この記事は、2023年6月23日に開催されたGrowth Leaders 2023の一部セッションレポートです。
インスタフォロワー数は132万!10〜20代女性に圧倒的に支持されるレディースファッション通販サイト「GRL(グレイル)」を紹介
DearOne 麻野|
DearOneカスタマーサクセスの麻野と申します。よろしくお願いします。
DearOne 小嶋|
DearOneでMAツールのコンサルタントをしている小嶋と申します。よろしくお願いします。
GRL 小林氏|
大阪から来ました小林と申します。レディースファッションの通販サイトGRL(グレイル)のプロジェクトマネージャーをしております。
GRLに関与するようになって大体7年くらいになるのですが、まずWebサイトのリニューアルに2回ほど主担当として関わらせてもらっています。カウンターパートとしてDearOne様をはじめ、数多くのパートナーと連携させていただいています。
GRLは主にレディースファッションを扱う通販サイトです。
Instagramのフォロワー数は、直近132 万人です。恐らくですがアパレルとしてはトップの数字だと思います。
モデルとしては女優の今田美桜さんや齋藤飛鳥さんのほか、以前はモデルの藤田ニコルさんなど、テレビでたくさん活躍されているモデルさんと長くタイアップさせていただいてます。
日常移動でマイルが貯まる!ANAの日常領域デジタルプラットフォーム事業を牽引する移動データ系アプリ「ANA Pocket」
ANA X 大野氏|
こんにちは、ANA Xの大野と申します。よろしくお願いします。多分ANA Xという会社をご存知ない方もいらっしゃると思うので、少しご紹介いたします。
航空会社のANA(全日本空輸)はよくご存知かと思います。ANAが主にエアラインや旅行領域で事業展開しているのに対し、航空業界はコロナ禍によって大変な時期もあったため、「日常領域でも頑張っていこう」ということでANAマイレージクラブの会員に対する各種マイレージサービスとデジタルを掛け合わせようという考えから弊社が独自の事業を開始しました。
会社自体は以前からあったのですが、ANAグループのデジタルプラットフォーム事業を担うということで、2年ほど前に生まれ変わった会社になります。
私は事業開発部にいて、新卒からずっとANAグループで25年ほどになります。最初は営業に携わり、途中12〜13年くらい前からデジタルが加速していって、私もデジタルマーケティングに関わるようになりました。
10年前くらいが「MA(マーケティングオートメーション)ツール元年」などといわれていた時期で、ちょうどその頃エアラインや旅行のデジタルマーケティングをやっていて、当時は現在導入しているMoEngageこそなかったものの、まさに創世記のMAツールの導入を進めていました。
また、その頃はちょうどエアラインや旅行といった業界で「オンライントラベルエージェンシー」などが盛り上がってきた時期で、リクルートさんとのジョイントベンチャー立ち上げなどの提携型の戦略なども担当していました。
そして現在は、先ほど申し上げたように、日常領域における新規事業開発などに取り組んでいます。
今、弊社で推進しているのがANA Pocketというアプリのサービスです。ANAなどの航空会社の飛行機に乗るとマイルが貯まるのと同様、普通に日常移動をするだけでマイルが貯まるというアプリサービスを展開しています。
アプリをダウンロードして持っていてもらうだけでポイントとマイルが貯まりますので、是非皆様試していただけたらと思います。
単なる「ポイ活」みたいなことだけではなく、毎日移動に関するチャレンジが出てきて、それを達成するとさらにポイント/マイルがもらえたり、ポイントをマイルに交換するときにガチャガチャを回し、何が当たるか分からないといった仕掛けを作っています。
単純に歩数をカウントするアプリはたくさんあると思いますが、ANA Pocketでは電車/自転車/徒歩など移動手段の判別がアルゴリズムでできるようになっています。
特に徒歩など、エコな移動をすることでよりポイントが貯まる仕掛けを作っているほか、IT推進なども目指して取り組んでいます。
DearOne 麻野|
ANA Pocketはすごく面白いアプリで、私も実際に使っています。空港に行くのが楽しくなりますよね。
本パネルディスカッションに関してはMAツール/MA施策導入の際、分析など特に苦労しがちな点がいくつかあると思います。
その辺り、実際のグロースマーケティングの取り組み事例を踏まえながらお話しいただき、皆様の方で何か持ち帰るものを一つでも多く見つけていただけたらと思います。
どんなMAツールを使っていて、MA施策のどこに課題があるかマーケターにアンケート!
