「AmplitudeとMixpanelの違いは?」
「自社にはどちらのツールが適しているのか」
プロダクト分析ツールを選定する企業様から、よくこのようなご質問をいただきます。実際にAmplitudeとMixpanelは、プロダクト分析ツールとして高い評価を受けている代表的なツールです。
本記事では、AmplitudeとMixpanelそれぞれにデータを入れて、UIや分析スピード、どのような分析ができるのかなど、ツールの違いを検証した内容や、ツールの特長から適した企業について解説します。
AmplitudeとMixpanelの共通点
まずは、AmplitudeとMixpanelの共通点について見ていきます。
ツールの位置付け
AmplitudeとMixpanelは、プロダクト分析プラットフォームの分野における代表的なツールです。両ツールともユーザー行動分析とプロダクト改善に焦点を当てており、データドリブンな意思決定をサポートします。
コーディング不要でデータを分析・可視化する強力な機能を提供し、プロダクトチーム、マーケティングチームなど、組織横断でのデータ活用を促進する役割を果たしています。
データ構造
AmplitudeとMixpanelは、共にイベントベースのデータ構造を採用しています。この構造では、ユーザーIDを中心に、イベント、イベントプロパティ、ユーザープロパティが紐づいています。これにより、各ユーザーの詳細なプロファイルが形成され、きめ細かな行動分析が可能となります。
このイベントベースの構造は、従来のテーブルベースのデータ構造や、「ページ」を主語にしたセッションベースのデータ構造とは一線を画します。ユーザーの一つ一つの行動をイベントとして捉えることで、個々のユーザーの行動パターンや嗜好をより正確に把握し、プロダクトの改善に活かすことができます。
ユーザー行動分析と、従来のセッションデータをもとにしたアクセス解析との違いはこちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:ユーザー行動分析とは?フレームワークや分析手法と利用ツールを解説
料金プラン
AmplitudeとMixpanelは、企業のニーズと予算に合わせて柔軟な料金体系を提供しています。両ツールとも、無料プランを起点として、組織の規模や機能要件に応じてスケールアップできる多様な料金プランを用意しています。
無料プランでは機能に一定の制限がありますが、各ツールの核となる分析機能を体験でき、自社のニーズに適合するかを十分に評価することができます。
さらに、両ツールはサンプルデータセットを使用したデモ環境を提供しています。自社データの準備が整っていない段階でも、ツールの機能や使い勝手を具体的に把握できます。
Amplitudeの無料プラン開設方法や使い方などは、こちらの記事で解説しています。
💡Amplitudeのお試し手順・基本操作ガイド
使用感
両ツールともに直感的にチャート(グラフ)やセグメントを作成できる機能を備えています。洗練されたUIで、複雑な分析タスクも容易に実行できます。また、両ツールとも日本語UIを提供しています。
他ツール連携
両ツールとも、データインポート・エクスポートにおいて多様なツールパートナーとの連携を提供しています。既存のデータ基盤やマーケティングツールとシームレスに統合し、より包括的な分析環境を構築することができます。
💡Amplitudeと連携可能なツール一覧
💡Mixpanelと連携可能なツール一覧
評価と実績
両ツールともに、プロダクト分析ツールにおいて高い評価を受けており、日本企業でも導入も広がっています。SaaS製品のレビュー・比較サイト「G2」における評価や、導入企業は以下の通りです。
Amplitude | Mixpanel | |
---|---|---|
G2の評価 (2025年3月現在) | ・レビュー数:2,264件 ・星評価:5点中4.5点 | ・レビュー数:1,145件 ・星評価:5点中4.6点 |
導入企業一例 | Walmart、DropBox、IBM、adidas、NTTドコモ、Panasonic、ORBIS、LIFULLなど | Uber、NETFLIX、Docusign、KKday、Rakuten Viber、貝印、Sansanなど |
使ってみて感じた相違点
実際にサンプルデータをインポートして、AmplitudeとMixpanelを比較してみました。両ツールとも、最小限のSDK設定で迅速にデータ収集を開始できます。また、データウェアハウスを含む様々なデータソースとの連携も可能です。
UIの比較
Mixpanelは親しみやすいポップな色使いが特徴です。設定項目が比較的少なく、分析ツールの初心者でも習得しやすい印象です。

