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コンテンツのPDCAはどうしてる?SEO・KPI設定など全部聞いちゃいます!|Web担当者Forum秋

2023.12.27

はじめに

A-can 白砂氏|
本日はご参加いただき、ありがとうございます。モデレーターを務める株式会社A-canの白砂です。

まず自己紹介させていただき、その後にコンテンツのPDCAの概要をすり合わせた上で、PDCAの各プロセスを質問していきます。それでは、与那覇さんから自己紹介をよろしくお願いします。

カインズ 与那覇氏|
株式会社カインズの与那覇 一史と申します。カインズには2021年に入社しました。入社してから趣味が増えまして、メダカ、ミジンコ、SEO、家庭菜園、筋トレ・・・と趣味と仕事を融合させて、日々いろいろなコンテンツを作っています。本日はよろしくお願いいたします。

A-can 白砂氏|
続いて西潟さん、自己紹介をよろしくお願いします。

サイボウズ 西潟氏|
サイボウズ株式会社の西潟と申します。サイボウズに2020年に中途で入社して、メール共有・管理ツール「メールワイズ」という製品のプロモーション、運用広告やオウンドメディアなどを担当してます。よろしくお願いいたします。

A-can 白砂氏|
株式会社A-canの白砂ゆき子と申します。SEO、コンテンツ施策などのコンサルタントを4年半経験して、2018年に独立しました。今まで20社以上のオウンドメディアやコンテンツの企画戦略・設計などを行ってきました。記事だけではなく、ホワイトペーパーを作ったり、LP制作やECの商品詳細ページを改善したりなど、コンテンツ全般を扱っています。本日はよろしくお願いいたします。

与那覇 さんから運営されているオウンドメディアと事業紹介をお願いできますか。

となりのカインズさん

カインズ 与那覇氏|
「となりのカインズさん」というオウンドメディアを運営しています。「ホームセンターを遊び倒す」というコンセプトのメディアで、たとえば、ミミズがすごく好きでミミズを約6万匹飼っているメンバーを記事にしたり、また、カインズの意外と知られていないネタを記事にしたり、お客様から寄せられた商品の活用情報を記事にしたり、多種多様なコンテンツを制作しています。

A-can 白砂氏|
スライド右側の写真はオリジナル商品ですか?

カインズ 与那覇氏|
そうです。カインズはPB商品にも力を入れており、カインズオリジナルで開発した洗剤のランディングページも「となりのカインズさん」のコンテンツとして制作しています。

A-can 白砂氏|
私から補足すると「となりのカインズさん」はかなり大規模なメディアです。1年半ほど前の時点で月間400万PVほどのボリュームとお聞きしました。今はもっと増えているでしょうか?

カインズ 与那覇氏|
そうですね。安定的に月間400万PV程度あり、ローンチから3年で累計1億以上のPVを獲得いたしました。

A-can 白砂氏|
続いて西潟さんからお願いします。

メールワイズ式

サイボウズ 西潟氏|
私が運営しているのは「メールワイズ式」というオウンドメディアです。コンテンツ内容としては、メールの書き方、たとえば、お礼メールや日程調整メールの書き方のポイントや例文を載せていたり、普段のメール対応を効率化できるノウハウの記事などを配信したりしています。

A-can 白砂氏|
「メールワイズ式」も私から補足させてください。スライド右側の記事や「年末挨拶メールの書き方」記事などは去年公開されてSNSでかなりバズった記事です。一番多いときで自然検索流入月間160万セッションほどまで到達したとお聞きしています。

サイボウズ 西潟氏|
約1年前に160万セッションまで到達したことがありました。今年に入ってからは100万セッションを超える月がコンスタントに発生しており、安定した流入を作れるようになっています。

A-can 白砂氏|
BtoBテーマのオウンドメディアで月間100万セッションというのは相当すごい数字です。

お二人ともオウンドメディアで月間100万を超えるセッションやPVを達成され、また、与那覇さんがBtoCテーマ、西潟さんがBtoBテーマということで、それぞれ違うお話を聞けると思います。

コンテンツのPDCA、流れと基本

コンテンツのPDCAとは?

A-can 白砂氏|
本編に入っていきます。まず「コンテンツのPDCA、流れと基本」というテーマです。人によってPDCAの定義が違うこともあると思いますので、はじめに認識を合わせておければと思います。

スライドの内容が私が考えるオウンドメディア、コンテンツにおけるPDCAの定義です。

まず、Plan(全体設計)はオウンドメディアやウェブマーケティング全体の設計です。例えば、ペルソナ設定、検討期間の長いBtoBであればカスタマージャーニーを作ったり、コンセプト設計したり、大枠のコンテンツテーマを設計したりするところです。

その後、Do(コンテンツ制作・発信)で実際にコンテンツを制作して発信していき、Check(モニタリング・分析)で結果がどうだったかを検証します。

そして、Action(改善)で既に公開した記事を修正したり、また、Planに戻ってコンセプトを設計し直したり、テーマの方向性を変えていったりするという全体の流れになるかと思っています。

このPDCAの定義を前提にして、各プロセスをどんな形で進めているかを順番に質問していきます。

オウンドメディアを立ち上げたきっかけと目的は?

