一番大切にしているのは顧客理解|Marketer’s Interview vol.1

2023.01.26

今回は、美容医療の総合プラットフォーム!口コミ・予約アプリの「トリビュー」を展開する、株式会社トリビューのマーケティング責任者 大西様に、マーケティングのお話をお伺いしました。

美容医療の総合プラットフォームを目指す トリビュー

DearOne 澤|
まず御社の事業内容とサービス紹介をお願いします。

トリビュー 大西|
株式会社トリビューは2017年7月設立、10月にサービスを開始した会社で、5年目を迎えました。2022年の2月に10億円の資金調達を行っており、アプリやWebから外科・皮膚科・審美歯科の分野で美容医療を提供しているクリニックの口コミや症例写真を見られたり、クリニックや美容医療施術探しや予約をする上でのサポートのサービスを展開しているスタートアップ企業です。

トリビューとは

「美容医療の総合プラットフォームを目指す」という立ち位置でコミュニケーションを取っており、ユーザー様がクリニックを決めるための情報提供や、クリニック様への送客のためのサービスを提供しています。

見つかる|トリビュー

こちらがまず「見つかる」のイメージで、例えば目元を二重にしたり、涙袋をかわいく見せる施術などのさまざまな条件に応じたメニューが見られます。

知れる|トリビュー

次に「知れる」の部分では、実際に美容医療の施術を経験したユーザー様が、口コミを投稿しています。それもクリニックや施術に対しての口コミだけではなく、施術を受ける前と後でどう変わったかのビフォーアフターや、痛みや腫れが引いて問題なく日常生活に復帰するまでの「ダウンタイム」と呼ばれる経過の写真付きの投稿によりリアルな情報を知ることができます。

探せる|トリビュー

それから「探せる」という部分では、クリニック検索についてさまざまな軸で探せる形になっていて、口コミから探す人もいれば、施術・クリニック・ドクターの名前から探したりなどさまざまで、それに合わせた探しやすい検索方法を提供しています。

予約できる|トリビュー

また「予約」に関してはチャットと電話という方法があります。今はチャットを使って予約する方が大半で簡単に予約できる機能を提供しています。

ビジネスモデル|トリビュー

サービスのビジネスモデルとしては、ユーザー様がトリビューを介してクリニックを予約した場合、実際に行われた施術費の一部を手数料としてクリニック様から頂いているのがメインになっています。

ポイントが貯まる|トリビュー

また、ユーザー様はトリビューから予約して施術を行うことで、施術金額に対するポイント還元があったり、口コミを投稿した分のポイント進呈もあり、次回以降もお得に施術を受けられるという仕組みになっています。

ミッションは「ありたい自分でいられる世界を実現する」ことで、元々弊社の代表が自分自身の体験からこれらのサービスを立ち上げており、自分自身がどう生きるかを考える上でのさまざまな選択肢に関連して、自分自身の姿・身なりという部分で「ありたい自分」でいられるよう、また人生において今よりちょっと自信を持って、毎日が楽しく豊かに過ごせるようなサポートをしていくために、このミッションを掲げています。

背景として、日本人の自己肯定感が世界と比べて低いことがあります。容姿に関して自己肯定感が低く、やりたいことを諦めたことがある人が多いことから、こうした人を少しでも減らしていきたいという思いから美容に関連するサービスを展開してきました。

また「美容の新しい当たり前を作る」ことにもチャレンジしていて、施術の件数は増えているのにミスマッチが大きく、これは美容医療情報の非対称性がまだまだ大きいことによります。つまりネットで検索してもクリニックや施術の情報について「どこがいいのか」「何の施術がいいのか」がなかなかわかりづらい状況にあります。

こうした中、弊社ではユーザー様からの声・口コミをベースにクリニックや施術を探しやすい状態を作っていますが、まだスキンケア向け化粧品など日常生活の中で使われる美容に比べるとまだまだハードルがあるので、選択肢としてそれらと並列に語られ、選んでもらえるような状況を作っていきたいと考え、このように「美容の新しい当たり前を作る」ということをビジョンに掲げています。

ビジネスとしては流通額も予約数も右肩上がりで成長しています。*1参考 : 前年比で予約数3倍、流通総額2倍 美容医療の口コミ・予約アプリの「トリビュー」がサービス開始5周年

美容医療のデジタルマーケティングでユーザー様とクリニックがWinWinな関係に

DearOne 澤|
美容医療を提供するクリニックに協力を仰ぐのはなかなか難しそうだと感じますが、サービスをどのように組み立ててこられたんですか?

