ロイヤルカスタマーとは?定義・重要性・育成方法

2023.09.12

グロースマーケティング*1 の視点から見た、長期的な企業経営と持続的な収益成長を実現する鍵は、顧客を末永く継続的に結びつけることであり、そのために欠かせないキーワードが「ロイヤルカスタマー」です。

「ロイヤルカスタマー」とは、グロースマーケティングの視点から見た、長期的な企業経営と持続的な収益成長を実現する不可欠な要素です。顧客を長期間にわたり継続的に結びつけることは、今や企業の成功において欠かせません。

なぜなら、ロイヤルカスタマーとは購買頻度や購入額が高いだけでなく、快適で価値ある顧客体験(CX)を通じて、企業や製品に深い愛着と親和性を持ち続ける特別な顧客層を指すからです。これらの顧客は単なる消費者ではなく、ブランドとの強力な絆を築き、その絆を強化することで企業に多くの利益をもたらします。

このように、ロイヤルカスタマーは企業経営に不可欠な存在であり、その獲得と育成が長期的な成功と持続的な収益成長を実現するための鍵となるため、ロイヤルカスタマーを大切にし彼らに優れた顧客体験を提供することが、企業戦略において極めて重要な要素となります。

本記事では、ロイヤルカスタマーの定義や重要性について解説した上で、ロイヤルカスタマーを正確に計測し、育成するための方法をご紹介します。

ロイヤルカスタマーとは

Loyaltyは英語で「忠誠心」を意味します。つまりロイヤルカスタマーは、特定の企業が提供する商品およびサービスに対する「忠誠心」が高い顧客ということです。

ロイヤルカスタマーの主な特徴は、以下のようなものがあります。

  • 企業あるいはその商品・サービスに対して愛着があり、購買を継続して行う。
  • 価格や利便性等で購買行動を左右されず、あえて他の商品・サービスを検索しない。
  • 商品・サービスの良さを、家族や友人をはじめ周囲の人々に口コミで広げる。
  • 購買後の商品・サービスに関し、改善点等の積極的なフィードバックを行う。
  • 購買プロセスで問題が生じた際、企業側の対応を信頼し、理解しようと努める。

ロイヤルカスタマーに継続して購入してもらうことで長期的な収益が見込めるのは勿論のこと、商品に対するフィードバックを行ってくれるため、企業にとっては、さらなる改善を繰り返して成長を遂げるきっかけを与える、有益な顧客でもあると言えるのです。

パレートの法則によると、上位20%の顧客が売上の8割を構成しています。顧客との継続的な関係を構築し、企業・商品・サービスのファンを作ることが、その20%に該当するロイヤルカスタマー創出につながるのです。

欧米におけるロイヤルカスタマーの定義や育成方法については こちらこちら をご参照ください。

なぜロイヤルカスタマーが大切なのか

では、ロイヤルカスタマーを増やし、そのリテンション(継続)率を高めることが、なぜ企業にとって大きな意味を持つのでしょうか。それは、ロイヤルカスタマーがビジネスをグロースさせることが、行動データ*2 からも明らかになっているからです。

  • ロイヤルカスタマーのコンバージョン(転換)率は60~70%。一方、新規顧客は5~20%。
  • ロイヤルカスタマーのリテンションコストは、新規顧客獲得にかかるコストの1/5。
  • 顧客リテンション率5%向上で、収益は25~95%増加。
  • 新規顧客に比べ、ロイヤルカスタマーの方が50%も多くアップセル・クロスセルに貢献し、31%多く支出を行う。

米国での調査*3 によると、成人の82%が企業に対し何らかのロイヤリティを示しています。その一方で、米国企業の44%が新規顧客獲得に未だ注力しており、ロイヤルカスタマーのリテンションを促進している企業は18%のみです。

それでも米国企業の89%が、顧客のロイヤリティおよびリテンションの要因はCXであると認識しています。

ロイヤルカスタマーと優良顧客・売上上位顧客との違い

購入頻度が高く、また一度に購入する金額も比較的高い、企業の売り上げに貢献している顧客のことを「優良顧客」と呼びます。これだけを聞けば、ロイヤルカスタマーと同じじゃないの?と思うかもしれませんが、両者には明確な違いがあるのです。一体何なのでしょうか。

