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【ウェビナーレポート】アプリ強化で累計DL数2,300万回超!KFCのアプリグロース戦略

2022.12.22

この記事は、2022年10月6日に開催した「アプリ強化で累計DL数2,300万回超!KFCのアプリグロース戦略」のウェビナーレポートです。

アプリ強化で累計DL数2,300万回超!KFCのアプリグロース戦略

DearOne安田|
「アプリ強化で累計DL数2,300万回超!KFCのアプリグロース戦略」と銘打って、日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社(以下、KFC)のアプリグロースご担当者をゲストにお迎えし、同社のアプリグロースについて深掘りしていきます。

さらにアトリビューションプラットフォームのAppsFlyer様にもご登壇いただき、その戦略をどのように支えているのか、ノウハウをお聞きします。

アプリをインストールしてもらうためのダウンロード増加・リテンション向上のため行っていること、コンバージョン増加の方法やデータ活用のノウハウなど、実例を踏まえて有益な情報をご提供できるよう進めてまいります。

アプリマーケティングの実際の流れ

ダウンロード、リテンション、コンバージョンのアプリマーケティングの流れ

安田|
一般的にアプリマーケティングというと、アプリをダウンロード、リテンション・継続利用してもらって、購入・コンバージョンにつなぐという一連の流れがあります。

1.KFC公式アプリのグロース戦略

​​アプリグロースの最先端!KFC公式アプリの特徴

安田|
まずKFC公式アプリについてご紹介いただけますでしょうか。

KFC公式アプリ1

KFC平野|
KFCでは今、エブリデイブランドを目標に、500円のランチ、ディナータイムにお得なセットなどをご用意していまして、お客さまには昼も夜も、毎日でもご来店いただけるような戦略を立てております。

2021年2月には、アプリの大規模なリニューアルをして、よりグローバルに近いUI/UXへの刷新、会員の登録、顧客IDの一元化、ユーザビリティの強化といったことを行いました。

そして、ありがたいことに、今年の8月末にダウンロード数2,300万を達成させていただきました。

KFC公式アプリ2

KFCアプリは基本的にはクーポンアプリで、会員証機能を持たせてロイヤリティープログラムを実装しています。その中で、店舗をご利用いただいたり、会員証機能を使っていただくことで、「チキンマイル」が貯まるというのがロイヤリティープログラムです。

この「チキンマイル」を貯めるとステージに応じてお得なクーポンが届きます。この(上図左)逆三角形をぐるぐる回っていただくイメージになります。

ダウンロード数はもちろん、アプリの提示率やMAUといったこの3つの軸のKPIでアプリを運用しております。現在2,300万ダウンロードと申し上げましたが、ダウンロード数を増やす取り組みについてご紹介します。

まずはモバイルアプリ限定で、ダウンロードいただいたお客さまに向けてオリジナルチキン1ピースプレゼントという大規模イベントを開催。9月9日が創業者カーネル・サンダースの誕生日なのでお客さまに恩返しということで、年に一回大盤振る舞いをするというイベントを毎年行っております。

これは、指定期間中にアプリをダウンロードいただいたお客さまは基本的に必ずオリジナルチキンが1ピースもらえるという仕組みで、ここで毎年大幅にユーザー数が増えます。

2つ目は、「チキンマイル2倍」(上図右)のダブルマイレージキャンペーンを実施していて、一見既存ユーザーの方に向けた施策のように見えるのですが、実際は利用したお客さまがSNS上で発話してくださったりしますので、新規ユーザー獲得にもつながっております。

そして、3つ目はAppsFlyerさんご提供の「スマートバナー」という機能を使うことによって、現在2,300万ダウンロードを達成できたという成果になります。

安田|
2,300万、本当にすごいダウンロード数です。

KFC平野|
ありがとうございます。

​​アトリビューション計測の最先端 AppsFlyerの特徴

AppsFlyer

安田|
ではここでAppsFlyerのご紹介を江(こう)さん、お願いできますでしょうか。

AppsFlyer 江|
AppsFlyerは、MMPと呼ばれるモバイルアトリビューションの仕組みを提供しております。2011年にイスラエルで創業してから今年までに全世界で20拠点を展開しており、おかげさまでグローバルで市場シェアNo.1を誇ります*1Data.aiの情報による