A-can 白砂氏|
まずはPDCAのPlan(計画)ということで、最初の質問は、「オウンドメディアを立ち上げたきっかけや目的は何でしたか?」です。

「となりのカインズさん」は「お客様や社内のアイデアや課題を共有し、共創・発信出来る場を作りたかった」とお聞きしています。

カインズ 与那覇氏|
カインズは長い歴史がある会社になっており、社内には各商材に関するスペシャリストのメンバーが沢山います。同時にカインズの商品を買ってくださるお客様にもスペシャリストの方々が数多くいらっしゃいます。

こうした社内外の知識やアイデアを外に発信していく場がないことが最初の課題感でした。そこで、そうした知識やアイデアをまとめて発信しカインズのファン獲得や売上に貢献できる場を作りたかったということがオウンドメディア立ち上げのきっかけです。

A-can 白砂氏|
最初に「売上を上げたい」といったスタートではないところがひとつ特徴的ですね。続いて、西潟さんはメールワイズの認知拡大、新規流入の獲得というお話しでした。

サイボウズ 西潟氏|
当時はBtoBの製品としてメールワイズ自体が市場での認知度が低い状態でした。そこで「メールワイズを認知してもらうきっかけにしたい」ということと、オウンドメディアを立ち上げることで従来と異なる層の流入が作れるのではないかということで立ち上げました。

A-can 白砂氏|
なるほど。「となりのカインズさん」とは大きく異なり、「メールワイズ式」はリアルなビジネスイシューから立ち上がった形ですね。

Googleトレンドにおける「メールワイズ」というキーワードの検索数推移をみると、認知度は上がってきているように見えますが、西潟さんの肌感ではいかがでしょうか?

サイボウズ 西潟氏|
弊社で実施している認知度調査でもメールワイズの認知度が年々上がってきています。また、メールワイズをご購入いただいたお客様に「どういう広告を見ましたか?」というアンケート調査を実施していますが、そこでも50%以上の方が「メールワイズ式を見ました」と回答してくださっているので、認知の効果は出ていると思います。

A-can 白砂氏|
50%以上という数字はすごいですね。

立ち上げ時の全体設計はどこまでやりました?

全体設計はどこまでやりました?

A-can 白砂氏|
それでは、次の質問に参ります。「立ち上げ時にコンセプト設計・カスタマージャーニー設計などの「全体設計」をどこまでやりましたか?」という質問です。お二人の回答を事前に表にまとめてあります。

与那覇さんがペルソナ設定とコンセプト設計にたくさん◎が付いています(笑。これはどういう意味でしょうか?

カインズ 与那覇氏|
先ほどもお伝えした通り、カインズは商品数が多くいろいろなお客様がいらっしゃいます。、また、社内には各商材に関するスペシャリストのメンバーがいるので、最初はペルソナ設計を非常にしっかりやりました。たとえば、主婦の方がいて、大工の方がいて、と真面目にしっかり作っていったのですが、最終的には個々のペルソナを設定せずに「くらしに関わる人すべて」を対象にして運営しています。

A-can 白砂氏|
なぜ捨てることになったのでしょうか?

カインズ 与那覇氏|
ペルソナ検討をやっていく中で、「となりのカインズさん」のコンセプトである「ホームセンターを遊び倒す」を実現するにあたってはペルソナを1人に決めないほうが良いという結論になりました。今振り返ってみても、商品数や関わる人々の多様性を考えるとペルソナを1人に絞らないで良かったなと思っています。。

A-can 白砂氏|
いくつかペルソナ設定してみたが、全部しっくりこない感じだったのでしょうか?

カインズ 与那覇氏|
そうです。それでコンセプトも踏まえて、もう止めようとなりました。

A-can 白砂氏|
なるほど。比較的よくあるケースだと思います。ペルソナ設定を止める代わりに、コンセプト設計をしっかりやった形ですね。スライドを見ると、カスタマージャーニー設計、競合調査、キーワード調査(SEO設計)などはしっかりとされて、一方でテーマ選定はあまり決めずに走り出してから実施していった形でしょうか?

カインズ 与那覇氏|
はい、そうです。カインズは、DIYやペット、日用雑貨、ガーデニング、アウトドア、掃除、収納などなど数多くの商品カテゴリがあるため、ホームセンターらしく良い意味で「カオスなメディア」づくりをしてきました。

A-can 白砂氏|
西潟さんはペルソナ設定は△ですが、どんな状態でしたか?

サイボウズ 西潟氏|
ペルソナを設定しなかったわけではありませんが、メール対応されている方が対象になるという前提があるので、ペルソナをすごく深掘りしてガチガチに決めるというよりは、少し浅いところで設定した形です。

A-can 白砂氏|
与那覇さんの話とも少しつながりますね。ペルソナ設定は緩い方が良かったということですね。「メールワイズ式」も「となりのカインズさん」と同じようにあまり先までのテーマは決めなかった形ですね。また、競合調査はやらなかったのでしょうか?

サイボウズ 西潟氏|
当時、競合企業でオウンドメディアを運営している会社は殆どありませんでしたので、別のところに時間をかけようということで、競合調査はほとんど実施しませんでした。

コンテンツテーマの決め方を教えてください

A-can 白砂氏|
次の質問は「コンテンツのテーマの決め方を教えてください」です。与那覇さんからは事前に「社内・お客様・クリエイター・編集者の興味関心。オウンドメディアは玉虫色」と回答いただきました。興味関心はどんなふうに調査されていますか?

