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DXコンサルが解く。DX(デジタルトランスフォーメーション)について解像度を上げよう!

2023.10.16

Digital Transformation

はじめに

さらっと、自己紹介させていただきます。私は元ミュージシャンであり、15年ほど前に大手レコード会社からCDリリースを経験後、ひょんなことからデジタルの業界で働くこととなりました。

前職から一貫して業界大手のクライアントに対し、アクセス解析を中心としたPDCA構築支援などデータ活用支援のコンサルタントをやらせていただいております。DearOne入社後は大手不動産検索サイトへのAmplitude実装支援からのCDP活用、ECサイト運営会社へのオンボーディング支援など忙しくさせていただております。

DXについて解像度を上げよう!

数年前からどの業界、分野においてもデジタル化の波が押し寄せ、この潮流は止まりません。
今日では、大半の企業がDXという名目での変革を進めている状況と理解しています。そんな中、今や一般的な用語となった「DX(デジタルトランスフォーメーション)」ですが、「よくわからない…」、「上手く説明できない…」と感じている方、多いかと思います。

私は普段、仕事でDXに携わっているのですが、その内容は様々であり、AさんがイメージしているDXBさんがイメージしているDXが違っている、なんてことも日常的に起きています。このあたりの認識を合わせていかないとDXは進みません。

ちなみに、DXの定義は2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱されており、「進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革すること」だそうです。正直、この表現だと抽象度が高すぎて、よくわからないですよね?(笑)

DXという言葉をもう少しブレイクダウンし、具体化し、解像度を上げる必要があると思い、この記事を書くに至りました。まずは、入門編として読んでいただければ幸いです。

DX全体を俯瞰して分類することが必要

私はコンサル業務を実施する中で、なんとなくDXが必要ってことはわかるんだけど、何から手を付けていいかわからない。社内でDXを推進したくても、なかなか進まない。というご相談もいただきます。阻害要因はケースバイケースですが、関係者内で「そもそもDXとは何か?」「何を推進したいのか?」という認識合わせが出来ていないことが多いように思います。

また、ご自身でDXの情報を集めていても「なんか難しい」と感じている方も多いのではないでしょうか?難しいと感じる要因として、DXという言葉が指す範囲が広いことから、情報ソースによって扱っている分野が異なっているという点が挙げられます。(あるメディアで「DXとは?」というタイトルで記事が書かれているものの、その内容はDX全体から見ると一部に過ぎない、ということはよくあることです。)

私はまずDX全体を俯瞰して分類することでこのような状況を解決しようと考えました。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の分類

DX(デジタルトランスフォーメーション)の分類

私が普段、仕事で会話したり、情報を集めたりする中で挙がってくるDX関連の話題を分類すると、だいたいこの表の6項目になると思っています。

こうやって眺めると「DXっていろいろとあるなー」と感じます。(笑)

簡単に補足させていただきます。

1. デジタルマーケティング

いわゆる「デジマ(=デジタルマーケティング)」と言われる領域になります。ここで挙げている実施例はごく一部ですが、SEO対策、インターネット広告、顧客の行動をトリガーに自動でメール配信やアプリPUSHを行うMA(マーケティングオートメーション)などが含まれます。

また、昨今、ホットワードとなっているOMO(Online Merges Offline)もこの領域に位置付けています。OMOとは「オンラインとオフラインが完全に融合し顧客が区別しない状態でサービス提供する」というマーケティングの概念になります。中国のスーパーマーケット「フーマー」や日本マクドナルドの「モバイルオーダー」の試みがOMOの事例として有名です。

2. データ可視化・分析

経験や勘で意思決定するのではなく、データを活用して意思決定の精度を上げることが目的になります。TableauのようなBIツールやGoogle Analyticsのようなアクセス解析ツールの活用を指します。

データ分析においては、「ユーザー行動分析」というジャンルがとくに注目を集めてきています。弊社DearOneが代理店を務める「Amplitude」は、高度なユーザー行動分析が極めてスピーディーに実践可能なツールとして、世界中で導入が進んでいます。

3. 自動化

RPA(Robotic Process Automation)とは、従来はヒトが行っていたクリックなどのマウス操作やキーボード操作などの業務を自動化するツールのことです。いよいよ実用化が期待される自動車の自動運転もこの領域に入ります。また、配送センターにおける荷物の分別やピック処理などもセンサーやベルトコンベヤー技術の進歩により自動化が進んでいます。

4. ペーパーレス

店頭で商品を購入するときにレジで提示するポイントカードがスマホアプリになったり。会社での経費精算や押印申請がクラウド化されるといった流れはここ数年で急速に進んだと実感します。これらもDXとして扱われます。

5. 非対面での実施

対面で行ってきたことを非対面で行う、というものです。言うまでもなくコロナ渦の影響で、テレワークやオンライン会議が普及しました。またVR(Virtual Reality)もこの領域に含めています。例えば、不動産業界での物件内覧にVRを活用するといった試みを指しています。