一方Amplitudeは、Mixpanelと比較すると情報量がやや多めです。初めて使う方は設定項目の多さに戸惑うかもしれませんが、細かい項目まで日本語化されているため、ひとつひとつ設定を進めることで希望通りにデータを可視化できます。

分析スピードの比較
どちらのツールも、設定を完了するとすぐにチャートが表示されるため、ストレスなく作業をすすめることができます。
しかし、希望するアウトプットを得るまでの効率性では、Amplitudeが優位に立っています。
上述のように、AmplitudeはMixpanelと比較して設定項目が多いものの、深堀分析に必要な作業をチャート作成画面内で完結できる利点があります。一方、Mixpanelで複雑な分析を行う場合、別画面でのコホート作成など、複数の設定画面間の移動が必要となる場合があります。
分析機能の比較
両ツールの大きな違いは、Amplitudeが提供する分析チャートの種類と高度な分析機能の豊富さです。
まず、Amplitudeは分析用途に応じて14種類の分析チャートがあるのに対し、Mixpanelは6種類の分析チャートで構成されています。そして、深堀分析のためのさまざまな機能が備わっています。
ファネルチャートを例に比較してみましょう。
ECサイトの分析を例に 商品詳細 > カート追加 > 購入ファネルの離脱率を可視化するところまでは、両ツールともほぼ同じ操作で、かんたんに行うことができます。


さらに一歩進んで、カート追加 > 購入までの間で離脱してしまった、いわゆる「カゴ落ち」ユーザーを深堀分析するとしましょう。
Mixpanelでは離脱ユーザーのコホート作成、プロフィール確認、イベントストリーム確認、CSVエクスポート、そしてユーザーフローの可視化が可能です。


Amplitudeはこれらの機能に加え、詳細なユーザージャーニーの可視化、コンバージョン/離脱と相関性の高いイベントの統計分析、セッションリプレイによるユーザーの画面操作確認、さらにはガイドやNPS調査の配信まで可能です。

例1|ユーザージャーニー
カート追加 > 購入までの過程で離脱したユーザーの行動経路を視覚的に追跡します。
詳細なプロパティ分析、特定イベントによるパスのフィルタリング、コホート作成なども行えます。購入に至ったユーザーのジャーニーも同様に分析可能で、成功/離脱パターンの双方の特定に役立ちます。

例2|コンバージョンドライバー
カート追加 > 購入までの間に実行されたイベントと、「離脱」または「コンバージョン」との統計的相関関係を分析します。高度な統計解析を即時に実行し、ファネルのボトルネックや、離脱・コンバージョンユーザーに共通する行動パターンを迅速に特定します。

基本的な集計・分析ではどちらのツールも十分な機能を提供していますが、より高度な分析を行う場合、Amplitudeが適しています。
>>Amplitude詳細資料のダウンロードはこちら
>>Amplitudeのデモリクエストはこちら
それぞれのツールが向いている企業
ここまで共通点や違いについて解説してきましたが、最適なツールは、プロダクトの成長フェーズや企業のデータ活用の目的によって異なります。それぞれのツールの特長を踏まえ、どのような企業に適しているかをまとめました。
Mixpanelが向いている企業
- シンプルで使いやすいツールを求める小規模〜中規模の組織。
- データ分析を始めたばかりで、まずは基本的な集計ができればよい企業。
Amplitudeが向いている企業
- より包括的なデジタル戦略を求める中規模〜大規模の組織。
- マーケティング、製品開発、データサイエンスなど、複数の部門でデータを活用したい企業。
LIFULL様

