「データはあるのに、分析が進まない」
「数字の変化は追えても、理由を読み解くのに時間がかかってしまう」
「分析ツールを導入しても、使いこなせる人が限られている」
こうした声は、多くの現場でよく聞かれる悩みです。そんなデータ分析の課題に向き合うプロジェクトマネージャーやマーケティング担当者をサポートするために登場したのが、Amplitudeの「AIエージェント」です。
AIエージェントは、ChatGPTのように自然な言葉で質問するだけで、ダッシュボードや行動データを読み取り、指標の変化やその背景にある要因を整理して教えてくれる機能です。まるでデータに詳しい同僚に相談するような感覚で使うことができます。
※Amplitudeを契約していれば無料で利用できます。
本記事では、AIエージェントの特徴やユースケースを交えながら、どのように分析の課題を解消できるのかを、Amplitude活用のプロがわかりやすく解説していきます!
AmplitudeのAIエージェントとは?
Amplitudeは、ユーザー行動の可視化と分析に特化したプロダクトアナリティクスツールです。日本ではドコモやPanasonic、世界ではWalmartやIBMなど4,300社以上が活用しており、G2のプロダクトアナリティクス部門でも常にトップの評価を獲得しています。
Amplitudeをはじめ、多くの分析ツールでは、分析を行い、結果を読み解き、施策に落とし込むまでにどうしても人の手や判断が必要でした。
こうした分析から施策までの負荷を軽くするために登場したのが、Amplitudeの「AIエージェント」機能です。
AIエージェントは、AIが人の代わりにデータを読み解き、そこから導かれる分析示唆をもとに次の改善策を提案してくれる機能です。ChatGPTのように自然な言葉で質問するだけで、Amplitude上のデータを解析し、最適なチャートや分析結果を提案してくれます。

これまで人の判断に寄っていた分析プロセスが、AIを活用することで改善サイクル全体がぐっと速く回るようになります。

AIエージェントのユースケース
「AIが人の代わりに分析してくれる」と聞いても、正直どんなことができるのかイメージが湧かない、使いこなせるのか不安と感じる方も多いのではないでしょうか。
具体的な活用イメージを持っていただくため、実際の画面キャプチャをお見せしながら紹介していきます。
3つのユースケース
AmplitudeのAIエージェントには、目的に応じて使い分けられる3つのテンプレートがあります。(2025年11月現在)これらを使うことで、企業のマーケティング活動全体にAIを組み込むことができ、分析から改善までの流れを一気に高度化・高速化できます。
| ダッシュボードエージェント | 日々使用するダッシュボードを自動で読み取り、重要な指標の変化やその要因を分析 |
|---|---|
| セッションリプレイエージェント |
セッションリプレイを大量に分析しユーザーの「つまずき」や「離脱ポイント」を特定 ※セッションリプレイをオプション契約している場合のみ利用可能 |
| Webサイトコンバージョンエージェント | Webサイトのコンバージョンファネルを監視し、離脱の原因や改善の余地を発見 |
例えば、「ダッシュボードエージェント」は、これまで手作業で行っていた定型レポート作成のルーティン業務を大きく変えてくれます。
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こちらがダッシュボードエージェントの初期設定画面です。分析したいダッシュボードを選び、内容や注目してほしい指標を入力。さらに日次・週次などに合わせたプロンプトも用意されており、任意の期間を設定しておけば、AIエージェントが自動でデータを分析し、例えば毎週月曜の朝に示唆をまとめたレポートを届けてくれます。
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AIがデータの要点をまとめて届けてくれることで、担当者はレポート作成に追われることなく、考える時間や議論の時間を持てるようになります。
Webサイトコンバージョンエージェントを使ってみた
本メディアのお問い合わせ数最適化を目的に、Amplitudeの「Webサイトコンバージョンエージェント」を実際に使ってみました。
目標:お問い合わせ数を増やす
分析対象:お問い合わせフォームページ
ステップ① エージェントの設定
- 管理画面からAIエージェントをクリックし、使いたいテンプレート「ウェブサイトコンバージョンエージェント」を選択します。

- エージェント名と、最適化したいコンバージョンイベント(ここでは「お問い合わせ完了ページを表示」)を選択し、フローを実行します。

- AIエージェントが起動し分析が始まります。

ステップ② 改善案の自動生成
- 「お問い合わせ数を増やすにはどうフォームページを改善すればよいか?」分析開始からわずか数分で、4つの改善案が自動で表示されました。

- 画面右側に表示される改善策を詳しくみていきます。
画面右側には改善案がリスト化されており、各提案をクリックすると詳細を確認できます。
たとえば、フォームの通過率を上げるために、改善策として以下の施策が提示されました。
- 送信ボタンのコピー変更
- フォーム上部の案内文の修正
それぞれの改善策をクリックすることで、分析示唆、具体的な改善策(ABテストの提案)、期待できる効果が整理されており、どの施策から手をつけるべきかを判断しやすくなっています。
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ステップ③ 改善案を深掘りしてABテストへ
- 改善策を深掘りしていきます。
改善策の詳細画面から「戦略を探る」をクリックすることで、改善策のバリエーションを出してくれます。
例えば、送信ボタンのコピー変更を行う場合、どのようなコピーにすればよいか、ABテストのバリエーションを表示してくれました。
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- AIエージェントと改善施策をすり合わせします。
今回は「送信ボタンのコピー変更」を選択。
現状のボタン文言と、AIが提案したバリエーション1「今すぐ無料で相談」でテストを行うことにしました。

