BigQuery × Hightouchで構築するCDP|新たなデータ活用の形

2025.03.31

DearOneの小林と申します。グロースマーケティング部という部署で主に、データ基盤やCDP構築のコンサルティングを行っております。

近年、顧客体験の向上やデータドリブンマーケティングを実現するために、CDPの導入が注目されています。しかし、従来のCDP構築には、複雑なデータ統合や高額なコストが伴うことも少なくありません。

一方、自社のサービスやユーザーのデータをGA4などで収集し、それらの分析や他データとの統合のためにGoogle Cloudが提供する「BigQuery」を活用されている企業も多くいます。

そこで本記事では、すでに導入されている企業も多く、新規の導入も簡単な「BigQuery」と、データウェアハウスのデータのマーケティング活用を促進するツール「Hightouch」を活用して、”DWHをCDPとしてマーケティングに活用する方法”についてご紹介いたします。

関連記事:DWHをCDPとして活用する「コンポーザブルCDP」とは?

Higntouch バナー

BigQuery基盤のマーケティング活用の課題

日本国内においても、BigQueryをデータウェアハウスとして利用するケースが増えています。この記事を読んでいる方の中にも、BigQueryを使われている方がいらっしゃるのではないでしょうか?

通常、BigQueryを使ったデータ基盤の主な目的は、BIツールを用いたデータの可視化やPythonなどによるより高度な分析になります。このようなBigQueryを用いたデータ分析は各社で取り組みが進んでおり、すでに一定の成果を上げている企業も多いかと思います。

一方で、自社のサービスやビジネスを改善するPDCAサイクルをデータドリブンに回すためには、データの用途として分析だけでなくマーケティング施策にも活用することが求められます。

しかし、BigQueryのデータをメール配信やSNS広告といったマーケティングチャネルに連携しユーザーのパーソナライズやターゲティングに活用できている企業は多くありません。

また、マーケティング部門からの依頼を受けて施策用のユーザーリストなどを抽出している企業担当者からは、

  • 抽出のための工数が負担
  • データ抽出のニーズが増加することに対する不安がある

というお話も多く聞きます。

とある企業様では、新しい施策をやるためのセグメント抽出やデータフロー整備、マーケティングツールへの連携構築などを外注しており、施策ごとに200万円の費用と数週間の時間がかかっているというお話を伺ったこともあります。

こうした課題に対して、BigQueryに蓄積されたデータを手軽に、迅速にマーケティング活用できるようにするためのソリューションが、Hightouchになります。

Hightouchとは?

Hightouchは、データウェアハウスに蓄積されたデータを、MAツールや広告ツールなど、300以上のツールに連携できるリバースETLツールです。

Hightouchとは?

またデータの連携だけでなく、データウェアハウスのデータを自由に使ったノーコードのセグメント作成機能など、データのマーケティング活用をサポートするたくさんの機能を持っています。

実際に国内でHightouchを導入している企業様でも、Hightouchによって

  • セグメント作成が誰でもすぐできるようになり、施策の実施スピードが向上した
  • データ基盤の活用が広がり”データの民主化”が進められた
  • データソースをデータウェアハウスに一元化できコストが最適化された

といったお声を伺っています。

関連記事:Hightouch(ハイタッチ)とは?概要や機能をわかりやすく

HightouchとBigQueryを使ったCDP基盤のメリット

HightouchとBigQueryを組み合わせて、CDPとしてマーケティング活用もできる基盤を構築することには下記のようなメリットが挙げられます。

分析から施策実施までのデータのサイクルを構築できる

BigQueryのデータで作成したセグメントをメールやSNS広告などの配信ツールに連携して活用し、その後のユーザー行動や開封データが今度はGA4や各配信ツールからBigQueryに収集されることで、”分析(効果検証)→施策立案→施策実行”というサイクルが回せるプラットフォームにすることができます。

既存のシステムを活かして構築できる

すでにBigQueryをお持ちの企業では、そのBigQuery環境や分析用途などで整備したデータをそのまま活用することができます。またHightouchではデータを保持せず、BigQuery環境を参照しに行く構造のため、新たにデータのストレージや処理を行う環境を構築する必要がありません。そのため通常のCDPツールなどと比べ導入のコストがかからず導入も非常に簡単です。

データソースが一元化される

Hightouchを組み合わせたCDPではデータソースをBigQueryに一元化することができます。これによりデータの管理の負担が減るだけでなく、BigQueryで収集されるデータの量や質が上がれば、それが直接Hightouchでの活用の幅やしやすさにつながります。また、BigQueryの同じデータが分析や施策で活用されるためデータの整合性も上がり誰もが同じデータを活用することができます

これらのことから、データの活用状況やビジネスの特性によっては従来のCDPを導入するよりもより多くのメリットをもたらすCDP基盤を構築できます。このツールの組み合わせで構築するCDPの考え方は「コンポーザブルCDP」と呼ばれ、海外では主流になりつつあり、現在少しずつ日本でも広まってきています。

関連記事:コンポーザブルCDPが既存CDPよりコストを抑えられる理由

Google公式もHightouchとの連携を推奨しており、BigQueryを利用する企業にとってHightouchは強力な選択肢となっています。

参考:BigQuery 上に構築されるCDPの新時代|Google Cloud

Higntouch バナー

BigQuery×Hightouchのユースケース

Hightouchの活用によって実現できることを、具体的なユースケースを交えて紹介します。

施策ニーズに応えるセグメント作成

ユーザーの購買データなどを基にしたユーザーセグメントはHightouchのUIから誰でもノーコードで瞬時に作成ができます。

また、購買データに紐付けられる商品データセール情報購入ユーザーの累計購入金額など、自社で持つ様々なデータをBigQueryに投入することでより柔軟なセグメント作成が可能です。企業によっては収集するGA4のデータにユーザーのログインIDを紐付け、ユーザーの行動軸でのセグメント作成を可能にしている所もあります。

