MAツール導入費用やランニングコストに関するお悩みは、商談でもよく話題になります。MAツール導入を進めるにあたっては、「具体的にどれくらいの費用がかかるか」「かけた金額以上の成果が得られるか」などを整理しておく必要があります。
本記事では、MAツールの選定や導入を支援する代理店の目線から、MAツールの導入にかかる費用や、費用対効果の考え方などを紹介します。
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MAツールの導入・運用にかかる費用
MAツールの費用を計算するうえでは、直接的なツール費用以外も含めたトータルの費用を考える必要があります。
ここでは、MAツールそのものにかかる費用や、オプション費用、運用に関連して発生する費用など、MAツールの導入・運用で発生する費用を網羅的に紹介します。
ライセンス費用
ライセンス費用は、MAツールを利用するための基本料金です。ライセンス費用は多くの場合、月額や年額といった支払い形式が採用されており、選ぶツールやプランによって支払い形式は異なります。
従量課金制を採用しているツールもあり、従量制の場合、利用する機能や格納するデータ量、利用数ユーザー数に応じて費用が変動します。従量課金制の場合、MAツールを使って実現したいことを明確にし、必要な機能を絞りプランを選ぶことでコストを抑えて運用できます。
導入費用
導入費用は、月額や年額のライセンス費用とは別に、MAツールの初期設定やカスタマイズ、社内の運用体制整備に関連して導入時に発生するコストです。
MAツールの導入はツールを契約して終わりではなく、自社の環境にあわせてMAツールを設定する必要があります。初期設定には、システムのセットアップ、既存のCRM・データベースとの連携、Webサイトへのタグ埋め込み、シナリオ設定などが含まれます。場合によっては、標準的な初期設定以外に、外部連携等でカスタマイズや開発が発生することもあります。また、自社での運用スタートに向けたワークショップ、社員向けのトレーニングなども必要となります。
適切な導入をすることで、スムーズな運用に繋がりやすく、社内でのMAツール活用が浸透し、成果にも繋がりやすくなります。導入費用は、数十万円〜数百万円ほどで、高機能なツールほど導入や運用が複雑になり、費用が高くなる傾向があります。
運用コンサルティング費用
運用コンサルティング費用とは、企業がMAツールを運用する際に専門的なサポートを受けるための費用です。
外部のコンサルティングに依頼せずに、導入サポートのみでMAツールを使いこなせれば理想ですが、社内にノウハウがない場合、すぐに使いこなすのは難しいです。そのような場合、適切な施策立案や実施など、具体的な運用方法のレクチャーを依頼したほうが成果が上がりやすくなります。
特に、初めてMAツールを導入する場合は、運用のポイントをしっかりと押さえることで、早期に効果を実感しやすくなります。運用費用は、月数万円〜数十万円ほどで、依頼するサポート内容により変動します。
追加オプション費用
MAツールは基本機能だけでなく、企業のニーズに応じて追加オプションを利用することも可能です。
例えば、高度なデータ分析機能や、特定のマーケティングチャネルに特化した機能など、追加オプションを選ぶことで、より自社に適したツールとして活用できます。
ただし、追加オプションを利用する場合は別途費用が発生しますので、自社の戦略に合ったオプションを慎重に選定することが大切です。
MAツールの費用と効果の考え方
MAツールの費用を考える際、ツールの導入や運用にかかる費用をどのように捉え、効果をどのように評価するかは、運用開始前から考えておく必要があります。
その際に特に重要なのが、ROI(投資利益率)を意識することです。ROIは、どれだけの投資がどのくらいの利益を生んだのかを示す指標であり、MAツールへの投資がどの程度のリターンをもたらしているのかを評価するのに欠かせない考え方です。
ROI(%) = 利益 ÷ 投資額 × 100 |
ROIが高いほど投資効果が高いと評価できます。しかし費用の絶対額を下げることも大切かもしれませんが、たとえば少しコストを上乗せする、外部に導入コンサルティングを依頼することで、より大きな成果が見込めるのであれば、その方が正しい判断かも知れません。
また、費用対効果を考える上で忘れてはならないのが、「時間の価値」です。