(ここからは、会場にお集まりいただいた50名近くの事業会社マーケターの皆様にアンケートを実施した模様です。)
DearOne 麻野|
まず「MAツールは何を使っていますか?」という質問です。会場の皆様、スマートフォンで「MoEngage」「Braze」「Karte」「Salesforce Marketing Cloud」「その他」「使っていない」から選んでご回答ください。小嶋さん、何のツールが多いと思いますか?
DearOne 小嶋|
やはり、まだまだSalesforce Marketing Cloudが多いのではないでしょうか。
DearOne 麻野|
それでは実際に結果を見てみましょう。結構、「その他」が多く予想外ですね。
何のツールだろう…Adobeでしょうか?
DearOne 小嶋|
おそらくAdobeでしょうね。
DearOne 麻野|
次に「MA施策のどこに課題がありますか?」という質問です。「分析からの示唆出し」「施策のアイデア出し」「施策実行」「効果測定」「その他」からお選びください。
小嶋さん、これはどれが一番多いと思いますか?
DearOne 小嶋|
難しいですね。「分析からの示唆出し」じゃないかと思いますが。
DearOne 麻野|
結果を見てみましょう。「施策のアイデア出し」「効果測定」が多いですね。ただ、「分析からの示唆出し」「施策実行」に課題を持っている方もそこそこいらっしゃいますね。
GRL様やANA X様にはMoEngage(モエンゲージ)やAmplitude(アンプリチュード)などを導入いただいておりますが、これらを施策実行や分析という点でどのように使われているかを教えてください。
ANA X 大野氏|
弊社はMoEngageを導入しています。先ほどのアンケートは結構難しい質問で、事業グロースするにはスピードが肝心で、いかに施策のPDCAを高速化していくかが大命題になります。
そのためには、データと直結する形で自動化させ、施策を展開していくことになるので、例えばANA Pocketでいうと、ユーザー獲得やアクティブ率の向上など個別の目標もありはしますが、どちらかというとアプリのマーケティング施策の全てで活用していくことになると思います。
DearOne 麻野|
分析に関してはどこの部分で、どのようなツールを使っていますか?
ANA X 大野氏|
本来であれば分析から施策実行まで一気通貫に活用できれば一番なのですが、ANA Pocketアプリはまだサービスリリースして1年くらいで、アプリ立ち上げからグロースハックも含めたさまざまな取り組みを推進している最中で、分析まではまだ手が回っていない状況です。
まずは数を多く回して実行あるのみということで、分析に関しては別で行いながらMoEngageというMAツールを活用しています。
DearOne 小嶋|
分析まで手が回っていないという企業は結構多いですよね。
DearOne 麻野|
GRL様ではこの辺りはいかがですか?
GRL 小林氏|
実は弊社には「Web担」と呼ばれる組織があるのですが、私を含め2名しかおりません。もちろん分析をやってはいたのですが、サイト規模が大きくなればなるほど取り扱うデータも増えてきていて、「昔は大変だったよ」というその辺りの背景についてはグロースマーケティングメディアのインタビューがありますので、ぜひご覧いただければと思います。
今はDearOneさんのプロフェッショナルサービスにかなりご支援をいただいていて、具体的にはAmplitudeを使ってイベントのセグメンテーションを見つつ、そこから出てきた示唆を元にMoEngageで施策を実施しています。
また、その結果をAmplitudeに取り込んでの検証をぐるぐる回す取り組みをしています。これは2週間に1回を定例のサイクルとして回しています。
行動分析ツールAmplitudeの分析事例 −GRL公式Webサイト/アプリ
DearOne 麻野|
実際に施策を分析した事例について教えてください。
GRL 小林氏|
弊社のサイトは、土日はほぼ送料無料なのですが、平日は5,000円以上の購入で弊社負担とさせていただいています。コンバージョン(CV)に近いところだけではなく、そのような前の前のステップでどのようなユーザー行動がなされているかを見たりしています。
例えば「カートに追加する」とか、カートに入れたがそこから「商品を削除」するなど、結構最初にカートの中にたくさん入れて後から吟味するといった女性の購買行動が見られますので、気をつけて見守っています。
Amplitudeでは中央値などがすごくわかりやすく確認できるので、そういった部分のキーとなるアクションなどからマジックナンバーを見つけるためのしきい値を見極めています。
つまり、ユーザーの特定の行動が、どの回数より上振れすればCVに結びつくのかがわかれば、そこに対してMoEngageで施策を打っていくという取り組みをしています。
DearOne 麻野|
相関関係を見つけた瞬間の笑顔が目に浮かぶようです。実際の施策のお話も教えてください。
GRL 小林氏|
そこはやはり「みんな大好き送料無料」を、できるだけ多く訴求するという鉄板施策を中心に回しています。
そういった鉄板どころはある程度の効果は出るのですが、そこの出し方やUIを変えるなど手を変え品を変え行うことで効果も変わってきます。
そこでのアイデアなどは2週間に1回の定例会でワイワイ議論しています。それでもアイデア出しは難しく意外と頭打ちになり、やれることはある程度限られてきます。
そこを何とかセグメントを変えてみたり、他のイベントも組み合わせて新しいセグメントを作ってUIを変えてみるなど、そういった調整でアイデアの数を増やしつつ取り組んでいます。
DearOne 麻野|
スライド左側は、タイマーが出ているキャンペーンに関するアイデアで、右側は5,000円以上というしきい値を設けたキャンペーンです。送料まで分けて検証しているブランドは珍しく、とても興味深いケースです。
DearOne 小嶋|
送料無料と無料でない場合を分けて比較したり、平日と土日でキャンペーンを分けて分析しているのですね。確かに、そのような軸で分けるのは珍しいかもしれません。
それは実際にAmplitudeで分析して出てきたセグメントやしきい値なのでしょうか?
