プロダクトアナリティクスツールとして、AtlassianやInstacart、NBCUniversal、Shopify、Under Armourなど世界で1,700社を超える顧客のグロースマーケティングを支援しているAmplitudeに3つの新機能が追加されました。
- 単一のシステムで指標の可視化ができる「キャンペーンレポーティング」
- より精度の高い意思決定を可能にする「Experiment Results」
- 業界初のインサイト主導型カスタマーデータプラットフォーム 「Amplitude CDP」
今回追加された上記3つの新機能について紹介しますので、Amplitudeの導入を検討している方や、新機能について理解を深めたい方はぜひ参考にしてみてください。
Amplitude(アンプリチュード)とは?
Amplitude(アンプリチュード)はプロダクトアナリティクス・ソリューション市場の中で最高クラスの製品であり、ITレビューサイトのG2が発行した2022 Spring Report*1https://info.amplitude.com/G2-Product-Analytics-Reportにおいてナンバーワンの評価を獲得しています。近年注目を浴びている「ユーザー行動分析」を誰もが簡単に素早く行うことが可能で、ユーザー行動の特徴量と行動変容を見つけるための深掘り分析や、セグメント抽出がSQL不要で簡単操作で行えます。
Amplitudeは、デジタルプロダクトアナリティクスの「Amplitude Analytics」とデジタルパーソナライゼーションの「Amplitude Recommend」「Amplitude Experiment」というツールを備えたデジタル最適化の統合システムです。
「Amplitude Analytics」はデジタルチーム向けのプロダクトアナリティクスツールNo.1であり、どの機能と顧客行動が成果に繋がり、どこを強化すべきなのかなどのユーザーインサイトを簡単な操作で入手可能です。
「Amplitude Recommend」は、パーソナライゼーションに関するワークフローの全ての作業、全ての段階、全てのステークホルダーに対応する、初めてのセルフサービス型パーソナライゼーションプラットフォームです。
「Amplitude Experiment」は、ユーザーの行動をA/Bテストとローアウトワークフローに埋め込み、チームの主要セグメントのエクスペリエンスを迅速に学習し、適応させることができます。
【新機能】単一のシステムで指標の可視化ができるCampaign Reporting(Campaign Reporting)
プロダクトアナリティクスツールである「Amplitude Analytics」に、企業のデジタルマーケティングへの投資に対してセルフサービス型のインサイトを提供する「Campaign Reporting(Campaign Reporting)が追加されました。
この新機能によって、マーケティング活動のキャンペーンやパフォーマンスについて、ユーザーエンゲージメントやリテンションなどのプロダクトに関する重要指標とともに測定できるようになりました。
今回のAmplitude Analyticsで強化された機能は主に下記の3つです。
- Campaign Reporting
- メトリクス
- データテーブル
特徴1・Campaign Reporting
ユーザーがどのチャネルから流入しているのか、オーガニックなソースかそれとも広告などの有料のソースなのかを確認可能となります。また組み込みのアトリビューションモデルにより、マーケティングプログラムがプロダクトのKPIにどのように影響を与えているのかを分析可能です。さらに、新たな広告データプラットフォームと連携したことで、広告に費やしている費用の効果をクロスチャネルで把握することができます。
特徴2・メトリクス
マーケティング活動において目指すべき指標となる「メトリクス」を迅速に設定可能です。プロダクトチームやマーケティングチームはメトリクスを見つけ出すことで、売上や収益などの成果とユーザー行動の関連付けを把握します。プロダクトに関わる複数のチームがビジネスにとって最も重要となる指標に基づいて連携し、データに裏付けされた信頼性の高いインサイトによってより迅速な意思決定が可能となるでしょう。
特徴3・データテーブル
複数のKPIを単一のビューで測定し、自社の事業について比較や意思決定をすることができます。また、タイムテーブルによってマーケティングおよびプロダクトチームは、カスタマージャーニー全体にわたる指標を同時に分析することが可能です。
米国のMVNOであるMint MobileでDirector of Digital Insights and Analyticsを務めるSheena Green氏は、「Campaign Reporting」の使用感について以下のように述べています。
「Amplitudeを使うことで、『オンライン通販チャネルが新規顧客のアクティブ化にどのように貢献しているか』など、当社の事業における最重要指標に対する答えを得るまでの時間を短縮できました。新機能のキャンペーンレポーティングと組み込みのアトリビューションモデルによって、顧客の獲得から維持、収益化までのカスタマージャーニー全体を理解することが可能になりました。そして、『どのチャネルやキャンペーンが収益を牽引しているのか』といった、プロダクト成長の各種指標を完全に把握できるようになりました」
