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【GROWTH SUMMIT 2021 SESSION3】行動分析によるグロースマーケティング実践事例

2022.02.14

行動分析によるグロースマーケティング実践事例
行動分析によるグロースマーケティング実践事例

この記事は、2021年11月17日に開催した「Growth Summit 2021」のセッション3ウェビナーレポートです。

ECビジネスの状況

安田|
経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」報告書によれば、物販系BtoCのEC市場は2019から2020年で伸長率21.71%とかなり大きく伸びています。
ECシフト率も同期間で6.76%から8.08%と加速しており、これはコロナの影響もあると見ています。

さらに分野別EC化率では、最も進んだ商品が「書籍・映像・音楽ソフト」であり、その次が、本日ご登壇のお二人が関わる「衣類・服飾雑貨等」となっています。
2019-2020年は、元々EC化率の高い分野がさらにEC化率を高めた傾向が見られます。

この環境下におけるECのビジネス状況を、まずは山下様にお話頂きます。

山下|
ストデパでの購入カテゴリー「リビング・ビューティー」を2019年と2021年のコロナ前後で比較したところ、「アパレル」に対するシェアが3倍(6%→18%)に伸びています。コロナ禍のイエナカ需要やお客様の意識変化により、美容やインテリアの売上が向上したと考えられます。

イエナカ需要でビューティーやインテリアのシェア拡大

また、ギフトの受注件数もコロナ前の2019年度から8倍と大きく伸びています。物理的に会えない人のギフト需要を捉えた結果が顕著に表れている事例です。

コロナ禍で直接会えない人へのギフト需要が高まった

比較的高価格帯のファッション系はこれまでリアル購入でしたが、コロナで店舗に行けなくなり、店舗に行かずともネットで買えるという新たな選択肢が生まれ、お客様のマインド・チェンジが起こったと捉えています。

安田|
ありがとうございます。6%から18%の3倍はすごいですね。コロナ禍で、幅広い商材を複数取り扱う複合効果が出たのでしょうか。

山下|
やはり外に出られず在宅の機会が増えたことが発端となり、家で生活するための商品や美容に関する商品へ関心が移っていったようです。それに合わせて弊社も「リビング・ビューティー」の品揃えを増やしたことが寄与したと考えています。

安田|
ユーザーの趣向や生活の変化を捉えて、品揃え対応をされたのですね。

またギフトが8倍になっていますが、ギフトが増えると例えば男性が女性物を買うといった購買行動が起こり、会員属性と購入商品がずれるという話もあります。購入者の属性から購入商品の予測が難しくなりませんか。

山下|
洋服にはサイズ等の問題があるので、買ってプレゼントする行動の敷居は高いです。現状、洋服以外の分野でギフトが伸びているため、そのようなずれは見えていないです。

安田|
ありがとうございました。では次に、香取様からお話頂きます。

香取|
弊社は翌月の再購入率(リテンション・レート)を重要視しています。翌月のリテンションに、顧客の行動変化が特徴的に表れるためです。弊社の2019年と2020を比較すると、16%UPしています。

新規客 翌月再購入率

UPの要因は複数あるのですが、リテンション・レートに強い相関性のある「会員登録~初回購入」のデータを見ると、その期間が短ければ短いほど翌月のリテンション・レートが高くなります。

コロナ禍ではオンラインのアクセス頻度が高くなった結果、初回購入までの期間が短縮され、リテンション・レート向上につながっています。

翌月を重要視している理由は、翌月のリテンションが高くなると、翌年のリテンションも高くなるからです。これによりその後のLTVが予測できるため、弊社の重要指標(KPI)となっています。

次に、弊社の新サービス「White Label」についてです。
コロナ禍でオフラインのファミリーセールがキャンセルとなり、オンラインが加速して弊社サービスの取引件数が約7倍になりました。

この「White Label」は、ブランドが行うファミリーセールのデジタル化です。エクセルの顧客管理や葉書集客等アナログなセールは、顧客データベース化が進んでいない課題を抱えています。