それは、企業・製品への愛着心です。

ロイヤルカスタマーは、企業・製品が好きで継続的に利用をしてくれている一方で、優良顧客の場合は「セールで安くなってるから」「他社製品が売り切れてしまっていたから」など、必ずしも愛着がなくとも購買をしている顧客も含まれています。

それでは、「売上上位顧客」とロイヤルカスタマーの違いは何でしょうか?売上上位顧客は優良顧客と同様、企業の売上高にとって重要な役割を果たす顧客のことです。彼らは一度に、また複数度にわたり大量の製品やサービスを購入し、売上高に貢献します。常に大量の製品やサービスを必要とするので、企業には売上上位顧客に対し高品質な商品・サービスを提供することが求められます。

ロイヤルカスタマーとの違いは、顧客との長期にわたる関係に重点が置かれているか否かです。

「ロイヤルカスタマー」は高い顧客サービスや顧客体験を継続的に期待するので、企業はこれらの顧客に対する特別なサービスやランクに応じた特典などを提供することで長期的な関係を育む必要がありますが、「売上上位顧客」は必ずしも長期間の関係を求めておらず、単発的に大量の製品やサービスを購入する大口顧客かもしれません。

以上、いずれのタイプの顧客も企業にとって非常に重要な存在であり、関係を保持し続けることが望ましいことは言うまでもありません。また現代では、新規顧客の獲得も大切ですが、既存の顧客を満足させて長期的な関係を築くことが、企業の成功にとって非常に重要です。

企業が今後もグロースを続けていくには、優良顧客や売上上位顧客とロイヤルカスタマーとの違いを理解し、どれだけロイヤルカスタマーを増やしていけるかが大きな鍵です。

ロイヤルカスタマーのもたらすメリット

ロイヤルカスタマーの重要性、優良顧客との違いを説明しましたが、では、ロイヤルカスタマーを増やすことで、どのようなメリットがあるのでしょうか?ロイヤルカスタマーがもたらす下記3つのメリットを紹介します。

  • 利益向上、安定化
  • 宣伝効果
  • サービス改善のためのフィードバック

利益の向上、安定化

ロイヤルカスタマーを多く持つことで、利益を安定化させ、さらに向上させることもできます。ロイヤルカスタマーの定義は各企業に、製品によって異なりますが、定期的に製品を購入、使用しているカスタマーと定義するのが一般的です。

そのため、多くのロイヤルカスタマーを持つことで、安定した利益を生むことができるようになるのです。

上記でも述べた様に、新規顧客獲得よりも、ロイヤルカスタマーにかかるコストは少なく、支出も減らすことに繋がります。

宣伝効果

ロイヤルカスタマーは、すでに企業、製品のファンとなってくれているため、自ら宣伝活動を行なってくれる場合があります。

企業がコストを費やすことなく、新規顧客を獲得できるのです。
友人や、知り合いから高評価の製品をおすすめされるのと比較しても、他人の評価の方が何倍も効果があります。

そのため、そこからまたさらにロイヤルカスタマーへと繋がる可能性があるのです。

サービス改善のためのフィードバック

ロイヤルカスタマーを育てることで、サービス改善のためのヒントになるフィードバックをもらえることがあります。

ロイヤルカスタマーは、サービス、製品、企業に愛着を抱いているため、自ら宣伝活動を行ってくれるように、口コミを書いてくれたり、サービスに関するアンケート等、いち顧客として、顧客視点から改善のヒントを進んで提供してくれるでしょう。

顧客ロイヤリティとは

顧客ロイヤリティの定義

「顧客ロイヤリティ」とは、顧客がある企業・ブランドや製品・サービスに満足して愛着心を持ち、頻繁に購入・利用することです。顧客ロイヤリティは、主に顧客が満足している製品やサービス、そしてブランドイメージなどによって醸成されます。顧客ロイヤリティは、顧客との長期的な関係を構築するための重要な概念であり、ビジネス全体にとっては長期的な収益増加と競争優位性の確保につながります。

