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【ウェビナーレポート】「シナリオ配信の高速PDCA」で優れた顧客体験を追求するGDOの挑戦!

2023.01.13

この記事は、「『シナリオ配信の高速PDCA』で優れた顧客体験を追求するGDOの挑戦!」のウェビナーレポートです。

データ活用の最先端!GDOのMA配信マーケティングスタックを紹介

トレジャーデータ 小林|
本日は「『シナリオ配信の高速PDCA』で優れた顧客体験を追求するゴルフダイジェスト・オンライン(以下、GDO)の挑戦!」と題しお送りいたします。私はトレジャーデータ株式会社でマーケティングを担当しております小林と申します。本日はよろしくお願いいたします。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
2008年に株式会社ゴルフダイジェスト・オンラインに入社してIT戦略に携わり、現在は執行役員CMO/CIOという立場におります志賀と申します。以前は「お客様体験デザイン本部」、現UXD本部の本部長を務めており、その当時に「Salesforce Marketing Cloud(セールスフォースマーケティングクラウド)」や「Treasure Data CDP(トレジャーデータ)」を導入しました。最近はAmplitudeを導入し活用しております。よろしくお願いいたします。

DearOne 河野|
株式会社DearOne代表の河野と申します。弊社は企業様の公式アプリを簡単に構築できるSaaS型のサービスからスタートしました。アプリを運用していますとWebサイトと違い、ただ作って置いておくだけでは不十分で、限られたファン層つまり「ロイヤルカスタマー」が使ってくれる必要があることがわかってきました。そこでマーケティングファネルにおけるボトムファネルに注目し、今では公式アプリの運用に加え、さまざまな企業様のデータ活用のプロセスをご支援する事業を営んでおります。本日はよろしくお願いいたします。

GDOのMA配信マーケティングスタックとツール導入状況

GDOのMA配信マーケティングスタック

トレジャーデータ 小林|
まず、DearOneさんが日本総合代理店を務めるAmplitude(アンプリチュード)とTreasure Data CDPを連携しマーケティングにどのように活用されているのかを教えてください。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
はい。実は今の形にたどり着くまでに6年くらいかかっておりますが、最初に導入したのが「Salesforce Marketing Cloud」およびその基盤となる「Treasure Data CDP」で、特に高速な演算が必要となるログ周りに入れています。その中間の「顧客分析」というピースにはまるツールが中々見つからず、ずっとBIを使ってログやトランザクションのデータ、定性的なお客様のデータなどをいろいろ活用しておりました。どのように活用したかというと、BIを使ってセグメントごとにパックを作り、それをSalesforce Marketing Cloudに投入して、そこからマーケティングオートメーション(MA)を用いてお客様とコミュニケーションしておりました。

最終的にAmplitudeというツールに出会うまでは、そのようにBIを使いながら上図②にはまるピースを探していました。具体的に探していたのは、BIで作ったロジックを自動的にSQLに落とせて、それをそのまま毎日実行してセグメント抽出し、Salesforce Marketing Cloudにつなぐ流れを実現できるツールです。6年前から構想してやっと見つかったAmplitudeに対し、その両脇のTreasure Data CDPとSalesforce Marketing Cloudは、MAの実装に当たって一番最初に導入したという関係になります。

トレジャーデータ 小林|
MAやCRMを導入しマーケティングを回している企業様も多い中、Treasure Data CDPがどうして必要なのか、「トランザクションのデータをしっかり持つ必要がある」「データをクレンジングして綺麗にした状態でMAを回していく方が効率がよくなる」といったお話をされる方や、「MAとCRMにデータを十分貯められるから、それで十分」と思っている方も多いと思います。そういう方に対して、なぜTreasure Data CDPのような基幹データベースがさらに必要なのだと思われますか?