GRL 小林氏|
はい。DearOneさんから分析の示唆をいただき、一緒に調べて見つけたものになります。
「カゴ落ち」リマインドのOn-siteメッセージ配信でCVRが4%増!
DearOne 麻野|
続いて、実施した施策で実際に成果が出たものについて教えてください。
GRL 小林氏|
いわゆる「カゴ落ち」前の予防施策になります。商品をカートに入れた後1時間以内に購入していない人を対象に、「カートの中に商品残っていますよ」と通知するという、とても単純なメッセージを出してあげるだけです。
これは通販サイトでは割と鉄板の施策だと思います。これだけでメッセージを送らなかった人と比べてコンバージョン率(CVR)が4%上がったというシンプルな施策です。
DearOne 麻野|
スライドは実際に分析してみた内容です。
GRL 小林氏|
これは基本的には、前述のようにCVRが上がったなどの単純な結果を見ただけのもので、さらに付随する接触ポイントやマジックナンバーなどがどう変化したかという部分も確認して記載しています。
補足でお話しすると、先ほど申し上げた通り、カゴ落ちリマインド施策は、商品をカートに追加した1時間以内に購入していない人に出しています。
弊社サイトの平均滞留時間は60数分というデータがあったので、結局その1回のセッション中の最後の最後、ユーザーが「もうそろそろいいかな」と思うタイミングでちょうどメッセージが出てくることが多い設計にしたのも、この結果につながった要因の一つだと思っています。
DearOne 麻野|
CVR改善を目的とした施策だったと思いますが、このような形で購入平均金額や単価の改善が見えたのは、以前お使いだったGoogleのユニバーサルアナリティクス(UA)ではなくAmplitudeだからこそだったのでしょうか?
GRL 小林氏|
これをUAやGA4でやろうと思ったらしんどいですよね。月間のCV数だけで数十万件あり、そのデータの元になる数字にしたところで、PVだけでも1ヶ月で1億件を超えるので、そのデータからこの数字を導き出すのに比べ、Amplitudeはスピードが圧倒的に早いです。
ANA Pocketはアップセル促進In-appメッセージ配信で月間獲得有料会員数が28%増!
DearOne 麻野|
ANA X様の実際の施策についても教えてください。
ANA X 大野氏|
ANA Pocketアプリの中で有料会員になってもらうアップセル施策となります。まず2つのパターンを出しそれらを比較したところ、右側のパターンの方が左側よりもCTRが11ポイント高くなった成功事例になっています。
面白い気づきとしては、デジタル領域では「メッセージはシンプルにわかりやすく」といわれるので、それには多分左の方が当てはまっているのですが、MAツール施策ではいつどこで、誰に何を、どんなメッセージを、というこの組み合わせによって効果が変わってきます。
ですから、単純に左と右のどちらがいいという話ではなく、いつどこで、誰に何を出したかと、このメッセージを組み合わせてどういう効果が出たのかという部分がとても気になるわけです。
その点、MoEngageではタイムリーに結果を見られ、今後に向けての示唆を得られたということで、成功事例として挙げさせていただきました。
DearOne 麻野|
冒頭でも説明があったMoEngageの分析機能については、実際に使っていただいてオススメの機能などはありましたでしょうか?
DearOne 小嶋|
ABテストもMoEngageで行われたんですよね。
ANA X 大野氏|
もちろんそうです。実は他のツールも結構使ったことがあるのですが、それらと比べてとてもいいと思う特徴は、施策をすごく速く組み上げられることです。
管理画面自体がとてもわかりやすく結果もすぐにわかるので、次の施策もタイムリーに打てるのがMoEngageのいいところだと思います。
DearOne 小嶋|
従来のMAツールにはシングルチャネルのものが多く、他方MoEngageはマルチチャネルでの配信が可能ですが、アプリやメールなどいろいろなチャネルを試されているのでしょうか?
