DearOne グロースコンサルタントの小島です。本記事では、改めてなぜグロースマーケティングが必要なのか、やらないとどうなるのか、企業は何から取り組めば良いのかについて、さまざまなクライアントのグロース支援で失敗も成功も経験してきた私の視点からお話したいと思っています。
「今更グロースマーケティング?」「必要なのはわかってるけど、他にも重要なものがあって…」などとお考えの方に、是非ご一読いただきたい内容となっておりますので、最後までお付き合い頂けますと幸いです。
グロースマーケティングって何?
「グロースマーケティング」は2000年代に入りアメリカを中心に広まったマーケティング手法です。
事業やサービスを成長させることを目的とし、具体的には以下3つの取り組みを行っていくものです。
- ユーザー体験を向上させる
- データ主体で意思決定する
- 継続的な顧客との関係構築と維持を目指す
グロースマーケティングは浸透してきていますが、いまだに獲得のみに重きをおいたマーケティング戦略が主流になっている企業が多く存在します。
その背景として「広告ほどの効果を実感できない」「できる人材がいない」「顧客データがない」など、様々な理由があると思います。
ではグロースマーケティングをやらないとどうなるかについて次の章で考えてみましょう。
グロースマーケティングをやらないとどうなる?
今や日常生活において欠かせない存在となったサービスはGoogle、YouTube、Netflix、Amazon、Instagramなどがあると思いますが、いつの間にかアメリカをはじめとした海外サービスが主流となっています。
これらの企業はグロースマーケティングが実践されたと言われています。
当たり前のことながら、事業やサービスを成長させるためには、ユーザーに「ファンになってもらい、たくさん利用してもらう」ことがとても大切です。そのためには、ユーザー体験を高めるという視点に立った施策実施が必要になります。
みなさんも探していた商品をWebサイトでおすすめされたり、すぐに使えそうなクーポンがプッシュ配信されたりすることで、嬉しいと感じる体験をしたことはないでしょうか?デジタル、リアルにかかわらず、ユーザーインサイトに沿った素晴らしい体験は、人の心を動かし、様々な感情を生むことができます。
そして、このようなデジタル接客に欠かせないものがデータです。「女性だから甘いものを好むだろう」「前の施策がうまく行ったから今回の施策も当たるだろう」などといった経験と勘による接客ではなく、データを用いて顧客の行動を分析し、顧客にとって良い体験を構築することがグロースマーケティングの中核となる思想です。こういった取組みを継続的に行うことで、環境の変化や顧客行動の変化に柔軟に対応し、顧客との長期にわたるエンゲージメントを実現することができるのです。
グロースマーケティングを疎かにすると、世の中の変化についていけず、いつの間にか顧客の動向がわからなくなり、質の悪い顧客体験により顧客が離反し、サービスが衰退してしまう…これは大げさは表現ではなく、現代社会において実際に起こっている現象であることを強く認識する必要があります。
Instagram(Burbn)の例
グロースマーケティングが注目されたきっかけとなる事例を一つご紹介しましょう。
昔、アメリカで位置情報を共有するアプリとしてリリースされた「Burbn」というサービスがありました。ユーザーの継続率が低いことが課題だったので、ユーザー行動を分析したところ、継続的に利用しているユーザーの多くは、位置情報共有ではなく、主に写真シェア機能と写真へのコメント機能を使っていることがわかりました。
そこで、写真シェア機能に特化したアプリにリニューアルしました。それにより多くのユーザーが定着するアプリとなり、爆発的にユーザー数が拡大しました。これがのちのInstagramです。
データを用いてユーザーの行動を分析し、スピーディーに改善を行い大成功をおさめたInstagramの事例は、その後のグロースマーケティングの先駆となるエピソードでした。
ユーザー行動分析に関する詳細は以下で詳しく解説しています。
企業は、まず何から始めるべき?