MAツールは、多くのマーケティング業務を自動化し、担当者の工数を大幅に削減できます。削減された工数を使って、マーケターは新たな施策の検討や、顧客とのコミュニケーション強化に使うことができます。工数削減で直接的に圧縮される費用と新たに生み出される価値も目標設定・評価すべき部分です。
明確にKPIを設定することで、獲得数やステップ率の向上は売上(利益)アップ、工数の削減は費用ダウンという形で、事前にROIの目標も決まります。こうした目標を明確にすることで、MAツール導入に投下した費用の意味を、数値として評価でき、投資の妥当性を判断しやすくなります。
MAツールの費用を削減するコツ
MAツールを導入・運用する際、できるだけコストを抑えながら効果を最大化したいと考える企業も多いでしょう。ここでは、MAツールの費用を削減するための具体的な方法を紹介します。
必要な機能を選ぶ
MAツールでは多くの機能を利用できますが、すべての機能を使うのではなく、自社のマーケティング戦略に必要な機能だけを選択することで、無駄なコストを削ることができます。
例えば、SNSマーケティングを重視している企業であれば、SNSとの連携機能や、ソーシャルリスニング機能が充実したプランを選択する、リード育成に力を入れたい場合は、リードスコアリング機能や自動化されたフォローアップ機能に特化したプランを選ぶなど、自社にあったプランを選びましょう。
オプションに関しても、使いそう(使えそう)という感覚で選ぶのではなく、社内のニーズを明確に把握し、本当に必要な機能だけを契約することが重要です。基本的にオプションの追加契約はいつでも可能です。導入当初は、ミニマムの契約で運用スタートした方が良いでしょう。
年間契約等の割引を利用する
MAツールの導入費用やライセンス費用は、ベンダーとの交渉次第で削減できることがあります。特に、年間契約や複数年契約、大量のライセンス購入を検討することで、割引交渉が出来る場合があります。
また複数のベンダーから相見積もりを取り、価格競争をつくることで、より有利な条件で契約を結ぶこともできるでしょう。
内製化で運用コストを抑える
運用コンサルティング費用やコンテンツ作成費用は、外部に依頼すると高額になることがありますので、これらの作業を社内で内製化することで、コスト削減が可能です。
ただし、前述したとおり、費用を抑えるためにすべて内製して、結果としてMAツールを使いこなせずに成果が出なければ本末転倒です。そのため、自社内に十分なノウハウが溜まるまで、とくにマーケティング施策につなげていくためのデータ分析と施策立案の部分は外部の知恵を借りて、実務的な部分を段階的に内製化していくような流れがおススメです。
利用状況を定期的に見直す
MAツールの導入後、当初の契約内容や利用プランが現在のニーズに合っているかを定期的に見直すことも、費用削減のポイントです。
使用していない機能や、過剰なライセンス数がある場合には、契約内容を調整することでコスト削減ができるでしょう。
主要なMAツールの費用比較
MAツール名 | 用途 | 予算感 | 導入実績 |
---|---|---|---|
HubSpot | BtoB/ BtoC | 低 | 世界135か国以上で21万6,000社 |
MoEngage | BtoC | 中 | 全世界で1,200以上のブランド |
AdobeMarketoEngage | BtoB/ BtoC | 中 | 全世界で5,000社以上 |
SalesforceMarketing Cloud | BtoB/ BtoC | 高 | 15万社以上 |
SATORI | BtoB/ BtoC | 高 | 1,500社以上 |
上記を含め、その他おすすめのMAツールは以下の記事で詳しく紹介しています。
コストパフォーマンスの高いMAツール
予算を抑えたい場合は、まずは手軽に導入できるMAツールを導入し、業務の効率化やマーケティング施策の効果向上を実感しながら、徐々にステップアップしていくアプローチがおすすめです。
コストパフォーマンスの高いMAツールは、必要最低限の機能を備えつつも使いやすく、導入や運用に大きな負担がかからないものが多く選ばれています。また、カゴ落ち対策特化型のMAツールのように、必要な機能だけに特化したMAツールもあり、比較的安く導入することができます。
ツールによって費用は異なりますが、ライセンス料金は月数万円〜となることが一般的です。
高度な機能を持つMAツール
高機能のMAツールは、多くの顧客を抱え質の高いOne to Oneマーケティングを行いたいと考えている企業に適しています。