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
そうですね。我々はインターネットを生業にしている会社なので、まずWebサイトやアプリのログなどを貯めています。そういった滞留のデータを貯めようと思うと、基幹系のCRMのデータベースでは中々まかないきれません。一番最初にTreasure Data CDPを入れたとき、我々は「CDP」とは呼んでおらず「分散処理技術であるHadoop(ハドゥープ)のデータベースで高速にログを解析できるデータベース」とみなしており、その後、徐々に汎用的に使うようになりました。

Treasure Data CDPのいいところはマスターデータ、伝票データやログなどの大量のデータを収集する能力が非常に高いところで、それがTreasure Data CDPを採用した理由の一つです。また、そこからお客様のセグメントを抽出するとき、SQLやHadoopのエンジンを高速に動かして処理できるところもTreasure Data CDPの魅力だと思います。

データの統合・管理・分析と利活用をワンストップで!Treasure Data CDPを紹介

Treasure Data CDPとは

トレジャーデータ 小林|
Treasure Data CDPについて補足させていただくと、企業の中にはWebサイトやアプリなど、さまざまなタッチポイントごとにお客様のデータが貯まっています。また会員属性のデータや広告のデータなど、さまざまな部署がソリューションごとにお客様のデータを持っていて、それらが統合されていないという課題を持っている企業さまがBtoB、BtoCを問わず多く見られます。

そこで、基幹を置き換えるのでなく、それぞれのデータベースから必要なデータだけをTreasure Data CDPの中へ移し共通のIDを振っています。そうすることで、ある一人のお客様がどのような態度変容を起こしていったかがわかるようになります。具体的には「アプリを見てからお店に来たのか」「Webサイトを見た後にECに行き、その後お店に行ったのか」など、コンバージョンするタイミングで、事前にどういうことを行って態度変容が起こったのかを見ていくことができます。

そこからさらにセグメントを切って、メールをたくさん開いてくれてるユーザーにはメールで、あるいはソーシャルメディアをたくさん開いているユーザーにはSNSで案内を送るなど、各ユーザーに合った方法での訴求が可能です。全員一律に同じキャンペーンを提案するのではなく、一人一人のユーザーに向けて「今この人にはこういうキャンペーンが刺さりそうだ」「もうすぐ再契約/解約しそうだ」などの特徴を抽出し、その人に合った最適なタイミングと方法でコミュニケーションを取っていくことを可能にするデータベースツールになります。MAやCRMでデータを貯めることはできても、そこからさらに分析を行うにはデータのクレンジングが必要な他のデータベースとは、データの汎用性という点で異なります。

Treasure Data CDPは500を超えるデータ収集先・活用先のコネクターを実装済み!

500を超えるデータ収集先・活用先コネクター

トレジャーデータ 小林|
もう一つのTreasure Data CDPの特徴は、Amplitudeを含む500を超えるコネクターが実装されていることです。もしAWSやGoogleなどで、データベースを自分たちでスクラッチで作ろうとなると、こういった他の連携先とのアップデートも自分たちでやるか、あるいは外注しないといけなくなります。

例えば、Salesforceだけを取ってみても、年に3回くらいアップデートがあり、仮にこれを自分たちで作るとなると、非常に手間とお金がかかります。一方Treasure Data CDPの場合は、弊社のエンジニアがこれらのコネクターとのアップデートを全て行いますので、お客様の手を煩わすことが一切ないことが特徴です。志賀さんから見て、Treasure Data CDPは他のデータベースと比較してどうですか?

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
そうですね。やはり入り口と出口がしっかりプラグインのような形で用意されていてデータを貯めやすいことがTreasure Data CDPの強みですね。一般的なCDPは、お客様に対しタイムラインを作っていくようなデータベースが多いのですが、Treasure Data CDPが他と違うところは、CDPでありながらマスターデータやトランザクションデータが持てたり汎用的なデータベースとしても使えることで、活用という点からするととても面白いです。

このように、弊社でのTreasure Data CDPの位置付けは汎用データベースからCDPへと進化していきました。また出口が豊富にあってとても連携しやすいことも特徴です。そして、我々が一番最初に着目したのはログを取る機能です。数年前の時点ではWebログを簡単に取れるツールが中々見つからず、それこそGoogle Analyticsのようなものしかありませんでした。その点、リアルタイムでしっかりデータを取れるという意味でTreasure Data CDPは当時から強かったです。