【新機能】より精度の高い意思決定を可能にする「Experiment Results」
デジタルプロダクトのA/Bテストソリューションである「Amplitude Experiment」に新機能「Experiment Results」が追加されました。この新機能によって、自社で既に購入済みの機能フラグ(フィーチャーフラグ)を使用しながら、Experiment ResultsでA/Bテストの計画、追跡、分析を行い、より精度の高い意思決定が可能となります。
他にもExperiment Resultsでは、プロダクトチームは基本的な機能配信インフラを維持したまま、データサイエンスによって承認されたテスト分析をセルフサービスで行うことが可能です。また、AmplitudeにA/Bデータを送信するだけで、Experiment Resultsが露出度、統計的有意性、メトリックリフトを分析します。プロダクトチームは、より多くの実験をより迅速に実行し、より速く革新し、最終的にはより良いプロダクトへの意思決定をより迅速に行うことが可能となるのです。
他にもこの新機能では、プロダクトチームが自ら実験を分析するためのセルフサービスツールを提供し、実験分析における長い手作業プロセスを取り除くことで、プロダクトチームはチェックアウトフローの改善、トライアルサインアップ、地域別パーソナライゼーションなどを、これまで以上に迅速に繰り返すことができます。
Experiment Resultsには主に下記、3つの特徴があります。
- マルチメトリック・カジュアル分析
- ダウンストリーム分析
- 目標設定と、次のステップの自動提案
それぞれについて紹介します。
特徴1・マルチメトリック・カジュアル分析
1つ目の特徴である「マルチメトリック・カジュアル分析」では、カジュアルかつ統計的に分析可能です。例えばプロダクトの変更によってユーザーの平均注文金額が増加したかどうかを判断するなど、カジュアルでありながらも、統計的にテスト結果を出せるようになります。さらに、Amplitude Results上では逐次テストとt検定*2t分析を利用する検定方法の総称の両方を利用でき、測定基準の定義から、データ分析、結果の抽出までの作業工程の削減が可能です。
特徴2・ダウンストリーム分析
2つ目の特徴である「ダウンストリーム分析」では、事前に定義された測定基準と、事前に入力されたチャートにより、A/Bテストから意思決定までをスムーズに行えるようになります。また、Amplitudeの特徴でもある直感的で、操作のしやすいダッシュボードにより横断的にテストの結果を共有できるため、より現場に近いチームの分析まで円滑に進めることが可能です。
特徴3・目標設定と、次のステップの自動提案
Experiment Resultsでは適切な目標設定ができるようにガイドしてくれます。さらに統計的に優位なA/Bテストになっているかどうかを自動で判断したり、テスト後に次の施策に関するステップを自動で提案したりしてくれるため、作業工程の削減も可能です。
【新機能】業界初のインサイト主導型カスタマーデータプラットフォーム「Amplitude CDP」
Amplitude CDPは、業界初となるインサイト手動型カスタマーデータプラットフォーム(以下、CDP)です。業界をリードする分析ソリューションであるAmplitude Analyticsと完全に統合されているAmplitude CDPを使用することで、プロダクトチームとマーケティングチームはデータ品質の向上、新しいオーディエンスの分析と発見、マーケティングとデータスタック間のデータの同期を積極的に行うことができるようになります。
Amplitude CDPは、分析能力の向上による意思決定の改善、よりターゲットを絞った体験による顧客エンゲージメントの向上、データの一元管理による効率性の改善を実現可能にするCDPです。Amplitude CDPは、デジタル製品を開発する多くのチームにとって、実用的なインサイトに至る効率的なツールとなるでしょう。
Amplitude CDPの特徴と、導入することで得られるメリットは下記の通りです。
特徴
- 統一されたユーザーインターフェース
- イベントストリーミング
- ターゲット層のリアルタイム同期
- 開発者向けツールキット
メリット
- データ品質の向
- ターゲット層の発見を支援
- コストの削減
- 短時間でインサイトを抽出
特徴1・統一されたユーザーインターフェース
統一されたユーザーインターフェースであるため、操作が容易です。全てのデジタル分析のユースケースに運用できる単一のタクソノミーを作成し、一貫したデータの収集と取り組みが可能となります。
タクソノミー設計については「データをゴミにするか宝にするかはタクソノミー設計次第で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
特徴2・イベントストリーミング
AmplitudeのData Connectionsのカタログにあるノーコードで設定可能なUIを通じて、マーテックやアトリビューションを提供するベンダーと容易に連携することができます。さらにベンダーだけでなく、Amazon Kinesis*3ストリーミングデータに対してリアルタイムで収集・処理・分析できるービス、Google Pub/Sub*4Googleが提供するクラウド型メッセージングサービスなどのデータパイプラインにデータを連携可能で、事業成長のスピードも上がることでしょう。