顧客ロイヤリティのメリットと事例

よって顧客ロイヤリティが高まると、顧客が再度製品やサービスを購入する可能性が高くなるメリットを生み出します。また、顧客ロイヤリティが高いことは、広告費やマーケティング費用の節約にもつながります。

例えば、Amazon Primeのような会員制サービスでは、Amazon Prime会員は配送料無料などの特典を享受することができ、ユーザーのAmazon Primeに対する満足や愛着心を向上させていると考えられます。

また、コーヒーチェーンStarbucksも顧客ロイヤリティを重視して公式アプリ上の「スターバックス リワード」でユーザーにポイントを提供しています。スター(Star)というポイントが貯まると、ユーザーはコーヒーやスナックの割引などの特典を享受することができ、Starbucksに対する顧客ロイヤリティの向上につながっています。

顧客ロイヤリティ向上のための5つの戦略

このように、顧客ロイヤリティは企業と顧客の関係構築や維持に欠かせないものです。顧客ロイヤリティを高めることによって顧客のリテンション率・リピーター率の向上も期待されます。

顧客ロイヤリティを高めるためには、次のような5つの戦略が考えられます。

  1. 品質の良い製品やサービスを提供する
  2. 顧客サポートの質を向上させる
  3. 顧客とのコミュニケーションを重視する
  4. 顧客に特典や報酬を提供する
  5. 顧客のフィードバックを取り入れ、改善する

まず、顧客ロイヤリティを高めることで顧客の再度購入が増えます。また、製品やサービスに満足している顧客自身が、SNSなどを通じて他の人にも評判を広めてくれるワード・オブ・マウス(口コミ)の効果が期待できます。

さらに、顧客ロイヤリティを高めることで、顧客が他の企業に流れていくリスクが低くなります。これはすなわち、企業と顧客がさらに長期的な関係を維持しやすくなることを意味します。

顧客ロイヤリティ(ロイヤルティ)に関しては以下の記事もご参照ください。

https://growth-marketing.jp/knowledge/what-is-engagement/

ロイヤルカスタマーの正しい計測方法と代表的な4指標

ロイヤルカスタマーを正確に計測するには、複数の指標を定量的に数値化することが必要です。ここではそのうち代表的な4指標をご紹介します。

1. LTV(ライフタイムバリュー)

LTVはLife Time Valueの頭文字を取った造語で、日本語では「顧客生涯価値」と呼ばれます。一人の顧客が一企業あるいは一ブランドに対して、初めての購買から直近(あるいは最後)の購買までにもたらした利益総額のことです。計測方式は「顧客単価x購買頻度」によってまず「顧客価値」を算出し、そこに「継続購買期間(ライフタイム)」を掛け合わせ、LTVを確定します。
この指標は、サブスクリプション支払システムから取得することができます。

LTVはロイヤリティに比例するので、企業は顧客との関係を築きながらクロスセル・アップセルを行うことが必要です。

米国では、企業の76%*4がLTVを重要な指標であると認識しています。

2. NPS®(ネットプロモータスコア)

企業やその製品・サービスに対する顧客の満足度を企業の業績向上に結び付けるために、正味の推奨者の割合を明確にスコア化し測定する方法です。

「自社の製品・サービスを家族や友人等周囲の人間に勧める可能性」を0〜10の11段階に分け、0〜6を「Detractors(批判者)」、7〜8を「Passives(中立者)」、9〜10を「Promoters(推奨者)」に設定し、顧客を3パターンに分類します。

この集計から算出した「推奨者の割合」から「批判者の割合」を引いた結果が「NPS」です。
NPSの追跡により、抱えている顧客のうちどれだけがロイヤリティを示しているか把握することができます。

3. Churn Rate(チャーンレート)

これは、顧客の購入キャンセルやユーザーのサブスク解除といった「解約率」のことです。ユーザーの解約率を取得するには、特定のタイムラインを設定し、その期間に解約した顧客数を開始時の顧客数で割ることで算出します。