トリビュー 大西|
美容医療の領域におけるマーケティングには医療広告ガイドラインなど、医療における法的なレギュレーションがあるので、クリニックが自院に集客する手法や表現に制約があります。

そうした制約もあってクリニックが取れるマーケティング手段は限られていました。そんな中でも、クリニックとしては新しい顧客・ユーザー様を獲得していきたい思いがあるので、トリビューがマーケティングのプラットフォーム、チャネルとして選んでもらえている状況です。

このように元々課題として、クリニックも自分自身でどう集客したらユーザー様が来てくれるか悩んでいた状況があり、今ポピュラーな手段としては、例えばオンライン広告であればSNS広告が積極的に打たれています。

また検索系に関してはYahoo!やGoogleに広告を出したりSEO対策に注力するのが一般的です。そのほか、オフライン系であればチラシや、電車・屋外・駅ナカなどある程度人がいるであろう場所に網を掛ける広告が打たれるという状況でした。

DearOne 澤|
なるほど、まさに従来の地道なマーケティング活動しかない状況に、「トリビューというデジタルツールを使うことで、熱量の高い顧客が囲い込めるのではないか」という思いがクリニックにあった訳ですね。

トリビュー 大西|
はい。クリニックにとってもお互いWinWinになる状況が生まれています。実際に施術を受けた人のクリニックに対する口コミや症例写真などの情報が見られることで、クリニックに足を運ぶ人が増えてきました。他方、その母集団ができたことでクリニックにとっても、美容医療に興味関心のある人がいるプラットフォームへの掲載メリットが出てきました。

我々も最初からいきなりクリニックの予約・送客サービスを提供していたわけではなく、まずは口コミのサービスから始めました。実際、予約の機能を提供開始したのは2018年11月からで、それ以前の立ち上げから一年くらいの間は、口コミのサービスとして提供していました。口コミの集め方としては、地道にTwitterなどのSNSで美容医療に関してつぶやいたり、自身で写真を載せている方に声かけのアクションをしているほか、トリビューの中で口コミを書いてくださいとお願いをしたりして口コミの数を集めていった形です。

コミュニケーションチャネルごとにユーザー様との接点をどれだけ持てるかが最重要!

DearOne 澤|
お客様の行動としては、アプリでの予約がメインでしょうか。

トリビュー 大西|
はい。アプリのほかにWebでも予約が可能ですが、メインはアプリになっています。おそらく、みなさまがご存知の大手美容クリニックや個人のクリニックまで幅広く提携しています。また、日韓でサービスを展開しています。

DearOne 澤|
それでは、現在実践されているマーケティング施策の全体像を教えてください。

トリビュー 大西|
売上というKGIを目指していくにあたって、トリビューというプラットフォームを通じてクリニックさんに送客していくことによって売上が立っていくというビジネスモデルになっており、そこから分解して各施策に落とし込んでいます。

MAUの中で予約の転換にどれだけつなげられるかという部分がKPI指標としては重要になっていますが、予約してくれる人の中には新規のユーザー様もいれば既存・リピートのユーザー様もいます。新規顧客獲得については、専門の「獲得チーム」を設けています。このチームは新規顧客獲得の中でも、特に予約につながりやすい見込顧客をしっかり獲得しようと、媒体自体を精査しています。具体的にはオンライン広告と、オーガニック経由で既存ユーザー様に新しいユーザー様を連れてきてもらう「友だち紹介」系の施策が今、軸になっています。

そのほか、我々にとってはオフラインの拠点としてのクリニックさんがパートナーであることが利点になっています。トリビューの知名度や利用者数は、美容医療に興味を持っている人や経験者全体の中でもまだ数パーセントと低い割合で、まず電話やWeb・LINEなどでクリニックにダイレクトに予約される方もまだまだ多いので、こうしたオフラインの拠点からの獲得にも取り組んでいます。

DearOne 澤|
アプリをダウンロードしてもらえるよう、クリニックさんにチラシとかを置いてもらうなどのイメージでしょうか?