カインズ 与那覇氏|
「となりのカインズさん」は本当にいろいろな方々に見ていただいております。その中で、興味関心の掘り下げ方も多種多様になると思っています。

例えば、編集メンバーが店舗で気になる商品を見つけてくることもあります。また、お客様からの「お店でこういう商品があったけれど、となりのカインズさんで取り上げてもらえませんか?」というコミュニケーションで記事が生まれることもあります。本当にいろいろな形で興味関心が見つかります

A-can 白砂氏|
与那覇語録の「玉虫色」はそういう意味ですね。

カインズ 与那覇氏|
企業が運営するオウンドメディアは自社採用だったり、マーケティングだったり、販売だったりといろいろ役割があると思います。興味関心を多種多様に掘り下げることで、玉虫のように、さまざまな角度から見てキラキラと輝いているオウンドメディアになると思っています。

コンテンツのPDCAはどうしてる?SEO・KPI設定など全部聞いちゃいます!|Web担当者Forum秋

A-can 白砂氏|
ロマンチックなお話ですね。西潟さんの側は、検索ニーズや検索ボリューム、コンバージョンが取れそうなキーワードと、「となりのカインズさん」とは全然違う切り口ですね。

サイボウズ 西潟氏|
与那覇さんのロマンチックなお話しの後に、リアル過ぎてお伝えしにくいですね(笑)。コンテンツテーマは、検索ニーズと検索ボリュームを踏まえて、この記事を作成したらどれぐらいのセッション数を獲得できそうか、この記事をあげることで、製品のお試しや資料ダウンロードといったコンバージョンが取れるかどうかを判断基準に、コンテンツテーマを決めています。

A-can 白砂氏|
BtoBサービスのオウンドメディアは、コンバージョンという成果地点にフォーカスして運用しているところが多いイメージです。

サイボウズ 西潟氏|
個人的にはもっと楽しい記事もやってみたいですが、現状はセッションを取る、コンバージョンを取るという成果を強めに追いかけている状況ですね。

コンテンツ制作のスケジュールと本数は?

コンテンツ制作のスケジュールと本数は?

A-can 白砂氏|
次は、PDCAのDo、コンテンツ制作・配信の話に入っていきます。まず「コンテンツ制作のスケジュールと本数は?」という質問です。

与那覇さんは、月40~70本を公開、構成から公開に1ヶ月~3ヶ月かけているということです。この本数を制作するのはかなり大変ではないでしょうか?

カインズ 与那覇氏|
毎日朝起きた瞬間からコンテンツのことを考えています(笑

A-can 白砂氏|
ずっとコンテンツのことだけをされているイメージでしょうか?

カインズ 与那覇氏|
はい。

A-can 白砂氏|
公開本数が月間40~70本程度ということで、本数のばらつきがありますね。

カインズ 与那覇氏|
記事の仕込みに1ヶ月〜3ヶ月程度かかるのが標準的ですが、記事によっては半年や一年かかってしまうこともありますし、逆に1週間ほどで制作する記事もあるので、月によって公開する本数のばらつきがあります。

A-can 白砂氏|
この本数、全ての記事に全力投球する感じですよね?

カインズ 与那覇氏|
はい。もちろんです。

A-can 白砂氏|
すごいですね。大変だなと思います。西潟さん、「メールワイズ式」の場合は構成から公開までが1ヶ月半程度で、本数は月1~2本ということでペースが全然違いますね。これだけ少ない本数で大丈夫なものですか

サイボウズ 西潟氏|
「メールワイズ式」の場合は先ほどの通り、セッションやコンバージョン獲得を重視して作ることが多いので、作成本数は少なく、限られた本数で質を上げていく方針を取っています。

A-can 白砂氏|
「メールワイズ式」を立ち上げてからずっと同じペースですか?

サイボウズ 西潟氏|
たまに一気に公開したりすることもありますが、平均すると月に1~2本のペースですね。いま累計で130から140記事ぐらいです。

A-can 白砂氏|
なるほど。これだけ少なくても100万PVに届くものなのですね。

サイボウズ 西潟氏|
はい。1記事あたりで獲得できている流入数が多いので。

A-can 白砂氏|
ありがとうございます。両社、全く違うスタイルで興味深いですね。

コンテンツの制作体制・流れは?

コンテンツ制作の体制・流れ(となりのカインズさん)

A-can 白砂氏|
続いて、「コンテンツの制作体制・流れ」を教えてください。与那覇さん、先ほどの月40~70本はどんな形で制作しているのか、ご説明お願いします。

カインズ 与那覇氏|
はい。構成は編集長1名、社内編集3名〜5名、外部クリエイター複数名というメンバーで実施しています。たまに「覆面X」が登場するのですが、これは社内の偉い人や突発的に重要度が高くなったコンテンツ制作の案件を持ってくる人です。

ライティングは社内メンバーと、また外部のライター・監修者の方にも依頼しています。

A-can 白砂氏|
覆面Xからはどのような依頼が飛んでくるのですか?ですか?

カインズ 与那覇氏|
主に新商品や新サービスを紹介してほしいという依頼ですね。カインズは非常に大きな会社ですので、メンバー一人ひとりがいろいろな趣味や特技みたいなものを持っています。そして、そこから新しいサービスや商品がどんどん出てきます。

本当にありがたいことですが、そうすると「となりのカインズさんで取り上げてもらえないか?」という依頼をいただきます。。ラフな企画案などはあっても、そこから構成に落とし込んだり、原稿のチェック等を編集部が行っています。

A-can 白砂氏|
原稿チェックの覆面Xは、そうした企画を持ち込んできた方が関わってくれるという形でしょうか。

カインズ 与那覇氏|
構成の覆面Xと原稿チェックの覆面Xは意味合いが違っています。原稿チェックに関しては、本当にあってはならないことですが、情報が間違っていたり誤字脱字があったりする場合に、ありがたいことに編集部以外の方からご指摘いただくことがあります。それを覆面Xと表現しています。

A-can 白砂氏|
ありがとうございます。ライティングは、社内と外部ライターさん、監修者も企画数によって変わられるということで、「この記事であれば、このライターさんが合いそうだからお願いします」といった形で依頼されている形ですね。

カインズ 与那覇氏|
はい。

A-can 白砂氏|
この体制で月間40〜70本という本数を制作されているのですね。公開作業は与那覇さん1人で受け持たれているのでしょうか?