トレジャーデータ 小林|
そのほか、GDO様側でWebサイトからアプリを追加していったり、今後はIoTなどのデータをテストする場面などもあるかと思います。そういったものを後からうまく追加しやすいところも強みだと考えています。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
そういったところにも期待しています。データが取りやすいので、自身でいろいろ開発しなくてもいつの間にかできているという点が、今後もTreasure Data CDPの強みになるだろうと思っています。

トレジャーデータ 小林|
データベースを設計するとき、「現状から見てオーバースペックにならないよう小さく始めたい」と考える消極的な企業様もいらっしゃいますが、その後に広がる可能性や汎用性を考慮することで、データベース化を選択するときの基準が変わってきます。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
データの入口・出口の部分にしっかり対応できているかどうかが、基準として非常に大きくなると思います。

GDOにおけるAmplitude導入状況とその効果

Salesforce Marketing CloudとAmplitudeの連携効果とは?

SMCとAmplitudeの連携効果

トレジャーデータ 小林|
Amplitudeの導入効果について教えてください。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
以前BIツールで分析していた部分が、今ではAmplitudeに置き換わっています。導入前はどのような状況だったかというと、MAの一種であるSalesforce Marketing Cloudを活用し、マーケターがさまざまなコミュニケーションシナリオを考えていました。その前段階で、簡単なアドホックのコミュニケーションを検証します。セグメントを掛けてみたりクリエイティブを作って「誰に何をいつコミュニケーションをするのか」を調べるのですが、そのときにBIツールを使っておりました。これはこれで非常にいい取り組みで、その後「いいシナリオができそうだ」とわかると今度はMAに実装していきます。ところがそのとき、いつもボトルネックになっていたことがありました。

マーケターが分析しながらBIでセグメントを抽出するロジックをいろいろ考え、例えば行動分析やお客様のマスター・属性・伝票などを使ってさまざまな分析をしていきます。そうしてやっとできあがったセグメントのロジックを、またSQLで開発してMAに乗せる工程が必要になることが課題でした。せっかくマーケターがMAで、それこそOne to Oneを目指しさまざまなシナリオを考えても、作れば作った分だけSQLを開発しないといけないというジレンマに陥ります。またシナリオを実装してリリースした後、後は放っておけばいいかというとそうではなく、結局シナリオのチューニング対応が必須です。

また「誰に対して」という部分のデータが貯まってくると、「もっとこういう人に絞って送らないといけない」「クリエイティブを変えていく必要がある」などと適切な対応がわかってきます。そこで「こういう反応を受けたら、こういうシナリオを別に動かそう」といったチューニングは走っていくのですが、そこの段階でもまたセグメントが必要となると、さらにSQLのチューニングが必須になります。このようにMAでOne to Oneを目指し、今までメンテナンスが不可能だったいろいろなシナリオを一生懸命作成し、コミュニケーションがリッチ化する一方で、SQLの開発がどんどん増えて大掛かりなものになってしまうことに、大きなジレンマを感じていました。

セグメンテーションしてSQLを作る部分を何とか自動化できないかと、ずっと最適なツールを探していました。そして2年ほど経ったとき、たまたま知人から教えてもらったのがAmplitudeで、自動でSQLを吐き出し、しかもそれを自動実行できるということで、空いたままだったピースにうまくはまってくれました。機能面では行動分析などに長けたいわゆる「顧客分析」に特化したツールで、予測分析など非常に高度な分析が容易にできるようになりました。そこから顧客リストを自動で抽出・連携し、エンジニアが作ったSQLを使わずにマーケター自身が作ったロジックでデータ連携ができるようになりました。業務上ボトルネックになっていた開発にかかる時間が解消され、予測分析に時間を使えるようになりました。

DearOne 河野|
私も初めてAmplitudeに出会ったときに衝撃を受けたのは、同じ「高度な予測分析が容易にできる」点でした。自分の求めたい結果と相関する別のアクションを見つけてくれ、さらにそれに対してプライオリティ付けをしてくれるので、明確にどの施策を打てばいいかの答えを導いてくれます

志賀さんに伺いたいのですが、Amplitudeにまだ出会えてない企業が多い中、GDOさんが導入前に行っていたような予測分析を行える高度な技術を有していないところがほとんどだと思います。GDOさんではAmplitudeの導入前は何か専門のチームがあったのでしょうか?