また、第三者機関から、マーケティングツール強化のためのプラットフォームとして顧客サポートを含むAppsFlyerの製品やサービスを評価いただき、いくつものアワードを受賞しております。

AppsFlyerでできること

そもそもアトリビューション計測とは、アプリをインストールしたユーザーはどこから入ってきたのか、どんなタイミングでアンインストールしたのか、アプリをインストールした後のユーザの行動など、アプリにとって重要なビジネス指標となる情報を計測することです。

一般的にペイドメディア、いわゆるデジタル広告に広告費を出した場合、どのチャネルからのインストールが最も多いかを計測することは難しくありませんが、AppsFlyerを活用することでオウンドメディアの計測も可能になります。

例えば、ブログ・メルマガや公式SNSのアカウント投稿に、AppsFlyerのインストール用のURLを入れていただくだけで、それぞれのチャンネルでどれくらいのインストール数があったかを把握することができるようになります。

​​モバイルサイトに自由に設置!「スマートバナー」の特徴

AppsFlyerスマートバナー

小売業界の皆様は、自社Webサイトや店舗をお持ちだと思いますが、そちらに「スマートバナー」を設置することで、ユーザーのインストールを促すことができるほか、店頭にQRコードを置いていただければ、店舗ごとのインストール数も把握できます。

「スマートバナー」とは弊社の管理画面から簡単な操作で作成し、モバイルWebサイト上に設置することができる、インストール促進用のバナーのことです。

このようにオウンドメディアを活かしたユーザー獲得や広告費用を一切かけずに、効率的に既存のアセットを利用し、アプリインストールを促進することも可能です。

スマートバナーのデザイン自体は、管理画面上のテンプレートから全て簡単に選ぶことができます。

このほか、バナー経由のインストールやその後の行動も、ユーザーごとに全て計測できる機能がありまして、自社Webサイトをお持ちのお客様にスマートバナーを使っていただくケースが多いです。

AppsFlyer QRコードの活用

管理画面からスマートバナーを簡単に発行できるほか、さらに店舗での活用方法としては、QRコードを簡単に発行することができます。

加工されたQRコードをレシート、ポスターやPOPなどに印字していただくことで、オフラインからのアトリビューション計測も可能になります。しかもこのQRコードは簡単に量産することができるので、店舗ごとにユニークなものを発行することで、各店舗からのインストールについても可視化できます。

2.ダウンロード数2,300万!劇的なアプリ会員増を実現した施策とは?

KFC公式アプリのダウンロード数増加施策

​​AppsFlyer「スマートバナー」活用例とその効果

安田|
それでは、KFC公式アプリでダウンロード数を増やすためにどんな取り組みをされているか教えてください。

KFC平野|
スライドにあるダウンロード施策でスマートバナーを活用しております。スマートフォンからKFCのサイトを開くと、アプリダウンロードを促すように上からバナーが出てくるようになっています。

バナーはずっと画面に出ている形で、オーガニックで検索してくれたお客さまの目に付くようにすることができます。先ほどお伝えしたようなアプリ限定のイベントも開催しつつ、定常的にバナーも出し続けるという掛け合わせがアプリダウンロード増に寄与したと思っております。

そして、ここでダウンロードいただいたデータに関してはCDPと連携し、顧客の分類やIDが出た後の認知経路の測定ができますので、基本的にこの2つを活用して2,300万ダウンロードを達成しました。

9月9日のオリジナルチキン1ピースプレゼントのイベントでは、KFCのアプリがiPhoneとAndroidの各ストアでそれぞれ1位に選出されたりと、KFCアプリのダウンロードを追っていくと、やはりこうした大きなイベントを仕掛けていく定常的な積み重ねが大切です。

ただし、イベントを打っただけではお客さまはすぐ忘れてしまいます。そのため、KFCアプリをダウンロードいただけなかった方に対しても、スマートバナーで常に「KFCアプリがありますよ」とアピールすることが大事だと思っております。

安田|
なるほど、とても面白いですね。AppsFlyer 鈴木さん、何か補足ございますか。

AppsFlyer 鈴木|
そうですね。KFC様はスマートバナーや、店頭やレシートのQRコードからのアプリインストールなども含め、ユーザーの獲得に関して弊社をご活用いただいています。特にスマートバナーをご活用いただき、しっかりとクーポン経由でユーザー獲得を行う部分が大きいです。

