デジタル時代のマーケティングは、データドリブンなアプローチと効果的なユーザーエンゲージメントが中心です。
この分野の代表的なツールであるBrazeとAmplitudeはそれぞれの専門性を活かし、企業におけるマーケティング戦略を次のレベルへ引き上げます。Brazeはパーソナライズされたメッセージングを通じて顧客体験を向上させ、一方でAmplitudeはユーザー行動の詳細な分析を可能にし、キャンペーンの真の効果を明らかにします。
本記事では、これら二つのツールを組み合わせることで得られる具体的なメリットを探ります。
Amplitudeとは?深まる施策効果の理解
Braze*は優れたメッセージングプラットフォームとして、多くの企業に支持されていますが、ユーザー行動全体を深く分析するには限界があります。
*Brazeは、国内外の先進企業で導入されているMAツールです。高精度なマルチチャネル配信と柔軟なシナリオ設計で、継続的な顧客コミュニケーションを支援します。
ユーザー行動分析ツールAmplitudeを利用することで、施策がユーザーの行動やライフサイクル全体にどのように作用しているかを詳細に追跡できます。Amplitudeのこのデータ分析により得られるインサイトは、次に取るべき施策の立案に大いに役立ちます。
ユーザー行動分析やAmplitudeについて、詳細は以下からご覧ください。
💡ユーザー行動分析とは?フレームワークや分析手法と利用ツールを解説
💡ユーザー行動分析ツールAmplitudeの詳細についてはこちら
BrazeとAmplitude連携によってできること

Cohort Sync(コホートシンク):ターゲットセグメントの精緻化
Amplitudeで作成したユーザーコホートをBrazeに連携することにより、ターゲティングの精度を飛躍的に向上させることができます。たとえば、「過去7日間で商品詳細ページを閲覧したが購入していないユーザー」や「アプリを一定期間利用していないユーザー」など、行動データに基づいて柔軟にコホートを定義することが可能です
Braze単体でもセグメントを作成できますが、Amplitudeでは、より詳細なデータを活用した高度な分析を通じて、さらに精度の高いコホートを作成することができます。このコホートをBrazeに連携し、最適化されたメッセージを配信することで、よりパーソナライズされたアプローチが実現し、効果的なエンゲージメントを生み出します。
さらに、Amplitudeによるユーザー行動やアプリ使用パターンの詳細分析は、Braze単体では捉えきれないインサイトを提供し、マーケティング活動全体の成果を最大化するための強力な武器となります。
Currents(カレンツ):エンゲージメントデータの一元化
Brazeでは、プリセットのダッシュボードで個別のキャンペーンの成果を確認することができます。
一方、複数のキャンペーンを横断的に分析するためには、CSVでデータをエクスポートし、ExcelやBIツール等で加工をする必要があります。
Currents機能によりBrazeのエンゲージメントデータをAmplitudeにリアルタイム連携することで、Amplitude上で複数キャンペーンのパフォーマンスをスピーディに分析・可視化し、戦略的な意思決定を迅速に行うことが可能となります。
Braze連携で実現するAmplitude分析事例
以下では、BrazeとAmplitudeを連携させることで、どのようなデータ分析が可能になるのか、具体的なユースケースを交えてご紹介します。
1. 配信状況のモニタリング
BrazeとAmplitudeの連携により、複数のキャンペーンを時系列でモニタリングするとともに、その効果を可視化できます。データ分析機能を使って、メッセージの影響タイミングやピーク効果を確認し、改善ポイントを明らかにします。
個別にチャートを作成することはもちろん、複数のチャートをダッシュボードにまとめ、重要な指標を定点観測することも可能です。
例1|キャンペーン別のインプレッション数・日次推移

例2|キャンペーンの定点観測ダッシュボードの作成

2. キャンペーンの追跡とファネル分析
ユーザーの動線をファネルで追跡し、キャンペーン接触後のユーザー行動と、コンバージョンまでの離脱ポイントを可視化します。
また、Amplitudeを使えば、ステップ間の詳細なユーザーパスを可視化することができ、キャンペーンごとの影響をより細かく分析できます。ユーザー動線と施策の最適化に役立ちます。
例3|ファネル
(アプリ内メッセージ接触 > 商品詳細を閲覧する > カートに追加する > 購入を完了する)CVRの可視化・離脱ポイントの確認

例4|コンバージョンor離脱したユーザーの詳細なジャーニーの可視化

3. 施策接触効果の可視化
キャンペーン接触者と非接触者のコンバージョン率を比較し、施策の効果を定量化します。これにより、どのメッセージやアプローチが最も効果的かを即座に判断でき、マーケティング戦略の最適化に役立ちます。
例5|3つのセグメントの購入CVR比較:「Emailを送信したユーザー」「Emailを開封したユーザー」「全ユーザー」

さらに、Amplitudeのファネルチャートでは、変化率や統計的有意の有無を簡単に視覚化でき、テストの結果が明確に分かります。
例6|「全ユーザー」に対する、施策接触ユーザーのCVRの改善率

