戦略を可視化せよ!Amplitudeを使ったマーケティング戦略の実践

2024.10.08

DearOneの小島健一と申します。私は分析ツール「Amplitude」の導入や導入後の利用促進を中心としたデータ活用のコンサルタントをしております。

日々、さまざまなクライアントの分析支援をしている中で、施策効果の可視化や成果を出すための分析ができていないとおっしゃる担当者はとても多いです。どの企業も良いマーケティング戦略は作成しておられるものの、指標を追うための仕組みづくりがなされていないと感じます。

本記事では、分析ツールAmplitudeを用いてマーケティング戦略の指標を可視化するための方法をご紹介します。

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「戦略の可視化」とは? 

この記事のタイトルになっている「戦略の可視化」をご説明いたします。プロダクトやサービスを成長させていくうえで、どの企業でも戦略を作成すると思います。例えば、小売業を例に挙げると下記のようなものです。

  1. クロスセルとアップセルの増加
    顧客が購入した商品に関連するアイテムを提案したり、より高価な商品の選択を促すキャンペーンを展開するなど、ひとりあたりの購買金額を上げることを指します。
  1. ロイヤルユーザーの増加
    顧客のロイヤリティを高めるため、ポイントプログラムや会員限定特典を強化。加えて、パーソナライズされた商品提案やイベント招待を通じて、長期的なファンを育成することを指します。
  1. オムニチャネル利用を促進
    オンラインとリアル店舗の連携を強化。例えば、店舗で商品を見た後にオンラインで購入する”ショールーミング”や、オンラインで購入し店舗で受け取る「店舗受け取り」を促進し、どのチャネルでもシームレスな購買体験をすることです。

ここに挙げたのはあくまで一例で、他にもたくさんあるかと思います。ここ数年では、新規顧客の獲得が頭打ちになっている傾向があり、このような戦略を立てる企業が増えている印象です。とくに「オムニチャネル利用を促進」は5〜6年前ぐらい前からよく聞きますね。

戦略の可視化とは、文字通り戦略に沿った施策の状況や成果を数字としてウォッチすることを言います。その上で、成果を出すための分析が必要になると思います。

戦略を実践する上でよくある課題

実は、戦略を立てたは良いけど「その効果が見れてない」「効果を見るグラフの作成に時間がかかる」「効果を上げるための分析が出来てない」という企業が驚くほど多いです。

この記事を読んでいる方でも心当たりあるのではないでしょうか?

このような戦略の効果を測るうえでの見ていくKPIとしては、下表のようなものが挙げられます。

マーケティング戦略の可視化

当たり前に追えるようなKPIに見えますが、これらのKPIは意外と算出しにくいものです。例えば「オムニチャネル利用率」では「ある一定期間において、今までEC利用しかない人が初めて店舗で購入した人数と、今まで店舗利用しかない人が初めてECで購入した人数」が必要となりますが、実際に算出しようとすると条件付けがブレやすく、数値を出す人によって少しづつ定義が変わってしまうことがよくあります。

データは出てきたものの「このデータの定義ってどうなっているの?」といった確認に時間を取られている方は多いのではないでしょうか?

また、ある期間で数値を算出できても、週や月の推移でみるのが難しい場合も多いです。例えば、「直近1年間のひとりあたりの購入回数」や「ロイヤルユーザー数」などがそれにあたります。「1月のロイヤルユーザー数」は簡単に出せても、1月、2月、3月…のように推移でグラフ化しようとすると、条件となっている”直近1年間”が変わるため、算出が難しくなります。

さらに、戦略を推進するためには分析が必要となります。オムニチャネル利用を例にすると、オムニチャネル利用した人としてない人で購入商品、購入店舗、ECサイト内の機能の利用などを比較し、オムニチャネル利用する人を増やすヒントを得たいと思うのですが、そのような分析には時間がかかってしまうことがよくあります。

課題の解決方法:オムニチャネル利用促進の場合

このような課題を解決するためにやるべきことは、戦略を計測する指標を分析ツール上で「イベント化」し、可視化することです。

通常、GA4、Tableau、Amplitudeなどの分析ツールの「イベント」は、「トップページを閲覧」や「購入完了」などのような、サービス利用するうえでのユーザー行動を設定することが多いですが、「オムニチャネルで利用した」や「ロイヤルユーザーになった」のようなユーザーの状態変化をイベントとして扱う。という手法になります。

