8/23(金)にSnowflake社とDearOneで「Snowflake+Hightouchで実現するコンポーザブルCDP」をテーマにセミナーを開催しました。
Snowflake社からはアカウントエグゼクティブ デジタルマーケティングスペシャリストの泉氏、DearOneからはCTOの佐々木とチーフセールスエンジニアの小林が登壇。オフライン開催にもかかわらず40名近い方にご参加いただき、セミナーから懇親会まで大いに盛り上がりました。
本記事では、セミナーの内容を一部抜粋したセミナーレポートをお届けします。
はじめに
DearOne 小林|
本日のセミナーは、大きく3つのパートから構成しています。まず初めに、今回のメインテーマでもあるコンポーザブルCDPとは何か?を簡単に説明させていただき、その中で、SnowflakeやHitouchについても紹介します。実際にSnowflakeを使ったデータ連携の簡易なデモを実際の画面を見ていただこうと思います。
次に、事例ということで先日アメリカの方でSnowflakeが開催したSummitの開発者セッションの中でも紹介されたSnowflakeとHightouchを使ったコンポーザブルCDPの事例をDearoneのCTOである佐々木から共有させていただきます。最後にコンポーザブルCDPやデータ活用について、登壇者2名でパネディスカッションをさせていただくという流れになっています。
それでは、早速セミナー内容に入っていきます。
コンポーザブルCDPとは何か?
従来型CDPが抱える課題とは?
DearOne 小林|多くの企業でCDPの導入や活用が進む中で、それぞれのツールが抱える課題が顕在化してきたのが近年の状況です。
挙げている3つの課題は、実際にCDPの導入を検討している、既に活用しているお客様からよく伺う課題です。
一番左が最も頻繁にお伺いする課題で、パッケージCDPを導入して、CDPにデータを蓄積していく、そして、活用に伴ってより多くのデータをCDPに蓄積する、また、データの処理・加工もどんどん複雑になることに伴って、ランニングコストがどんどん高くなっていくという悩みです。「導入当初から比較すると、ランニングコストの桁が文字通りひとつ大きくなってしまった」といった話も伺います。
次に、データボリュームが増加したり、データ処理が複雑化する中で、データ処理が重くなるという部分です。CDPのインフラがどうしてもタイトになると、処理のところに影響が出てきます。CDPに投入するデータを厳選して減らす、運用のところで工夫して活用しているといった企業もいらっしゃいます。
最後に、運用者が限定されるという悩みです。CDPはデータの活用や分析、ある程度複雑・高度な処理をするツールになります。結果として、多くのマーケターが気軽に触れるようなものにはなっておらず、場合によっては特定のベンダーに依存してしまっている、社内でも特定の人に依存して属人的な状況になっている、運用の負担が偏っているといった課題です。
まとめると、ランニングコストが高騰している、データ処理が重い、一部の運用者しか扱えないという3つです。
CDPツールの課題を解決するコンポーザブルCDP
紹介したCDP運用における課題は日本企業だけではなく、世界中の企業で同様のことが起こっています。そこで、こうした課題を解決しようとする動きが出ており、解決する選択肢の一つがコンポーザブルCDPというコンセプトが登場し、注目を集めています。
コンポーザブルCDPとは、スライドのようにSnowflakeやHightouchなどを使いながら、例えば、Snowflakeのようなデータを集めるところに、既に保持しているデータやデータソースからのデータを連携させ、Hightouchと組み合わせて、これまでCDPに求められていた機能を実現していくものです。
ソリューションを組み合わせることによってCDPの機能を担っていくというアーキテクチャが、コンポーザブルCDPのコアコンセプトになります。
この後、SnowflakeやHightouchの紹介もしていきますが、Snowflakeがデータを集める・統合するという基盤のインフラ部分を担い、HightouchがCDPに必要とされるデータ連携やセグメント作成などの機能を担う形になります。
このコンポーザブルCDPを使うことで、従来のパッケージCDPで生じていた「高い、重い、使いづらい」という課題を解決することが出来ます。
「安い・速い・使いやすい」コンポーザブルCDP
まず1つめの「高い」というコストの解決ですが、コンポーザブルCDPでは、データソースは基本的にSnowflakeのようなデータベース製品に集約します。Snowflakeの中でストレージやコンピューティングを最適化することが出来ますので、コンポーザブルCDPとしてのコスト最適化がなされます。
また、データソースが一元化されるためアーキテクチャー全体で見たときにもデータ管理コストが最適化されていく形になっています。
2つ目は「重い」というパフォーマンスの課題解決です。
大量のデータ投入や処理といった事に関して、SnowflakeなどのクラウドDWHは最適なツールになっています。こうした優れた製品リソースを活用することで、高いパフォーマンスを発揮できるシステムを構築することが可能となります。
