みなさま、こんにちは!
マーテックツールを扱うチームでデータ周りの支援を行なっている株式会社DearOneの石橋です。
今回は行動分析ツールであるAmplitude(アンプリチュード)のポートフォリオ機能についてご紹介していきます!
ポートフォリオ機能を活用すれば、複数のプロダクトやブランドに存在するユーザーの行動データを横断的に統合して分析することが可能になります。
Amplitude(アンプリチュード)とは?
ポートフォリオ機能のご説明の前に、Amplitudeをご存じない方向けにご紹介します。
Amplitudeはアメリカ発の行動分析ツールで、世界では46,000サービス以上、日本国内でも1,700サービス以上で導入されているプロダクトアナリティクスツールです。
WEBやアプリ内でのユーザーの行動分析を得意としており、2021年9月にはNasdaqへ上場するなど非常に注目されているツールです。
国内事例としては不動産情報サイトのLIFULL HOME’Sやスマホ決済サービスのd払いなど業界大手のBtoCサービスで多くの導入実績があります。
Amplitudeの詳しい機能については以下をご覧ください。
Amplitude(アンプリチュード)ポートフォリオ機能とは?
ポートフォリオ機能は、一つの企業で複数のブランドやサービスを展開している場合などに、ひとりのユーザーの動きをブランドをまたがって計測できる機能です。
ポートフォリオ機能を利用することで以下のような分析が可能になります。
- 一人のユーザーが複数のECブランドで買い物をして、溜まったポイントをどのブランドで使う傾向があるかを知りたい
- 複数の金融サービスを利用するロイヤルユーザーになるための先行指標を把握し、キャンペーン企画に活用したい
- 相性の良いサービスを確認し、相互送客したい
Amplitude(アンプリチュード)ポートフォリオ機能の特徴とメリット
通常、Amplitude を利用する際にはブランドごとにAmplitude 内にプロジェクトを作り、そこにユーザーの行動イベントデータを貯めていきます。
Amplitudeのポートフォリオ機能を使うと、同じAmplitude環境内にある複数のプロジェクトのイベントデータをひとつのポートフォリオ環境に統合できます。このプロジェクトの統合は、各プロジェクトのユーザーIDとして同じIDが設定されていれば、Amplitude上の管理画面から数クリックで統合可能です。
Amplitudeのポートフォリオ機能では、イベントセグメンテーションチャートやファネルチャートなど通常のプロジェクトと同じチャートを利用できます。
またポートフォリオ機能を利用する際に発生する費用はポートフォリオ自体のアドオン費用のみで、統合によるイベント数の追加課金が発生しないのもポイントです。
この機能を活用することで、各プロジェクトではそれぞれのブランドメンバーが詳細な分析を行い、ポートフォリオではブランド統括メンバーがブランドを横断した分析を行う、など組織形態や分析目的に応じた使い分けが可能になります。
Amplitude(アンプリチュード)ポートフォリオ機能でのデータ統合
では実際にポートフォリオ機能を使うとデータはどのように統合されるのでしょうか?
ポートフォリオ機能では各プロジェクトに存在するイベントデータをユーザーIDを元に統合します。
今回はA・B・Cの3つのブランドを展開する架空の企業であるABCホールディングスを例にご説明します。
ABCホールディングスのAmplitudeのプロジェクト構成は以下の通りです。
ABCホールディングスにはブランド共通IDであるabc_idが存在します。
山田花子さんはabc_id = 0001のユーザーでブランドA・B・Cでそれぞれ行動履歴があり、それらの行動履歴はAmplitudeの各プロジェクトにイベントデータとして投入されています。
これらのブランドA・B・Cのイベントデータをabc_idを元にポートフォリオ機能で統合すると、山田花子さんのイベントデータは以下の様になります。
単体プロジェクトでは山田花子さんの各ブランド内での行動しか分かりませんでしたが、ポートフォリオ機能でブランドA・B・Cを統合することにより、山田花子さんの3ブランド横断での行動を可視化することが可能になります。
Amplitude(アンプリチュード)ポートフォリオの実際の画面
それではポートフォリオ機能で統合したあとの、実際の画面をご紹介していきます!
今回はAmplitude社にご協力いただき、公式デモ環境内にある「AmpliStore」と「AmpliTunes」の2つのプロジェクトをポートフォリオ機能で統合していただきました。
ポートフォリオのUIは通常プロジェクトと同じため、今までAmplitudeで分析を実施してきた方であれば違和感なく操作できるかと思います。
レフトモジュールのイベント選択領域には「AmpliStore」と「AmpliTunes」のイベントが表示され、以下のように異なるプロジェクトのイベントを1つのチャートで選択することが可能になります。
また通常プロジェクトと同じチャートを利用して複数プロジェクト横断での分析が可能となります。
※UserLookUp機能のみポートフォリオではご利用いただけません。
コホート作成やチャート保存、ダッシュボードやノートブックの作成など、分析以外の機能も通常のプロジェクトと同じくご利用いただけます。
ダッシュボードとノートブックでは通常プロジェクトとポートフォリオプロジェクトのそれぞれで保存したチャートがどちらも利用できるため、通常のプロジェクトとポートフォリオを横断したダッシュボードやノートブックが作成可能です。
Amplitude(アンプリチュード)ポートフォリオで可能な分析
複数のプロジェクトをポートフォリオで統合するとどのような分析が可能になるか、具体的な例を交えてご紹介していきます!
プロジェクトを横断してペルソナチャートでクラスターを作成する
Amplitudeをご利用中の皆様であればおなじみのペルソナチャートを活用すれば、プロジェクト横断でのユーザー行動の傾向を元にしたクラスターの作成が可能になります。
このようにポートフォリオ環境内でペルソナチャートを活用すれば個々のプロジェクトでは分からない横断的なユーザーの行動傾向を一瞬で掴むことができます。
複数のプロジェクトと高度な統計解析を備えたペルソナチャートを掛け合わせることで、今まで見つからなかった意外なユーザー行動が見つかるかもしれません。
単体プロダクト利用のユーザーと複数プロダクト利用のユーザーの比較
ポートフォリオを使えば、単体プロダクトを利用しているユーザーと複数プロダクトを利用しているユーザーの行動比較が可能になります。
以下の表の様に、プロダクトAとプロダクトBの利用状況ごとに3つのコホートを作成します。
分析時は作成した3つのコホートを設定することで、利用状況に応じたユーザーの行動傾向を確認することが可能になります。
また「単体プロダクト利用ユーザー」と「複数プロダクト利用ユーザー」の利用金額を確認したり、単体プロダクト利用から複数プロダクト利用に移行するきっかけになる行動を探ることも可能になります。
まとめ
今回はAmplitude(アンプリチュード)のポートフォリオ機能をご紹介しました。
最近では、複数プロダクトを横断で分析したいというお問い合わせを、多くのクライアントからいただいております。
今までのAmplitudeは単体プロダクトでの利用が中心でしたが、ポートフォリオ機能を利用することで、管理画面からたった数クリックで複数プロダクト横断の分析環境を構築することが可能になります。
Amplitudeやポートフォリオ機能にご興味がある方は、ぜひお気軽にお問合せください。