特徴3・ターゲット層のリアルタイム同期
Amplitude CDPでは、ターゲット層のリストを1分ごとに更新します。マーケティングキャンペーンにおいて、顧客のリアルタイム行動に基づく「今この時」のオファーを打つことができるようになるのです。例えば、顧客が商品を見た直後やショッピングカートを放棄した直後に、プッシュ通知や広告を送ることで、再開を促せるでしょう。
個々のユーザーに適したコンテンツを、適切なタイミングで提示することで、エンゲージメントを促進できます。
特徴4・開発者向けツールキット
開発者と共にトラッキングプランを定義する、業界最高水準のツールキットで開発者の作業時間を短縮するとともに、トラッキングライブラリによってタイプミスやプロパティの設定漏れ、一貫性のない命名規制などの発生を事前に防ぐことで、データ検証の自動化を進めることができます。
導入で得られるメリット1・データ品質の向上
Amplitude CDPを導入することで、品質の高いデータを収集、管理、活用することができるようになります。品質の低いデータを収集しても、大きな成果をあげることにはつながりません。Amplitude CDPではデータのプランニングとガバナンスの機能を組み込んでおり、データの品質を維持し、信頼の高い管理を実現可能です。
導入で得られるメリット2・ターゲット層の発見を支援
Amplitude DCPでは、高度なセグメンテーションとアナリティクスを組み合わせることで、インサイトに基づいたターゲット層の把握が容易になります。従来のCDPでは、企業がターゲットとなる顧客層を既に把握していることを前提としていることがほとんどです。しかしそれでは、データを収集した後はすぐにターゲット層のアクティベーションとセグメンテーションに進むフローとなっています。
Amplitude CDPでは、インサイトに基づいたターゲット層の把握が可能となるため、アクティベーションの前に、今後の活性化が見込まれるターゲット層を見つけ出し、エンゲージメントの最大化を図ることができるようになるでしょう。
導入で得られるメリット3・コストの削減
Amplitude CDPを導入することで、コスト削減が実現可能になります。アナリティクス機能を搭載しているため、データ基盤とアクションにつながるインサイトを抽出するアナリティクスを単一のプラットフォームで提供でき複数のツールを利用する必要がありません。
導入で得られるメリット4・短時間でインサイトを抽出
Amplitude CDPにはプロダクトアナリティクスが組み込まれているため、部署の垣根を超えてデータを共通言語として会話できるようになります。プロダクトの開発とグロース、マーケティングなどを担当する複数のチームが、共通言語(データ)を通して、それぞれインサイトに基づくアクションを取れるようになり、インサイト抽出を短時間で行えるようになるでしょう。
オーガニック食材のオンラインストアを運営するThrive Marketの共同設立者兼CTOであるSasha Siddhartha氏は、「Amplitude CDP」の使用感について以下のように述べています。
「ビジネスの成長には、カスタマージャーニーにおけるあらゆるタッチポイントの把握、管理、理解が必要です。これらを単体でカバーできるデータ基盤がなければ、お客様の行動を理解し、正確な予測を得ることはできません。また、当社の事業は急成長しているので、テクノロジースタックはシンプルにしつつ、ユーザーとデータ量の増加に合わせて簡単に拡張できる堅牢なデータ基盤に投資したいと考えていました。すでにAmplitudeの高度な分析機能を利用していたので、Amplitude CDPは強力でコスト効率の高いソリューションでした。Amplitude CDPによって、ストア会員を360度の全方位から理解できるようになり、1対1のパーソナライズと顧客生涯価値(LTV)の向上に注力できるようになりました」
まとめ
ユーザー行動分析ツールであるAmplitudeに「Campaign Reporting」「Experiment Results」「Amplitude CDP」、3つの機能が追加されました。「Campaiign Reporting」では、マーケティング活動のキャンペーンやパフォーマンスについて、ユーザーエンゲージメントやリテンションなどのプロダクトに関する指標と共に測定できるようになりました。
マルチメトリック・カジュアル分析などの特徴を持つ「Experiment Results」では、自社で既に購入済みの機能フラグを使用しながらA/Bテストの計画、追跡、分析を行い、より精度の高い意思決定をすることが可能となります。
ターゲット層のリアルタイム同期などの特徴を持つ「Amplitude CDP」では、分析能力の向上によって意思決定の改善、ターゲットを絞った体験による顧客エンゲージメントの向上、データの一元管理による効率性の改善が可能です。
それぞれの機能を理解して使いこなせると、より大きな成長にも繋がることでしょう。
*1 | https://info.amplitude.com/G2-Product-Analytics-Report |
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*2 | t分析を利用する検定方法の総称 |
*3 | ストリーミングデータに対してリアルタイムで収集・処理・分析できるービス |
*4 | Googleが提供するクラウド型メッセージングサービス |