ANA X 大野氏|
はい、今はマルチチャネルでプッシュ通知とIn-App(ポップアップ)、それから今度DearOneさんのアドバイスを参考にメールにも広げてみる予定です。
DearOne 小嶋|
それらを一つのツールでできるというのがメリットですよね。
成果が出なかった施策は検証・やり直しが重要!
DearOne 麻野|
続いて、実施した施策で実際に成果が出なかったものについて教えてください。
GRL 小林氏|
はい。先ほどの「カゴ落ち」施策と同様、「効果の高い鉄板施策だろう」と思って打ったら意外とそれほど伸びなかった事例を二つほどご紹介します。
一つ目は休眠しかけているユーザーに対する施策です。「利用可能ポイントがこれだけあるから、購入しませんか?」と後押しをしてあげるようなプッシュ通知を配信しました。
ところが、スライドにあるように結果はそれ以前とほぼ変わりませんでした。ポイントが300以上あるユーザーに対して配信したのですが、弊社サイトのポイント付与状況としては300ポイントはほぼ最低ラインです。
なぜなら、新規会員登録すれば300ポイントもらえるので、同施策を「とりあえず一旦バーッと広く打ってみようか」とやってみたところ、さほど効果がありませんでした。
この失敗を活かして、次は300ポイントではなく500、600など他の区切りで実施したらどうなるか、今ちょうど進めて検証しているところです。
「こういうメッセージを、どれくらいのポイントを持っている人に与えたらCVやリテンションが上がるか」といった視点で次の施策に反映させる。
思うように結果が出ない失敗があっても、やはり前向きに取り組みを続けていくことが重要だと思います。
もう一つは、ちょっとびっくりした施策でした。商品詳細ページを5回以上閲覧したのに購入していない人に、「セールがあるよ」とトップページで訴求したら、なぜか逆にCV下がるというよくわからない結果になった事例です。
これは、なぜこうなったのか、正直今でもあまりよくわかっていないです。店に行って商品を見たけど「どうだろう、イマイチかな」と思っている人に、セールコーナーを案内したら下がってしまったのは「どうして?」という印象です。
たまにはこういうこともありますので、こういう結果が出たときは理由を探すのですが、やはり正直わからないこともあったりします。
ただ、わからないときに深追いしすぎるとかえって泥沼にはまって、効果が出なかった理由をこじつけのようにあえて探すようなおかしな方向にシフトしてしまいます。
このような場合は、もうある程度まで見てわからなかったら、わからないと踏ん切りをつけるのも意外と重要なことだと思います。
DearOne 麻野|
施策としてはシンプルなものですが、結構難しいということが実感できますね。
GRL 小林氏|
「やって損はないだろう」と思った施策が逆効果になるのかと、その瞬間はちょっと顔がこわばってしまいました。
DearOne 麻野|
ANA X様ではいかがでしょう。
ANA X 大野氏|
今のGRL様のケースに少し似ているのですが、30日間アプリを開いていないユーザーに対して個別にポイントを付与し、アプリを使ってもらおうと狙った施策です。
蓋を開けてみれば1%しか反応しないということで、この失敗に対してまた条件を絞り、もう少しいろいろやってみる必要があるかと思っています。
ただこれだけ見ても、単にインセンティブだけの問題でもないと思われるので、今後も手を変え品を変えてやってみようと思います。
さらにいえば先日、「30日以上」使っていないユーザーに打っても返ってこないなら、例えば「14日」に変えたら戻ってくるのではないかなど、DearOneさんから助言をもらったので、そういうところも含めて気づきの機会だと思って改善していくつもりです。
DearOne 麻野|
ポイント施策はよく実施されると思いますが、ポイントはもちろんただではないので、結果が出ないと「お金を配っても使ってくれないのか」と思われがちです。よくポイント施策を提案するグロースコンサルタントの小嶋さんから何かアドバイスはありますか?
