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CDPとは?意味や役割、基本機能と最新トレンドを分かりやすく解説

2024.08.08

CDPとは、Customer Data Platform(カスタマーデータプラットフォーム)を指し、顧客一人ひとりのデータを収集・管理し、分析するプラットフォームのことです。

現代は顧客が自由に情報の取捨選択ができるようになったことから、一方的なマーケティングでは効果が出づらく、そのため、一人ひとりにパーソナライズされた施策を行う必要性が高まっています。そこで、顧客のプロフィール、属性、購買履歴、行動データなどを、個々の顧客に紐付け顧客の解像度を高めるためのプラットフォームとしてCDPが注目されています。

記事では、CDPとは何か、CDPの基本的な機能、必要とされている背景や導入するメリットを紹介します。
関連記事:CDPツールおすすめ比較15選!失敗しないCDPの選び方

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CDPとは

データ活用基盤におけるCDP構築のイメージ

CDP(カスタマーデータプラットフォーム)とは、Customer Data Platformの略称で、顧客一人ひとりのデータを統合的に収集、管理、分析するためのプラットフォームで、顧客に関するあらゆる種類のデータを集約し統合します。

データには、性別や年齢といった基本的な属性データだけでなく購買履歴や、Webサイトやアプリ上での行動データも含まれます。行動データとは、どのページを閲覧したか、どの商品の詳細を見たか、カートに入れたが購入に至らなかった商品は何かなどの情報です。

CDPの主な目的は顧客を深く理解し、マーケティング活動に反映することです。顧客の購買履歴や行動履歴に合わせたセグメントを作成し、顧客によってコミュニケーションをパーソナライズします。

例えば、カートに入れたが購入に至らなかった商品のセール情報の配信、過去の購買履歴に基づく関連商品のレコメンドなど、顧客に対して適切なタイミングで適切なメッセージを送ることで、購入率の向上に繋げられます。

CDPが必要な背景

CDPが必要な背景

CDPが必要とされる背景には、現代のビジネス環境におけるいくつかの重要な要因があります。

One to Oneマーケティングの重要性の高まり

One to Oneマーケティングとは、顧客一人ひとりに寄り添い、個別に最適なマーケティング施策を提供することを指します。

CDPは、One to Oneマーケティングを支えるための強力なツールです。CDPを導入することで、企業はさまざまなチャネルから収集した顧客データを統合し、一元的に管理・分析できます。さまざまな顧客データをひとつに統合することで、詳細な顧客プロファイルが作成され、パーソナライズされたマーケティングメッセージを送ることが可能となります。例えば、過去の購入履歴や閲覧履歴に基づいて、顧客が関心を持ちそうな商品を提案するなど、より効果的なマーケティング施策が実施できるようになります。

関連記事:One to Oneマーケティングの重要性・メリット・始め方とは?

顧客の購買行動の変化

インターネットの普及により、オンラインでの購買が一般化し、多くの人々が実店舗を訪れることなく商品を購入するようになっています。NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社の調査によると、約3割*1の人がオンライン店舗を主な購買場所として挙げています。この変化により、企業は顧客との直接的な接点が減少し、顧客がどのような人なのか、何を求めているのかを把握することが難しくなっています。

直接的な接点が減少する一方で、Webサイトやアプリ上の顧客の購買活動は、詳細な行動データを獲得することが可能です。前述した通り「詳細を見たが買わなかった商品」「カートに入れたけど買わなかった商品」などをはじめとして、購買の手前にある膨大な行動データを取得することが出来ます。

こうしたデータを活用するために役立つのがCDPです。CDPを利用することで、顧客のオンライン行動データとプロフィールや購買履歴と掛け合わせて、より精度の高いターゲティングやパーソナライゼーションを実現できます。

まとめると、現代のビジネス環境では、顧客をより深く理解し、顧客一人ひとりに適切なマーケティング活動を行うためにCDPを導入することが必要となっていると言えます。

CDP導入のメリット

CDP導入をすることで、より深い顧客理解が可能となります。その他にどのようなメリットがあるのか、また導入の課題となる点はどのようなものがあるのかを確認していきましょう。

CDPを導入することで得られるメリットは主に下記の4つです。

1.  顧客データの一元管理

インターネット普及に伴い、様々なツールを用いて顧客とコミュニケーションを取る機会が増えました。Webサイト、Instagram、LINE、メルマガ、アプリ、店舗などチャネルが多様化したことによって、各チャネルで取得しているデータがバラバラに管理されてしまっているケースがよく起こっています。