チャーンレートは、解約率の高低によって顧客ロイヤリティの度合いを計測する方法であり、毎月あるいは四半期ごとに数値化すれば、失われた収益との相関性を測ることも可能です。

4. RFM分析

RFM (Recency、 Frequency、 Monetary) 分析は、顧客ロイヤリティを評価するための有力な手法の1つです。この手法では、顧客の最終購入日、購入頻度、購入金額を基に、顧客のロイヤリティを算出・計測することができます。

RFM分析

RFM 分析には、次のような手順があります。

  1. 顧客データの収集:顧客の購入履歴などのデータを収集します。
  2. Recency スコアリング:顧客の最終購入日から現在までの日数を計算し、スコアリングします。最終購入日が近ければ近いほど、高いスコアが与えられます。
  3. Frequency スコアリング:顧客の購入回数を計算し、スコアリングします。購入回数が多ければ多いほど、高いスコアが与えられます。
  4. Monetary スコアリング:顧客の購入金額の合計を計算し、スコアリングします。購入金額が多ければ多いほど、高いスコアが与えられます。
  5. 顧客セグメンテーション:各顧客に対してRecency、Frequency、Monetary のスコアを加算し、分析の結果に基づいて顧客のロイヤリティを「最高ロイヤリティ」、「中程度ロイヤリティ」、「低ロイヤリティ」などのグループに分類します。

RFM分析については「顧客分析の鉄板フレームワーク」もご参照ください。

顧客分析とは?鉄板のフレームワークと分析事例をご紹介

その他、「CLI(顧客ロイヤリティ指標)」や「Retention rate(リテンション率)」、「Upselling Ratio(アップセル割合)」といった様々な角度からロイヤルカスタマーを計測する方法があります。

目的に応じた複数の指標を採用することで、より細分化されたロイヤルカスタマーの計測を行える点がポイントです。

ロイヤルカスタマー育成のための3ステップ

ロイヤルカスタマーを育成するためには「自社にとってのロイヤルカスタマーを設定」「顧客との接触機会を増やす」「顧客を分析・施策実施を繰り返す」の3ステップを踏むことが大切です。

自社にとってのロイヤルカスタマーを設定

ロイヤルカスタマーを設定するためにはまず、自社にとってロイヤルカスタマーが意味するものを定義することが重要です。

企業、製品によってロイヤルカスタマーの定義は異なります。例えば、毎日製品を使用してくれる人だと定義するか、2週間に1度製品を購入してくれる人と定義をするのかで、その後の施策や行動が変わってくるからです。

設定をする際には、数字を用い具体的に表すことで、施策も具体的に考えることができ、より効果的なものにすることができます。

顧客との接触機会を増やす

自社にとってのロイヤルカスタマーを設定した後で、次に行うことが顧客との接触回数を増やすことです。顧客との接点を増やすことで、親近感、信頼感を生み出し、企業、製品をより身近に感じてもらうことができます。

しかし、ここで気をつけたいことが、無意味に接点を増やしすぎないということです。あくまでも接点を増やすのは、顧客体験を満足させるためであって、過剰の接触はうざがられ反対に製品から離れるきっかけを作ってしまいます。

多くの顧客接点を作ることは大切ですが、一回一回の顧客接点を顧客にとってより満足のできるものを作るよう心がけましょう。

顧客を分析・施策実施を繰り返す

顧客との接触を増やす際、顧客の趣味嗜好に適したコンテンツ提供を適切なタイミングで行う必要がありますが、施策の効果を分析して、また次の施策に活かすサイクルが大切です。

顧客が様々な情報に触れるとともにニーズも変化します。そのため、分析・施策を繰り返し行い、常に顧客のニーズ、趣味趣向に合わせてアプローチすることが重要です。

顧客が求めるもの

顧客が求めるものを把握することで、商品やサービスに活かすことができます。

新型コロナウイルスが発生して以来、消費者の行動は急速にオンラインに移行しました。その結果、2020年はオンライン決済が前年比で41%増加。オンライン上でのリピート購入を促し、収益を上げるためにも顧客エンゲージメントが重要です。