言い換えると、戦略として増やしたい「ユーザーの状態」を具体的に定義し、分析ツールでイベントとして扱うことです。

プロダクトアナリティクスツール「Amplitude」に「オムニチャネル利用」というイベントを投入したイメージはこのようになります。

イベントの可視化

このようにイベントとして選択できるようにすることによって、オムニチャネル利用ユーザーの定義が明確になりますし、オムニチャネル利用に関する数値把握、分析が非常にスピーディーに実現できます。このメリットはサービスを成長させるうえで、非常に大きい効果を生みます。

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分析例とマーケティング施策考案

Amplitudeのファネル機能を利用し、ドラッグストアにおけるオムニチャネル利用率を初回購入の商品カテゴリ別で比較した例はこちらになります。

このような分析は従来、属人化しやすく非常に時間がかかるものですが、イベントをして扱うことで、誰でもスピーディーに実現可能です。ちなみに、この例では「初回購入がベビー用品のユーザーはオムニチャネル利用率が高い」との結果になります。

初回購入がベビー用品だったユーザーが、オムニチャネル利用率が高い理由として、いくつかの要因が考えられます。

  • 頻繁な購入の必要性
    ベビー用品(おむつ、ベビーフードなど)は消耗品が多く、定期的に補充が必要である。そのため、オンラインとオフラインの双方で簡単に商品を購入できるオムニチャネルの利便性を活用する傾向があるのではないか。
    • 育児中の時間制約
      子育て中の親は時間に制約があるため、オンラインショッピングやアプリでの購入を選ぶことが多いです。また、実店舗に足を運ぶことが必要な場合も、事前にオンラインで商品を確認し、店舗で受け取るなどのオムニチャネルの活用が便利である。
      • ポイントや割引の活用
        ベビー用品は高頻度での購入が求められるため、オンラインとオフラインの両方での購入履歴が連携されるオムニチャネル戦略によって、ポイントやクーポンの恩恵をより効果的に受けられる点が魅力的と感じているのではないか。
        • 幅広い情報収集の必要性
          ベビー用品を選ぶ際には、他の商品のレビューや比較情報が重要視されます。オンラインで情報を収集し、店舗で実物を確認するといったオムニチャネルの利用が増える可能性がある。

          この考察を受けて、オム二チャネル利用を増やす施策として、下記のような施策が考えられます。

          • パーソナライズされたクーポンの提供
             初回購入がベビー用品のユーザーには、次回以降の購入に使えるクーポンやポイントを、アプリやメールを通じてパーソナライズされた形で提供し、オンラインとオフラインの両方で使えるようにすることで、オムニチャネル利用を促進する。
            • ロイヤリティプログラムの強化
              オンラインとオフライン両方での購入が連携されるロイヤリティプログラムを導入し、ベビー用品購入者をターゲットにしたキャンペーンを展開。ポイントの蓄積や特典を提供し、オムニチャネルの利用価値を高める。
              • アプリの利便性向上
                アプリでの在庫確認、購入履歴の管理、クーポンの即時利用、商品レビュー機能の充実など、ユーザーにとってストレスのないショッピング体験を提供し、オンラインと実店舗でのシームレスな移行をサポートする。

                上記で挙げた考察、施策案は一例になりますが、分析=可視化の時間が短くなれば、施策実施までの時間を短くすることが可能になります。

                まとめ

                本記事では、Amplitudeを活用してマーケティング戦略を可視化し、実践する方法を解説いたしました。多くの企業では、戦略の効果を測定するのが難しく、データの定義やKPIの算出に時間がかかるという課題に直面しています。例に挙げたオムニチャネル戦略の効果測定や、ロイヤルユーザーの増加など、実施した施策の成果を迅速かつ正確に把握することが難しい状況です。

                これらの課題を解決するためには、Amplitudeなどの分析ツールを用いて、状態変化を具体的に定義しイベント化することが必要です。これにより、戦略に沿ったデータの可視化が容易になり、マーケティング施策を素早く実行できるようになります。

                当社では、本記事でご紹介した分析ツールAmplitudeの導入を運用のご支援をしております。Amplitudeは、指標の可視化だけではなく、Webやアプリ、店舗などのユーザー行動を分析し最適な施策を導き出すことができるツールです。

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