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ユーザー行動分析とは?フレームワークや分析手法と利用ツールを解説

2024.08.06

ユーザー行動分析は、Webサイトやアプリ上でのユーザーの行動データを収集・分析し、マーケティングに活用することです。ユーザー行動分析は、ビジネスグロースを目指す上でとても大切であり、ユーザー行動分析ツールを導入する企業が増えています。

コロナ禍をきっかけに、ユーザーの購買行動が店舗等のオフラインからECサイトやアプリなどのオンラインへと一段とシフトしました。オンラインへ移行したことによってユーザーの行動、例えば、どこで離脱をしたのか、どこから流れてきて購入に至ったのか、などユーザー行動をデータとして管理しやすくなりました。これらのユーザー行動を分析し適切な施策を打つことでビジネスグロースへ繋げやすくなります。

記事ではユーザー行動分析の重要性や分析手法、おすすめのユーザー行動分析ツールを紹介します。ユーザー行動分析を効果的に施すためぜひ参考にしてみてください。

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ユーザー行動分析とは何か?

ユーザー行動分析とは、文字通り、どんなユーザーがどのように行動しているのかを分析することを指し、主にマーケティング活動に活かすために行われます。

ITの発展やスマートフォンの普及等に伴って、ユーザーの購買行動は、店舗やマス媒体といったオフラインから、Webサイトやアプリといったオンライン中心に変わりました。オンラインにおけるマーケティングの特徴は、どこから流入したのか、どのページを見たのか、ページのどこまで見たのか、どのボタンをクリックしたのか、どのページに遷移したのかといった、ユーザー行動がすべてデータとして取得できる点にあります。

上記のようなユーザー行動と購買データを紐づけて分析していくことで、ユーザーの詳細な行動を把握し、課題把握やユーザー心理に対する考察が深まり、ビジネスの成長につながる仮説やヒントを得ることが出来るようになりました。オンラインマーケティングが当たり前になった現代において、ユーザー行動分析により購買行動やユーザーインサイトを理解し施策に反映することは欠かせない要素と言えます。

ユーザー行動分析とアクセス解析の違い

すでにアクセス解析を取り入れている企業は多いと思いますが、Webやアプリ上のユーザー行動をデータとして取得して分析するという点で、ユーザー行動分析はアクセス解析とよく似ています。

ただし、アクセス解析は、流入チャネルやUU、PV、滞在時間などを統計情報として分析することを指すのに対して、ユーザー行動分析は、個々のユーザーの「行動」にしっかりと着目することが特徴です。

ユーザー行動分析は、「行動」や行動の裏側にある心理まで含めたコンテキスト(文脈)を考察することで、戦略や改善施策に役立てていきます。その意味では、ユーザー行動分析はアクセス解析の発展形であると言えます。

近年、Webサイト、アプリ、店舗など、顧客の消費行動が多様化したことにより、UU数、PV数だけでは読み解くことができない顧客のインサイトを把握するために、ユーザー行動分析を取り入れる企業も増えています。

ユーザー行動分析の重要性

ユーザー行動分析では、ユーザーが行う様々な行動をデータで計測し、購買促進などにおける課題を把握していきます。アクセス解析ではある種ぶつ切りになってしまうデータを一連の行動として捉え、勘や経験ではなくデータに基づいて判断をおこなうことで、仮説立案や課題解決につなげていけることができます。

【事例紹介】データ分析を成果へとつなげる流れ

また、ビジネスを成長させるという観点でも、ユーザー行動分析によるユーザー理解は欠かすことができないものです。ユーザーが実際に取った行動からニーズを予測し改善活動を行うことは、製品やサービスの顧客満足度を着実に上げるための有効な手段と言えます。

ビジネスの成長はユーザーが満足した結果ですので、ユーザーが継続的に満足できる環境を逐次整える必要があります。そのためには、ページビュー数やコンバージョン数などの主要指標だけではなく、ユーザーの行動パターンの変化に注目し、指標が増減した場合にどのような要因が影響を与えているかを細やかに分析する必要があります。

