API連携とは、API(Application Programing Interface)を使って、あるソフトウェアやインターネットサービスを他のソフトウェアの機能やデータと連携させることを指します。
開発の容易さや利便性から広く普及しており、システム担当者でなくても、マーケティングに携わる方、クラウドサービスの運用に携わっている方であれば聞いたことがある人も多いでしょう。
記事では、API連携について、APIとは何か、またAPI連携の種類やメリット・デメリット、事例などを紹介します。
APIとは?API連携とは?
APIとは?
APIは、Application Programing Interfaceの略称で、日本語にすると「アプリケーション・プログラミング・インターフェース」となります。
アプリケーションやプログラムのインターフェース(境界線や接点)という言葉の通り、アプリケーションやプログラム、Webサービスなどをつなぐ仕組みがAPIです。APIを使用することで、異なるアプリケーションやプログラム、Webサービスを連携させられるようになります。
元々APIはパソコンの内部で動くものでした。例えば、Wordを外部プログラムから呼び出して文章生成をする、印刷機能を制御するプリンタドライバを呼び出して印刷を実行するといったイメージです。これらのパソコン内部で動くAPIは基本的には同じOS(WindowsやmacOSなど)でしか動きません。
現在はこうしたパソコン内部で動くAPIに加えて、Web APIと呼ばれるインターネットを介してアプリケーションとアプリケーションなどを連携させるAPIが広く普及しています。Web APIはHTTP/HTTPSというインターネット上の通信規格(プロトコル)を用いることで、OSを超えてサービスを連携させることができます。
通信容量やスピードなどのインターネット環境が飛躍的に改善し、Webサービスやクラウドサービスが当たり前となった中で、今ではAPI/API連携という時には、Web APIのことを指すことが多くなりました。本記事でも、Web APIによるAPI連携を中心に紹介していきます。
API連携とは?
API連携とは、最近はWeb APIを用いて、あるアプリケーションを別のアプリケーションのデータや機能につなぎ、機能拡張させることを指すことが大半です。それ以外のAPI連携についても次の章で紹介しますが、以下ではWeb APIによるAPI連携を説明していきます。
最近は、常にインターネットにつながっている状態、また、クラウドサービスの利用が当たり前となった中で、API連携を利用することでサービスの利便性を高めたり開発工数を削減したりすることが一般的となっています。
たとえば、ECサイトやスマホアプリでよく使われているクレジットカード決済なども、API連携を利用していることが殆どです。ECサイトやスマホアプリの開発・運営側はクレジット運営会社等が提供するAPIを用いることで、ECサイト側で独自に決済機能を開発する必要がなくなります。API連携を実装することで、開発工数を削減しつつ、利用者に対してはクレジットカード決済の機能を提供できるようになります。
APIの種類
APIの種類は、何に着目して分類するかによっていくつかに分けられますが、代表的なものを紹介します。まず大別したときには下記の3つに分類することができます。
Web API
Web APIは前述の通り、インターネットを経由してデータのやり取りが行われるAPIです。近年、非常に広く普及しており、マーケティングやクラウドサービスの運用などに携わる中で接するAPIは殆どの場合Web APIだといっても過言ではないでしょう。なお、同じWeb APIでも通信形式によってREST APIやSOAP、XML-RPC、JSON-RPCといった種類に分類できます。
OSが提供するAPI(ネイティブAPI)
OS上でアプリケーションにアクセスする、プログラミングを行うためのAPIです。たとえばWindows APIは、Windowsの開発者であるMicrosoftがWindowsの機能を容易に使うことが出来るように開発者向けに提供されているものです。
ランタイムが提供するAPI(ランタイムAPI/ライブラリAPI)
ランタイムとはプログラムを動かす環境を指す言葉であり、例えば、Javaなどのプログラミング言語が該当します。ランタイムが提供するAPIは、OSが提供するAPIと類似したものであり、そのランタイムを使った開発を容易にするために標準機能や拡張機能がAPIとして提供されています。
なお、ネイティブAPIやランタイムAPIと類似したものにOracleなどのデータベースベンダーが提供するデータベースAPIがあります。これもデータベースの開発や操作を容易にするためのAPIです。
利用頻度の高いWeb API