広告ではないので、自社のオウンドメディアを活用し、各ユーザーの獲得単価も大幅に上げつつ、結果的にペイドメディアの広告費も削減することができたという結果が重要だと思っています。

またペイド広告でユーザーを取るにせよ、自社のオウンドメディアを活用してユーザー獲得をしていくにせよ、結局、どの経路から来たユーザーがどういった価値をもたらしているかを、しっかりと計測することによって、費用対効果を測っていくということも重要なのだと思います。

改善のためのPDCAサイクルを回すということももちろん大切ですが、それを行った後、計測のためのデータをしっかりとっていくことが必要です。

もちろん2,300万ダウンロードは非常にすごい数ですが、施策後にしっかり改善をした結果、達成できたのだということを強調したいです。

その点、KFC様はデータをしっかり計測して次の施策に活用することを、すごく実直に行っていたことによって​​2,300万という数が達成できたと私は思ってます。

安田|
スマートバナーを使う前はアプリダウンロード広告って出されていたのですか?

KFC平野|
はい、イベントのときなどは必ず出していましたね。またSNSを使って「月に何回アプリに関する投稿をする」と決めておりました。あとはメルマガの最後などにも「アプリダウンロードはこちら」というバナーを入れていました。

ですが、スマホだと通常、そこまでバナーは見られないですよね。わざわざスクロールして下の方まで行って「アプリダウンロード」の部分を見ない人が多いので、その点このスマートバナーは、ぱっとお客さまの目に触れる場所なので、効果が大きいです。

安田|
なるほど、それでペイドの広告からスマートバナーに切り替えたということなんですか?

KFC松木|
そうですね。ローンチした2021年頃は有料・ペイドの広告もいくつか出してはいました。ローンチの数ヶ月後にスマートバナーを始めたところ、その効果が本当に良かったので「ペイドどうする?」ということになりそれ以来、有料広告の方は出していません。

ただし、スポット施策の際にはペイドの広告も利用していますが、現在は継続的な出稿は控えています。

安田|
そんなに効果があるんですね。スマートバナーにしてみたら「予想よりずっといいな」となったんですか?

KFC松木|
AppsFlyerさんのアトリビュート計測によって、具体的に、広告出稿とスマートバナー経由の比較ができ、驚くような数字が出ました。

安田|
なるほどすごいですね。

AppsFlyer 鈴木|
そうですね。アプリストアやGoogle Play、iOSの方でも「スマートバナー」という機能があるので「それと何が違うんだっけ?」と思われている方もいらっしゃると思います。

ストアから発行できるスマートバナーでももちろん、アプリのインストール促進はできるのですが、数がしっかりと計測でき、かつインストールだけでなく、その先にあるアプリの中でのイベントも含めて計測できることがAppsFlyerの強みの一つです。

安田|
確かに大事ですよね。「インストールが増えたけど、どこから来ているかわからない」だと、効果が測れないですからね。

実際のところ、イベントからWebに誘導してアプリをダウンロードさせる、といった導線の組み方が多いんですか?

KFC平野|
そうですね。まずバナーに関しては基本的にTwitterで出していて、そのままAppleのサイトのダウンロードのところにダイレクトに飛びます。ただイベントの内容によって使い分けています。

中には例えば「1人1枚しか使えません」などの注釈が必要な場合もありますので、内容によっては1度、詳細説明用のLP(ランディングページ)を挟み、そのLPの中へ細かな説明を入れて「ダウンロードはこちらから」でURLに飛んでいただく方法もありますね。

なるべく「お客さまにわかりやすい方を」と想定して、その2パターンのどちらかを選ぶようにしております。

安田|
おっしゃる通りですね。どうしても事業者目線になりがちなものですが、正しくお客さまに理解していただくということが、ブランディングを守る上でも非常に重要だと思いますので、そこも含めて導線設計されているということですね。

KFC平野|
はい。ダウンロードしたものの全然使えないアプリだったとか、いざダウンロードしようと思っても全然わからなかったとなってしまうと、それこそユーザビリティが悪いということになるので、そこまで含めて考えています。