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
マーケターとは別に、機械学習や統計解析の部隊がいました。

DearOne 河野|
その部隊は何人くらいのチームでしょうか?

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
統計解析がしっかりできる人間が一人、その下にアシスタントが二人のチームで、それとは別にコミュニケーションのシナリオを考えるマーケターがいて指示を出す体制でした。例えばシナリオを考える上での仮説を分析チームに渡し、それが合っているかどうか検証してみたり、シナリオを実行して本当に効果があったかどうかを分析チームで検証したりしていました。

例えばマーケティング的観点から、どうしたら商品を1回購入した人がまた購入してくれるかや、2回目に購入する人たちがどういう属性でどう行動するのかを、マーケターがデータを使って予測分析することは中々難しいです。かつては分析チームにお願いして「こういう特徴がある」「こういう施策の効果が上がっている」「こういう行動をとってみよう」といった分析結果を出してもらい、それを元にセグメントを作り、コミュニケーションシナリオを立てて検証してみるという流れにならざるを得ませんでした。一方現在は、Amplitudeを使うことで本当に高度なものを除き予測分析をマーケター自身ができるようになったことが大きな変化です。

DearOne 河野|
施策に対する効果検証はどういうチームで行っていますか?

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
ほとんどマーケターが行っています。実際に施策を打ってコミュニケーションしたことで、例えばコンバージョンが本当に純増しているかの検証などにも使われています。当たり外れももちろんありますが、思った通りにいかないときがあっても、とにかくたくさん施策を打って失敗を繰り返していくことが、マーケターを育てるという意味で非常に重要です。

トレジャーデータ 小林|
以前はかなりの時間をかけざるを得なかったところが今では相当短縮でき、マーケターが多くの打席に立てるようになったということですか?

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
はい。MAを入れてマーケターが一番最初に直面するジレンマは、本来たくさん分析したいのに、失敗を恐れて慎重になり過ぎ、分析スピードが落ちていくことです。実装するまでとても時間がかかる上、失敗するとやり直しになってしまうので、一発目の分析を外したくないという心理が働きます。そしてSQLを開発しシナリオを作っていると、気がついたら1〜3ヶ月経っていたということはざらです。そのため予測分析や最初のセグメント抽出になおさら注力してしまうのですが、どんどん予測分析が頭でっかちになってしまうのでよくない傾向になります。

トレジャーデータ 小林|
本当は失敗しているのに、時間をかけたくないから「合っているはずだ」というバイアスがかかってきそうですよね。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
マーケターは本来、お客様と向き合うときに自分の仮説や思いをしっかり持つべきで、その中で失敗してお客様にそっぽを向かれながら学んでいくということを繰り返さないと、センスは中々身に付きません。

そういう意味で、カジュアルに分析したら即、実装・チューニングできることが非常に重要です。MA導入後、最初は皆それができるのですが、だんだん頭でっかちになってそれができなくなりスピードが落ちていく。そうすると「何のためにMAを導入したんだっけ?」ということになってしまいます。

トレジャーデータ 小林|
それではオートメーションでなくなってしまいますね。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
そうしたジレンマに加え、SQL開発が入ってくるとさらに時間がかかるという悪循環に陥り、実装スピードやテストのスピードまで落ちてしまいます。このように、いかにカジュアルに分析し、実際に失敗しながらたくさん学んでいけるかがとても重要です。

データ活用で「マーケターの打席数が圧倒的に増える」GDOの挑戦!

事例1:ロイヤルユーザーを判別する「マジックナンバー」

事例1:ロイヤルユーザーを判別する「マジックナンバー」

トレジャーデータ 小林|
データ分析の具体的事例について教えてください。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
弊社のスコア管理アプリ「GDOスコア」の事例を紹介します。アプリでお客様とのタッチポイントを増やしコミュニケーションを取ったり、お客様からデータをいただいて活用するプラットフォームです。消費以外のところでも、ゴルフライフの一環としてタッチポイントをしっかり提供しています。

ここからデータを取る中で、お客様がスコア管理アプリをたくさん使ってエンゲージメントが高くなると、当然ECも予約もたくさん使うユーザーが増え、LTVも高まる傾向があります。それだけアプリをたくさん使ってもらうことが重要になります。