それに対し弊社は、オンラインセール導入や、オフラインセールのデジタル化をサポートしています。

コロナ禍でオンラインへの移行が加速

安田|
ありがとうございます。データが売上にどう関係するのか深く分析し、データを元に考える文化が御社には既に根付いているのがすばらしいです。

米田|
莫大なデータの中から、どうやってそのデータに当てをつけたのですか。

香取|
Amplitude導入以前だったのでTableauを使用して、LTVの向上方法と新規リテンションの相関性を見つけました。さらに相関性のある行動を探り、スマートフォンとアプリを両方使っている人の方がリテンション率が高い等を見つけ出して、促進する施策を取っています。

米田|
様々なアウトカムに対する相関性をデータから統計的に求め、それに対してKPI軸を置き定点観測をしながらビジネスを進めていらっしゃるのですね。

安田|
データドリブンで考える文化が元々御社にあったのですか。

香取|
弊社はファッション業界出身者が多いので感覚で動きがちですが、感覚を重要視しつつも新たな気づきをデータから取る文化は皆持っていると思います。

行動分析導入の背景

安田|
ストライプデパートメント様とla belle vie 様はともに行動分析ツールAmplitudeを導入されています。

ここからは、行動分析ツールの導入背景をお聞きしていきますが、その前に米田様より、行動分析ツールについてお話頂きます。

米田|
DXが進んだことにより、皆さんも様々な結果指標が見れるようになったと思います。ウェブサイトやアプリの運営で、訪問者数の変化や過去6カ月の売上推移、購買ファネルから離脱ポイントを把握している方も多いと思います。

DX推進の多くの現状

デジタルデータを蓄積していくと、様々なタッチポイントでのユーザー行動をデータとして捕捉できるようになります。例えば服の購買時に、商品を選んでお気に入り登録し、後で買う、お気に入り登録から外す、好みの商品をカートに入れたまま1日置き、翌日購入を止める、といった行動がDX収集データに蓄積されています。

行動分析はその一つひとつのユーザー行動にフォーカスしています。顧客の嗜好が見える上、時系列と共に外的要因と内的要因によってトレンドが変わります。例えば気候という外的要因で半袖から長袖になったり、年齢という内的要因で着る服が変わったりします。この二つの要因から発生する行動変容に対して相関関係を見出すと、それが先行指標になります。

Amplitudeの着目点

ユーザー行動分析の先行指標を活用したビジネスは、GAFAを始め欧米では10年程前からすでに行われています。当時は手作業でしたが、マーケティングオートメーションの普及によって自動で行えるようになりました。

Amplitude事例

以下は、購買ファネルの手前となるマイクロコンバージョンファネルです。

購買ファネルの商品投入率向上

各ファネルに見られる離脱(斜線箇所)までが結果指標であり、右側赤枠箇所がAmplitudeに出来ることです。わずか3〜4秒で回帰分析を自動で行い、どの行動がカート投入アップ・リフトにつながるかという統計的示唆を表示します。

例えば「スタイリング」閲覧者のカート投入が増えた場合、「スタイリングの閲覧」ボタンをウェブページの上位に配置したり、「スタイリング」を閲覧していない人に対しプッシュ通知やEmailでプロモーションして売上向上を目指します。これが先行指標の運営です。

Amplitudeは可視化したユーザー行動分析をベースに、ユーザーの嗜好・行動変容を理解し、サービス改善やプロモーションを行えるツールです。

安田|
ありがとうございます。このAmplitudeを導入されるきっかけとなった課題について、まずは山下様からご説明頂けますか。

山下|
弊社は下図の分析を、GAとTableau、Karte等のMAツールを使用して行っていました。

分析の深掘りにかける時間とリソースが不足

しかし日々のサイト運用に追われ、振り返りを深掘りしようにも、時間を要する分析設計・データ抽出のスピードがサイト運用スピードに遅れを取っていました。そのタイミングでAmplitudeのご提案を頂きました。

当初は分析ツールを上手く活用できるか懐疑的でしたが、PoCで導入した結果、担当者の直感的な操作およびリアルタイムで出る分析結果のおかげで、データ分析の敷居が下がりました。

安田|
分析の深掘りとは具体的にはどのようなイメージでしたか?