DearOne 小嶋|
ポイント施策をはじめ、弊社がご支援させていただく際に一番注力するユーザーは「オンボーディング」と「休眠」ステータスの人たちです。
やはりそこの層に一番施策が刺さりやすくCVRが高くなっている事実があります。ただ、休眠ユーザーのライフサイクルはプロダクトによって全く異なります。
今回はANA X様が「30日以上」でセグメントを切り休眠施策を打たれたわけですが、もしかしたら歩いてポイントをもらうANA Pocketのようなアプリでは、元々モチベーションが高かった人でも、1ヶ月も休眠するとそれが全くなくなってしまうケースもあるのではないかと思いました。
大野様がおっしゃったように、そこを「4日」「7日」「14日」などに変えて試していただければ、また違う結果になってくるのではないかと思います。
アプリにおいては、本当にオンボーディングが重要で、ユーザーがアプリをインストールした後、すぐに共通のプッシュ通知を出してしまう企業が結構多いのですが、むしろそのアプリを知ってもらったり、「いいアプリだ」と思ってもらうような施策が大切です。
もし施策周りでアイデアが浮かばないという方がいらっしゃったら、その辺りを変えていただくといいのではないかと思います。
やはりポイント施策は、原資が必要なのでなかなか大変ですよね。また効果が出ないと「何で出ないんだ」と追い詰められてしまうことも多いと思うので、その辺りGRL様もANA X様もいろいろ調整しながら実施されているのだろうと拝察します。
GRL、ANA Pocketが注目し今後やってみたいと語る「ジオフェンシング」施策とは?
DearOne 麻野|
最後の質問です。今後やってみたいMA施策、方向性、願いなどがあれば教えてください。
GRL 小林氏|
今、アプリの開発もDearOneさんにご支援してもらっていて、次の一手として既に会話もさせていただいているのが「ジオフェンシング」の機能です。
これは要するに、ある一定の領域にそのアプリを持ったユーザーが入ると、プッシュ通知が送られるという機能が今後使えるようになる予定です。
弊社のWebサイト・アプリのメインターゲットは20代前半の女性が多く、特に女子大生などの利用率がそこそこ高いです。
そこで、例えば大学をジオフェンス領域に指定し、講義と講義の間に皆で会話しているようなタイミングで大学に向けてプッシュ通知を配信できたらと考えています。
また、これからの実装になりますが、バーチャル試着のようなコンテンツを考えていたりもするので、そういった気軽に遊んでもらえるコンテンツを工夫して、若い女の子にもっとワイワイしてもらうための「場所」の提供というところに、フォーカスを当ててやってみたいです。
「場所」の提供という概念は、今までやったことのない切り口なので、「場所」および「時間」という観点から新しいアイデアを出していけたらと思います。
DearOne 小嶋|
ECで「場所」の提供まで行っているところは、なかなかないですよね。
GRL 小林氏|
はい。競合と異なり、私たちは店舗を持っていないので、ジオフェンシングでもユーザーが店舗の近くに来たらクーポンを打つという施策はできません。
ですから、皆が集まるようなテーマパークのようなイメージで、休憩中にちょっと見てもらい、話題のきっかけになるような感じにしたいと思っています。
ANA X 大野氏|
やりたいことが全く一緒でびっくりしました。ANA Pocketは移動データに基づくアプリなので、やはり位置情報マーケティングに注目しています。
MoEngageのジオフェンシング機能は他のMAツールにはないもので、実は導入の決め手もそれがきっかけでした。
弊社の場合はどちらかというと、先ほど小林様がおっしゃっていた「その場所に行ったら、そのクーポンが出る」といった施策をすごくやりたいと思っています。
DearOne 小嶋|
そこは本当にANA X様の強みですよね。
ANA X 大野氏|
よろしければANA Pocketとのタイアップ企画、いつでもお待ちしています。
移動アプリは勤務時間など、開く時間が結構ルーティン化してくるので、毎朝/お昼休み/帰るときに開くタイミングを狙って、時間指定でいろいろな施策を打てるのは、習慣化を促す意味でもすごくいいなと思っているので、その辺りをさらに追究していけたらと思っています。
スピーカー
株式会社アートデコ|外部CIO 小林 直樹氏
通販サイトGRLのプロジェクトマネジメントを担当。 大阪のソフトウェアハウスでエンジニアを経験したのち、神戸の独立系Sierにて企画営業兼PMとして様々な業種のECサイト/ブランドサイトに関与。新規事業として立ち上げられた検索エンジンサービスでアカウント責任者を歴任。その後起業し、コンサルタントとして2016年から通販サイト「GRL」に関与。2019年から外部CIO兼プロジェクトマネージャーとして通販サイトGRLおよび周辺システムの運営に従事している。
ANA X株式会社|事業開発部リーダー 大野 晃氏
2002年にANA X(株)に入社し、旅行企画・営業を経験した後に、全日本空輸(株)へ出向し、デジタルにおける中期戦略、提携戦略、プロモーション業務に従事。
2016年からANA X(株)に帰任し、「航空領域以外における日常領域での価値提供」を推進中。