安田|
すばらしいと思います。KFC様では、ユーザーをアプリに向かわせる導線をかなり設計されているなと思いました。

KFC平野|
特に昨年リニューアルしてからは従来以上に、社員全員がアプリを意識するようになり、会社全体としていいきっかけになったと思っております。

安田|
リニューアルのタイミングで、社内の意識を高めるために何かされたのですか。

KFC平野|
特別なことは何もしていません。ただ、社内の会議では「アプリのダウンロード数が今これぐらいで、他社と比較したらこれだけ凄いです」とKPIやその結果をしっかり伝えるよう心がけていました。

わかりやすい数字を出すことによって、全員の意識がアプリに向くことにつながったと思います。

上層部の方々は、実際に実績の数字を見ることで納得しますので、明確に出していくことも大事だと思いますね。

KFC松木|
弊社の中期経営計画でもDX促進が会社の柱になってきているので、その中で「こういう数字を残しています」というアピールが欠かせないなと思っています。

3.ロイヤルカスタマーが9割!オンラインとオフラインをつなぐリテンション向上施策とは?

​​アプリを起点とした来店のリテンション施策

KFC公式アプリのリテンション向上

安田|
ダウンロード数が増えてくると、今度はやはり「使ってもらう頻度を高めたい」ということで、次は「リテンション向上」の取り組みについてお願いします。

KFC松木|
弊社ではアプリのリテンションだけではなく、来店のリテンション施策の方に重きを置いて、リアル店舗の売上向上を目指しています。

つまり、来店のリテンション施策でオンラインとオフラインをつなぎ、アプリと店舗の売上の両方をグロースしていく姿を理想形と捉えております。

アプリを起点としたリテンション施策を2つご紹介いたします。

1つ目は、新規のお客さまがApp Storeなどを経由してアプリをダウンロードすると、アプリから「初回ダウンロードありがとう」というクーポンが届きます。ここでアプリが一回起動されるわけですね。

すると、クーポンを利用するためにアプリを持ってお客さまが来店する。そして来店された際にクーポンを利用されるので、またアプリが起動され、お客さまが一回来店・購入するまでに少なくとも2回、アプリが起動されることになります。

また2つ目としては、既存のお客さまの場合も、一回来店されると数日後に「サンクスクーポン」、つまり再来店クーポンが配信されます。アプリを手に持ってお客さまが来店され、そのクーポンをご利用になるという流れになります。

このように、新規のお客さまの場合、2回来店されるまでに少なくともアプリが4回起動されるシナリオです。

どのような効果があるのかというと、AppsFlyerさんのスマートバナー経由で測定した場合、ロイヤルユーザーが9 割ほどいたという数字が出ています。おかげさまで、すごく効果が出ています。

また、再来店クーポンについても、来店喚起がコントロールグループに比べて0.4ポイントリフトしたという実績もあり、来店や再来店を促す施策ではクーポンは非常に効果的だと考えているほか、マイレージクーポンを配信したり、アプリ限定施策も行っています。

以上が弊社の考えるリテンション施策なのですが、ぜひAppsFlyer鈴木さんにも補足いただきたいです。

スマートバナーのおかげで今、実際にロイヤルユーザーが9 割、非オーガニックの半数ぐらいがスマートバナー経由でダウンロードされていました。この9割という数字をどう評価したらいいのかを教えてください。

AppsFlyer 鈴木|
ロイヤルユーザーが9割というのは、非常に高いと言って差し支えないと思います。

補足としては、他の企業やアプリと単純比較するのは難しいという点です。これは、AppsFlyerの計測で「ロイヤルユーザー」の定義自体を管理画面で変えていただくことができるからなんです。

例えば、「月間の課金の額」でロイヤルユーザーを定義したり、あるいは1日に1回はログインしてくれる「デイリーアクティブユーザー」だったりと柔軟な設定が可能です。つまり、単純に他社様とKFC様のアプリマーケティングの比較をするのは難しいですが、KFC様の「アプリをスマートバナー経由でインストールしてから、3回起動したユーザー」という定義で、ロイヤルカスタマーが9割というのは非常に高い数字であることは間違いありません。

逆に言うと、このようにアプリをインストールしてから3回以上起動した人はロイヤルユーザーになりやすい。そしてファンになり、かつ店舗を訪れることでさらにロイヤル化が進むという好循環を示しているとも言えます。

なぜロイヤルユーザーの数字がここまで高いかというと、まずKFC様はさまざまな、ユーザーのリテンション施策を打たれている。その施策が効果を生んで非常に能動的なロイヤルユーザーが増えているのではないでしょうか。