こうして作成したセグメントがMA、広告など様々なチャネルの配信ツールに連携されることで、チャネル横断でパーソナライズされたマーケティング施策が可能になります。

関連記事:Hightouchを使ってデータウェアハウス(DWH)のデータを、SQL文を1行も書かずにセグメント化して送信してみた

効果測定を最大化するオフラインコンバージョン連携

オンライン広告の効果を最大化するためには、ECサイトの購入だけでなく、実店舗での購入や来店、オフラインイベントへの参加といったオフラインのコンバージョンデータを連携し、評価する必要があります。

通常、これらのオフラインデータを各広告プラットフォームに直接連携するには、複雑な設定や開発が必要となる場合があります。しかし、Hightouch を利用すれば、BigQuery に集約された多様なオフラインコンバージョンデータを、各ツールへ安全かつ容易に連携できます。

これにより「どの広告キャンペーンが実店舗への来店・購入に貢献したのか」を正確に把握することが可能になり、より効果的な広告予算の配分と戦略立案に繋がります。

データドリブンを加速する予兆モデル、スコアリングデータの連携

データ活用の先進的な企業では、自社の分析環境で解約や購入見込みなどの予兆モデルの作成ユーザーごとのスコアリングなどを行っているかもしれません。Hightouch は、BigQuery で分析された予兆スコアや顧客セグメントを、Salesforce などのSFAやMAツールへ自動的に連携します。

例えば、「解約予兆スコアの高いユーザー」を抽出し、MA ツールを通じて特別なキャンペーンを自動送信したり、SFA上で「購入意欲の高いスコアの顧客」を営業担当者に通知し、優先的にアプローチを促したりといった活用が可能です。

>>Hightouch無料プランのご相談はこちら
>>Hightouchがよりわかる詳細資料はこちら

Higntouch バナー

BigQueryとHightouchの連携手順

最後に、実際にBigQueryとHightouchを連携する際の手順もご紹介します。BigQueryやGCPをお使いの方であればイメージがつくと思います。

※Hightouchには、データ連携機能(リバースETL)を無料でお使いいただける無料プランがあります。(連携先や連携回数に上限あり)
>>無料プランのご相談はこちら

①Google Cloud:事前準備

まずはお使いのBigQuery側でHightouchと連携するための、準備を行います。

  1. BigQuery APIを有効化します。
Google Cloud:事前準備1
  1. Hightouchとの連携設定で使用するため使用するプロジェクト、データセットのプロジェクトID、データロケーションを確認します。
Google Cloud:事前準備2

②Hightouch:サービスアカウントの作成

  1. Setting > Add cloud provider からサービスアカウントを作成します。
Hightouch:サービスアカウントの作成1
  1. Hightouch側Google Cloud環境でアカウントを発行するか、自社環境のアカウントを使用するかが選択することができます。
Hightouch:サービスアカウントの作成2

③Google Cloud:Roleの付与

作成したアカウントにGoogle Cloud側(CLI)でHightouchの処理で必要となるroleを付与します。

・メタデータの読み取り、テーブルの表示

gcloud projects add-iam-policy-binding \–member serviceAccount: \–role roles/bigquery.user

・テーブル、Viewからのデータの読み取り

gcloud projects add-iam-policy-binding \–member serviceAccount: \–role roles/bigquery.dataViewer

  1. Google CloudのIAMページから対象のアカウントを選択し編集ボタンをクリックします。
Google Cloud:Roleの付与1
  1. アカウントに対して必要なロールを付与します。
Google Cloud:Roleの付与2

④Hightouch:ソース設定

最後にHightouch側でソースを設定したら、BigQueryから外部ツールへのデータ連携が可能になります。

  1. Sources > Add source を選択します。
Hightouch:ソース設定1
  1. Sourceの選択画面からBigQueryを選択します。
Hightouch:ソース設定2
  1. プルダウンから先ほど作成したサービスアカウントを選択します。
Hightouch:ソース設定3
  1. 使用するプロジェクトのプロジェクトID、データセットのデータロケーションを記載します。
Hightouch:ソース設定4
  1. 使用するSync engine(差分更新の際に使用するコンピューティングリソース)を選択します。
Hightouch:ソース設定5

※一度Lightning sync engineを選択するとStandardに変更不可:参考

  1. BigQueryへの接続が自動でテストされます。
Hightouch:ソース設定6
  1. 最後にSourceの名前やラベルの設定(optional)をして設定完了です。
Hightouch:ソース設定7
Hightouch:ソース設定8

BigQueryのデータを外部ツールへ連携する手順

Hightouchを使って、外部ツールへデータ連携する手順については、以下の記事で解説しています。

関連記事:実際にHightouch使ってデータ連携して使ってみた

Higntouch バナー

Hightouch導入でBigQueryのデータ活用をより強力に

Hightouchは、BigQueryのデータを手軽に活用できるリバースETLツールとして、データ活用を加速させるソリューションです。ただデータを連携するだけではなく、セグメント作成機能やID機能など、CDPに欠かせない機能も備わっています。

本記事でご紹介した通り、Hightouchではデータ連携機能(リバースETL)を一部無料でお使いいただくことができます。アカウント作成やBigQueryとの連携も簡単に行うことができますので、ぜひ一度無料プランを試してみてください。

>>Hightouch無料プランのご相談はこちら
>>Hightouchがよりわかる詳細資料はこちら

株式会社DearOneではHightouchの日本での導入実績もあるため、この記事を読んでHightouchについて少しでも興味を持たれましたらお気軽にご連絡ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

Recommended