そこで、どうしたらアプリをたくさん使ってもらえるようになるのかを分析したところ「4回以上スコア登録しているユーザーは、パットに関するスコア分析機能の利用率が高かった」という結果が得られました。一見、当たり前にも思えますが、しっかりアプリの分析機能を使っているユーザーは、その都度スコアをクラウドにアップロードしているという特性が見つかったということです。

DearOne 河野|
この分析結果にはいろいろ重要なポイントが含まれていますね。まず「4回以上スコア登録しているユーザーは、パットに関するスコア分析機能の利用率が高かった」という結果ですが、この「4回以上のスコア登録」というのは、ロイヤルユーザーかどうかを判別する基準となるいわゆる「マジックナンバー」ですね。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
はい。MAUも高く、長くアプリを使ってくれるユーザーです。「4回以上登録する」というマジックナンバーに対し、相関する行動をさらに深掘りして見つけた次第です。

事例1:ロイヤルユーザーを判別する「マジックナンバー」2

DearOne 河野|
この結果を見ると、例えばパットのスコア分析機能をまだ使ってない人に「使ってみよう」というメールやプッシュ通知を送ったり、あるいはUI上、パットのスコア分析機能を大きなボタンにして前面に出すなどすると効果がありそうで、本当に素晴らしい事例です。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
はい、それらの施策をすでに行っています。よく見ると棒グラフのところに青色で実際のパット数が表示されています。このようなUIもユーザーへの影響は大きく、一目でユーザーの目につき「パットの回数がどのくらいだったか」と振り返ってもらいやすくなり、エンゲージメントが高くなって定着もしていくという流れになります。

DearOne 河野|
そのように「棒グラフのところに数字を出そう」といった施策としてのUIデザインは誰が考え、実行しているのですか?

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
アプリの開発チームやサービスの責任者が考えますが、データから導き出してUIやコミュニケーションを変えていこうというケースと、先にそのような思いがあって施策を試すケースの両方があり、機能案内のプッシュ配信テストなどもすでにAmplitudeでセグメントを分けて検証を行っています。

DearOne 河野|
パットのスコア分析機能の存在を知らなかったユーザーが認知して使うようになったら、リテンションも今まで以上に上がりますから本当に素晴らしい事例です。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
はい、これによってユーザーが定着しやすくなります。この機能を知ってもらうには、コミュニケーションのあり方が最重要になります。プッシュ配信やメール、あるいはUIデザインそのものを変えるなど、一つ一つ数字を取りながら最適な方法が何かを試行錯誤しています。

DearOne 河野|
最適な施策が見つかれば、あとはサイクルを回していく流れでしょうか?

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
そうですね。実際にどんどん回していって、維持できる施策かどうかを見極めていくことになります。

事例2:お客様にとって気の利いたシナリオを考え、オートメーション化する

事例2:お客様にとって気の利いたシナリオを考え、オートメーション化する

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
別の事例も紹介します。お客様は1〜2ヶ月前からゴルフの予約をしていますが、プレー当日が大雨だとキャンセルするというのが通常のユーザー行動です。それを嘆いていても仕方ないので、我々の側では「次の予約をしていただきたい」というコミュニケーションを図ります。分析してみたところ「金曜日のプレーをキャンセルをした人は、別の週の金曜日に再予約しやすい」という傾向があることがわかりました。

雨が降る以上キャンセル発生は避けられないことですが、3日前にキャンセルする人もいれば、当日雨だからやめるという人もいる中で、「明日はこの地域でこれくらい雨が降るから、ほとんどゴルフ場に来ないだろう」と考え、その日の夜にキャンセルするであろうお客様にコミュニケーションしても、それはただやみくもに「再予約してください」と言っているだけに等しく、接客態度としても不適切です。

だからといって、一様に「クーポンを渡すので予約をお願いします」でいいかというと、それもそっけなくて印象はよくないですし、そもそもクーポンを渡して反応する人もいれば、全く反応しない人もいます。そうではなく、「このゴルフ場でしたら、再来週の同じ曜日でしたら空いています」というような気の利いた提案をすべきだと考えます。