例7|「全ユーザー」に対する、施策接触ユーザーのCVRの、統計的有意差(信頼度)

4. 行動傾向を元にしたコホート作成
Amplitudeを活用することで、ユーザーの行動データを元にしたコホート作成が簡単に行えます。
Brazeにはないさまざまなチャートから直感的にコホートを作成し、Cohort SyncによりBrazeへターゲットセグメントとして連携できます。
例えば、機械学習を活用し、行動傾向に基づくクラスターを生成、施策ターゲットにすることができます。
例8|行動傾向に基づくクラスタリングからのコホート作成

また、特定のカテゴリーの商品閲覧イベントの実行回数のヒストグラムを作成し、頻繁に興味を示したユーザーを抽出することも可能です。
Brazeへ連携し、関連商品のリマインドキャンペーンなどのターゲットセグメントとして利用できます。
例9|特定のイベントの実行回数ヒストグラムからのコホート作成
このように、Amplitudeを活用して行動に基づいた精度の高いターゲティングが可能になり、ユーザーとのエンゲージメントを深めることができます。

💡その他Amplitudeには、深いインサイトを見つけ出すための分析チャートが豊富に用意されています。
>>Amplitudeの機能がわかる詳細資料をダウンロードする
>>活用方法や費用を相談する
連携方法
ここでは、AmplitudeとBrazeを連携する方法を解説します。
Cohort SyncとCurrentsで、それぞれ別の設定が必要になります。
Cohort Sync
※本機能を有効にするには、Amplitudeの有償プランのご契約が必要です。
ステップ1|Brazeデータインポートキーを取得する
Braze管理画面で、パートナー連携 > テクノロジーパートナー > Amplitude を選択を選択します。「データインポートキー」と「REST エンドポイント」を確認します。

ステップ2|AmplitudeでBrazeとの統合を設定する
Amplitudeの管理画面で、データ > 送信先 > + 送信先を追加する > Braze を選択します。
表示されるモーダルで、Brazeの「データインポートキー」と「REST エンドポイント」を入力します。
同期に使用する識別子(ユーザーID等)を選択し、「保存する」をクリックします。

ステップ3|AmplitudeのコホートをBrazeに送信する
送信したいコホートの詳細画面で、対象ユーザー > Brazeを選択します。

連携頻度を選択し、Brazeにコホートを送信します。
1回限りの同期、毎日または毎時間ごとのスケジュール、あるいは毎分更新されるリアルタイム同期など、さまざまな設定が可能です。

ステップ4|送信されたコホートを使い、Brazeでユーザーをセグメント化する
Braze管理画面から、通常のセグメントを作成する時と同様に、オーディエンス > セグメント > セグメント作成 を選択します。
フィルターのドロップダウンリストから「Amplitude コホート」を選択すると、同期されたコホートをセグメント条件として選択できます。

Currents
※本機能を有効にするには、Amplitudeのアカウント、ならびにBraze Currentsのご契約が必要です。
ステップ1|Amplitude APIキーを取得する
Amplitudeの管理画面で、設定 > 組織の設定 > プロジェクト > 使用したいプロジェクトを選択します。
プロジェクト情報の画面で、APIキーを取得します。

ステップ2|Braze Curretnsを作成する
Braze管理画面で、パートナー連携 > Currents > + 新しいCurrentsを作成 > Amplitudeのエクスポート を選択します。
Amplitudeで確認したAPIキーを設定します。

送信したいメッセージエンゲージメントイベントを選択します。

Braze SDKで取得している顧客行動イベントやユーザーイベントを送信することもできます。

サポートされているイベントについて、詳細はBrazeのドキュメントをご参照ください。設定が完了したら、Currentsを有効にします。
ステップ3|Amplitudeに送信されたデータを確認する
連携が開始されると、Amplitudeにデータが送信されます。
送信されたイベントは、Amplitudeで取得しているイベントと同様、チャートやコホート作成に利用することができます。
▼例:Email関連イベント。イベントチャート作成画面のイベントドロップダウンリストから選択できる

イベントプロパティとして、キャンペーン名などの付帯情報も送信されます。
▼例:イベント「Email Click」のイベントプロパティ

まとめ
BrazeとAmplitudeの連携によるデータドリブンなアプローチは、企業のマーケティング活動を、より精密かつ効率的に進化させます。顧客の行動を詳細に理解しながら、迅速に施策の検証と改善を行うことで、マーケティング精度とスピードを最大化することが可能です。
DearOneでは、Brazeの運用支援や本記事でご紹介したAmplitudeの導入や運用のご支援をしております。この記事をお読みいただきAmplitudeについて知りたい、デモを見てみたいなど、お気軽にお問い合わせください。
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目次
1.Amplitudeの導入メリット
2.分析工数削減を実現した事例
3.高度な分析により成果を上げた事例
4.データドリブンな組織作りに成功した事例