カインズ 与那覇氏|
はい。公開する記事は全て私が最後にチェックして公開しています。

A-can 白砂氏|
かなり大変ですね。

コンテンツ制作の体制・流れ(メールワイズ式)

A-can 白砂氏|
「メールワイズ式」はスライドのような形ですね。

サイボウズ 西潟氏|
記事のテーマ選定・構成と原稿チェックに関しては、私と他の社内メンバーにも入ってもらって進行しています。基本的にはメインの担当者である私が、テーマ選定や記事の構成、原稿チェック含めてずっと見ています。

A-can 白砂氏|
「メール」に特化することでテーマが絞られるので、ライターさんも監修者さんも2名ずつで制作が回る形でしょうか?

サイボウズ 西潟氏|
はい。本当に少数のメンバーで回している形です。

A-can 白砂氏|
公開作業も西潟さんが全部されているのですか?

サイボウズ 西潟氏|
はい、そうです。

A-can 白砂氏|
なるほど。「となりのカインズさん」はテーマも広く本数も多いので関わる人が多いですが、「メールワイズ式」さんは、テーマと本数が狭いので関わるメンバーも小規模でやっている形ですね。

ストックとフロー、コンテンツタイプの割合を教えてください

A-can 白砂氏|
次の質問は「ストック、フロー、コンテンツタイプの割合を教えてください」というものですね。

まず、私からフローとストックの意味を解説しておきます。

ストック型というのは、公開して待ち受けるタイプの記事です。SEO記事などは、だいたいストック型になります。即効性はありませんが、1年2年ずっとアクセスを集めてくれるものになります。

対してフロー型は積極的にSNSや広告などで配信して、バズらせることなどを狙って発信していくタイプの記事です。バズると、瞬間最大風速として非常に大量のアクセスが来ますが、バズがひと段落するとアクセスはずっと少なくなります。

ストック型とフロー型を組み合わせてやっていくのがコンテンツ制作の王道かと思っていますが、両社はどんな形でしょうか?

与那覇さんからは事前に「フロー型とストック型の側面を意識。人の心に刺さる記事は長い時間をかけて読み継がれる」と回答いただいています。説明をお願いできますか。

カインズ 与那覇氏|
例えば仮に読者が検索エンジンから流入された際、そのコンテンツが単なる情報提供のみで終わっていては、カインズの「ファン」にはなりません。そのため、フロー型とストック型の両方を意識してコンテンツを作成することで、どこが入り口があったとしても読者の記録と記憶に残るメディアづくりを心がけています。

コンテンツタイプの割合(となりのカインズさん)

たとえば、スリランカカレーというキーワードでGoogle検索すると、「となりのカインズさん」の記事が3位(2023年11月時点)に入っていて、同時に、その記事に対してSNSでも多くのコメントをいただきました。。このようにSEO×SNSで作成するコンテンツがどうしたら長く生き続けられるかを常に考えています。

A-can 白砂氏|
SEOとバズ、両方狙うということですね。記事のタイトルを見ると少しフロー型の印象ですが、SEOの順位もついて、長く生き続けてくれている形ですね。

カインズ 与那覇氏|
はい、おかげさまで。

A-can 白砂氏|
これを狙ってやったということがスゴイですね。「メールワイズ式」の場合は、ストック型が殆どとお聞きしました。BtoB向けのオウンドメディアですと、こうなる傾向はありますね。

サイボウズ 西潟氏|
SEOで狙っているキーワードで記事を制作して検索してもらうストック型の記事が殆どを占めています。フロー型は本当に少しだけやるというイメージですね。

A-can 白砂氏|
BtoBでのフロー型コンテンツはどんなものになりますか?

コンテンツタイプの割合(メールワイズ式)

サイボウズ 西潟氏|
「メールワイズ式」では、LINEで友達登録してもらってメールに関するコンテンツを配信しています。

「メールワイズ式」に流入してきた人に、定期的にメールに関する情報を受け取りたくないですか?という問いかけをして、友達登録してもらって、メールの書き方などに関するコンテンツを送る形です。

その中で、テキストの記事ばかりでは堅くなるので、たまに4コマ漫画なども送っています。こうしたものがフロー型のコンテンツになります。また、本数は10本に届かないぐらいですが、インタビュー記事なども掲載しています。

コンテンツの配信・デリバリー方法は?

コンテンツのデリバリー方法

A-can 白砂氏|
次は「コンテンツの配信、デリバリー方法は?」ということで、お二人の回答を表にまとめてみました。

「となりのカインズさん」は、SEO・SNSが○、動画が△で、広告/外部メディア・GoogleDiscoverも実施されていて、メルマガはされていない形ですね。特に力を入れているものはありますか?

カインズ 与那覇氏|
現状では、SEOとSNSですね。

A-can 白砂氏|
メルマガはされていないんですね?

カインズ 与那覇氏|
メルマガは仕組み自体はあるのですが、具体的な運用は設計を踏まえてこれから取り組みたいと考えています。

A-can 白砂氏|
「メールワイズ式」は、SEOとSNSはやっていて、広告/外部メディアとメルマガが△、動画はやらず、GoogleDiscoverも入ってきているかも知れないけれど意図的には取り組んでいない形ですね。「となりのカインズさん」と比較すると、配信のバリエーションが少ないのかなと思いますが、今度どのように取り組んでいきたいという展望はありますか?

サイボウズ 西潟氏|
一番最初のころはSEOにとにかく注力してやっていて、この1~2年はSNSにも取り組んでいます。今後は動画にも注力していければと思っています。ショート動画などの短いものから始めて、どれぐらいの反応があるのか探りたいと思っています。

A-can 白砂氏|
動画のテーマも、メールのハウツーになりますか?