トレジャーデータ 小林|
すごく優秀な営業マンは、こういうことを細かく行っていますよね

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
何か簡単なことをオートメーション化するだけでは全く意味がなく、「お客様に嫌がられないだろうか」などさまざまな要素について深く考えながら、面倒なことをIT化していくのが真のオートメーションです。お客様にとって気の利いたシナリオを作っていくのが本来あるべき姿だと思います。

トレジャーデータ 小林|
GDOでのゴルフ場予約や物販などで「これはあなただけに特別なサービスです」と気の利いた情報が提供できれば購買率はきっと上がりますよね。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
はい。よく言われるのは、雨の日はゴルフ場に行けないが、実はゴルフをやりたいと皆思っているのだそうで、そういうユーザーには練習場に誘導するシナリオが有効になります。我々は今「トップトレーサー・レンジ」という打ったゴルフボールの軌道を可視化する装置など、​​練習場自体をDX化するようなソリューションを展開しています。「雨が降ってしまってゴルフ場に行けないようでしたら、せっかくなのでより良い体験ができる練習場に行くのはいかがですか」といったコミュニケーションはどうだろうなどと社内で話しています。

例えば、普段行っている練習場ではないところに誘導する機会を作り、シミュレーションゴルフなどで「疑似的に練習してみませんか」といった案内も考えられそうです。また、お客様によっては「渋滞にはまりたくない」など時間帯にこだわる方もいるようで、そうした細かい傾向をもっと深く分析する必要があると思っています。コミュニケーションを繰り返してデータを貯めることで、それをより確かなものにして行けると考えています。

最短2週間かかっていたSQL開発が、約5分に短縮!

シナリオ配信設定の大幅な工数削減

トレジャーデータ 小林|
システムやツールの連携状況についても教えてください。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
Amplitudeの導入によって、従来最短でも2週間かかっていたSQL開発などが、約5分でできるようになりました。例えば「このお客様は渋滞回避を希望しているクラスターだ」などと仮説を基にセグメントし、実際に渋滞回避できる時間帯とゴルフ場をレコメンドするといった検証を行います。そのとき反応が良ければ「この施策は定期的に行いましょう」と、毎日行っていくことになるわけです。お客様が予約を入れる日をある程度想定し、最低でもその1ヶ月前だとか、あるいは直前であれば「水曜日までにはコミュニケーションを取ることが必須」などと考えるのですが、その後いざ実装を行うとなると、以前はSQLの開発などに2週間かかってしまっていました。

一方、Amplitudeの場合は顧客分析やセグメント作成を行い、ボタンを押すだけで簡単にロジックが作成でき、しかも一度ではなく毎日実行できます。毎日きちんとセグメントを抽出し自動連携して、決められた日時にSalesforce Marketing Cloudからメールが配信されるという流れが構築できたことは、本当に価値が大きいですね。2週間かかっていたことが5分でできるようになりましたが、この形を作るために6年くらいかかっております。SQL開発というジレンマに対してAmplitudeがいかに有効かは、実際にMAを活用していろいろなシナリオができればできるほど実感してもらえることと思います。

DearOne 河野|
本当にすごい成果ですね。ただ、皆さんにはこのことを単純に「ツール導入を行ってコスト削減ができて素晴らしい」と捉えてほしくないです。志賀さんが先ほど「マーケターの打席数が圧倒的に増える」という金言を言われた通り、決して工数やコストが削減されただけの話ではありません。

むしろ、ゴルフ場にとってベストな状態を作り出すことで集客がしやすくなることや、BtoBであれば企業、BtoCであればユーザー様に不適切なタイミングでメールやプッシュ通知が届くこともない心地よいコミュニケーション施策を打てることの方が重要で、まさに三方良しが実現できています

お客様にどのような価値を提供するためにコミュニケーションを取るのか

トレジャーデータ 小林|
上に本日のまとめを記載しました。これから将来、どのようなマーケティングやお客様とのコミュニケーションが必要になってくるでしょうか?

