昨今、現代のビジネスにおいて重要なKPIとなるライフタイムバリュー(顧客生涯価値:1顧客からある一定期間を通じて得られる利益)が重要視されていますが「LTVを上げるロイヤルカスタマーってどう見分ける?」「LTVと関連してよく聞く『プロダクトレッドグロース』って何」などといった声もよく聞きます。
この記事ではデータドリブンマーケティングで企業のファンを増やす支援を行っている株式会社DearOneのメンバーが「LTVの本質は何か?ロイヤルカスタマーに刺さるプロダクトレッドグロース」を解説します。
代表取締役社長 河野
CTO 佐々木(以下 サム)
マーケティング 安田
経営企画 秋津
LTV向上にはプロダクトを磨け!「プロダクトレッドグロース」がロイヤルカスタマー訴求のカギ
安田 今回のテーマ「LTVの本質は何か?ロイヤルカスタマーに刺さるプロダクトレッドグロース」について、皆さんのご経験に基づく豊富な実例も交えて、深掘りトークを行っていけたらと思います。よろしくお願いします!
河野・佐々木(以下 サム)・秋津 よろしくお願いします!
安田 私、副業も行っているのですが、安い値段で依頼してくる方とか最初から値切ってくる方って結局、長続きしないパターンが多いんです。
河野 ああ、はじめから熱量の低い人ですね。
安田 はい。そういう場合「多分、この人二度と来ないんだろうなぁ」とわかるようになりました。だから、そういう人からの注文は取らないようにしているんですね。むしろこちらから、一番最初にある程度安い金額で「この金額で出せますか?」「30分〜1時間だけ一緒に仕事しましょう」というオファーを提示するんです。それに応えられる人なら「おそらく、本来の私のサービスの値段を払える人だ」と判断できるので、そこでこちらでもふるいにかけて、LTVが高そうなお客さんだけとビジネスするということは結構やっていますね。
秋津 ロイヤルカスタマーになりやすいかどうかを初回購入時点で判断しているということですね。
河野 それに関連して言うと、オルビスの小林社長曰く、同社は創業以来35年近く続いているそうなのですが、その35年間オルビスを買い続けている人が今1,000人いるんだと。35年ですよ!
サム 35年前の創業当初からとなると、相当ですよね…!
河野 …すごいことですよ!
安田 そういう境地を目指すためにも、LTVを上げるというのは小手先ではなく根本的に商品が提供する「価値」を上げることなんだと思いますね。
河野 本当にそうなんだろうなと思います。35年間も継続して利用していただけるということは、クロスセル・アップセル・チャーン抑止みたいな短期的な施策だけではなく、商品の品質・提供価値自体がお客様の要望に応え続けているからだと思います。
だから、LTVではCPAだ何だといろいろ言う前に、プロダクトを磨けと。今の話を通じてそう思いました。
安田 そうですね。
河野 だから今日、当社のプロダクトを担当している佐々木CTOも一緒にいるんですね。
サム・秋津・安田 (笑)
秋津 「プロダクトを磨け」というのは、欧米や中国などのSaaS企業が急成長を遂げた一因と言われる「プロダクトレッドグロース」※の考え方に通じてきますね。つまり、プロダクトのUX(User Experience)を磨くことで「プロダクトがプロダクトを売り込む」サイクルが回り、顧客獲得とプロダクト・サービスの成長が実現できるというものです。
※「プロダクトレッドグロース」の考え方や事例については「プロダクトレッドグロース(PLG)とは?メリットやポイントを解説」を参照ください。
サム 我々がサービス提供するModuleApps2.0や、DearOneが日本で総合代理店を務めるAmplitudeなども日々、プロダクトレッドグロースの考えに立って運営されています。
河野 はい。それと関連して、先日DearOneが主催した「Growth Summit 2022」に登壇いただいたPLAN-Bシステム開発本部の湯川氏が「プロダクトのグロースマーケティングの領域には正解がない」と語っていたことが印象的でした。
秋津 それはどういう意味でしょうか?
河野 既存顧客のロイヤルカスタマー化やLTV向上を目指すグロースマーケティングでは、プロダクトによって毎日利用するのか週に一度だけなのか、あるいは一回の利用量はどれくらいかなどに差がありますので、何を計測するかもプロダクトによってかなり異なります。解約率・チャーンレートを下げるなどの指標を置くこともできますが、これらで十分かというとそうとは言えず、つまり「これが上がればいい」という指標を置くのが難しいのです。
安田 確かに新規獲得を狙う通常のWebマーケティングでは、最終的には購入のコンバージョンを上げることを目指すので、追うべき指標が比較的明らかですね。
河野 はい。これに対し、グロースマーケティングでは、ユーザー行動などのデータは取ろうと思えば全部取れるので、何を追っていくべきなのかを絞り込むのが難しいです。そういう意味で、プロダクトレッドグロースでLTVを向上させていくことが「正解」に近いのだろうと改めて思いました。
安田 今回も大変面白く有意義なお話をありがとうございました!
≪.LTV Memo≫
LTV向上には、プロダクト自体を磨くことでロイヤルカスタマーに提供する「価値」を上げる「プロダクトレッドグロース」のサイクルを回すこと!