サイボウズ 西潟氏|
はい、そこは変わりません。

A-can 白砂氏|
SEOに注力してきたということですが、もう少し具体的に教えていただけますか。

サイボウズ 西潟氏|
メールワイズの製品課題として認知が低いという点がありましたので、SEOを通じて「メールワイズ式」に流入してもらって、そこからコンテンツ等のコンバージョンにつなげていきたいという目的があります。従って、立上げ当初はSEOにほぼ全振りという状態でした。

A-can 白砂氏|
なるほど。「となりのカインズさん」もSEOはしっかりやっていますということでしたが、どんな形でしょうか?

カインズ 与那覇氏|
入社した当初、上長から「SEOは無視していいよ」とずっと言われていました。実は私はSEOを強みにしてキャリアを積んできたので、最初はすごく戸惑いました。

ただ、上長の言葉の裏には「SEOを無視はするけど、ユーザーのことは絶対無視しない」というマインドがすごく流れていました。そして、ユーザーを大切にすればSEOはついてくるという考え方で「となりのカインズさん」は運営されています。

A-can 白砂氏|
「となりのカインズさん」を見ると、SEOをしている感じがあまりしません。しかし、実際には検索を通じての流入がけっこうあるんですね。

カインズ 与那覇氏|
はい、おっしゃる通りです。

A-can 白砂氏|
「SEOは気にするな」と言いながら、実際には検索流入を実現しているということで素晴らしいです。

コンテンツ制作に使われているツールは?

コンテンツ制作で使っているツール

A-can 白砂氏|
続いて「コンテンツ制作に使われているツールは?」という質問への回答を表にまとめました。

「となりのカインズさん」は、キーワード調査ツール、トピック調査ツール/競合調査ツールも使われています。画像生成AIは使われていません。テキスト生成AIは△。コピペチェックやコピペ監視はやられていないという形ですね。

企画力がとても高い印象ですので、トピック調査ツールを使われているのは少し意外でした。どんな風に使われていますか?

カインズ 与那覇氏|
主に企画の切り口を考える際に使っています。すでに多くの方々が知っていたり、どこかで見たことがある切り口の企画を「となりのカインズさん」ではなるべくやらないようにしているため、既存のコンテンツと被らないように調査していますね。。

A-can 白砂氏|
参考にするのではなく、被らないために使っているわけですね。それは面白いですね。テキスト生成AIは少し使われているのでしょうか?

カインズ 与那覇氏|
そうですね。人によって使っているというところです。会社ではまだ統一はしていません。

A-can 白砂氏|
ライターさんによっては簡単なパートの作成などで使われているかもしれないといった形でしょうか?

カインズ 与那覇氏|
使われている方もいらっしゃるかもしれませんが、まだまだ人が出すアウトプットの方がレベルが高いですね。

A-can 白砂氏|
「メールワイズ式」の場合、キーワード調査ツールは使われていて、テキスト生成AI、コピペチェック/コピペ監視は△、トピック調査ツール/競合調査ツール、画像生成AIは使われていない形ですね。

サイボウズ 西潟氏|
キーワード調査ツールは、メール関連のキーワードを調べる上で使っています。テキスト生成AIは記事作成に使っているというよりは、テーマに対してコンテンツが足りているかを確認するために使っています。

A-can 白砂氏|
構成を確認するために、テキスト生成AIを使われているのですか?

サイボウズ 西潟氏|
そうです。構成時にコンテンツがこれで足りているか等を確認するために使っています。

A-can 白砂氏|
なるほど。コピペチェックやコピペ監視ツールは△ですが、たまに使われるような形でしょうか?

サイボウズ 西潟氏|
内部で毎回使っているような形ではなく、一部でチェックのために使ったりするようなイメージです。

A-can 白砂氏|
確かにSEOは他サイトにコピーされるようなこともあるので、定期的に確認しておいた方がいいですね。

生成AI導入の流れはありますか?

A-can 白砂氏|
追加の質問になりますが、コンテンツ制作の中で生成AI導入の流れはありますか?

サイボウズ 西潟氏|
個人的には原稿を書く部分は、まだ人間がやった方が良いと思っています。

従って、使い方としては原稿の構成を考える際に足りない部分がないかを確認する、また原稿を見比べるといった形で、表に出す原稿を作るというよりも、裏側で確認するために使うという位置づけで捉えています。

A-can 白砂氏|
与那覇さんはいかがですか?

カインズ 与那覇氏|
現時点ではテキスト生成AIを導入する流れがあるかというと、「あり寄りのなし」というところです。

私自身、ChatGPT4を個人で有料契約して使っていますが、使う上で大事だと思っていることが2つあります。まず「AIが出してきたアウトプットの良し悪しを見極められるか?」が使いこなす上ですごく大事です。

また、もう一つは一次情報、たとえば現場の職人さんや店舗の現場で働いているメンバーの言葉や生の情報を、生成AIやコンテンツの中に組み込めるかです。Web検索した情報だけで生成AIを使いこなそうとしても、アウトプットの質に限界があると感じます。

オウンドメディアのKPIは?

A-can 白砂氏|
続いてPDCAのCheckですね。「KPIはどこに置いているか?それをどうやって決めたか?」という質問への回答を表にまとめました。

KPI

A-can 白砂氏|
「となりのカインズさん」は、アクセス数と読まれ度、コンテンツ公開本数に○がついています。一方で、CTAクリック数、送客数、CV、サブスク/リード獲得などはKPIとしてあまり見ていない状態でしょうか。与那覇さん、解説をお願いできますか。

カインズ 与那覇氏|
そうですね、ロマンチスト寄りかも知れませんが、あまり売り込み色を出さない、ギラギラさせる方向では運用していない状況です。

A-can 白砂氏|
「来ていただいて読んでいただく。そのためにコンテンツをしっかり公開していこう」という方針ですね。その中でコンバージョンには△がついていますが、どんな意味でしょうか?