トリビュー 大西|
はい、おっしゃる通りです。このほかCRMチームではMAツールを使用しており、登録されたユーザー様の予約転換、新規予約に加えて既に予約を一度経験したことがある方のリピート転換の部分を担っています。

現状でいうと、アプリでのプッシュ通知やポップアップを含めたコミュニケーションもあれば、もちろんメールもあります。またLINE公式アカウントも活用すべく、整備を進めています。考え方としては、ユーザー様とのエンゲージメントを築いていくとき、アプリのプッシュ通知でのコミュニケーションだけだと、プッシュ通知を許諾している人にしか届けられないという課題があるため、コミュニケーションチャネルというユーザー様との接点をどれだけ持っているかが重要になってくると考えています。

その場合、メールやプッシュ通知などももちろん重要ですが、日本で多くの人が使っているプラットフォームであるLINEのようなライフツールでコミュニケーションをしたときの方が反応が高いので、今まで以上に活用していこうとしています。

DearOne 澤|
それはリピート既存顧客の担当チームの方が各媒体別に分析しているのでしょうか?

トリビュー 大西|
媒体に関しては新規予約を狙う担当と、リピート予約の担当が分かれていて、それぞれで媒体を使っています。例えばBrazeを活用したアプリのプッシュ通知とポップアップをメインに、メールやLINEも活用しています。メールは今、他のツールを使用していますが、今年Brazeに統合していく予定です。

DearOne 澤|
各媒体にしかいないユーザー様に対しては、それぞれにアプローチをかけていく必要があるということでしょうか?

トリビュー 大西|
アプリを使ってくれている人が一定数いても、そのアプリをどう開いてもらったり、再度来てもらうかの方がより大切で、いわゆるDAU、WAU、MAUとしてアクティブに動いて利用してもらうためにも、まずはアプリを開いてもらうことがきっかけとして重要になります。

本来、自分から来てくれる人がたくさんいることが理想ではあるものの、必ずしも急に増やせるわけではないので、使い続けてもらうきっかけを作る上で定期的にコミュニケーションを取っていく必要があります。そのようなタッチポイントとして、この辺りのチャネルを複数使っていく戦略を取っております。

新規獲得よりリピーター育成を!顧客理解を第一にエンゲージメント施策を展開

トリビュー 大西|
コンテンツマーケティング上の位置づけとしては、特にSNSをメインに施策を打っています。今、美容医療に関心のある人がどういうふうに情報を収集しているかというと、やはりYahoo!やGoogleといったネット検索のボリュームが大きいですが、それに次いでSNSで情報収集する人が増えています。

特にInstagram、Twitter、YouTubeやZ世代ならTikTokが多くなっていますが、年代によって使っているツールや探す場所が異なります。そうした接点の中でトリビューを知ってもらう機会を作っていくという観点で今、SNSを活用しています。

DearOne 澤|
今、お伺いした施策を回すだけでも相当な工数がかかりそうですが、その辺りはどうされていますか?

トリビュー 大西|
そこはそれぞれチームを作って分業する形を取っています。私が一人目のマーケティング担当として入社したのが2021年8月で、その頃から整備を始めました。最初から全部に対応することはできなかったので、まずは売上につながりやすい状況を作るべく新しいユーザー様、新規顧客の開拓から着手し、今はそこからCRMの部分を広げていっています。

エンゲージメントの施策の位置付けや施策実施の背景などは後述しますが、組織全体としてはSNSの部分に認知系の役割を期待して重視しています。またリサーチの組織・チームもあり、アンケートを通じて定期的にユーザー様のことを理解していく体制を取っているほか、そのアンケートリサーチからユーザーインタビューを行う形でユーザー様に対する理解を深めています。

ユーザー理解を深めた上で、KGIとそれに紐づく各KPIの達成に向け、それぞれのチームがアクションを展開しています。

トリビューを知ってもらう機会がないユーザー様にはそもそも想起が起きないので、SNSに関してはそのとっかかりとして、広告で接触した後のダウンロードや利用につなげることを狙い、またつながった後も継続的にコミュニケーションをとり続けるためのチャネルとしてCRMを重視しています。

もう少し会社の規模が大きくなってくるとマスのコミュニケーションも広げられるのですが、今はスタートアップとして資金調達しつつ、堅実に予算を扱っている現状です。競合他社を見ると電車内広告やウェブCMを取り入れるところなど、企業ごとにアプローチの仕方は異なります。

DearOne 澤|
マーケティング施策を実施される中で一番大切にしていることは何ですか?