Amplitudeの魅力
先述の通り、Amplitudeの魅力はその分析機能の奥深さと、提供されているソリューションの幅広さにあります。以下では、Amplitudeの特徴的な機能をいくつかご紹介します。
高度な分析ニーズへの対応
Amplitudeには、基本的なデータの集計やセグメント作成、ファネル分析ができるチャートだけでなく、機械学習チャートも用意されています。代表的なものをご紹介します。
テーブルチャート
クロス集計時に強い力を発揮するツールです。過去期間との比較もできます。シンプルだからこそ使い勝手の良いチャートです。

ペルソナチャート
イベント行動の類似性に基づいてユーザーをクラスターにグループ分けします。探索的なデータマイニング分析を素早く行い、プロダクトの包括的なユーザーペルソナの作成にも役立ちます。

スムーズなオンボーディング
いきなり10種類以上のチャートを高度に使うことはなかなか難しいかもしれません。Amplitudeには、スムーズにツールを活用できるような機能も備わっています。
プリセットのダッシュボード
「製品の分析」「ウェブ分析」という2つのプリセットのダッシュボードが用意されており、簡単なセットアップですぐに主要指標を可視化できます。
特にウェブサイトのチャネル分析などが備わった「ウェブ分析」は、ユニバーサルアナリティクス(旧Google Analytics)を使っていた方にも馴染みやすいUXになっています。
Ask Amplitude
何から手をつけていいかわからないときは、AIがチャートの作成や解釈をサポートします。生成AIと対話形式でデータを読み解いていくことができます。
データガバナンス
データの品質を維持すること、チームがデータ設計を理解することは、データドリブンな意思決定に必要不可欠です。
組織が成長するほど常にデータをクリーンで信頼できる状態に保つことは難しくなるものですが、そのために必要な作業も情報集約もすべてAmplitude内で完結します。
トラッキングプラン
データ設計を事前に定義しておくことで、予期しないデータがインポートされた時にいち早く問題に対処できます。
また、そのデータがどんなデータソースからどんな目的で収集されているものなのか、説明文やスクリーンショットをつけて管理できます。
その他にも、トラッキングプランをブランチで管理できる機能や、スキーマ設定、データバリデーションなど、多様な機能が備わっています。
データアシスタント
AIにより修正すべき項目をサジェストします。修正・トラッキングプランへの反映を1箇所で迅速に行えます。
ツールとしての拡張性:プラグイン
そしてAmplitudeは、分析にとどまらない、サービスのデジタル体験を高めるためのさまざまな機能を包括する「デジタル体験プラットフォーム」として機能の拡充を進めています。
ウェブ実験
ウェブサイト上の要素の変更からテストの実施・結果の可視化・評価・分析まで、Amplitudeの中ですべて実施することができます。コーディングの知識がなくても、Visual Editorで直感的に要素の変更が可能です。
機能フラグ・機能実験
ウェブにとどまらず、プロダクト全体の機能に対して段階的なロールアウトやA/Bテストを行うことができます。これにより、ユーザーへの影響を最小限に抑えつつ、機能の効果を検証できます。
セッションリプレイ
ユーザーの画面操作を再現することで、ユーザーの行動パターンや問題点を視覚的に把握できます。
分析チャートや実験機能と連動して、迅速にユーザーのストレスとなるポイントを発見し、改善に役立てることができます。
セッションリプレイについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
💡ユーザー行動を可視化する|Amplitude(アンプリチュード)のセッションリプレイ機能を解説
ガイドと調査
2025年2月にリリースされた最新の機能です。ユーザーにガイドやNPS調査を配信することで、ユーザーのフィードバックを収集し、プロダクトの改善に活かせます。
最後に
プロダクトの成長のためには、データに基づく意思決定が不可欠です。どのツールがニーズに最も合っているかを見極めるために、まずFree Planを活用し、ぜひ実際のデータを使って試してみてください。AmplitudeはCSVインポートも可能なので、データの取り込みもスムーズです。インポート方法は下記の記事でご紹介しています。
💡Amplitudeに手動でイベントインポートができる「CSVインポート機能」のやり方をご紹介
本記事で紹介した機能は、プランによって利用可否が異なる場合があります。Amplitudeの詳細や料金プランについては、弊社営業担当までお問い合わせください。