カインズ 与那覇氏|
決して売上(コンバージョン)を無視しているわけではないのですが、コンバージョンを意識しすぎると「コンバージョンを獲得するための手段が目的化」してしまうと考えています。コンバージョンに限らず各KPIが動いたとき、同時に読者の心も動いているかどうかを考え続けたいですね。

A-can 白砂氏|
これらのKPIはコンセプトから落とし込んで決めた形でしょうか?

カインズ 与那覇氏|
おっしゃる通りです。

A-can 白砂氏|
「メールワイズ式」の場合、ほぼ○がついていますが、読まれ度とコンテンツ公開本数はあまり重きを置いていない形でしょうか?

サイボウズ 西潟氏|
立ち上げ期や立ち上げから2年ぐらいまでは、コンテンツ公開本数なども見ていましたが、2~3年が経過してからは製品サイトへの遷移やその先の資料ダウンロード獲得などを押し進めたいということで、CTAクリック数以降のKPIに重きをおいています。

A-can 白砂氏|
そうすると「ページの下まで読み切ってもらうよりは、ちょっと読んで納得・満足したのであれば、製品サイトに飛んで欲しい」という感覚でしょうか?

サイボウズ 西潟氏|
これはテーマの特性もあると思っています。メールの書き方等を検索されたことがある方は感覚が分かると思いますが、記事の一部を見て終わる方が多くなっています。「書き方のここをピンポイントで知りたい」というニーズですね。従って、記事の閲覧時間や熟読の部分はそこまで重視はしなくていいと考えています。

A-can 白砂氏|
それよりも、CTAクリック数、送客数、コンバージョン数、リード獲得などが大切ということですね。ありがとうございます。

効果分析ツールに何を使っているか?

分析ツール

A-can 白砂氏|
「分析ツールに何を使っているか?」の回答も表にまとめました。両社ともアクセス解析、Googleサーチコンソールは使われており、SEOツールでの順位トラッキング等の実施、またBIツールも利用されています。

「となりのカインズさん」は、ソーシャル分析はされていますが、ヒートマップは使われていないとのことです。ヒートマップを使われていない理由がありますか?

カインズ 与那覇氏|
ホームセンターのメディアということで手触り感を大事にしたいという方針がまずあります。記事の読みやすさなども、できる限り定性的な感覚を大切にしようと考えて、編集部内で人が読む形で確認しています。

A-can 白砂氏|
編集メンバーで実際に読んで、「気持ちよく読み進められるか?」といった手触り感を重視しているわけですね。ソーシャル分析ツールではどんな部分を見ていますか?

カインズ 与那覇氏|
まずカインズに関して呟かれている投稿などの確認ですね。また、公開した記事がどれぐらいのリーチがあるのかも数字として確認しています。

A-can 白砂氏|
「メールワイズ式」ではヒートマップはどのように使われていますか?

サイボウズ 西潟氏|
そうですね。ヒートマップは熟読や集合エリアを中心に見て、「どこにCTAを入れようか?」「ここにコンバージョンのポイントを作れそう」と検討・確認するために使っています。

A-can 白砂氏|
ヒートマップを確認して、熟読されているブロックの下にCTAを入れるといったイメージでしょうか?

サイボウズ 西潟氏|
そうですね。あとは離脱されるポイントの手前にCTAを設置したりもしています。

A-can 白砂氏|
両社ともBIツールを使われていますが、どんなダッシュボードを組まれていますか?

カインズ 与那覇氏|
シンプルに先ほどのKPIに紐づく数字を一覧できるような形ですね。

サイボウズ 西潟氏|
「となりのカインズさん」と近いですね。ただし、今ちょうど改修を検討しており、「メールワイズ式」のセッション開始からコンバージョンまでの流れをより詳細に見られるようにすることを考えています。

流入経路の割合は?

A-can 白砂氏|
続いての質問は「サイトへの実際の流入経路割合を聞いてもいいでしょうか?」です。これは「となりのカインズさん」は非公開ということでした。「メールワイズ式」の場合、ほぼオーガニックで、リファラルやダイレクトが多少ということです。

サイボウズ 西潟氏|
はい。広告配信などを実施した際は少しオーガニックの比率が減ったりしますが、基本的にはオーガニックでの流入が殆どです。

A-can 白砂氏|
オーガニックの流入以外も増やしたいとは考えませんか?

サイボウズ 西潟氏|
そうですね。もう少し違う層を獲得したいと考えて広告配信などを試しており、今の状態から少しずつ変えていきたいなと思ってます。

A-can 白砂氏|
オーガニックの割合が高すぎると、Googleの検索アルゴリズムアップデートに振り回される部分がありますね。

サイボウズ 西潟氏|
おっしゃる通りです。アルゴリズムアップデートの影響でセッション数が下がったりしますので、もう少しバランスが取れた形にしたいですね。

コンテンツページの分析はどれぐらいやっていますか?

A-can 白砂氏|
次は「コンテンツページの分析は、どれぐらいやっていますか?」という質問です。「となりのカインズさん」は目視チェックということで、先ほどもお話しいただきました。

カインズ 与那覇氏|
そうです。人の目で確認することを大事にしています。

A-can 白砂氏|
目視して「この記事は少しイケてないな」となった際には修正されるんですか?