トリビュー 大西|
一番大切にしているのは顧客理解とそれに応じたマーケティングです。マーケティングに含まれる戦略的な部分では、ターゲットの設定やコミュニケーションの仕方などを特に意識しています。

さらに、広義のマーケティングでいう「売れる仕組みを作っていく」というところでしょうか。私たちの場合で言えば、ユーザー様に予約などでトリビューを使ってもらうことで売上が立つ、その仕組みを作っていくということですが、ただし、これだけやっておけばいいという正解はないので、マーケットに対してやるべきことをいろいろ統合的に組み合わせ、PDCAを回しながら取り組んでいる状況です。

DearOne 澤|
先ほどCRMと表現されていましたが、エンゲージメント施策を主軸に置かれる中で、CRMの位置づけや施策実施の背景に関してはどのように考えていますか?

トリビュー 大西|
ユーザー様に継続して使ってもらう上で一番重要な施策がエンゲージメント施策になります。もちろんプロダクトの改善やアップデート、機能追加なども大切ですが、それだけでは不十分です。エンゲージメント施策は単純に何かをすればいいというものではなく、やはり顧客を理解し、その顧客に合わせたコミュニケーションを取っていくことが求められるという難しさもありますが、ここを突き詰めてやりきることが一番重要だと考えて取り組んでいます。

DearOne 澤|
顧客理解が一番重要だという考えにたどり着いたきっかけは何でしたか?

トリビュー 大西|
私の入社当時に求められていたオーダーとしては、経営的な観点から「新規のユーザー様、顧客を連れてきてほしい。そうすれば売上も上がってくるのではないか」という内容でした。

確かに数字を見てみると、売上を牽引しているのは新規の顧客でした。一方で、リピート顧客の数がやや少ないこともわかりました。ビジネス構造上はこのような特徴があることがわかったので、社内でも経営的観点からも新規顧客を獲得することで売上にもつながるという共通認識が得られましたが、ユーザー様を連れて来ることができても、そのユーザー様が予約しなかった場合には「連れてくる方法が悪いのではないか」などと我々も悩みながら試行錯誤していました。

ただ、私はそれだけではないと思っていて、「連れてきた人にどうすれば使い続けてもらえるか」ということをしっかり考えていかないと、短期的には売上は伸ばせても、中長期で本当に継続して利用してくれる人がさらに増えていくイメージを持つべきだと考えました。そうした環境を作っていく上でエンゲージメント施策が非常に重要だと考えました。

当時導入されていたもののあまり使われていなかった別のツールを自分で手を動かし、「絶対にユーザー様の行動に変容が起きるだろう」と考えて、まずはキャンペーンを軸にコミュニケーションを取ることをはじめました。結果的にこのキャンペーンが、リピート部分の数字にも効果として表れたので、予約未経験者向けの新規予約のコミュニケーションとリピート向けのコミュニケーションとを分け、エンゲージメント施策を積み重ねて今に至るという状況です。

DearOne 澤|
実際、施策に移るにあたって一番難しかったことは何でしたか?

トリビュー 大西|
社内でカスタマーエンゲージメント施策の重要性をしっかり理解してもらう上では、やはり結果を示すことができれば一番説得しやすいと考えました。その結果、求められていなくても自分で実績を作ることで「なるほど、ここをやった方がいいのか」などと気づくことが多かったです。そのようにやればやるだけ売上が伸びていくということが徐々に社内でも理解され、浸透していきました。マーケティング担当が一人という中、新規顧客の獲得と同時にカスタマーエンゲージメントにも取り組んでいくのは難しくて大変ではあったものの、やりがいがありました。

また、一人でできることには限界があるといった体制上の限界に加え、もう一つ難しさを感じたのはユーザー理解に関してです。ユーザー様を理解するためにサービス利用者に対するユーザー様インタビューなどは定期的に行っていましたが、サービスを使ってくれている人たちが、どういう状況であるのか定点的に診断する機会や体制は整備できていませんでした。このようなユーザー様を知るリサーチ部分もとても重要だと思っていたので、そこでリサーチチームの立ち上げも私が中心になって行いました。

サービス利用者やサービス未利用者に対し、アンケート調査と外部のパネルを使ったリサーチを行うことで、「トリビューを使っていないが他のサービスを使っている人」がどういうポイントにメリットや利用しやすさを感じて利用しているのかを把握しやすくなりました。

また利用者に関しては、どういうポイントが継続して利用し続けてもらえるきっかけになっているかや、トリビューを初めて使った人がどのようなことを期待して利用してくれたのかがわかるようになったため、コミュニケーションのしやすさが格段に上がったと感じています。ここがないと、仮説に基づいて何をやっていかないとならないかが分からないため、重要な位置付けになります。