ユーザー行動分析を成功させた事例

ユーザー行動分析が注目されるきっかけとなった事例を一つご紹介しましょう。

Burbn(バーボン)というアプリが2010年頃にアメリカで誕生しました。Burbnはユーザー自身の位置情報を共有することができるカメラ付きSNSアプリでした。当時似たようなアプリが流行していたので、Burbnは他社と差別化するために様々な機能を搭載し、それによりサービス内容が複雑なものとなっていました。

Burbnはサービス開始当初は好調だったものの、しばらくするとユーザー数が伸び悩むようになりました。大きな課題であったのは、新規ユーザーの多くが数回の利用で止めてしまい定着しないことです。この課題を解決する糸口を見つけるために、Burbnはアプリ内のユーザー行動を分析しました。分析により明らかになったのは、写真の共有以外の機能がほとんど使われてないという驚くべき事実でした。この結果を受けて、Burbnはアプリの方向性を大きく転換することにしました。

もともと「写真機能が付いた位置情報アプリ」であったものを、「位置情報機能が付いた写真共有アプリ」とし、写真の共有とコメント以外の不要な機能をそぎ落としました。

リニューアルしたBurbnはアプリ名を『Instagram』に変更し再度リリースを行ったところ、爆発的にユーザーを増やすことに成功し、今では世界で10億ユーザーを超える人気アプリとなったのです。

ユーザー行動分析を成功させた事例

ユーザー行動分析で使われるツール

ここからは、ユーザー行動分析を行うために必要なツールを解説します。

Googleアナリティクス(GA4)

Googleアナリティクス(GA4)は、Webサイトやアプリのトラフィックを追跡し、ユーザー行動を分析するためのツールです。

GA4の特徴のひとつは、イベント軸でデータを収集する点です。これによりページビューだけでなく、ユーザーの様々なアクション、例えばクリックやスクロール、動画再生などを「イベント」として捉えることができ、従来のGoogle Analyticsと比較し、より詳細なユーザー行動の分析が可能になりました。

また、GA4はクロスチャネルで追跡が可能で、Webサイトとアプリのデータを統合して分析できます。チャネルをまたいだ追跡により、ユーザーが異なるチャネル間でどのように行動しているかを一貫して把握することが可能です。

ヒートマップツール

ヒートマップツールは、ユーザーがWebウェブページ上でどの部分に関心を持っているかを視覚的に示すツールです。

代表的なヒートマップには、クリックヒートマップやスクロールヒートマップ、ムーブメントヒートマップがあります。

  • クリックヒートマップ:ユーザーがどの部分をクリックしたかを色の濃淡で示すもの
  • スクロールヒートマップ:ユーザーがどこまでスクロールしたかを示しすもの
  • ムーブメントヒートマップ:マウスの動きを追跡し、ユーザーが画面上でどのように移動しているかを示すもの

こうした情報を確認できるヒートマップツールを利用することで、コンテンツ内で読んでほしいのに読まれていない箇所、想定していたよりもユーザーに読まれている箇所を把握できるため、コンテンツの改修に役立てられます。

なお、ヒートマップツールはページ内でのユーザーの行動を可視化することには強みを持ちますが、例えば「申し込んだユーザー」と「申し込まなかったユーザー」の違いといった形で顧客をセグメントに分けて分析することは出来ないことが多くなります。また、ページ遷移を含んだ「線」としてのユーザー行動を分析できない点に限界があります。

ユーザー行動分析ツール

ユーザー行動分析ツールは、ユーザーがWebサイトやアプリ上でどのように行動しているかを深掘り、分析することを得意としており、機械学習や高度な統計解析を用いた分析機能が豊富なツールです。顧客体験向上やLTV向上などCRM領域に適しています。