自然言語で「ABテストを作成して」と依頼すると、右側にABテストのプレビューが数分で生成されます。生成されたABテスト案を削除することや、内容を変更することも簡単にできます。
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- 改善施策を実行します。
AmplitudeのABテスト機能を活用すれば、提案された改善策をそのまま実行につなげられます。もちろん、アナリティクス機能のみでも分析から改善施策出しまで、十分にAIエージェントの機能の良さを実感していただけます。

ここまでの作業(分析〜改善施策出し)にかかった時間はわずか10分ほどでした。
これまで数時間かかっていた仮説立案〜施策設計の工程を、AIがサポートしてくれることでかなりスピーディに進められました。
使ってみて感じた3つのメリット
実際にAIエージェントを使ってみて感じたメリットをご紹介します。
分析に取りかかるハードルが下がる
AIエージェントを使って感じた一番の変化は、「まず分析してみよう」と思えるまでの心理的ハードルが下がったことです。
これまでは分析したい内容はあるものの、どの指標を見ればいいのか、どのチャートを使えばいいのかを考える時間が必要でした。
AIエージェントならテンプレートを選んで、分析対象や目指す状態を登録するだけで、すぐに分析と提案が返ってきます。どこから手をつければよいか迷う時間がなくなり、行動に移すスピードが格段に上がりました。
データ分析だけで終わらない
多くの企業で「分析はしているものの、改善施策までなかなかつながらない」という課題をよく耳にします。
AIエージェントの大きな特徴は、分析結果から次に取るべき行動を自動で提案してくれることです。これまで時間を要していた分析結果をもとに施策を考えるプロセスを、短時間で実現できるようになります。
一部の人しか使えない状況をなくす
分析ツールを導入しても、実際に活用できるのは一部のデータ担当者に限られてしまうという課題もよく聞きます。
AIエージェントが出す改善案は、グラフや数値だけでなく、背景や次のアクションまでを文章で説明してくれます。そのため、データを解釈する専門的なスキルがなくても、読むだけで状況を理解することができます。
PMはもちろん、マーケターやエンジニア、デザイナーなど、職種を問わずデータに基づいた改善施策を立案できるようになり、結果として、チーム全体にデータを見る文化が根付いていきます。
AIエージェント活用の注意点
ここまでAIエージェントの魅力を中心にお伝えしてきましたが、導入するだけで勝手に成果が生まれるわけではありません。
AIが示してくれる分析や改善案はとても精度が高いものですが、それをどう解釈し、どんなアクションにつなげるのかは、人の判断にかかっています。提案をそのまま鵜呑みにするのではなく、自分たちの直感や現場で感じてきた肌感覚と組み合わせることで、初めて実際に効く施策へと落とし込むことができます。
AIエージェントはあくまで、意思決定を支援し、スピードと精度を高めるためのパートナーという位置付けで活用するのが望ましいと考えています。
Amplitudeで、分析と施策をもっと進めやすく
個人的にAIエージェントを使ってみて、コーヒー屋さんとのコミュニケーションのように感じました。「今日はどんな味にしますか?」などの小さなやり取りの積み重ねから、最適な一杯=最適な提案が生まれます。
そんな「会話のような分析体験」を実現したのが、AmplitudeのAIエージェントであり、AIがレポートをまとめてくれている間、私たちは企画や構想を練る時間に充てられるようになりました。
Amplitudeは「分析」機能をコアにしながら、データ活用に必要な機能をひとつのプラットフォーム上で包括的に提供しています。

AIエージェントは、その全体を横断して支援することで、データ取得 → 分析 →アクション の流れをよりスピーディーにしてくれるものです。

※ この図は、Amplitudeの各機能において、AIエージェントがどこを支援しているのかを示したものです。
使い方の一例として、AIエージェントがデータを読み取り、重要な変化やインサイトをまとめて提示した内容を、そのまま改善案としてガイド&サーベイ機能でポップアップ表示までつなげる、といった一連の流れで活用することもできます。
分析 → 改善案の生成 → 実際の表示までをシームレスにつなげられるので、素早く次のアクションに進める点が大きなメリットです。
DearOneのAmplitude導入/活用支援
DearOneは、Amplitudeの国内パートナーとして、日本企業での豊富な導入・活用実績を持っています。ツールの導入支援だけでなく、定着に向けたオンボーディングや、Amplitudeに精通したコンサルタントによるワークショップ、分析代行、施策設計のサポートも提供しています。
「AIエージェントを活用してみたい」「もっと分析しやすい環境をつくりたい」という方は、お気軽にお問い合わせください。
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