アプリのユーザーエンゲージメントを向上させるための施策として、プッシュ通知の配信に取り組んでいる企業も多いと思います。プッシュ通知は、ユーザーに対して情報を効果的に伝えるためのアプローチであり、ユーザーエンゲージメントの向上に寄与する重要なマーケティング施策の一つです。
しかし、プッシュ通知は「通知を許可」したユーザーにのみ配信されるため、魅力的なメッセージの配信と同様に、許諾率を上げる取り組みも重要となります。
本記事では、OSや業界ごとの平均的な許諾率や、許諾率を上げる効果的な施策について詳しく解説しています。
プッシュ通知の許諾率とは?
プッシュ通知の許諾率とは、アプリユーザーのうち、プッシュ通知の受信を許可しているユーザーの割合を指します。
プッシュ通知の許諾は、アプリをインストールし起動した際に表示されるポップアップでユーザー自身が選択でき、許可をするとアプリからお知らせやキャンペーン情報などのメッセージが届くようになります。
プッシュ通知の許諾率は、ユーザーの利用頻度やアプリの機能、コンテンツなどによって異なります。一般的に、ユーザーがアプリを頻繁に利用している場合や、アプリの機能やコンテンツが有益である場合に許諾率が高くなる傾向があります。
許諾率の重要性とその影響
プッシュ通知の許諾率は、KPIの達成をバックアップする重要な指標となります。
許諾率が向上すると、プッシュ通知によりメッセージを配信できるユーザー数を大幅に増やすことができます。
プッシュ通知の許諾率が向上すると、多くのユーザーに効率よく情報を配信することができるため、キャンペーン効果を大幅に高めることができます。
プッシュ通知の許諾率
前述のとおりプッシュ通知の許諾率はキャンペーンにおける重要な指標となりますが、許諾率はOSやアプリの種類によって大きく異なる場合があります。
実際に、OSや業種によりプッシュ通知の許諾率がどのくらい違うのかを見てみましょう。
OS別の許諾率
ngrow社の調査では、各OSで次のような許諾率の違いが報告されています。
iOSは、プッシュ通知を受けるためには従来からユーザーの許諾が必要であるため、平均的な許諾率は40%となっています。
一方でAndroidは、2022年8月にリリースされたAndroid13以降はiOSと同様にユーザーによる許諾が必要となりましたが、Android12以前はユーザーの許諾を取る必要がなく、インストールした時点で通知が許諾されていたため、バージョンによって大きな差が出ていることが分かります。
国内のAndroidユーザーのうち、Android13の比率は36.8%*12023年8月現在 モバイルマーケティング研究所に上り、リリースから徐々に移行が進んでいます。
アプリ種類別の許諾率
プッシュ通知の許諾率は、アプリの種類によっても異なります。
カスタマーエンゲージメントツールを提供するMoEngage社が、アジアや欧米などさまざまなエリアで調査した、Android13のアプリ種類別の許諾率は以下のような内訳となっています。
金銭にかかわる取引など、重要な情報が配信されることが多い銀行アプリの許諾率が最も高い結果となっています。
一方で、許諾率が低い傾向にあるのがEC系のアプリです。EC系アプリは、プッシュ通知などのキャンペーンが盛んに行われることが多いため、許諾しないユーザーが他の業種より多くなっていることが予測されます。
アプリの種類による許諾率の違いはあるものの、許諾率を上げるためには、ユーザーが快適にアプリを利用できるような顧客体験の設計が重要となります。
プッシュ通知の許諾率を上げる取り組み
プッシュ通知の許諾率を上げるためには、プッシュ通知を受け取るメリットをユーザーに理解してもらうことが必要です。以下では、具体的な取り組みを3つ紹介します。
アプリ内メッセージでプッシュ通知のメリットを訴求する
ユーザーがプッシュ通知を許諾する理由は、アプリの最新情報を受け取りたい、お得な情報を受け取りたいなどさまざまです。アプリ内メッセージを活用して、ユーザーが許諾するメリットを明確に伝えることで、許諾率の向上を狙うことができます。
ただし、アプリ内メッセージの配信タイミングや頻度にも留意する必要があります。意図しないタイミングの配信やメッセージを受け取る頻度が多すぎると、逆にユーザーに不快感を与える恐れがあります。
以下では、効果的なアプリ内メッセージの配信タイミングを紹介します。
【新規ユーザ向け】アプリ起動時
初回起動時に、通知OFFを選択した新規ユーザーに対し、再度プッシュ通知の許諾を訴求します。新規ユーザーはアプリの利用頻度が高い傾向にあるため、アプリへの期待度が高いうちにメリットを訴求できれば、許諾率の向上につながります。
「最新情報」や「アプリ限定」「期間限定クーポン」など、ユーザーにとってメリットのあるメッセージを複数試しながら、新規ユーザーに好まれる傾向を分析することでより効果を高めることができるでしょう。
【既存ユーザー向け】会員登録やお気に入り追加などのイベント後