ユーザー行動分析ツールでは、購入頻度の高いユーザーに共通する行動特徴の洗い出しや、KPI達成のためのユーザー行動の法則(マジックナンバー)の抽出が可能です。またツールによっては、Webやアプリなどのオンラインデータの他に、店舗データも統合できるなど、オンラインとオフラインを横断した行動分析を行えるツールもあります。

ユーザー行動分析ツールとして、代表的なツールがAmplitudeやMixpanelです。

Amplitudeは後述するユーザー行動分析の代表的なフレームワークである、ファネル分析やマジックナンバー分析リテンション分析などを含め14種類の分析テンプレートが搭載されています。オンラインでの行動データだけではなく、オフラインを含めたデータ分析もできるため、より深くユーザー行動分析ができるのが特徴です。

>>Amplitudeの詳細はこちら

Mixpanelは、ユーザーの行動をイベント軸で追跡し、詳細なファネル分析やセグメント分析を行うことができます。また、AWSやAzureなど外部サービスとの連携もスムーズですので、業務効率化を図ることもできるのが特徴です。

関連記事:GA4 vs Amplitude 忖度なしで比較してみた|それぞれの特徴や得意な領域とは?

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ユーザー行動分析の種類とフレームワーク

ユーザー行動分析の手法にはさまざまなものがありますが、以下では、代表的な手法の種類と用例についてご紹介したいと思います。

ファネル分析

ファネル分析は、コンバージョンに至るまでの顧客のアクションを分解して、コンバージョンに至らなかった顧客の離脱ポイントと、離脱した原因を探る分析手法です。

ファネル分析

ファネルは「漏斗(じょうご)」を意味し、上記の例のようにユーザーが広告で商品を認知してから目標(購入)に至るまでの行動ステップにおいて、徐々に数が絞られていく様からファネル分析と命名されています。

マジックナンバー分析

マジックナンバーとは、「サービスの継続率や収益などの重要指標が飛躍的に向上する数字」のことをいいます。

Facebookにおいて、「新規ユーザーが10日間で7人と友達になると利用ユーザーの継続率が飛躍的に上がる」という法則がユーザー行動分析によって判明し、サービス最適化の重要指標となっているのは有名な話です。

マジックナンバーを発見することができると、精度の高いマーケティング戦略や競合差別化につなげていくことができます。

マジックナンバーの求め方はこちらの記事で紹介しています。

クラスター分析

クラスター分析は、データセット内の観測値を類似性に基づいてグループに分類する手法です。データをクラスターと呼ばれるグループに分割し、各クラスター内の観測値ができるだけ類似しているようにします。このような分類を行うことで、データの構造を理解し、パターンを特定するために広く使用されます。

この手法はユーザー行動分析においても非常に有効で、先ほどのBurbnの例のように、「パワーユーザーにどのような行動特徴があるか」などといった観点で分析を行い、特徴を見極めることで、サービスや施策の改善につなげることができます。

クラスター分析

コホート分析

コホート分析は、ユーザーを一定条件でグループ(コホート)に分類し、それぞれの時間経過に伴う行動の変化を分析する、ユーザー行動分析の代表的な手法です。

シンプルな例をあげると、同じ初回購入日を持つユーザーでコホートを作成し、その後時間の経過とともにコホート内の顧客の行動がどのように変化するかを計測する、などといったものです。

リテンション分析

リテンション分析は、ユーザーの継続的な関与や定期的な利用を促進することを目的とします。具体的には、特定の期間内にユーザーがサービスや製品をどれだけ継続して利用しているかを評価し、その継続や離脱の要因を分析することで、ビジネスの成長や改善に役立てます。ユーザー行動の観点では、どの機能が最も利用されているか、どのページが最も訪問されているかなどといった分析が行われます。

ここまでユーザー行動分析の主な手法ついて解説しましたが、ユーザー行動分析は顧客理解の有効なアプローチである一方で、データの収集、整理、分析、複雑なパターンの発見と、高度な分析プロセスを必要とするものです。そのため、専門のツールを使わずにユーザー行動分析を行おうとすると、多大な時間と労力がかかり、かつ正確性や信頼性を確保すること(ヒューマンエラーの防止)が困難であるという課題に直面します。