バラバラに情報が管理されていると、ツール単位でしか顧客を把握できず、顧客のほんの一部分しかみえていない中で施策を動かすことになります。その状態ではいい結果を出すのは難しいでしょう。

CDPを導入し、顧客属性、購買履歴、各チャネル上の行動データなどの顧客データを一元的に管理・分析し、より深い点で顧客理解を行うことで、効果的なアプローチが実現可能となります。

2. 顧客一人一人に合わせた施策

深い顧客理解ができることで、顧客一人ひとりのニーズに合わせたコミュニケーションができるようになります。

データをバラバラで管理している場合、一人の顧客に対して同じ内容のコンテンツを何度も配信したり、またニーズとは全く異なるコンテンツを配信したりと顧客離れの原因となるようなアプローチをしてしまう可能性があります。また、コンテンツ配信数が適切でなければ、顧客にうっとうしく感じられてしまい、離反してしまうこともあるでしょう。

CDPでは、データを一元管理し、顧客をデータに基づいて把握できるため、最適な施策を施すことができ、KPIの改善にもつなげられます。

また、リアルタイム処理を搭載しているCDPであれば、GPSやアプリでのチェックインデータを使った顧客の来店タイミング、また、Webサイトやアプリのアクセスデータを使っていまWeb上にいるタイミングなど、購買意欲が高まっている状態でアプローチすることも可能なため、効果をより一層高めることができます。

3. データ分析・施策の高速化

CDPを導入することで、データ分析をし、施策を打つ時間を短縮することができます。データ分析を手作業で行う場合、数週間かかることは珍しくありません。数週間もかかってしまっては、その間にも市場や顧客ニーズは変わり続けており、終了した頃にはすでに必要なデータではなくなってしまっている、ということもあります。

CDPでは手作業で数週間かかっていた顧客分析などをわずか数分で終わらせてしまいます。そのため、結果をもとに瞬時に仮説を立て、施策を打つことが可能となり、また施策への顧客反応をデータとして収集し、管理し、分析する、そこからさらに施策を打つというサイクルを素早く回せるようになります。

4. 部署間での情報共有

CDPにデータが集約されることで、様々な部署で統合された顧客データを活用でき、業務改善や、業務の効率化を期待することができます。顧客と関わるのは、一つの部署だけではありません。複数の部署が関わり、商品認知、購入、関係維持に取り組んでいるため、全体でデータを共有することで深く顧客を理解し、より効果的なアプローチ実施が可能です。

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CDPの基本機能

CDPには主に4つの基本機能が搭載されています。データ収集、データ統合、データ分析、データ連携です。それぞれについて詳しく解説します。

データ収集

1つ目のデータ収集機能では、顧客の属性、趣味嗜好、行動データなど、顧客に関する情報を事細かに集めることができます。Webサイトやアプリの訪問者の行動履歴を把握が可能で、以前の購入品、買い物かごから取り出した商品、申し込み履歴など、一つ一つの行動を可視化し、客観的に理解できます。

また、実店舗でのPOSデータと連携できるCDPもあり、オンライン・オフラインの垣根を越えたデータ管理、OMOが実現可能となり、より顧客のことを深く知ることができるでしょう。

データ統合

データの統合では、収集したデータを顧客IDと紐付け、顧客一人一人のデータに統合します。顧客一人一人の属性や、行動履歴を一括で統合・管理が可能で、より正確に顧客のニーズ、ターゲット層について把握できるため、個人に適したアプローチができるようになるでしょう。

データ分析

データを統合すれば、分析に移ります。属性や行動履歴が紐づけられている個人情報を活用し、商品やサービスに関心を持つ顧客情報を分析します。特に行動を分析することで年齢や性別、地域などの属性データだけでは把握しきれない顧客ニーズを理解でき、顧客行動、趣味嗜好に基づいたマーケティング施策が可能となるため、より効果を期待できるでしょう。

データ連携

CDPは、多様なツールへのデータ連携が可能です。連携先は、CDPにより異なりますが、MAツール、広告配信ツール、顧客関係管理(CRM)ツールなどが含まれます。外部ツールへの連携により、顧客データをより効果的に活用し、パーソナライズされたマーケティングキャンペーンを実行することができます。