例えば、MoEngage、Salesforce Marketing CloudやAdobe Marketo Engageは、顧客管理や高度なセグメンテーション、パーソナライズされたキャンペーンの実施など、幅広いマーケティング活動を実施する機能があります。これらのツールは、複雑なワークフローの自動化や多様なチャネルを横断するマーケティング施策の実行もできますので、顧客体験の最適化やマーケティング活動の効率化に繋がります。
さらに、上記のツールは大規模なデータの分析能力にも優れており、リアルタイムでのパフォーマンス測定や、詳細なレポート作成が可能です。これにより、マーケティング施策の効果を正確に把握し、迅速に戦略を見直すこともできるでしょう。
高機能のMAツールは機能が豊富である分、ライセンス料金は月額数十万円〜となることが一般的です。
無料で試せるMAツール3選
無料で使えるMAツールの中でも、必要な機能を備え、はじめての導入の場合でも使いやすいツールを紹介します。(2024年10 月現在の情報です。)
HubSpot CRM(ハブスポットCRM)
HubSpot CRMはHubSpotが提供するMAツールです。
無料プランには各種制限がありますが、顧客データを100万件まで登録可能で、1日に500件までメール配信も可能です。また、広告管理やフォームの作成など、初歩的なMAツールの機能は備わっています。
但し、1日500件以上のメールを送りたい場合や6人以上の担当者を登録して利用したい場合は有償プランへのアップデートが必要です。
List Finder(リストファインダー)
List Finderの無料プランではアクセス解析やスコアリング、アプローチ管理など、さまざまな機能を利用できます。但し、無料プランでは顧客データ数は100件までとなり、実務的には活用することは難しいところです。
有料プラン(45,000円〜)を契約すれば、登録顧客数は無制限となりますので、本格的な運用を考えている場合は、有料プランの契約が必須です。
BowNow(バウナウ)
BowNowは日本製のMAツールで、導入企業数が14,000社を超えます。
無料プランから利用開始でき、必要に応じて課金して機能を増やす仕組みとなっていますので、コストを抑えた運用が可能です。
無料プランでもメール配信やフォーム作成、行動解析など、MAツールの基本的な機能は備えられていますので、まずは無料プランの最低限の機能で利用し、足りない機能を徐々に付け加えていくのもおすすめです。
ただしフリープランの場合は、ツールと紐づけるWebサイトが月間50,000PVを超えると自動計測ができなくなるほか、登録ドメイン数にも制限があります。複数サイトを管理している場合、またPV数が上記を超す場合は制限がなくなる有料プランが必要です。
無料ツールを利用するときの注意点
MAツールの無料プランは利用できる機能が制限されます。MAツールを利用してやりたいこと、達成した目標に繋がる機能が利用できなければ、無料でも利用する意味はなくなってしまいます。利用目的を明確にするとともに、必要な機能が備わっているかは事前にしっかりと確認しましょう。
もう1つ考慮すべき点はサポート体制です。無料プランの場合はサポートが受けられない、またはサポート内容が制限される場合があります。導入時のレクチャーやトラブル時の相談を受けたい場合は、無料プランではなく、有料プランを検討するのがおすすめです。
自社に合うMAツールの選び方
MAツールを導入する際には、自社のビジネスモデルやニーズに合ったツールを選ぶことが重要です。以下にMAツールを選ぶうえで重要な要素を紹介しますので、参考にしてください。
BtoB向けとBtoC向けの確認
MAツールにはBtoB向けとBtoC向けのものがあります。
BtoB向けは、BtoC向けと比べると想定する顧客数が少ない一方で、丁寧なナーチャリングやSFA・CRMとの連携などに強みがあります。一方で、BtoC向けは、大量の顧客データを活かして、顧客をセグメントしたアプローチやone to oneのキャンペーンを展開して、Webやアプリ上での購買完了までつなげることが得意です。自社のビジネスモデルに適したツールを選びましょう。
他システムとの連携性
MAツールはSFAやCRMなど他のシステムとの連携が非常に重要です。また、自社の既存ツールと連携していれば、導入時の手間やコストを減らすこともできます。
例えば、CRM(顧客管理システム)やECサイトとの連携がしっかりできると、データの管理が一本化され、マーケティングも効率的に進められます。