Web APIは、インターネット上の通信規格HTTP/HTTPSを使ったAPIです。通信環境が整備され、さまざまなWebサービス/クラウドサービスが誕生した中で、OSを超えて連携できるWeb APIは直近2〜30年で急激に普及しました。
多くの人々が利用する巨大なプラットフォームとなっているSNS、X(旧Twitter)、Facebook、また、Google、Amazon、Salesforceなどの一定規模以上のWebサービスはWeb APIを使って外部からAPI連携させることができるようになっていることが大半です。
最近話題となっているChatGPTなどもWeb APIでアクセスできるからこそ、ChatGPTを組み込んださまざまなサービスが短期間で登場し、普及速度を早めた側面もあるでしょう。
API連携の仕組み
APIの基本的な仕組みは「リクエスト(要求)」と「レスポンス(応答)」の組み合わせです。APIの利用者(あるサービスに連携させたい側)がリクエストを送ると、APIの提供者がレスポンスを返します。
たとえば、ECサイトにおける決済代行であれば、ECサイト側が「ある顧客の決済情報を送るので、〇〇円の決済を実行して欲しい」というリクエストを送ります。ECサイトからのリクエストに対して、APIを提供するクレジットカード会社等が「カード情報を確認しました。無事にカード決済できました」というレスポンスを返します。ECサイト側ではレスポンスを確認して、ユーザーに「商品Aの購入が無事に完了しました」とメッセージを表示するような流れです。
API連携では、ユーザーが必要とするたびにリクエストが送られ、1回1回のリクエストに対してレスポンスが返されます。「決済できました」もレスポンスですし、「このカードは有効期限が切れています」や「セキュリティコードが誤っています」といったものもレスポンスの一種です。
APIでどんな機能を提供するか、どんな形式でリクエストを送る必要があるか、どんなリクエストにどんなレスポンスを返すかといったAPIのルール(仕様)は、API提供者が定めます。つまり、X(旧Twitter)、Facebook、Google、Amazon、Salesforceといった各サービスの提供会社が、APIの仕様をそれぞれで決めて公開しています。APIの仕様に応じて、使える機能も制限も変わってきますので、「APIであれば〇〇ができる」といった共通のルールはありません。
API連携の目的と利用場面
API連携の目的は、システム/サービスを連携させることで、既存機能を拡張したり、利便性や生産性を高めることです。既存機能の拡張や利便性・生産性の向上をイメージしやすくするため、API連携の利用場面を幾つか紹介します。
BtoCでの利用場面
まずは何度か紹介したECサイトでAP連携を使ってクレジットカード決済機能を持たせる事例です。ECサイトで独自にクレジットカード決済を開発しようと思うと大きな工数が必要になります。また、自社で顧客のクレジットカード情報を登録してもらおうと思うと、情報漏洩を防ぐためにセキュリティレベルも高める必要がありますので、開発費用や運営費用も上昇します。
しかし、クレジットカード会社が提供しているAPI連携を使うことで、自社でクレジットカードの決済機能を開発する必要もありませんし、顧客のクレジットカード情報を保持する必要もありません。つまり、開発や運営の手間を大幅に削減しながら、ECサイトに必須となるクレジットカード決済の機能を持たせることが出来るわけです。
BtoBでの利用場面
違う事例で考えてみましょう。たとえば、企業内における従業員管理は、最近タレントマネジメントツールを導入して、スキルや研修履歴、人事評価、パルスサーベイなどを実施する企業も増えています。一方で、従業員の給与や勤怠管理などは別のシステムを入れているケースが多いでしょう。
2つのシステムを動かすうえで大元になる従業員情報は共通しています。この時、システムが連携しないと、従業員の退職、部署異動、勤務形態の変更などが発生したとき、すべての情報を2つのシステムに手入力やCSVなどで反映させる必要があります。手作業になると手間も生じますし、ミスや反映漏れも起こりやすくなります。1ヶ月分をまとめて反映する」といった運用をしていると、月中の処理はズレが生じるといったことも起こります。
しかし、2つのシステムがAPI連携していれば、片方のシステムで入社/退職などの状況、所属部署や勤務形態などのステータスを変更すれば、もう片方のシステムにも自動で反映されるといったことが可能になります。手間も減りますし、ミスが起きる可能性も減らせます。
このようにAPI連携させることで、ユーザーや顧客に対して手間や費用を押さえながら機能拡張や利便性を提供できる、また、自分達の工数やトラブル発生の可能性を低減させて生産性を向上させることができます。