さらに、スマートバナー経由で自社のWebサイトを訪れたユーザーをアプリにしっかり誘導することによって、そもそも興味関心や熱量が高いユーザーや、ロイヤリティーの高いお客さまがアプリユーザーになっているのではないかと思います。

安田|
そうですよね。私も9 割という数字は非常に高いなと思っています。KFC様の自社サイトでアプリをインストールした人をスマートバナーで計測したということなので、鈴木さんがおっしゃるように「熱量が高い人を逃さずとっている」という点が大きいのかなと思いました。

KFC松木|
弊社のオウンドサイトをスマホやタブレットで開くと、必ず上にスマートバナーが表示されます。そこで、まずKFCのサイトに何かしら興味を持って来訪されている方に、さらにアプリに興味を持ってもらう。気持ちが高まっているユーザーに対し、アプリのダウンロード促進をかけることで、より質の高いお客さまが獲得できていると感じております。

安田|
すごく大事な点ですよね。あまりダウンロードしたくないときに「アプリをダウンロードしましょう」とたくさん言われても、それってあまり心地よくないと思うんです。

一方で、KFCに興味を持ってイベントを訪れた際に「アプリ入れときませんか」って言われると「じゃあ入れようかな」って思いますからね。

KFC平野|
はい。ユーザーの方には「何かしらお得なことがあるんじゃないか」という期待もあると思いますので、そこは前述の初回ダウンロードクーポンや来店サンクスクーポンなどを通じて、きちんと還元できていると思っております。

安田|
来店したお客さまにきちんとクーポンをお送りするという運用が、しっかりと回せてるだけでもすごいと思っています。口でいうほど簡単じゃないはずですので。

KFC松木|
ありがとうございます。

4.マイレージとワンストップサービスを駆使!ユーザーの購買モチベーションを上げるコンバージョン増加施策とは?

​​購買のコンバージョン=会員証の提示率

KFC公式アプリのコンバージョン増加

安田|
続いてKFC公式アプリでのコンバージョンを高める取り組みを教えてください。

KFC松木|
コンバージョンについてもオンラインとオフラインをつなぐのが重要と捉えていますので、コンバージョンは「購買」、具体的にはアプリの会員証をお店で提示してもらうことです。

施策を打つと通常の営業日に比べて会員証の提示率が増加します。「にわとりの日」の「にわ」にかけて、毎月28日に非常にお得な価格で「とりの日パック」を提供しており、弊社では「バリュー施策」と呼んでいます。

こういったバリュー施策を打つと、通常に比べて会員証の提示率が10ポイント上がりました。

アプリと実店舗の購買を紐づける

KFC松木|
この会員証の提示率向上を目指すためには、アプリと実店舗の購買の紐づけが、マーケターとして非常に重要です。そのためにマーケターができることとしてユーザーメリットの提供です。

まず、一番重要なのは集客施策です。

オリジナルチキンを無料で差し上げる大型施策や「とりの日」のようなピンポイント施策、新商品の発売など、まずお客さまにご来店いただく施策が重要で、それ以外に2つアプリで取り組んでいます。

まず1つ目は「マイレージプログラム」。購買に合わせて「チキンマイル」が貯まるロイヤリティプログラムです。

2つ目は「提示のワンストップ」。アプリ上で会員証と「KFCカード(自社発行のプリペイドカード)」、Pontaさんなどの「外部ポイントプログラム」を事前に連携しておけば、店頭で会員証を出すだけで決済ができ、Pontaのポイントも貯まるワンストップサービスを実現しています。

昨今は「クーポンはKFCアプリで」「決済はこのアプリで」とか「ポイント貯めるのはこのアプリで」などと分かれているために、店頭でアプリの切り替えに手間がかかる場面もあるかと思います。弊社ではアプリで工夫して、ワンストップで行うことができます。

また、お客さまに「会員証をお持ちですか」と聞く、店頭でのスタッフの協力が非常に重要かつ不可欠だと考えています。忙しい中お声がけしてもらっていてありがたいなと思っております。

また店舗オペレーション軽減の視点からアプリの会員証を読み取るリーダーに工夫をし、お客さまが能動的にアプリの提示ができるようにしています。

以上が購買の履歴をしっかり後ろで取っていくという観点からの、コンバージョン増加施策になります。

このようにオンラインとオフラインをつなげるという命題について、AppsFlyerさんの方ではどのようにお考えですか?