アプリをインストールして一定期間が経過した既存ユーザーへは、ポジティブな行動を行った後にアプリ内メッセージを表示させるのが効果的です。例えば、以下のようなケースが挙げられます。
- 新着情報を見た後→プッシュ通知でお知らせできる
- 商品を購入した後→プッシュ通知で配送状況や購入履歴に基づいたおすすめ商品をお知らせできる
- 商品をお気に入りに追加した後→プッシュ通知で入荷をお知らせできる
- 会員登録をした後→プッシュ通知でクーポン付与、セール開始をお知らせできる
会員登録やお気に入り追加など、ユーザーが前向きな行動を取っている時は、アプリへの期待度や満足度が高まっている状態と推測できます。その上で、ユーザーが取った行動に紐付けてプッシュ通知のメリットを訴求できれば、ユーザーのストレスを抑えて許諾可否を選択してもうことができます。
配信するカテゴリをカスタマイズする
アプリに多くのカテゴリがある場合、全てのカテゴリの情報を届けてしまうと、関係のないプッシュ通知が届いてしまうことを懸念して、プッシュ通知の許諾を見送るユーザーも多いでしょう。
カテゴリが多い場合は、ユーザーの興味・関心に合わせてユーザーが受け取りたい情報だけを届けられるように、ユーザー自身で通知を受け取るカテゴリを選べるようにすることが効果的です。
プッシュ通知=自分自身に関係のある情報と認識してもらえるため、ポジティブに許諾してもらうことができます。
パーソナライズされたプッシュ通知を配信する
プッシュ通知を許諾もらっても、配信されるメッセージが合っていない、頻度が多すぎるという印象を与えると、許諾を取り消される可能性があります。さらに、アプリへのエンゲージメントの低下を招き、プッシュ通知がアンインストールの原因になってしまうこともあります。
パーソナライズされたプッシュ通知とは、ユーザー個人の属性情報や行動情報が考慮された通知を指します。例えば、ファッション系ECアプリの場合、性別や年齢、購買履歴、よく見るコンテンツなどを加味し、お勧めするアイテムやメッセージを変えることで、ユーザーに不快感を与えないコミュニケーションができるようになります。
これらのポイントを押さえることで、プッシュ通知の許諾率を維持・向上させることができます。また、許諾率を上げることで、ユーザーとの接点が増え、リテンション率やコンバージョン率の向上にもつながります。
許諾率を上げるためにMoEngageでできること
MoEngageとは、AIを活用した高度なパーソナライズ機能が多数搭載された、アジアNo.1*2【G2 Spring 2023】で「Mid-Market&Small Business Market Leader」を獲得(アジアエリア)のカスタマーエンゲージメントツールです。
許諾率を上げるためにはツールの活用も効果的であり、MoEngageが許諾率を上げるために、どのようなことができるのかご紹介します。
許諾率の把握と追跡
許諾率を上げるための最初のステップは、プッシュ通知を許諾しているユーザーの割合を知ることです。
次に、許諾率の推移をモニタリングし、分析します。「許諾していたのに許諾を取り消した」「許諾していなかったのに許諾に変えた」などのユーザー行動の変化に注目することで、許諾率が増減する要素が何なのかを理解し、効果的な施策につなげることができます。
MoEngageでは、許諾率などの主要指標の可視化と、関連するユーザー行動の深堀分析を簡単に行うことができます。
アプリ内メッセージ配信のタイミングとコンテンツの指定
アプリ内メッセージの配信は、プッシュ通知の許諾を促す効果的な手法です。
MoEngageでは、ユーザーの属性(性別、年代、新規/既存 など)や行動(会員登録、ログイン、商品購入など)を指定して、効果的なタイミングでアプリ内メッセージを簡単に配信することができます。
MoEngageには他にも、AIを活用して顧客行動を予測する機能や、RFMセグメントを自動作成する機能など、顧客のエンゲージメント向上をサポートする仕組みが充実しています。MoEngageについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
まとめ
本記事でお伝えしたように、プッシュ通知の許諾率は、キャンペーンを効果的に行うための重要な指標であることがお分かりいただけたかと思います。
プッシュ通知は、本来ユーザーにとって有益なメッセージを配信できるものですが、配信内容や頻度によっては、ユーザーに不快感を与えてしまい許諾率が下がってしまう恐れがあります。そのため、許諾率を追跡しながら、継続的に施策をチューニングしていくことが大切です。
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*1 | 2023年8月現在 モバイルマーケティング研究所 |
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*2 | 【G2 Spring 2023】で「Mid-Market&Small Business Market Leader」を獲得(アジアエリア) |