マーケティング活動におけるAPI連携の利用場面
最近のマーケティング活動にも、API連携は幅広く活用されています。マーケティングのデータ連携にAPIを使うユースケースはさまざまですが、以下にいくつか例を挙げてみましょう。
システム・ツール間のデータ連携
APIを利用することで、以下のような異なるシステムやツール間でデータを共有できます。
- 顧客管理データベースとMAツールの連携
- 商品情報とECサイトの連携
- 店舗システムと顧客管理データベースの連携 など
上記で挙げたシステムやツールは、顧客情報を必要とするものです。API連携では複数のシステム間でデータを共有することで、重複入力や入力ミスの防止だけでなく、データの一元管理により顧客情報の照会や抽出も容易になります。
施策の最適化
システムやツール間のデータが連携されることで、施策の最適化を図ることもできます。例えば、分析ツールで顧客のセグメントを作成しMAツールに連携することで、分析結果にもとづく最適なターゲットに対して施策を打つ、ということができるようになります。
データ活用が求められる現在、システムやツール間のデータ連携も必要不可欠となっています。データ連携の全体像と活用方法について詳しくは、下記リンクの記事をご覧ください。
API連携のメリット
API連携を活用することで、さまざまなメリットを得ることができます。代表的な4つのメリットを紹介します。
UXや利便性の向上
まず自社サービスを顧客に提供している会社などであれば、API連携を使うことでユーザー体験(UX)や利便性を向上させることができます。先ほどから紹介しているECサイトにおけるクレジットカード決済などはイメージしやすい事例です。
また、最近よく見かけるのは、新規サービスに登録する際に個人情報を入力しなくても、GoogleやFacebook、X(旧tiwtter)などのID情報を使って登録・ログインできる機能です。API連携を使って既に登録しているサービスのIDを使えるようにすることで、ユーザーが新規登録するときの手間や心理ハードルを下げて登録率を高めたり、新たなID/パスワードを管理する必要がなくなりログイン頻度を高めることにつながります。
また、UXや利便性の向上は顧客向けのサービス提供だけにとどまるものではありません。タレントマネジメントシステムと勤怠管理システム、従業員台帳などがAPI連携することで社内の工数やミス発生のリスクを削減できるという事例も先ほど紹介した通りです。
生成AIであるChatGPTや独自に学習させたChatGPTを作れるGPT IndexなどもAPIで連携させることができます。これによって、たとえば自社の就業規則や各種制度を学習させたGPT Indexを従業員向けサイトからAPI連携させることで、自社の各種制度や業務処理について自由に質問できるチャットボットを簡単に作成することもできます。
開発の容易さとコスト削減
API連携させることで、UXや利便性の向上と同時に、開発コストを削減し、実装スピードを早めることができます。
これもECサイトでのクレジットカード決済の事例が分かりやすいでしょう。自前でクレジットカードの決済機能を開発しようと思うと、開発コストと工数、セキュリティレベルの向上に伴う運用費用などは大きく上昇します。しかし、クレジットカード会社が公開しているAPI連携を使うことで、開発工数やコストは大幅に圧縮できるわけです。
Webサービスの分野は世界的な競争にさらされており、スピードとトライアンドエラーが求められます。新サービスを開発する、新たな機能を実装する際などに、API連携を使うことで投資額を押さえて、スピード感を持って開発できます。開発や運用コストを押さえることが出来れば、ユーザーに対してより低価格で提供することも出来るようになるでしょう。その意味で、開発やコスト削減はUXや競争力の向上にもつながります。
セキュリティレベルの向上
API連携の利用は、セキュリティを向上させるという面でもメリットがあります。
さまざまなサービスにおける情報漏洩の話題が頻繁にニュースになる時代です。ユーザーへの信頼性を担保するうえでも、自社サービスのセキュリティレベルを高めていくことは欠かせません。しかし、セキュリティレベルを高めるには、セキュリティチェックを欠かさず、常にバグや新たなハッキング手法への対策をしていくなど、大きな費用や労力が必要となります。
しかし、自社サービスのAPI連携を提供している会社の多くは大量の顧客やデータを持っている大手企業やプラットフォーマーであり、既に高いセキュリティレベルを実現しています。たとえば、会員管理にAPI連携を使えば、自社でセキュアな会員管理機能を開発しなくても、GoogleやFacebook、X(旧Twitter)、salesforceといったセキュリティが担保されたサービスの会員管理を利用できます。