ここまで、グロースマーケティングが今後さらに必要になってくることはご理解いただけたと思いますが、企業は何から始めれば良いのでしょうか。
現状を知りマインドを変える
日本において、Google、YouTube、Netflix、Amazon、Instagramなど欧米圏のサービスが欠かせないものとなっていることは前述した通りです。
私自身、日本はデジタルの分野において他の国々に比べ遅れていると感じることがあります。例えば、インドやイスラエルなど、なんとなく日本より遅れてるイメージを持っているかもしれません。しかし実際には、MarTechツールが広く普及しており、すでに高度な分析が盛んに行われています。
また、IMD(国際経営開発研究所)が公表する「世界デジタル競争力ランキング」*1デジタル競争力に影響を与える要因を「知識」「技術」「将来への備え」の3つに分類し、各要因に関する52の基準・指標に基づいて算出される。では日本は32位。中国や韓国などのアジアの国からも大きく遅れをとってしまっています。先進国であるはずの日本ですが、デジタルにおいては先進国とは言えない現状であることを、まず認識しなければならないと思っています。
日本が他の国々に比べて、デジタルマーケティングで遅れを取っていると感じる理由は下記のような要因があると考えます。
- 伝統的なビジネス文化:
日本のビジネス文化はしばしば伝統的であり、新しい技術や戦略を取り入れることに消極的です。日本人は変化することにアレルギーがあるように感じます。
- 国内市場の規模:
日本は世界の中でも経済的に大きな市場の一つです。そのため、国内市場だけでも十分なビジネス機会が存在し、企業が国内顧客に焦点を当てる傾向があります。これは、国際的な視野やグローバルなデジタルマーケティング戦略の必要性を低減させている可能性があります。特に中小企業では、限られたリソースを最も効果的に使うために、既存の市場戦略を維持することを優先しているのではないかと感じます。
- 国内向けのカスタマイズ:
日本市場は特有の消費者嗜好や行動様式を持っているため、企業はしばしばその市場特有の戦略を採用する必要があります。国際的なデジタルマーケティングのトレンドや手法がそのまま日本市場に適用できない場合があるため、これがデジタルマーケティングの進化を遅らせる要因となることがあります。
- 言語の障壁:
日本は日本語を主要言語としており、グローバルなデジタルマーケティング戦略との整合性を困難にしている可能性があります。英語など他言語のデジタルコンテンツが普及しにくい傾向があります。
これらは悪いことばかりではありませんが、このような背景が故に「デジタル戦略に注力しなくてもとりあえずは問題ない」と、変わらないことを決断してしまっている企業が多いのではと思います。
しかしながら、私は変わっていく必要があると強く考えております。
課題から目をそむけない
サービスを展開していれば、さまざまな課題に向き合わなければなりません。例えば、競合との認知度が違う、自社サービスの機能が不十分である、顧客からネガティブなフィードバックをいただいた、など、目を伏せたくなるような現状を見つめなけらばならないシーンは大いにあります。
課題に正面から向き合い、見て見ぬ振りでやり過ごすことが無いようにするべきだと考えます。
とにかくやってみること
私自身、最初からマーケティング施策が当たらなくてもいいと思っています。データを収集し、結果に基づいて迅速に調整することが重要であり、施策を繰り返すことで、精度を上げることができるからです。
これは私の主観ですが、成長している企業は「いい意味でラフ」なことが挙げられます。こんな状態でもリリースするか?まだ完成していないなこのサービス、と思うこともありますが、そもそもサービスなんて永遠に完成しないです。「まずはやってみること」で、顧客からの反応が得られ、その後の改善につなげられるというメリットが大きいと思います。
グロースマーケティングは一日にしてならず
グロースマーケティングは、一夜にして成果を得るものではありません。広告のように即時効果が見込めるものではなく、そのため、すぐに結果が出ないと上司から不満を言われたり、メンバーの士気が下がってしまうこともあります。
日々データと向き合い、見えないユーザーのインサイトを探りながら施策を繰り返す、根気の要る作業です。私の気のせいかもしれないですが、対人コミュニケーションにも共通する点が多くあるな、と感じることもあります。顧客とのエンゲージメントの構築は一日では成し遂げられないものです。
最後に
私たちは、最新のテクノロジーとノウハウを駆使して、クライアントがより効率的かつ効果的にグロースマーケティングを実践できるよう支援しています。私自身、数年間にわたりグロースマーケティングに取り組んできましたが、正しい方法で実践すれば、必ず成果につながると自信を持って言えます。重要なのは、失敗から学び、小さな成功を積み重ねていくことです。
グロースマーケティングを始めるためにはマインドセット以外にも実務的なところでいうと、データ活用の基盤を整えることや顧客視点での指標設計、顧客の行動分析など企業が取り組むべきことはさまざまあります。
もしこの記事を読んで、グロースマーケティングに取り組みたい!と感じていただいた際には、ぜひお気軽にお問合せください!
*1 | デジタル競争力に影響を与える要因を「知識」「技術」「将来への備え」の3つに分類し、各要因に関する52の基準・指標に基づいて算出される。 |
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