです。

ファーストパーティデータを活用したマーケティング成功例

ファーストパーティデータ活用で、ターゲティングに成功 ハイネケンU.K.

ハイネケンはオランダ発祥の、世界最大手のビール酒造会社の一つです。同社はオランダを含む、世界100カ国に醸造工場を持っています。ハイネケンU.K.では、ユーザーの携帯電話から収集されるファーストパーティデータを活用したマーケティングを実施しました。

当時のハイネケンU.K.は、若者層のテレビ離れの影響もあり、テレビ広告において若い男性視聴者をターゲットとすることに苦労していました。そこでユーザーの携帯電話から収集されるファーストパーティデータを活用して、視聴者の年齢(18歳以上)と位置情報を特定しました。この視聴者をターゲットとして、下記の条件を満たす際にビールキャンペーンに関するメッセージをSMS(Short Message Service:ショート・メッセージ・サービス)、MMS「Multimedia Messaging Service:マルチメディア・メッセージング・サービス)を通して自動で送信できるような環境を整えました。

・気温が18℃以上であること
・キャンペーンに参加できるバーやスーパーの近くに視聴者がいること

このキャンペーンによって、メッセージ受信後5日以内に15%がスーパーマーケットで特典を利用する、全受信者の10%がパブで特典を利用する、業界ベンチマークと比較して20%も高いクリック率で叩き出すなど、大きな成果をあげることに成功しました。

ファーストパーティデータ活用で、ROI152%達成 NTTドコモ dゲーム

通信業界最大手企業の一つであるNTTドコモが提供するdゲームは、ファーストパーティデータを活用した、マジックナンバー分析による施策実行でROI(Return On Investment)152%を達成しました。

同ゲームはソーシャルプラットフォームとして立ち上がり、2013年からdマーケット内の1つのサービスとして様々なゲームを提供してきました。

同サービスでは元々、自社で持っている分析用データベース、GoogleAnalyticsなどのツールを活用していましたが、分析はほぼ手作業で行われていたため、稼働負荷がかかり、ユーザー行動の深掘りや効果的な施策の検討や改善に時間を割けずにいました。

そこで、ユーザー行動分析の結果を用いて施策実行を自動化し、売上向上のサイクルの構築を目指して行動分析ツールであるAmplitudeを導入しました。

UIに優れているAmplitudeでは、スピーディーなデータの可視化を可能にし、これまで膨大な時間がかかっていた作業時間の大幅な削減に成功しました。さらに、Amplitude導入によって見つけ出すことができたマジックナンバーにより、新規ユーザーの場合、キャンペーン施策にエントリーしたユーザーのLTVが未エントリー者と比較して大幅に増加、またROIはおよそ152%の向上を達成することができました。

また、新規ユーザーの課金額平均推移についてもマジックナンバーを達成したユーザーのか金額は6倍近く増加、「キャンペーン後3ヶ月間の訪問、課金状況を効果測定し、キャンペーン未実施の3ヶ月とも比較する」という分析の工数削減においては、96%という大幅な工数の削減に成功しています。

まとめ

今回は、ファーストパーティデータの活用事例についてご紹介しました。

自社に顧客データはあるが、使い切れていないという方も多いかと思います。

是非ファーストパーティデータをマーケティングに生かすことを試してみてください。

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