公開データの活用
API連携することで、APIの提供企業が持っている機能だけでなく、データ等を利用することもできます。先ほどから紹介しているタレントマネジメントツールと勤怠管理システムや人事台帳、MAツールとCRMツールの連携などは、自社のデータを相互に連携させて利用できるようになる仕組みです。
またAPI連携させることで、自社データ以外でもAPIの提供者が公開しているデータを利用することも可能になります。たとえば、FacebookやX(旧Twitter)とAPI連携させれば、各SNS上の投稿データを取得して分析する事が可能です。
また、たとえば、Google Mapの地図データなども、API連携することで使える公開データとしてイメージしやすいでしょう。多くの企業や施設サイトなどでGoogle Mapを使って地図が表示されていますが、単に地図を表示する以外にもさまざまなことが可能です。他にも、天気予報や渋滞情報、統計データ、金融情報など、API連携させて使える公開データは数多くあります。
API連携のデメリットや注意点
紹介した通り、API連携は非常に便利なものですが、デメリットや注意点もありますので、確認しておきましょう。
API連携元の提供停止や仕様変更
API連携の仕組みでも説明した通り、APIの基本的な仕組みは利用者(あるサービスに連携させたい側)がリクエスト(要求)を送ると、APIの提供者がレスポンス(応答)を返すというものです。
APIでどんな機能を提供するか、どんな形式でリクエストを送る必要があるか、どんなリクエストにどんなレスポンスを返すかといったAPIのルール(仕様)は、API提供者が定めます。つまり、API連携は、APIの連携元(提供側)に機能を依存しています。極端な話ですが、APIの連携元が「今月末でAPIの提供を止めます」となったら、API連携によって実現していた機能は使えなくなってしまうことになります。
有償サービスとして提供されている場合は、一定の稼働保証がされているでしょうし、契約者が多ければいきなり提供中止になるようなことはないでしょう。ただし、細かな仕様変更などが生じて、それに対応しないといけないケースなどは想定されるでしょう。
また、無料で提供されているAPI連携は、有償と比べて機能が中止されたり制限されたりするリスクは若干高いと言えます。X(旧Twitter)がM&Aされてしばらく後に、API提供が制限されてX(旧Twitter)APIを利用していたX(旧Twitter)の付随サービスに激震が走っていたことは記憶にある方もいるかもしれません。
このようにAPI連携は非常に便利である反面、APIの連携元(提供側)に依存するというデメリットやリスクが生じます。
連携失敗時の対処
API連携はインターネットを通じて、API連携元(提供側)の機能を利用するものです。従って、API連携元で何らかのトラブルが生じると、たとえ自社サービスの運営に何の問題もなくても、自社サービスに不具合が生じることになります。
とくにログイン機能や決済機能など、サービス根幹となる部分にAPI連携を使っている場合、APIの提供元が不具合を起こした場合には、自社サービスもほぼ利用できなくなる状態に陥ります。ログインや決済といった重要機能をAPIで提供している事業会社ほど、しっかりとメンテナンスや稼働管理しているものです。しかし、API提供側でトラブルが生じた場合、自社では対応しようがありませんので、稼働停止のリスクは気に留めておく必要があるでしょう。
また、API連携のトラブルまでいかなくても、個別に連携失敗した場合の原因究明や対処が難しいこともAPI連携の特徴です。
一般的なエラーケース、たとえば、クレジットカード決済における「有効期限切れ」「クレジットカードが止められている」「セキュリティコードが間違っている」といったものは、それぞれのエラー原因を示すレスポンスが返ってきます。しかし、イレギュラーの失敗ケースやサーバー間の通信不具合によるものなど、エラー原因が特定できない場合も生じます。API連携で提供されている機能の処理ログは、APIの提供側しか見れませんので、APIを利用している側からは「どこでエラーが起こったか?」の原因が特定できないこともAPI連携における注意点です。
利用費用
API連携には有償で提供されているものと無償で提供されているものがあります。有償で提供されている場合、費用が定額や、主サービスの費用に含まれて提供しているケースと、従量課金されている場合があります。
たとえば、ChatGPTのAPIなどは従量課金の形で提供されています。定額であれば、費用がいくらかかるかは契約した時点で分かりますし予測もできますが、従量課金の場合、リクエスト数が膨れ上がると費用が思わぬ金額になってしまうこともあります。従量課金の場合には、契約前にきちんと料金形態を確認して、中期的な見込を立てること、また、毎月の利用料と費用をチェックすることが欠かせません。