カインズ 与那覇氏|
公開済みの記事でも、より専門的な知見を持つ有識者からアドバイスを頂戴することがあり、そのような場合には記事内容を精査し、必要に応じて修正を加えています。

A-can 白砂氏|
読者にとって最適な情報を提供するという姿勢を大切にされているのですね。

カインズ 与那覇氏|
はい、定量的なデータだけでは見えてこない手触り感や読者とのコミュニケーションを大切にしています。

A-can 白砂氏|
西潟さんの方は、「10~15本ぐらいをヒートマップ、CTAのアクション内容、CV経路を見ています」ということですね。

サイボウズ 西潟氏|
直近で公開した記事、またセッション数が多い記事を中心に、ヒートマップで離脱ポイントを確認してCTA内容を変えたり、コンバージョン経路になっている記事をGA上で確認したりする形で分析をやっています。

A-can 白砂氏|
すごく丁寧に運用されていますね。こうした積み重ねがあるから、記事の本数が少なくても、アクセスとコンバージョンがきちんと取れているのだなと感じます。

CTAのアクション率を教えてください

A-can 白砂氏|
続いて「CTAのアクション率はどれぐらい?」という質問です。与那覇さんからは「意識していません」という回答で、ここには興味がないというところでしょうか。

カインズ 与那覇氏|
「となりのカインズさん」は、ミミズの記事からメダカの記事、縄文時代の記事から掃除のお役立ち記事までたくさんの記事があるので、一つひとつのCTAクリック率を見ていても、メディア全体を運営する上ではあまり意味がないと思っており「意識していません」ということですね。

A-can 白砂氏|
その先の売上もあまり気にしていないという認識で大丈夫ですか?

カインズ 与那覇氏|
少し強がりに聞こえるかもしれませんが、おっしゃる通りです。

A-can 白砂氏|
ありがとうございます。西潟さんは「データは出せませんが、意外とありますよ」ということですね。

サイボウズ 西潟氏|
データは公開できませんが、皆さんが思われる数字よりも意外と高いと思います。CTAの内容は資料ダウンロードや製品の無料トライアルなどですが、件数としては結構あります。

オウンドメディアの存在意義を社内に証明できる?

A-can 白砂氏|
続いては、「KPIなどの数字を使って、オウンドメディアの存在意義を社内に証明できる?」という質問です。オウンドメディアを運営していると社内で「売上に貢献しているのか?」と言われることもあるかと思いますが、そういった質問にどう答えているのか、とても気になります。

カインズ 与那覇氏|
はい。先ほど売上は意識していないと言いつつも、しっかり売上を作るための記事に関しては意識しています。

オウンドメディアの存在意義(となりのカインズさん)

たとえば、花王さんの「ホームリセット」という洗剤がありますが、「となりのカインズさん」での記事公開の前後で比較すると売上が300%向上しました。また、コクヨさんの「ドットライナー」というテープのりでも販売数量が150%向上するなど、売上に貢献した事例が増えてきています。

A-can 白砂氏|
これは店舗での売上ということですか?

カインズ 与那覇氏|
そうです。店舗での売上です。

A-can 白砂氏|
なるほど。「となりのカインズさん」を読んで、店舗に行って買われる人がいるということですね。

Webでの記事閲覧と店舗での売上ということで、貢献数字として厳密に取れないけど恐らく記事の効果だろうという形で判断されているのでしょうか?

カインズ 与那覇氏|
いま定量的なデータを取る方向で、動いています。明らかに記事の影響で売上が伸びているのを確認していますし、実際の売場の声からも「となりのカインズさんがきっかけで来店したお客様がいました」という話を聞きます。

A-can 白砂氏|
それは嬉しいですね!

オウンドメディアの存在意義(メールワイズ式)

西潟さんは、スライドで紹介している記事にかなり詳細に全部書いてあるということですが、少しご説明をお願いできますか。

サイボウズ 西潟氏|
はい。まず前提として、上司の理解がないとオウンドメディアの立ち上げは難しいと思っています。

BtoBの場合、オウンドメディアの貢献はリードがどれぐらい取れるか、コンバージョンがどれぐらい取れるかで判断されがちです。一方で、オウンドメディアの立ち上げから1年で大きな成果を出すのは困難です。従って、成果を出すまでの期間がかかることを理解してくれる上司の存在が必要だと思います。

それを踏まえてお話すると、「メールワイズ式」に関しては数字としての結果が出てきています。セッション数、そして、資料ダウンロードやお試しなどのコンバージョンに関しても結構な数字が出ています。従って、そうした数字を使って「メールワイズ式」の存在意義、必要な意味を説明できるかなと思います。

A-can 白砂氏|
スライドに書いてあるリード獲得6倍という成果、またMAの施策等が実施できるようになったということが大きいでしょうか。

サイボウズ 西潟氏|
スライドは去年の記事で、今は8倍ぐらいの数字になっています。リードが増えたのは、記事から繋げるホワイトペーパーを製作したり、資料ダウンロードの導線整備ができた結果だと思います。また、製品のお試しをされる方の半数以上が「メールワイズ式」を訪問されており、「メールワイズ式」が流入経路として確立できている状態になってきています。

A-can 白砂氏|
ここまで来ると「オウンドメディアが売上に貢献できるのか?」とは言われなくなりますか?

サイボウズ 西潟氏|
そうですね。一方で、数字が出始めるとより高い数字を求められますし、「もっと伸ばせるんじゃないか」「もっとオウンドメディアが使えるんじゃないか」といったコメントもいただきます。

記事のリライトはどうやっていますか?

A-can 白砂氏|
PDCAのAに入りたいと思います。まずは記事公開後の「リライトってどうしている?選定は?」という質問です。まず与那覇さんの回答は「上には上がいる」ですが、どういう意味でしょうか?