そこで米国カリフォルニア州サンフランシスコに本社を置く、カスタマーエンゲージメントプラットフォームmoengageを提供するMoEngage社が行った6つの項目における「顧客が求めるもの」に関する調査結果を紹介します。参考にしてロイヤル化を目指してみてください。

Q1. 買い物客が喜ぶこととは?
商品の品質の良さ

Q2. 消費者を最も苛立たせているものは?
関連性のない商品のレコメンドとチャネル間での一貫性のないメッセージ

Q3. 受け取りたいメッセージの内容は?
特別オファーやクーポンの案内

Q4. どのチャネルでブランドとコミュニケーションを取りたいか
メール

Q5. ブランドからのメッセージをどれくらいの頻度で受け取りたいか
週に一度

Q6. ブランドからパーソナライズ化されたコミュニケーションについて、買い物客が期待していること
購入履歴

今回は、各項目の1位しか紹介していませんが、こちらの記事で詳しく触れていますので、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。

カスタマーエンゲージメント|顧客が求めるもの

ロイヤルカスタマー育成に役立つ5つのマーケティング手法

ロイヤルカスタマーを育てるために効果的なマーケティング手法を5つ紹介します。

CRM

CRMとは、「Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネジメント)」の頭文字を取ったもので、日本語では顧客関係管理と訳されています。顧客データを用いた、顧客との関係性を管理するマネジメント手法のことで、企業側の視点ではなく、顧客の目線で考えたサービスの提供が可能です。

ロイヤルカスタマーを育てるためには顧客を中心として、データ分析の結果を基にそれぞれの顧客に合わせてアプローチをすることが重要ですが、CRMでは顧客のデータを一括で管理しているため、より詳しく顧客を分析することができます。

CRMとは?意味・メリット・成功に導く3つのポイント

CEM

CEMとは、「Customer Exeperience Management(カスタマーエクスペリエンスマネジメント)」の略称で、顧客との接触機会を通じて、顧客の予想を超える体験を提供しようというものです。類似商品がありふれた現代においては特に付加価値をつけることが大切で、心に残るような体験を通して感情に訴えることがポイントとなります。

自分自身で考えてみても、想定範囲内のサービスではなかなかリピートをしようとは思わないでしょう。クオリティの高い様々な商品のおかげで想定範囲では満足できなくなってしまっているのです。いかにして顧客の感情に訴えるかを、顧客の立場になって考えてみることでヒントが見えてくるでしょう。

MA

MAとは「Marketing Automation(マーケティングオートメーション)」の略で、顧客一人一人に適したアプローチを自動化することができます。特に上記で紹介したCRMとの相性が抜群で、連携することによってCRMで管理されている顧客データの分析結果をもとにして、一人一人に最適なアプローチを自動で行えるようになるのです。より精度の高い方法で顧客に接触することで、より高い訴求率を目指せるでしょう。

マーケティングオートメーション(MA)ツールとは?機能・効果・成功に導くためのポイント

One to Oneマーケティング

One to Oneマーケティングは、顧客に対して個別にアプローチするマーケティング手法です。顧客のニーズや興味に合ったマーケティングメッセージを提供することで、顧客ロイヤリティの向上に寄与します。One to Oneマーケティングを実施するには、顧客データが豊富であることが必要で、また顧客データを分析することで、顧客のニーズや興味を把握することも重要です。

例えば、世界最大の電子商取引サイト「Amazon」では、顧客の購買履歴に基づくレコメンド商品や、顧客の興味に合ったメールマガジンなどを送信することで顧客ロイヤリティを向上させています。また前述の「Amazon Prime」では、顧客の購買履歴から予測される購入予定商品を優先的に出荷するなどのサービスも提供しています。

One to Oneマーケティングには、顧客の行動や購買パターンに基づく予測や、顧客に対して個別のメッセージを送信する「パーソナライズドメール」、顧客がアクセスするWebサイトを個別にカスタマイズする「パーソナライズドサイト」などの手法があります。

One to Oneマーケティングで顧客に対して個別にアプローチすることで、顧客との信頼関係を構築しロイヤルカスタマー育成を図ることができます。また、顧客のニーズに合ったマーケティングメッセージを提供することで、顧客の購買意欲も向上できます。

One to Oneマーケティングについては「One to Oneマーケティングの重要性・メリット・始め方とは?」もご参照ください。

One to Oneマーケティングの重要性・メリット・始め方とは?