ユーザー様の理解の仕方には定量的な理解と定性的な理解の両方があります。つまりログデータをベースにしたユーザー様の行動データで仮説を組み立てていく定量的なやり方もあれば、アンケート・インタビューなどによるユーザー様の意見や考え方の定性的な調査もあり、この両軸を組み合わせることによって仮説が正しいかどうかが初めて検証できます。

このように、エンゲージメント施策を打つ上でのリソースが限られている中で、どこに注力していけば、よりユーザー様に長く使ってもらえるサービスとしての価値を提供できるかを突き詰めていくことができます。ここは今でも難しいですが、当時は何もない状態だったのでなおさら難しかったですね。

Braze導入によりリピーター数280%増!配信数を4%に絞る一方で口コミ数も25%増に

DearOne 澤|
ログデータを見てユーザー理解をしたり、フィジカル面でしっかり理解するなどの取り組みをされていたんですね。ちなみに、ログデータはどのように取られているのですか?

トリビュー 大西|
サービス内でのユーザー様の行動が見れるようにしています。開発の方で、ユーザー様がどの部分でアクションしたかなどのデータをイベント設定することで取れるようにしてあります。例えば予約というコンバージョンにつながるマジックナンバー、マジックアクションを特定したりしています。つまり「このアクションをした人は予約しやすい」などのクリニックやサービスのページを見てくれる人の特徴を分析して見つけ出します。このほかPVが高くなる傾向があるクリニックほど口コミが多いといったことが見えてきたりもします。

DearOne 澤|
それを全てプログラマーさんがSQLを書きながら、その数字を導き出しているのですか?

トリビュー 大西|
はい。SQLにおいても、むやみやたらに書いてもらいながら分析することは、アナリストのリソースも限られているので厳しいので、マーケティングメンバーがそこも考えながら、可能性の高いものから分析しています。

我々のサービスは口コミがメインで、その数が増えていくほどクリニックのページPVが上がりやすい傾向があり、そこがユーザー様が施術を選んだり予約するアクションと直結しているので、やはり口コミが予約を増やしていく上で有効だということがわかりました。

DearOne 澤|
それでは、Brazeを導入した理由も口コミをより増やすのに有効という視点からだったのでしょうか?

トリビュー 大西|
それもありますが、やりたいことがたくさんある中で、以前使っていたツールの限界が来てしまったというところです。それまでのツールですと、アプリでのプッシュ通知とポップアップ、ターゲットのオーディエンスに対して都度配信をしていくくらいが精一杯でした。本来やりたかったことをやれるのはBrazeだとわかったため導入を決めました。

具体的な決め手は三つあって、まず一つ目はマルチチャネルを一元管理していくことが可能なことです。今はBrazeでアプリのプッシュ通知やポップアップを使っています。ただ、アプリのプッシュ通知はどうしても許諾率を100%にしていくことが難しいので、同時にチャネルを広げていく必要がありました。

そのとき、チャネルごとに別々のツールを使って分析を行うのでは大変だったので、一元管理して一つのツールの中で効果などを見られる状況を作っていきたいと考えていました。その点、Brazeならメールをはじめ、アプリのプッシュ通知、ポップアップやLINE、SMSまで使えることが大きかったです。

二つ目の決め手はシナリオに合わせたコミュニケーション施策の打ちやすさです。例えば新規登録した人がオンボーディングを経て最初に目にするものにアクションしたかどうかで、次のコミュニケーションが決まってきます。あるいは、アクセスしてくれなかった場合は別のコミュニケーションを取るといったことが、Braze導入で可能になりました。

また、もう一つ本来やりたかったのが、リアルタイムのアクションをトリガーにしたコミュニケーションでした。前述の通り、どれだけユーザー様の温度感が高いタイミングでコミュニケーションを取るかが非常に重要だとわかり、元々前のツールを使っているときから「ここをもっと最適化できたら、数字がより良くなるのではないか」という考えがあり、そのことは実際に数字としても上がってきていました。

例えば会員登録やオンボーディングの直後に何かポップアップが表示されたり、また口コミ投稿や予約日程の確定、そして施術を実際に完了したと報告をしてくれた人に対するコミュニケーションなどを行っています。このようにリアルタイムにその場でコミュニケーションすることによって、もっと数字が上がるのではないかという仮説の検証などにつながっています。

実際、リアルタイムのアクションベース施策によって、特に口コミの部分に関して改善が見られました。以前は全体での配信を行っていたのですが、それをアクションベースのコミュニケーションに変えたことで、配信数のボリュームを従来の4%ほどに絞ることができました。これに対し口コミの数は25%増加しました。