AppsFlyer 鈴木|
私の方でも普段から、実店舗を持たれているお客さまに、DX化やアプリを使った施策をご提案する機会が多いのですが、非常に多くの方が苦慮されていると感じます。

特に、店舗などオフラインのチャネルを持っている企業様で、デジタル上でのユーザーの行動やアプリ・Webでの決済情報と、実際に店舗に訪れたお客さまの購買データをいかに結びつけるのかという仕組み作りに関する相談を受けることも増えています。

KFC様は、ユーザーの方の身近にあると言えるアプリをうまく使い、そこをキーにしてオンラインとオフラインのデータをうまく繋いでいると感じます。

リテンション施策としてマイレージプログラムやデジタル会員証に言及されていましたが、日頃からアプリを使っているユーザーが店舗を訪れた際に、アプリをかざす機会を活用してオフラインとオンラインのデータをうまくつないでいますよね。

アプリを能動的にかざしてもらうためのギミックの部分が、マイレージやクーポンなどになるわけですね。それらを駆使したユーザーの個のモチベーションを上げる施策としてAppsFlyerを活用いただき、リテンションからデータ連携という流れに繋いでいただいているのがわかります。

KFC松木|
データをいただきたいが、お客さまが「NG」という場合、そこをどのように乗り越えていくのか。お客さまの立場から何か提供できるものはないかと、常日頃から考えています。

安田|
我々DearOneもいろいろな企業様のアプリのOMO支援をしてきているので、非常に納得・共感できました。

実際、アプリを作られている方々は、会社の中で「アプリがどれだけ役に立っているの?」と聞かれますよね。「ダウンロードはこうです」「MAUはこうです」と説明しても最後、「それが購買に貢献してるの?」と結局言われるんですよね。

だからこそ、「店舗でちゃんと会員証を出してもらって、買ってもらっていますよ」と示せることがすごく大事で、これがやはり計測の重要性だと思うんです。

そして、計測する上でユーザー様のモチベーションを高める必要がある部分をどうやったらクリアできるかについて正攻法で考えられているのが、まさにご紹介いただいた2施策だと思いました。

特に「ユーザーはメリットが無ければアプリを出さない」ということをきちんと考えられていて、私としてもとても嬉しかったです。

それから、「店舗の協力」もおっしゃる通りとても大事で、我々のクライアント様でもアプリがグロースしているお客さまって間違いなく、アプリの担当者さんと店舗の担当者さんたちがうまく連携されているんですよね。

そうしないことには、やはりダウンロードもされないし、アプリも使われませんので、そこにきちんと取り組まれているのが真髄だなと、お聞きしていて感銘を受けました。

5.CDPで離脱者を分析しリマインド!「エブリデイブランドを目指す」データ活用施策とは?

​​課題「年に1回から毎日へ」(エブリデイブランドを目指す)

KFC公式アプリのデータ活用の課題

安田|
最後に、データの活用についてご紹介お願いします。

KFC松木|
はい。まず、弊社では中期経営計画で「年に1回から毎日へ(エブリデイブランドを目指す)」という目標を掲げています。

KFCと聞くと多くの皆さんが、いわゆる「クリスマス」「フライドチキン」「ケンタッキー」といったイメージを非常に強くお持ちかと思います。

そうした現状から、日常化戦略の強化で「ケンタランチ」というランチメニューの提供、主食にもなるバーガー商品の拡充を、目指しております。

​​「1st Party Data(ファーストパーティデータ)」の活用

KFC公式アプリの1st Party Data活用

KFC松木|
まず、「1st Party Data(ファーストパーティデータ)」の活用です。アプリの場合はAppsFlyerさん経由のデータやネットで注文いただける「OLO」(オンラインオーダー)などの各種データ、POSのデータを突合・統合しています。

それから、CDP(カスタマーデータ・プラットフォーム)に各データを蓄積し、分類や分析、ID抽出などを行って「One to One(顧客別)施策」につなげています。

そして「Braze(ブレイズ)」という配信ツールから各媒体ごとに、お一人お一人に向けて施策を打っています。その結果、またデータが蓄積されるというサイクルを回し、成功パターンを見つけていくという流れでデータ活用を行っています。