アンバサダーマーケティング

アンバサダーマーケティングは、購入した製品・サービスに好意を持っていたり、満足度が高い顧客を、ブランドPRの「アンバサダー」に任命するマーケティング手法です。

ロイヤルカスタマー育成には、アンバサダーマーキングは特に効果的です。なぜなら、製品やサービスを使用し満足している顧客は、その製品・サービスを他の人に紹介したりおすすめするモチベーションが高まっているからです。アンバサダーは、製品やサービスに対する自分自身の詳しい知識と好感を他の人々に伝えることで、製品・サービスの評判を向上させます。そして、PR活動を通じその製品・サービスに対する信頼性を高め、普及させることに貢献できます。

アンバサダーマーケティングには、以下のようなメリットがあります。

信頼性の向上:アンバサダーは基本的に製品・サービスに対する信頼性が高い人物であるため、そのリアリティや実感のこもったPR活動により製品・サービスに対する信頼性が向上します。

コストの削減:広告代やマーケティング費用を抑えることができます。アンバサダーは製品・サービスに対する熱心なファン・信奉者であり、自分自身でその製品・サービスを紹介することができます。

認知度の向上:アンバサダーはSNS上でのインフルエンサーであったり、製品・サービスに対する詳細な知識、消費者ならではの知見や着眼点を持っているため、SNSや口コミを通じ製品やサービスの認知度が向上します。

ロイヤルカスタマー向け施策における成功事例

では、実際にロイヤルカスタマーに施策を行った企業の成功事例を見ていきましょう。  

株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン

日本最大級のゴルフポータルサイトである株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン(以下GDO)は、ツールを導入して顧客とのコミュニケーションを自動化することで、PoC(Proof of Concept:概念実証)にいて、購買促進効果を180%改善させることに成功しました。

同社のコミュニケーション施策変遷は大きく3つに分かれています。

・創業〜2012年:一斉送信
メールのオプトインをとっていた会員全員に対して、均一のメールを配信
・2013年〜2020年:メール配信シナリオ自動化
会員登録直後から1ヶ月にかけてGDOのサービスを紹介するウェルカムメールから、顧客行動や属性、ロイヤリティに応じて配信するメールシナリオの自動化
・2021年〜
メールでしか実装できていなかったコミュニケーションシナリオを、集客のオウンド化やサービスの利用定着に有効なアプリチャネルへ展開を開始

現在では下記を含む約100のシナリオがあり、それぞれの顧客に適したチャネルで、適したコンテンツを適切なタイミングで提供できるようになりました。

  • ゴルフ場を予約いただいた会員に対し、プレー前日にラウンド準備をサポートするメール:プレーするゴルフ場の案内と、同社で提供するスコア管理アプリの紹介
  • ゴルフショップの新商品を案内するメール:過去の購買履歴をもとに顧客ごとに興味ある商品を推定し、その商品群に該当する新商品が入荷した時点で該当顧客にメール配信
  • ゴルフショップのクーポン有効期限リマインド:メールでしかできなかったリマインドが、アプリでもプッシュ可能に

【ウェビナーレポート】Customer Intelligence(カスタマーインテリジェンス)で実現するこれからのCX ~ユーザー行動分析ツール“Amplitude”PoC報告~

株式会社トリビュー

美容医療の口コミ・予約アプリ「トリビュー」を展開する株式会社トリビュー(以下トリビュー)は、カスタマーエンゲージメントプラットフォーム「Brazeを導入してロイヤルカスタマー育成に注力することで、リピーター数280%増や、また配信数を4%に絞りながら口コミ数を25%増やすことに成功しました。