6. AI、IoTの活用

これらは1から5を実践する手段として位置付けるのが適切であると考えます。とくに「AI活用」はDXの象徴的な扱いとなっているように感じます。

例えば、ECサイトなどの購入促進を目的とした商品レコメンド、店舗在庫管理を目的とした需要予測などでAI活用が進んでいます。目的ではなく手段として考えるべきとの点は強調したいと思います。ちなみに、この場合の商品レコメンドでのAI活用は表の1、需要予測でのAI活用は表の2に該当します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の分類

IoTの事例として、自動洗濯機を例に挙げてご説明します。最新の全自動洗濯機はWi-Fiにつながりスマホで予約したり、洗濯の進捗が追えるようになっています。洗濯機メーカー目線では、どの機能がいつどのくらい使われているか?などのデータが取得できるようになるため、次の商品開発に活かせる有益な情報を得ることができます。使われていない機能は無くす検討をしたり、使ってほしい機能が使われていないのであれば、どのように使ってもらうかという観点で議論することができます。この場合は表の2に該当します。

DXについての認識合わせの場面において、この表は極めて有効です。ここで言う認識合わせとは、課題は何か?なんのためにどんなDXをするのか?といった認識を統一するコミュニケーションのことです。この表でいうと、1の「SEO対策」と4の「申請業務のクラウド化」は目的、実施までのステップ、必要とされるスキルなどは全く異なるにも関わらず、「DX」として区別なく扱われています。このあたりの認識がずれている場合は合わせていく必要があります。

例えば、ある方が「うちの会社、DX遅れてるんですよー」のように話していても、具体的に何が遅れていると思っているのかを知るには、さらに会話を重ねる必要があります。そんなときに「もう少し具体的に何が遅れていると思いますか?」と聞いても、答えるほうもなかなかうまく説明できないのが実情です。この表を見せながら「どの領域が遅れていると思いますか?」とお聞きすることで、スムーズな回答が得られ、一気に共通の認識を持つことに繋がります。また、情報収集の場面においても有効です。

最近では多くのTV、新聞、雑誌、WEBメディアなどでDXに関する話題が取り上げられていますが、その内容は多岐に渡ります。この表ぐらいの整理を頭に入れたうえで、「この話題はDXの中のこのあたりなんだな…」と感じつつ情報に触れることで理解が深まるとともに、知識の定着に繋がります。

このブログを読んでいただいている方々には、是非この表を活用いただきたいと思います。


ちなみに弊社DearOneでは、おもに1. デジタルマーケティング、2. データの可視化・分析に関してのご支援に強みがあります。また、アプリ制作、運用にも多くの実績があり、4の実施例にあげた「会員カードのアプリ化」などを得意としています。

もし、このような領域で不明な点がありましたら、是非お問い合わせいただきたいです。

DXの目的と重要視する理由


上の表に項目ごとの「実施することの例」と「主な目的」を記載しています。これらが記載されていないと項目が理解しにくいと感じたので、あえて記載しました。

私が仕事をする中で、「DXの目的」として挙げられる項目は様々です。例えば「売上増」とか「顧客体験価値の向上」のように表現されることもあります。もちろん、このような目的を挙げることは間違いではないのですが、順番に突き詰めていくと多くのDXの試みは工数削減、業務のスピードアップなど主に「効率化」になることが多いと捉えています。DXの目的は効率化である、ということは意外と見落とされている気がしています。また、「DXの目的は効率化です」と言われると違和感を覚える方もいるかもしれません。たしかに理解されにくい部分でもあります。

私はその目的が売上増であっても顧客体験価値の向上であっても、あえてデジタル技術を取り入れ、今までと違う試みを行っていくのであれば、その目的の深度を上げていくと行き着く先は多くの場合「効率化」になると考えています(もちろん効率化に該当しないDXもあります。感染症対策を目的としたオンライン会議などは効率化が目的とは言えないと思います)。

今、世界中の企業、企業だけでなく行政もこぞってDXを推進しています。はっきり認識しているかどうかは別として「DXを推進しないと生き残れない」と感じているのではないでしょうか。効率化の推進は回り回って、顧客ニーズ(市場)の変化への対応、競合との競争に打ち勝つ有効な手段となりえます。今日、DXを重要視する理由はココにあります。

私はおおよそ下記のようなロジックで「DXの目的」、「重要視する理由」を整理しています。

顧客ニーズ(市場)の変化、多様化

競合との競争の激化

企業の成長・存続のために、今までの仕事を変えることが必要
既存事業の見直し?新規事業立ち上げ?

業務の効率化が必要

効率化としての手段としてDXを!

私はDXをコンサルの立場からご支援させていただくにあたり、このような点について非常に気を配って進めております。繰り返し述べておりますが、そもそもなぜDXを進めるのか?との認識が合わないままでは、期待した効果に結びつかないからです。

まとめ

仕事や生活のあり方はいつの時代も変化しますが、今の時代ではデジタルを伴う変化が普通であり、当たり前です。そのため、あえてDXと認識していなくとも、上の表にあるようなことを実施している場合もあると思います。

DXというワードがバズワードとなり、多くの企業で取り組みが進んでいます。多くの方々がDXの恩恵を受けているはずです。一方で「なんとなくDXしなきゃ」という感じで船出して、どっちに舵を切っていいか、そもそも舵の切り方さえもわからないような状況である方々もいるのではないでしょうか?そのような方々にこの記事が海図の一部となれば幸いです。

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