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
弊社ではWebサイトや事業部で発生する伝票、そしてお客様の属性などはほぼ整理できてデータも取れています。その中でスコア管理機能の事例のような、トランザクションと関係のないサービスについても事業として成立させながら、あらゆるタッチポイントを作ろうと模索しています。

そのほか、例えばトップトレーサー・レンジのように、ユーザーにより良い体験をしてもらうため、練習場自体をDX化して新たな価値を創出するお手伝いをしており、またそこでも得られるデータがあるわけです。

このように、お客様の解像度を上げるデータをどんどん吸い上げていき、それを活用してお客様とより良いコミュニケーションを取っていくことを考えていきたいと思っています。単にデータを取っているだけでは全く意味がなく、そこからコミュニケーションやレコメンデーションの改善、余計なコミュニケーションでユーザーを不愉快にさせない工夫など、どのような価値に変えていけるかにより注力していきたいです。

ファーストパーティーのデータはお客様にとってセンシティブな大切なデータなので、コンバージョンを追うためだけにデータを使っているわけではなく、そこからより良い価値を生み出してお客様にしっかりお返ししたいという思いを持っていることを強調しておきたいです。

現場では「優秀な店員さんを作りなさい」と言っていて、データをいただいている限り、お客様にとって良い接客、価値のあるサービスを提供してきちんと返していくということを企業として考えています。

DearOne 河野|
今回、事例がかなり具体的だったので、データドリブンなビジネスのグロースやGDOさんという企業も身近に感じられたことと思います。一方、「誰もが分析できる環境でデータドリブン企業へ」と言われると「それは難しい」と感じる方も多くいらっしゃると思います。確かにGDOさんは会社としても先進的で、志賀さんというスーパーマンがいるからこそできたのかもしれないと思われるかもしれません。

しかし、そうではなくやる方法はあります。今日の話をきっかけに、ぜひ自分でもやってみたいと思ってほしいですし、必要があればぜひトレジャーデータさんとDearOneに相談いただければと思います。

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀|
一番重要なのは、まずお客様にどのような価値を提供するためにコミュニケーションを取るのかを一度構想してみることです。そのために何が必要かと考えるとデータを貯めることになるわけです。そのように、まずはいろいろなシステムに点在しているお客様のデータを一つに集め、そこから何をしたいかというアウトプットがあってAmplitudeやMAを活用していく流れになるので、最初にしっかりした思いを持っているかどうかが重要です。その思いを持って頑張れば、システム化は必ず実現できます。

トレジャーデータ 小林|
本日はどうもありがとうございました。

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スピーカー

株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン 執行役員CMO/CIO 志賀 智之 氏
2008年株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン入社。IT戦略室長、情報活用推進部長を歴任し、お客様体験デザイン本部(現UXD本部)を設立、2018年より執行役員としてCMOとCIOを兼任。データを活用したブランディングからCRMまでフルファネルでのマーケティングと、全社的なIT統制やシステムのモダナイズを推進している。最近はライフワークとして、ゴルフのリブランディングに挑戦中。

トレジャーデータ株式会社 マーケティングマネージャー 小林 広紀 氏
1999年、常陽銀行に入行し法人営業に従事。その後、スノーボードメーカー、Gentemstickの経営に株主として参画する。2008年よりビックカメラ経営企画部で計数管理業務や子会社設立に参画したのち、楽天にてECコンサルタントを経て、2016年にビックカメラに復籍。ビックカメラと東芝の合弁会社代表兼アップルソリューション事業部長を務める。企業間でのデータ連携を強く実感し、2018年4月より現職。

株式会社DearOne 代表取締役社長 河野 恭久
人材ビジネスを営むスタートアップからキャリアをスタート。営業、経営企画、事業企画に従事し収益構造改革や新規事業を企画・立案。2004年には東証一部上場を果たす。2009年におてつだいネットワークスにジョイン。販売・企画・戦略立案等に携わりながら、イマナラ!事業の立ち上げに参画。
2011年に現DearOneを共同創業、スマホアプリ開発サービスModuleAppsを立ち上げ2015年1月より現職。アプリビジネスを軌道に乗せ、現在は米国Amplitudeとの協業により国内のデジタルマーケティング活性化に邁進中。モットーは「WOWを創る」

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