MAツールの選定時には、今使っているシステム、また今後利用する予定のアプローチチャネルと問題なく連携できるかを確認しておくと安心です。
分析機能の充実度
マーケティングの成果を上げるために、データ分析は欠かせません。
MAツールには、顧客の行動をトラッキングしたり、キャンペーンの成果を測ったりする分析機能がついています。「このツールなら、うちのデータをしっかり活かせそう」と思えるものを選びましょう。
予算と費用の比較
MAツールの費用はさまざまです。まずは自社の予算を確認し、その範囲内で最も効果的に使えるツールを探しましょう。
MAツールは「安いからいい」わけでも「高いから安心」なわけでもありません。ツールの価格だけでなく、どれだけ自社のニーズを満たせるかが大事です。
サポート体制の確認
サポート体制が充実しているかどうかも、MAツール選びの重要なポイントです。
例えば、メールだけではなく、リアルタイムでの電話やチャット有人サポートがあると安心です。また、MAツールは国産のものだけではなく、海外のツールも多いので、サポートの対応時間や言語もチェックするようにしましょう。
当社ではMAツールに関する操作レクチャーやQA対応だけではなく、成果の出せる施策立案から効果検証まで、伴走でご支援しています。MAツール導入を検討しているものの「活用できるか不安」「自社にノウハウがない」などの課題がある方は、まずはお気軽にご相談ください。
MAツールを導入するメリット
MAツールの最大のメリットは、煩雑な作業を自動化できることです。MAツールを導入することで、例えば、リードに対するフォローアップや顧客の行動に基づくパーソナライズされたメッセージの自動送信が可能になります。また、MAツールを活用することで、顧客ニーズや行動パターンを正確に把握して、データドリブンなマーケティングを推進することも可能になります。
さらに、MAツールの活用は顧客とのエンゲージメント向上にもつながります。パーソナライズされたコンテンツや顧客のタイミングに合わせた配信は、顧客の満足度、売上アップやリピート率の向上につながります。
もちろん、MAツールを導入することでマーケティング活動の成果を、より詳細に数値で可視化できるため、どの施策が効果的かをリアルタイムで把握し、迅速に改善することも可能になります。
費用対効果で選ばれるMAツール「MoEngage」
MoEngageは、AIを活用した高度なパーソナライズ機能が多数搭載されたMAツールです。インドで開発され、アジアを中心に1,200以上の企業に導入されています。
メールの自動配信やアプリでの通知、自動シナリオの作成などの基本的な機能のほか、自動セグメントや位置情報を利用してクーポンなどを配信できるジオフェンシングなど、最新機能を標準で使えるのが特徴です。
またMoEngageは、セグメント作成、シナリオ作成、分析といったMA運用のすべての工程をノーコードで実行でき、専門的なプログラミングスキルがなくても直感的に操作できるため、導入や運用のスピードが向上し、システム開発や外部委託にかかるコストを削減できます。
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MoEngageの導入事例:ANA X株式会社様
ANA X株式会社は、MoEngageを導入し大きな成果を上げています。
具体的には、プッシュ通知やIn-Appメッセージを駆使し、有料会員の獲得数を28%増加。また、休眠ユーザーの約20%がアプリを再び利用するという結果を得ています。
さらにツール導入により、ユーザー行動データの分析が可能になり、PDCAサイクルの高速化を実現。効果的な施策を迅速に実行することで、成果を上げて自走するチームへと変化しました。
ANA Xの事例を読みたい方は、以下を参照してください。
まとめ
MAツール導入に関わる費用や、費用対効果の考え方を紹介しました。MAツールを選定するうえでは費用は重要な要素ですが、費用は1つの要素に過ぎず、自社でやりたいことを実現できるかという視点が最も大切です。費用を重視するがあまり目的が達成できなくなってしまえば、MAツール導入にかけた費用や時間も無駄になってしまいます。
まずはMAツールを導入する目的を明確にし、目的、費用対効果など総合的に考え、導入の検討を進めてみてください。
DearOneでは、最適なMAツールの選定から導入・運用までをサポートするサービスも提供しています。ツールの選定や導入後の運用に不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。