同社のカスタマーエンゲージメント施策は大きく3つに分かれています。

・マルチチャネルの一元管理
アプリのプッシュ通知はどうしても許諾率を100%にしていくことが難しいため、Brazeを使ってメールはじめ、アプリのプッシュ通知、ポップアップやLINE、SMSなどのマルチチャネルを一元管理し、一つのツールの中で効果などを見られる状況を整備
・シナリオごとに合わせたコミュニケーション施策
新規登録した人がオンボーディングを経て、最初に目にするクリエイティブに対し行ったアクションごとに次のコミュニケーションを想定。あるいは、アクセスしてくれなかった場合の別のコミュニケーションを取るなど臨機応変な施策が可能に
・リアルタイムアクションをトリガーにしたコミュニケーション
会員登録やオンボーディング直後にポップアップを表示。また口コミ投稿や予約日程の確定、そして実際に施術完了の報告をしてくれたユーザーに対するコミュニケーションなどの施策

以前行っていた全体配信を、現在はリアルタイムのアクションベースのコミュニケーションに変えたことで、配信数のボリュームを従来の4%ほどに絞れた上に、口コミの数が25%増加しました。このほか、前述のようにリピーター数280%増、アクティブユーザー数40%増、予約率100%増なども実現しています。

一番大切にしているのは顧客理解|Marketer’s Interview vol.1

NIKE

製品を使用した顧客のフィードバックは、企業にとっても改善に役立つ重要な情報です。そこでNIKEは、Twitter上のカスタマーサポートとフィードバックのハンドルを別々に作成し、リアルタイムで捌けるようにしました。するとレスポンスが速くなって顧客のストレスが減少しました。

Twitterという誰もが簡単にアクセス可能なツールを採用したことが、最大の利点となったのです。

The North Face

アウトドア用品のザ・ノース・フェイスは、ロイヤルカスタマーのライフスタイルに合わせた、柔軟性のある特典プログラム「VIPeakプログラム」を備えています。VIPeakプログラムでは、製品購入時だけでなく、自社イベントへの参加や自社アプリのダウンロード等でもポイント獲得が可能です。さらにそのポイントは、ネパールでの登山などといったユニークな旅に利用することができます。

まさに、ロイヤルカスタマーの心をしっかり掴み、自社ブランドとの間に強固な絆を築き上げているのです。

Apple

究極のイノベーティブなロイヤリティプログラムとは、そのプログラム自体が一切存在しないこと・・・Appleに限っては。ポイントやインセンティブを提供することなく、Appleは常に顧客を魅了し続けています。新規顧客が製品を購入すれば、そこに素晴らしい顧客体験が生み出され、買い替えるたびに新たな感動を得られるのです。

Appleこそが、ロイヤルカスタマーへの施策において本当の意味での成功事例と言えるでしょう。

しかしながら、Appleの事例は非常にまれであり、通常はロイヤルカスタマーを正確に把握した上で、その先の戦略を立てることになります。

出典元
NIKE:
The WordStream Blog「4 Loyalty Marketing Strategies to Keep Your Customers Happier, Longer」
https://www.wordstream.com/blog/ws/2019/07/18/loyalty-marketing

The North Face、Apple:
Shopify Blog「Keep Them Coming Back: 7 Innovative Customer Loyalty Programs (And How to Start Yours)」
https://www.shopify.com/blog/loyalty-program

まとめ

顧客のロイヤリティを向上し、ロイヤルカスタマーを維持し続けるためには、自社の製品・サービスにおけるロイヤルカスタマーを正確かつ詳細に計測することから始める必要があります。

グロースマーケティングを効率よく遂行するために、ロイヤルカスタマーの行動を深く理解し、次のロイヤルカスタマーを育成する施策へつなげる戦略を練ってみませんか。

*1:グロースマーケティング:企業・事業・製品・サービスの持続的成長にフォーカスしたマーケティング活動の総称。行動理解、高速に施策を繰り返す、的確な目標・指標設計の3つを軸とする。

*2:出典:Market Metrics
出典:The Economics of E-Loyalty – Harvard Business School
出典:SendPulse

*3:出典:SendPulse

*4:出典:SAILTHLU

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