リクエスト回数の上限
API連携が無償や定額で提供されている場合、費用の心配は生じない代わりにリクエスト回数の制限があることが良くあります。
API連携は、リクエスト毎にAPI提供側のシステムで処理をしてレスポンスを返します。従って、リクエスト回数が増えると、その分、提供側のシステムに負荷がかかることになります。従って、リクエスト回数に応じて費用が発生する従量課金の契約ではない場合、リクエスト回数の上限が設定されていることが一般的です。
無償であれば、「1ユーザあたり1日何回まで」といった形が大半です。また、定額の場合には「Aプランであれば1日何回、Bプランであれば1日何回」といった形でプラン毎に上限が定められているケースが多いでしょう。また、基本料金の中にAPI連携の費用が含まれているケースなどは、費用を払ってもリクエスト回数の上限を変えられない場合などもあります。その場合、思わぬところで利用制約が生じることもありますので、注意が必要です。
最近のデジタルマーケティングにおけるデータ連携
デジタルマーケティングが当たり前となった中で、マーケティング分野におけるデータ連携は必要不可欠なものとなっています。たとえば、デジタルマーケティングの先端企業であれば、MAツールとCRMツールを連携させることで、CRMに蓄積された顧客の購入履歴などのデータを活かしてWebサイトやアプリで顧客毎に異なるオファーやサービスを提案するといった取り組みも標準的なものとなっています。
多くのツールではコネクタを標準装備
最近では、「Best of Breed(ベストオブブリード)」と言われる、最適な組み合わせで施策に合わせてさまざまなツールを組み合わせる動きが広がっています。
膨大なデータをリアルタイムに、また多様なツールと連携させることが必要となる中で、最近はツール間のコネクタが用意され、API開発が不要なツールも増えています。例えば、当社で扱う分析ツールAmplitudeもさまざまな施策ツール(MAや広告など)への連携がAPI不要となっています。
「Best of Breed(ベストオブブリード)」について詳しくはこちら
データ連携に新しいソリューションも
一方で、データが溜められているDWH(データウェアハウス)から外部のツールへのデータ連携の際は、コネクタがない場合が多くAPI連携が必要とされてきました。しかし最近では、リーバスETL※という考え方が取り入れられ、DWHからさまざまなツールへのデータ連携がAPI開発不要でできるようになっています。
API連携不要でデータ連携を可能にする、リバースETLについて以下で解説しています。
また、最短数分でデータ連携ができるリバースETLツール「Hightouch」の詳細はこちら
APIの提供方法
APIの種類として、先の章ではWeb API、ネイティブAPI(OS)、ランタイムAPI(プログラミング言語)、データベースAPIといった区分、また、Web APIの中にも通信形式に応じてREST APIやSOAPといった種類があることを紹介しました。ここではAPIの提供方法によるAPIの分類を紹介します。
オープンAPI
オープンAPIは、誰もが使えるAPIを指します。
オープンAPIの中でも、登録すれば誰でも利用できるAPIをパブリックAPI、有償契約などを締結したユーザーだけが使えるAPIをビジネスAPI、また一定のコミュニティメンバーのみが利用できるAPIをメンバーAPIなどと呼ぶこともあります。オープンAPIは利用登録や契約、審査などの手続きはありますが、基本的には条件を満たせば誰もが使えるAPIです。
クローズドAPI
クローズドAPIは、オープンAPIと対になる概念で、限定された人にだけ提供される前提のAPIです
一般にクローズドAPIという場合には、社内や組織内でのみ使われるAPIを指します。また、提携先などのパートナー企業にのみ提供されるパートナーAPI、特定の開発者やユーザーのみが利用するプリベートAPIなどもクローズドAPIの一種といってもよいでしょう。
よく使われるWeb API事例
X(旧Twitter)API
X(旧Twitter)APIは、X(旧Twitter)の機能とデータにアクセスできるAPIです。X(旧Twitter)APIを使うことで、ツイートの投稿と管理、ユーザー情報の取得、リアルタイムデータの取得、アナリティクスとデータ分析、認証と認可といったことが可能です。
例えば、X(旧Twitter)を含めたSNS運営をサポートするツール、また、SNS上における自社ブランドやサービスの口コミを収集・分析するようなソーシャルリスニングやSNS分析ツールなどは、こうしたX(旧Twitter)APIを用いて開発されていることが殆どです。