そのため、ユーザー行動分析を行う際には専用ツールの導入が望ましいと言えます。

ユーザー行動分析ツールで高度な分析を手軽に

高度なユーザー行動分析をクイックに行いたい場合は、ユーザー行動分析ツール「Amplitude」の導入をお勧めします。Amplitudeには、前章でご紹介したマジックナンバー分析やファネル分析、リテンション分析など、誰でも簡単に扱える分析チャートが14種類搭載されています。

Webやアプリなどのオンラインデータだけではなく、オフラインデータをデータソースにすることも可能ですので、例えば店舗のPOSデータを投入すると、オンラインとオフラインを横断したユーザー行動の分析が実現できます。

Amplitude

Amplitudeは日本国内ですでに、1,700以上のサービスに導入されており、Amplitudeを活用した事例は、以下の記事でご紹介しています。

ツールで解決できるユーザー行動分析の課題

ユーザー行動分析に取り組むお客様からよく挙がる課題として、次の3つがあります。

  1. 何を軸に分析すれば良いか分からない
  2. データ量が膨大で分析に時間がかかる
  3. データを扱うスキルが必要

Amplitudeのような専用のユーザー行動分析ツールには、このような課題を解決することができる様々な工夫がなされています。

以下では、3つの課題に沿った解決例をご紹介したいと思います。

ユーザー行動分析の課題

課題①何を軸に分析すれば良いか分からない

分析においては、ツールを使う場合もそうでない場合も、まず課題を特定した上で分析目的を明確にし、適した分析手法を選択する必要があります。

Amplitudeには、目的別の14種類の分析チャートが用意されていますので、目的に沿ったチャートを迷わず選択し、分析対象UI上で指定するだけで、サクサク分析を進めることができます。

Amplitudeチャート

分析チャートごとの使い方やUIのイメージが知りたい方はこちら

課題②データ量が膨大で分析に時間がかかる

一般的に、膨大なデータから高度な分析を行う場合には「SQLを使ってデータを抽出する」という作業が発生します。このような作業を都度、エンジニアに依頼していると、分析から施策の実行までに時間がかかってしまいます。

Amplitudeは、UI操作のみでデータを抽出・分析をすることができるので、SQLは一切不要です。他部門やエンジニアへ依頼することなく、マーケター自身で分析を行い、すぐに施策を実行することができます。

最短2週間かかっていたデータ抽出が、Amplitudeの導入で約5分に短縮できた事例をこちらでご紹介しています。

課題③データを扱うスキルが必要

ユーザー行動分析が必要だと分かっていても、社内に分析スキルを持つ人材がいない、ツールを使いこなせるか分からないというお悩みを持つ企業様も多くいらっしゃいます。

当社では、Amplitudeを利用した分析業務の代行や、実際の分析を通じて担当者さまに分析技術を覚えて頂くスキルトランスファーなど、豊富な分析支援サービスを提供しています。お客様の組織や分析レベルに応じたご支援させていただくことが可能ですので、是非お気軽にご相談ください。

ユーザー行動分析ツールの活用事例

最後に、ユーザー行動分析で得られた示唆をもとに、マーケティング施策につなげる活用事例(ユースケース)をご紹介します。

行動分析ユースケース

課題に対し目標を定め、目標とするユーザーの特徴的な行動を洗い出し、ユーザーの利便性が考慮された施策へつなげていくことが重要なポイントとなります。

Amplitudeのユーザー行動分析~施策の事例はこちらから

最後に

この記事をお読みいただき、ありがとうございました。当社では、Amplitudeの導入と運用のご支援を行っております。ユーザー行動分析やAmplitudeに興味を持っていただけましたら、以下よりお気軽にお問い合わせください。

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