カインズ 与那覇氏|
たとえば、「昆虫の飼い方」に関する記事を掲載したとします。きちんと監修者の方に見ていただいた記事ですが、より詳しい昆虫博士のような方から、「記事で紹介している飼い方もひとつだけど、こういう飼い方もできる」といったフィードバックをいただくことがあります。このように本当にいろいろなプロの方がいらっしゃって記事にフィードバックをいただきますので、それを受け入れて記事をリライトしています。

A-can 白砂氏|
なるほど。「上には上がいる」はそういう意味なんですね。検索順位がどうではなく、各コンテンツで公開した内容よりもっと詳しい方がいるので、その知見を受け入れて記事をリライトしていくということですね。これも人間味があるお話ですね。

西潟さんからは「検索順位が落ちている記事、狙ったキーワードが取れていない記事を中心に」という回答です。

サイボウズ 西潟氏|
検索順位が直近で3~4位程度落ちている記事、また、別キーワードでは流入を取れているけど狙ったキーワードでは検索上位を取れていない記事などを中心にリライトしています。

またコンバージョン経路になっている記事に関しては、よりコンバージョンが取れる可能性があるということで、記事の内容を変えたり、記事の構成やCTAを含めて変えたりしています。

A-can 白砂氏|
リライトで落ちた順位が戻る、コンバージョンが増えるといった結果は出ますか?

サイボウズ 西潟氏|
はい。すぐに数字が出てきます。セッション数が最初に伸びて、その後にコンバージョンなども付いてくる形で、1~2ヵ月で成果が見えるのでやる価値はあります。

A-can 白砂氏|
公開して放置するのではなく、きちんと見直して運用されている形ですね。ありがとうございます。

CTA改善にはどう取り組んでいますか?

A-can 白砂氏|
続いてCTA改善に関しての質問ですね。与那覇さんからは「部分最適は全体最適に繋がらない」とのご回答でした。詳しくご説明お願いできますか?

カインズ 与那覇氏|
そうですね。たとえば、「CTAボタンの位置を変えてクリックされる率があがりました」という時、その先のコンバージョンにたどり着くまでの道筋がきちんと設計されているのかも気にする必要があると思っています。各施策の最適化は大切ですが、同時に常に全体を俯瞰して全体最適を忘れないことが大事だと思っています。

A-can 白砂氏|
西潟さんは「定期的に記事内に設置するCTAの内容、サイドバナーを入れ替えています」ということですが、いかがでしょう?

サイボウズ 西潟氏|
与那覇さんがおっしゃる通り、CTAをクリックしてから先の経路もきちんと設計しないと成果に繋がらないというのはその通りだと思います。同時に部分的に改修することで、「この改修だけでコンバージョンが増えた」「成果が出た改修を別の記事に反映しても、この記事だと成果が出ない」といったことが見えてきます。CTA改善は細かい作業が多くて疲れることも多いですが、必ずやった方がいいと思っています。

A-can 白砂氏|
CTA改善を実施することで自分のレベルや肌感覚を磨いて、全体成果に繋げていくというイメージでしょうか?

サイボウズ 西潟氏|
そうです。また、CTA改善の成果は直接的なコンバージョン、お試しや資料ダウンロードの増加などの全体の成果に繋がります。外に伝えやすい成果ですし、モチベーションを持って取り組みやすいと思います。

CTA改善にはどう取り組んでいますか?

A-can 白砂氏|
次は「CVR改善のやり方は?」という質問ですね。与那覇さんからは「読者もコンテンツ制作に巻き込む(ファンになっていただく)」という回答ですが、どんな意味でしょうか?

カインズ 与那覇氏|
これはBtoC向けでオウンドメディアを運営する強みだと思いますが、読者の方にライターとなっていただいたりすることもあります。ライターになる体験を通じて、「実際にカインズの店舗に行って洗剤を買ってみた」「掃除ノウハウを試してみた」「DIYを始めてみた」といった声をとても沢山いただきます。従って、コンテンツ制作に巻き込むことによってファンが増え、コンバージョンが増えていくのだと思っています。

A-can 白砂氏|
データ上のコンバージョンをあまり気にするのではなく、ファンを作れば商品の売上に繋がっていくということですね。

カインズ 与那覇氏|
そうですね。目の前の売上はもちろん大事ですが、読者やライターを含めメディアに関わる方々との長期的な関係構築を重視しています。

A-can 白砂氏|
西潟さんからは「ホワイトペーパーの追加、製品サイト遷移の強化(CTAやバナーの変更)、ナーチャリングの実施」とリアルな回答をいただいていますが、いかがでしょうか?

サイボウズ 西潟氏|
最近は新規の記事制作以上にコンバージョン改善やCTA改善に力を入れており、ホワイトペーパーの追加やナーチャリング実施もCVRの改善策として実施しています。

A-can 白砂氏|
西潟さんのチームでオウンドメディアだけでなく製品サイトの方も担当されているので、オウンドメディアの記事だけでなく、トータルで改善して道筋ができるようにやっている形ですね。

サイボウズ 西潟氏|
そうですね。CVR改善は自分がメインで担当しており、時々他メンバーにも依頼して実施してもらっています。そうした意味でオウンドメディアから製品サイト、流入からコンバージョンまで全体を見て改善していくことが出来ている状態ですね。

A-can 白砂氏|
ここも非常に丁寧に整備されていますね。

A-can 白砂氏|
ありがとうございました。これで質問は以上になります。最後まで聞いていただき、ありがとうございました。

スピーカー

関連リンク

となりのカインズさん https://magazine.cainz.com/

メールワイズ式 https://mailwise.cybozu.co.jp/column/

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