バーガーキング、スターバックスなど大手BtoCサービスのグロースを支えるCDPツール「mParticle」の機能と効果について、利用クライアント様での導入効果を交えた資料を無料で配布しております。こちらよりダウンロードください。

CDPと類似ツールの違い

CDPと同様に、ユーザー情報を収集して分析するツールとしてDMPと呼ばれるプラットフォームがあります。CDPとDMPを混同してしまっている方も多いと思いますが、主に「データの収集方法」に違いがあります。

CDPとプライベートDMP、パブリックDMPの違い

CDPで収集するデータは自社で集めたデータ、つまり1st Partyデータを収集・管理します。一方のDMPは外部サイトの匿名データ、つまり3rd partyデータを収集・管理します。結果的にCDPのデータの方が、DMPのデータよりは詳細なデータとなります。

3rd Partydデータと1st Partyデータの違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:ファーストパーティデータとは?1st Partyデータの収集方法から活用のポイントまで解説

パブリックDMP(オープンDMP)

パブリック(オープン)DMPとは、IPアドレス、Cookieなどを通して収集される、3rd Partyデータと呼ばれるデータを取得できるプラットフォームのことです。3rd Partydデータは、自社以外から得る、第三者によって収集された、外部データのことを指しています。

パブリックDMPは、一般に公開されているデータであるため、個人を特定するようなデータではなく、年齢や性別といった基礎的なデータを集める際に有効です。一般的には、新規顧客獲得のための広告運用などのマーケティングの際に活用されます。

これまでパブリックDMPを通して収集される3rd Partyデータの多くは、Googleが提供するウェブブラウザGoogle Chrome上で収集されていました。Chrome上で収集されたデータを企業はマーケティングに活用していましたが、2024年中に3rd Partyデータの使用を停止するとGoogleが宣言していることもあり、1st Partyデータの収集や活用を進めている企業が増えています。

Cookieレス時代のデジタルマーケティングについてはこちらをご覧ください。

関連記事:Cookieレス時代のデジタルマーケティングとは?ファーストパーティデータ活用方法を解説

プライベートDMPとの違い

プライベートDMPとは、自社で顧客一人一人の購買行動や、属性データ、行動履歴などのデータを収集し、管理し、分析するプラットフォームのことです。CDPとはほとんど同じ意味で使用されますが、「プライベート」は「企業内でのみ利用される」という意味合いを持ちます。そのため、通常はシステム部門やデータ管理部門が利用します。

また、保有するデータの性質も異なり、CDPではデータは顧客に関連付けられていますが、プライベートDMPには匿名のデータも含まれる場合があります。

DWHとの違い

CDPとDWH(データウェアハウス)は、どちらもデータ管理を目的としたシステムですが、目的や機能が異なります。

DWHは企業全体のデータを幅広く集約するのに対し、CDPは主に顧客データを収集し統合・活用するために設計されており、マーケティング用に利用することを目的としています。

関連記事:DWHとCDPの違いを解説|データ活用基盤における役割とは?

CDP導入における課題

CDP導入における課題

CDP導入時に気をつけるべきポイントが2つあります。

  • 個人情報漏洩のリスク
  • 最適なCDP選定の難しさ

事前に把握しておくことで、スムーズに運用できるようになりますので、ぜひリスクを最小限にしてから導入を考えてください。

1.  個人情報漏洩のリスク

CDPは顧客一人一人の詳細なデータを扱います。その情報は個人の属性から、趣味趣向、購入履歴など多岐に渡り、これらが漏洩した場合には、大きな被害が出ることも考えられます。

CDPは厳重なセキュリティ対策が施されていますが、過信せずに、利用者である従業員各々が意識し、責任を持ち利用することが必要です。

2. 最適なCDP選定の難しさ

CDPは多種多様であり、一つ一つが他とは異なる特徴を持っています。さらに、CDPという仕組み自体が複雑であり、理解するのが困難です。

顧客情報の分析と言っても、分析をする内容は企業によって異なり、予算も当然異なります。機能性や予算、使いやすさなど様々な観点から検討する必要があります。

また、自社で行いたいことを明確にし必要な機能が揃っているかなど、入念なシミュレーションを行なった上で導入するようにしましょう。

CDPの活用事例

日々のマーケティング活動でCDPがどのようなことで活用できるのか、事例を紹介します。

たとえば、以下のような課題があります。

  • 顧客のロイヤル化を図りたいが、各種データが社内で散在している
  • 顧客ごとにパーソナライズされた施策を実施したいができていない

このような課題に対してCDPを導入することで、以下のようなアプローチが可能です。

  • データ収集
  • データの統合とセグメント作成
  • さまざまなツールへの連携(広告ツール、CRMツール、MAツールなど)