GoogleAPI
GoogleAPIは、Googleが提供する各種サービスに連携できるAPIの総称です。
Googleが提供するサービスは個人が利用しているGmailやGoogle Drive、Google Calendar、Google Mapなどのサービス。企業向けのプロダクトプラットフォームであるGoogle Workspace(旧G Suite、Google Apps)。また開発環境であるGoogle Cloud Platformまで多岐に渡ります。その中で各サービスに対応したGoogle Maps API、Google Drive APIなどのAPI連携が提供されています。
AmazonAPI
AmazonAPIは、Amazonのプラットフォームやサービスと連携できるAPIの総称です。大きく2種類あり、Amazonに出品して販売を行うユーザーのためのSelling Partner API(旧Amazon Marketplace Web Service API/MWS API)とアフィリエイターのためのAmazon Product Advertising APIです。
Selling Partner API(旧Amazon Marketplace Web Service API/MWS API)は、Amazonマーケットプレイスで販売する出品者やベンダーが利用できるAPIです。商品データの一括登録や更新、削除したり、注文管理や顧客対応を自動化したり、売上情報を取得して分析したりするといった販売に関連する作業を効率化することができます。
また、Amazon Product Advertising APIはアフィリエイトによる商品リンクや広告実装を支援するAPIです。利用することで、サイトやアプリ内にAmazonの商品画像や詳細情報、比較情報などを容易に組み込めます。
LINE API
日本においてコミュニケーションインフラとして浸透しているLINEが提供しているAPIがLINE APIです。
LINE APIには、LINEアカウントを使って他のサービスにログインできるLINEログイン、LINEのメッセージ送信機能を外部と連携させて使うLINE Messaging APIなどがあります。また、企業の顧客データベースと企業などが提供するLINE公式アカウントの友だち情報を、自社のMAやCRMツールと連携させるといった取り組みもLINE APIを使って実装されます。
Salesforce API
世界トップクラスのCRM/SFAベンダーであるSalesforceでもAPI連携を提供しています。
CRM/SFAという特性上、たとえば、基幹システムであるERPやコールセンターなどの問い合わせ管理システムと連携することも多いですし、最近のマーケティングツールはSalesforceが提供するAPI連携を通じて「自社のSalsesforceデータと連携できます」というものが非常に多くなっています。マーケティング分野であれば、MAツール、名刺管理ツール、アクセス解析ツール、LINE連携ツール、企業データベースなど、本当にさまざまな領域でSalesforce APIを活用したマーケティングや営業管理ツールが開発・提供されています。
独自APIによる連携
API連携機能の開発は、そこまで難易度が高いものではありません。従って上述したような巨大サービスではなくても、独自APIを開発してツール連携を実現しているサービスも多くなっています。
最近のクラウドサービスは専門特化したツールも増えていますが、一方で、ビジネスにおけるデータ管理がある猟奇だけで独立して存在することは殆どありません。たとえば、従業員データであれば採用から勤怠管理・給与管理・人事評価、マーケティングにおける顧客データであればリード獲得からSFA/CRM・アクセス解析、資材データであれば購買管理とERPなど、殆どのデータは前後のプロセスと連携して動いていますし、連携させることで利便性が高まります。従って、クラウドサービスが独自APIによる連携機能を提供することで他サービスとの連携性を高め、競争力としているケースも見られます。
いかがでしたか。APIの解説から、API連携の仕組みやメリットを詳しくご紹介しました。
近年ではマーケティング活動にもAPI連携は幅広く活用され、システム・ツール間でのデータ連携を進める企業が多くなってきています。データの民主化の時代が到来し、マーケターの皆様にもだいぶ身近なワードになってきたのではないでしょうか。
さらに最新鋭のツールではAPI連携さえ不要で、DWH(データウェアハウス)やMAツールのデータ連携を可能にする、リバースETLと呼ばれるものもあります。データ連携についてお悩みの企業様、ぜひご覧ください。