山下|
GA・Tableauでデータ抽出後、別観点から詳細を再分析する際にまたデータ抽出から入らなければならず、仮説にたどり着くまでに何度もその作業を繰り返すので時間がかかっていました。

安田|
分析のスピードを上げることが事業運営のスピードにも関わる課題だったのですね。
では次に、香取様お願いします。

香取|
弊社は「深まらないユーザー理解」が課題でした。7年程前からTableauを導入し、データ整理・見える化やダッシュボード、タイムリーなKPI確認も出来ていたのですが、一定の段階でユーザー理解が深まらないことに気づきました。

その時に海外のインベスターから、グロースハックに適した行動分析ツールとしてAmplitudeを紹介されたのが導入のきっかけです。

行動分析は難しく、しかもトラフィックやアクセスの回析となると、膨大なデータ量になるため、分析手法も定まらない中PDCAを回すのは困難でした。

Amplitudeは、グロースハックに必要な分析手法がセットアップされている上、データの返りが非常に早いので、導入を決めました。

ユーザーの行動を基にした分析

安田| 
ユーザー理解を深めなければと考えたタイミングが具体的にあったのですか。

香取| 
翌月リテンションに限らずお客様にもう一度来て頂くための課題がありました。弊社はブランドを前面に押し出しており、商品数も増えている中、膨大なSKUの中からお客様に的確なリコメンデーションができていませんでした。膨大な商品に埋もれてお客様が欲しい商品にたどり着けないリスクがあったのです。

デモグラ的分析といった単純なカテゴライズでは深まらない理解の部分を、横断的な行動で分析できることがAmplitudeの強みでした。

行動分析の成果

山下|

行動分析とPDCAを回す

Amplitudeでファネル分析を行った結果、商品ページ→カート追加→購入確認→購入完了の遷移率を見て、カート追加率とカゴ落ち率の2つの指標に伸びしろのあることが分かりました。

ユーザー行動の特徴をグループ化するAmplitudeのクラスター分析機能を用い、カート追加~購入完了までの行動評価を行ったところ、購入に至ったユーザーにはヘルプページ・商品ページ・カートページを行き来する行動特徴が見られました。

そこで、購入の際にユーザーは送料やお届け日が分からず困っているのでは?という仮説を立て、商品ページ・カートページに①送料無料バーを記載②お届け予定日をカート内で目立たせる打ち手を行いました。A/Bテストの結果、10%改善が見られました。

同様に複数の施策を行った結果、カゴ落ち率は5か月で4ポイント改善したのが具体的な成果です。この仮説出しから施策実行までたった1〜2週間で行えたのも良かったです。

香取|
継続的にPDCAを回して、ロイヤルカスタマーによるサービス利用状況の特徴を分析し、促進するための施策やUI/UX改善に取り組んでいるため、今後もAmplitudeを活用できるユーザーを育成し、日常の改善につなげたいと考えています。

安田|
山下様、香取様、米田様、本日はありがとうございました。

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ゲスト

株式会社ストライプデパートメント 取締役/事業本部長 山下隆太様

2017年2月、ライフスタイル提案型ファッションECプラットフォームとして設立。コンセプトは「自宅に、ポケットに、いつでもあなただけのデパートを」。取り扱いブランドは約900、ファッションに加えてビューティーやリビング等ライフスタイル全般の品揃えやユーザー体験が特徴のECデパートを展開。通称ストデパ。

la belle vie 株式会社 Co-CEO 香取純一様

創業13年目であり、GLADD、GILT二つのショッピングサイトを運営。合計会員数は約600万人、ラグジュアリーからライフスタイル全般を取り扱う日本最大級のフラッシュセールサイト。「ブランドとの直接取引」「期間限定」「会員限定」による販売で平均60-90%オフの商品提供がビジネスの特徴。

Amplitude, Inc. 日本カントリーマネージャー 米田匡克様

三菱電機(株)情報技術総合研究所で技術者としてキャリアをスタート。Gemstar TV Guide で取締役副社長、Entropic Communications で代表取締役社長、Chartboost、LEANPLUM でカントリーマネージャーとして日本代表を歴任。2019年よりグロースハック向けプロダクトアナリティクスを提供する米 Amplitude の初代日本カントリーマネージャーに就任。

モデレータ

株式会社DearOne セールスデザイン部 ゼネラルマネージャー 安田一優

岐阜県出身。パソコン販売店店長、ITエンジニア、ITインフラSIerのマーケティングを経て、2020年よりDearOneに営業企画として参画。転職をするたびに職種が変わるという経歴。DearOneではインサイドセールス、パートナーアライアンス、マーケティングなどを担務。中小企業診断士資格保有。副業でマイクロソフトACCESSの受託開発を行う。

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