DearOne 澤|
配信全体を4%に絞ったのに、口コミが25%増加したというのはすごいですね。

トリビュー 大西|
ボリュームをミニマムまで絞っても、Brazeを選んだポイントの一つでもある最適なタイミングでコミュニケーションを取る強みが活かされることで、これだけ数が増えることが実証できたので、Brazeに切り替えて本当に良かったと思います。

トリビュー様事例

DearOne 澤|
ほかにもBrazeを導入された効果があれば教えてください。

トリビュー 大西|
Brazeを使い始める前と後を比べると、以前はリピーターよりも新規顧客の獲得が中心のコミュニケーションを取って売上を作っていましたが、Brazeに切り替えカスタマーエンゲージメントやCRMを重視し始めてからはリピーターの数が280%増加しており、我々自身もびっくりしました。期間としてはBrazeを活用し始めたのが今年の6月からなので、半年の数字で比較しています。

DearOne 澤|
この売上は驚きの数字ですね。

トリビュー 大西|
また全体のアクティブユーザー数は40%増加という数字で、必ずしも大幅に増えているというわけではありませんが、リピーターに転換する打率が上がっています。しっかりカスタマーエンゲージメントのコミュニケーションをしていくことによってそこが変わってきました。

これがアクティブ数も2倍、3倍と増えていたら、リピーターの数も増えて当然なのですが、アクティブ数自体は微増である中、ロイヤルカスタマーが育成できているということを示していると思います。

全体の予約率に関しても同様に新規を伸ばすことができていて、予約率は100%増加しています。そして口コミの部分についてはBrazeの活用影響を見るため同期間を比較したら上がっていました。

DearOne 澤|
25%増加はすごいですね。Brazeを導入した目的をしっかり果たす実績が作られたわけですね。

トリビュー 大西|
今の時点でBrazeを使っているのはアプリのプッシュ通知とポップアップなのですが、それだけでこんなに月次の数字を上げられているので、今ちょうど活用し始めているメールなどでも実績を上げていけるだろう、さらに改善して数字を伸ばせるだろうと期待して、さらに投資していこうと考えています。

DearOne 澤|
実際にエンゲージメント施策を打ってこれだけ実績が出た今、何か新しい気付きや課題はありますか?

トリビュー 大西|
課題としては、Brazeの豊富なマルチチャネルをまだ使いこなせていない現状なので、そこをしっかり活用していきたいです。まだアプリのプッシュ通知とポップアップだけなのに、これだけでもきちんとやれば、何もやっていなかった頃に比べてこんなに数字が上がることは強調したいです。

アプリサービスを中心に、どんな会社でもMAUが重要だと思うので、カスタマーエンゲージメント施策をしっかり打っていくことによって、リピーターを増やして継続利用につなげていくには、他のチャネルも活用していくことが重要だと実感しています。またメールに関しては今、別のMAツールを使っているのですが、やはりツールが分かれていると分析のしづらさを感じます。それも踏まえ、一元管理してやっていくことが大切だという気づきが改めてありました。

他のチャネル活用に関しては、メールと2軸で活用ができそうなLINEに期待しています。拠点であるクリニックと我々とは、パートナーとして協業していく立場で契約を結んでいます。今、クリニックにチラシを置いているだけですが、さらに例えばLINEの友だち追加を促すようなコミュニケーションに展開できた場合、ここを起点にトリビュー利用のきっかけ作りができるので、そこから入ってきたユーザー様の動きを計測していくことが可能です。

そういったことを積み重ねれば、「クリニックから来た人には、こういうコミュニケーションを取っていくのが良さそうだ」などといった知見を見出していけると実感しています。クリニックで受け取ったチラシからQRコードを読み込むのが面倒くさかったり、アプリをダウンロードするのは手間という方もいらっしゃいますので、まず具体的な取っかかりとしてLINEの公式アカウントのように、多くの人が使いやすいプラットフォームを活用できたらと考えています。

そこからさらに、ユーザー様にとってのメリットが作れるようなコミュニケーションとは何かと考えると、それは「クーポンがお得」といったことがわかりやすいかもしれないし、あるいはクリニックへの送客や口コミが増えていくことかもしれません。

DearOne 澤|
すでにグロースマーケティングを実践されているので、今後さらに活用していく段階でいらっしゃるということですね。

トリビュー 大西|
はい。ここからはさらにブラッシュアップが必要で、チャネル拡大がテーマになってくると考えています。

DearOne 澤|
本日は大変貴重なお話をありがとうございました。

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