ここから「購買頻度の増加・購買単価の向上」、LTVを上げていくことを目指しています。

​​事例① 来店/離脱者の分析

KFC公式アプリの事例1 来店/離脱者の分析

KFC松木|
ここで2つ、事例をご紹介します。1つ目は「来店/離脱者の分析」です。(上図)左側の「来店」というグレーの黒丸から右側へと時系列で流れるのですが、お客さまが来店したあと、「X日」とか「Y日後」などと日付を切った「再来店促進」というグレーの四角の部分に入り、最後「離脱防止」の部分で「長期間の再来店のないお客さま」となってしまうまでの全体をこのように大きく2つに分けています。

施策を実際に打ってみてわかったことは、お客さまが何日以内に来店するパターンや頻度、それから「ここがお客さまの離脱のポイント」が可視化でき、我々にとって非常に大きな財産になりました。

以前は、ロイヤリティー観点でエントリーからミドル、ヘビーとヒエラルキーのイメージで見ておりました。そこを日付ベースで落としていけるようになったことで、パターンに合わせて「何日で離脱する可能性があるから、そのちょっと前に施策を打とう」などといった判断の目安が得られるようになりました。

そして、来店頻度や来店の周期、パターン、間隔(再来店と離脱の境目)など、お客さまの特徴が得られたことが大きな成果となりました。

事例② 施策のタイムリーなリマインド

KFC公式アプリの事例2 施策のタイムリーなリマインド

KFC松木|
2つ目の事例は「施策のタイムリーなリマインド」です。

オリジナルチキン無料クーポンを獲得した後、店頭でご利用なされないお客さまが、ある一定数いることがわかったので、そのお客さまたちにご利用いただくための施策です。

CDP上で、「アプリでクーポンを獲得したユーザー」(AppsFlyerにてイベント計測)かつ、「POSでクーポンを使っていないユーザー」を抽出し、「Braze(ブレイズ)」(配信ツール)でタイムリーに配信し、来店を促しました。

AppsFlyer 鈴木|
今おっしゃったようにアプリ内のユーザーの計測を行い、その行動に基づいて簡単にユーザーのセグメントを作れる「オーディエンス」という機能をご用意しています。

例えば「アプリを過去14日以内にインストールしたユーザー」のうち「まだ2回目以降の起動を行ってない」人だけをセグメント化することができます。

また、普段から非常に能動的に決済を行っているけれども、この1週間以内に何も決済していないユーザーに対して、何かセールの告知を行うといったことも可能です。

そのように細かい粒度で条件付けをした上で、ユーザーのセグメントを作ることができます。つまりアプリの中で取れるイベントのデータであれば、ユーザー群をかなりリアルタイムに近い形で、条件に合うように抽出できるんですね。

このデータを使って、アプリのプッシュ配信やメルマガなどを送ることができます。また媒体経由であればリターゲティングの広告を配信することも可能です。

つまり我々はデータを抽出する側で、それをアウトプットするようなツールとデータ連携することによって、実際に使っていただくケースが多いです。この点においてもKFC様は、とても先進的に行われているなと改めて思いますね。

KFC松木|
AppsFlyerのイベント計測はAPIでCDPにつなぎ込みをしているのですが、本当にリアルタイムで飛んでくるので、非常にタイムリーに施策が打ててすごくありがたかったです。

安田|
「One to Oneマーケティングをやりましょう」とサラっと言われることがあるのですが、入力側も出力側もデータのパターンが膨大にあるので、実際に行うとなるとものすごく大変だろうなと感じています。

そのためにはきちんとデータが流れて、しかも間違いなくきちんと正しいユーザーに届くようにすることが肝心になります。間違ったユーザーに送ってしまうと、それだけでブランド毀損になってしまいますから、そこに気を遣いながらデータをしっかりと使って分析していますよね。

また「何日までなら」とかなり細かい単位で論理的に組みながらデータを使えるようにする取り組みを、恐らく裏で相当努力されていると思いました。非常に先進的で、皆さまもぜひご参考にしていただければと思います。

ところでこの度我々DearOneが提供しておりますアプリ開発サービス「ModuleApps2.0」に、AppsFlyerさんの計測SDKが標準搭載されることになりました。

アプリに当初からAppsFlyerが搭載された状態で提供できるサービスになるのですが、率直にどう思われますか?