CDPを活用することで顧客データの収集、統合、連携が可能になります。

アプリやWebサイト、POSデータなど、チャネルを横断した顧客のデータが統合されることで、顧客に対する解像度を高められます。また、ひとつの顧客 ID軸で統合されたそれぞれの顧客プロファイルを作成することで、顧客一人ひとりにパーソナライズされた施策が可能になります。

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最適なCDPの選ぶ2つのポイント

最適なCDPを選ぶポイントについて、詳しく解説します。

  1. 自社のビジネスニーズとのマッチングしているか
  2. 既存システムやツールと連携できるか

1. 自社のビジネスニーズとのマッチングしているか

CDPを選ぶ際、重要なポイントとなるのが「自社のビジネスニーズとのマッチング」です。全てのCDPが同じ機能を備えているわけではなく、それぞれに特徴と強みがあり、必要な機能を提供できるかどうかは各CDPによります。

まず、自社が求める機能や要件を明確にする必要があります。実際に、CDPには大きく分けて4つの種類があります。

種類詳細
All in One基本機能に合わせて、分析やエンゲージメントを兼ね備えたオールインワンCDP。
Application CDPデータ収集に加えて、AI/機械学習を用いた高度なユーザー分析やジャーニー機能に強みを持つCDP。
Infrastructure CDPデータのリアルタイム収集と品質管理、外部MarTechツールへの連携に重きを置いたCDP
コンポーザブルCDP既存のDWHに対してForward ETLやReverse ETLなどのデータ収集機能と外部へのデータ連携機能を組み合わせてCDPの機能を再現する方法。

CDPツールを選定する上で重要なのは「CDPで何を実現したいのか?」を細分化して検討する必要があります。4つのCDPと具体的なソリューションについて、もっと知りたい方はこちらをご覧ください。

2.既存システムやツールと連携できる

CDPの選択時には、既存のシステムやツールとの連携できるかが重要になります。無駄なデータの重複を避け、統一されたデータベースを作るためには、システム間のスムーズなデータ連携が必要です。

例えば、CRMやメールマーケティングツール、広告プラットフォームなど、すでに使っているマーケティングツールとCDPが連携できるか確認しましょう。

最新のCDPのトレンド

これまでのCDPは、データ収集や統合、分析など、データ活用における便利な機能が網羅的に搭載されている「パッケージ型CDP」が主流でした。

しかし、「コストの最適化」や「一つの場所でデータを管理する必要性(SSOT)」などの観点から、「コンポーザブルCDP」が注目されています。コンポーザブルCDPとは、データ連携機能やセグメント機能など、データ活用に必要な機能をDWHに組み合わせるというソリューションです。

コンポーザブルCDPは外部のプラットフォームにデータを移す必要がないため、DWHに必要な機能だけ組み合わせたり、自由にカスタマイズできる柔軟性の高さが特徴です。

従来のパッケージCDPではデータを一度CDPに入れる必要がありましたが、コンポーザブルCDPではDWHに保管されているデータをそのまま活用できるため、データの重複や矛盾を防ぎ、より効果的な意思決定が可能になります。

コンポーザブルCDPについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

関連記事:コンポーザブルCDP(Composable CDP)とは?既存のCDPとの違い

従来のCDPとコンポーザブルCDPの大きな違いや、どちらを選ぶべきかなど、CDPの導入やリプレイスをご検討の方には、以下の資料がお役に立てると思います。

最後に

CDPとは顧客一人一人の情報を収集し、管理し、分析するプラットフォームのことです。顧客一人一人に適切な施策を打つために必要なプラットフォームで、分析時間を短縮できるためPDCAなどのサイクルを高速で回すことも可能になり、顧客のニーズをより反映したサービスが提供できるようになるでしょう。

CDPツール導入に興味がある、より良いツールの選定方法が分からないなど、課題を抱えている方はお気軽にご相談ください。

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