KFC松木|
弊社ではアプリもスクラッチで作りましたので、AppsFlyerさんのSDKが標準搭載され、データがたくさん読み取れるダッシュボードも見られるのは、羨ましいの一言です。

安田|
ありがとうございます。イベント設計などは結構大変なので、その辺りはAppsFlyerさんとDearOneで連携して、うまくご提供できるようにしていきたいと思っています。

​​6.まとめ

安田|
最後にアプリのダウンロード数がなかなか増えないという方に向けて、松木さんからアドバイスをお願いいたします。

KFC松木|
やはり、スマートバナーの効果は強烈ですね。もちろんAppsFlyerさんの機能はスマートバナーだけではありませんが、スマートバナー経由でロイヤリティーの高いお客さまを獲得できているので、まずはこちらを設置されるといいのかなと思います。

このほかアプリの初回ダウンロードという、アプリ側でできる施策もありますので、今回のセミナーの内容をご参考いただけたらと思っています。

AppsFlyer 鈴木|
今回、KFC様のお話を聞いた方の中には、もしかしたら「アプリのマーケティングは非常にハードルが高いな」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。

KFC様のデジタルマーケティングは、AppsFlyerの機能をフル活用いただき、さまざまなMarTechやAdTechのツールと連携し、基盤を構築されたかなり高度なレベルと言えます。

全ての事業者さんが最初からこのレベルを望むのは、なかなかハードルが高いと思いますし、リソースやコストのこともありますので、まずはビジネスの段階や優先度によって進めるのがいいのではないかと思います。

今後の改善のためになるデータを収集するという意味で、まずは計測という部分がスタートラインになると思います。正しく計測を行うというステップに進んでみたい方は、ぜひAppsFlyerまでご相談いただければと思っております。

安田|
それでは、本日はご視聴いただきまことにありがとうございました。

*記載の内容は2022年10月時点の情報に基づきます

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スピーカー

日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社 マーケティング部CRM推進課係長 松木 瑞恵
兵庫県出身。携帯電話マーケティング会社、広告代理店にて飲料メーカーのデジタルマーケティング支援を経て、2019年より現職。CRM、LINEなどデジタルマーケティングに従事。KFCで一番好きなメニューはビスケット。

日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社 マーケティング部CRM推進課係長 平野 まりな
大阪府出身。2019年より現職。Facebook、Instagram、Twitterなどのソーシャルメディア、メルマガやアプリなどを用いたマーケティング企画の提案・運用、公式モバイルアプリ、オウンドサイト、ランディングページの運用、ブランディング施策の一環としてコラボレーション企画の実施を担当。オリジナルチキンの好きな部位はキール。

AppsFlyer Japan株式会社 Director of Sales 鈴木 哲郎
ソフトウェアエンジニアを経て広告代理店にてアドテクのキャリアをスタート後、Yahoo! Japan、Facebook(Meta)、Twitterなどのテック企業にて広告営業とビジネス開拓を行う。2021年4月、AppsFlyerに参画。セールスディレクターとして顧客視点でのソリューション活用を拡げる活動に邁進している。KFCで一番好きなメニューは定番オリジナルチキン。

AppsFlyer Japan株式会社 Account Executive 江 彬琦(Kou Hinki)
中国福建省出身。進学を機に日本に留学。卒業後、日本国内のSaaSベンダーでセールス職に就く。一年目で売上TOPとして社長賞を受賞、6年目となる2022年2月にAppsFlyerにAccount Executiveとして参画。さまざまな業種におけるニーズを汲み取りながら顧客と並走し、日夜アプリマーケティング市場の拡大に励んでいる。KFCのお気に入りメニューはレッドホットチキン。

株式会社DearOne セールスデザイン部 ゼネラルマネージャー 安田 一優
中小企業診断士資格保有。パソコン販売店店長、ITエンジニア、ITインフラSIerのマーケティングを経て、2020年よりDearOneへ参画。DearOneではマーケティング、インサイドセールス、パートナーアライアンス等のマネージャーを担務。マーケティング、インサイドセールス、セールスの連携体制を構築。KFCで一番好きなメニューはオリジナルチキン(ドラム)。

References
*1 Data.aiの情報による

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