さらに、クラウドDWHであるSnowflake等の製品を使うことで、コンピューティングとストレージのリソースを分離するだけでなく、その中の様々なリソースも柔軟に調整することが出来るようになります。従って、コンポーザブルCDPのシステム全体で高いパフォーマンスができるだけでなく、調整も柔軟にできることになります。
そして、最後は「使いづらい」という使い勝手の課題解決です。CDPを実際に使うユーザーというのは、スライドの一番右側にある連携先のマーケティングツールを使うユーザーになります。こうした現場のマーケターからすると、データ基盤に格納されたデータを触るのは、扱いづらさやハードルを感じるところです。
しかし、コンポーザブルCDPでは、Snowflakeのようなデータ基盤との間に非常にシンプルで分かりやすいUIを持ったHightouchが入ることで、誰でも簡単にデータ基盤のデータを使うことが出来るようになります。
このようにパッケージCDPで発生する「高い、重い、使いづらい」という課題を解決できるのがコンポーザブルCDPです。
Snowflake×Hightouchを組み合わせたコンポーザブルCDP
ここまでコンポーザブルCDPの特徴や、どんな課題を解決できるかを簡単に紹介しました。ここからは、より具体的にコンポーザブルCDPを構成するツールがどのようなものか、SnowflakeとHightouchで何ができるかを登壇者のお二人に紹介いただきたいと思います。
先ほど、現在グローバルでもコンポーザブルCDPがコンセプトが注目され普及が進んでいるとお話ししました。その中でもSnowflakeとHightouchによるコンポーザブルCDPは鉄板の組み合わせとして、多くの企業で導入されています。
コンポーザブルCDPを構成する鉄板の組み合わせであるSnowflakeとHightouch、それぞれの概要を紹介していきたいと思います。まずはSnowflakeについて泉さんからお願いいします。
企業のデータ活用を促進するAIデータクラウド Snowflake
Snowflake 泉氏|
それでは、SnowflakeがコンポーザブルCDPでどんな役割を担うかのか、紹介したいと思います。
Snowflakeは現在設立12年目のクラウドネイティブなデータプラットフォームの提供をしている会社で、日本には進出してから6年目になりました。そして日本では現在700社ほどの企業様に契約いただいています。
日本では多岐にわたる業界の企業様にお使いいただいていて、ユースケースとしても様々です。顧客会員基盤、IoTデータの収集、金融データの分析、観光地での人流データの分析など幅広い用途で活用されています。
Snowflakeの製品概要
Snowflakeの環境では、データはまず図の左からETL/ELTで取り込まれます。そしてSnowflakeのデータのストレージとコンピューティングが分離された環境で、最適なリソースを適応したデータ処理が行われます。処理されたデータはそこから様々な所へ連携され、図の右側にあるような様々な業務用途で活用されていきます。
そしてSnowflakeは最近、Streamlitと言う簡単にWebアプリケーションを構築することができるサービスの会社を買収しています。これによりたまったデータを簡単に可視化できるアプリケーションやチャットボットなどを作ることができよりデータを活用しやすくしています。
SnowflakeのAI機能
そしてもちろんAIに関してもSnowflakeは非常に力を入れております。
図の一番下側が先ほどご説明したデータを収集する部分ですが、Snowflakeでは取り込まれたデータやモデルのセキュリティに関して世界でも非常に高い評価を受けているんですよ。
データは生成AIや機械学習で活用することができますが、Snowflakeでは外部にて提供されているモデルも活用することができます。Snowflakeではセキュアな環境の中で、Pythonなど様々な方法を使いながらモデルの構築、デプロイや管理を素早く行うことができます。
Snowflakeのアーキテクチャ
こちらはSnowflakeのアーキテクチャを示したものです。
Snowflakeはマルチクラウド製品ですので、GCPやAWS、Azureなどの様々なプラットフォーム製品の上で動かすことができます。
またSnowflakeでは”データストレージ”の部分でデータを持つためのリソースを用意しています。そしてそれとは分離した形で”ウェアハウス”の部分でコンピューティングを行っています。
ウェアハウスは様々な性能、種類のものがあり、それぞれのデータ処理に合わせて最適なリソースを自由に割り当てることが可能になります。
Snowflakeではマルチクラスタを採用しているため、クエリごとに異なるリソースサイズを利用することが可能です。他のDWH製品では全体で同じリソースを使うことになるため、処理の実行前の段階で全体でどれぐらいのリソースが必要になるのかを計算する必要があり、かつリソースのベースサイズを上げると全体の単価に影響が出てしまいます。
そのため、Snowflakeでは従来のDWH製品で難易度の高かったコストとパフォーマンスのコントロールが非常にしやすくなります。
これによって例えば日々の業務のピークタイムや突発的なデータ処理など、実際のユースケースに合わせたリソースの柔軟な調整ができるようになり、結果として大きなビジネスインパクトをもたらすことができます。
こちらはマイクロパーティションと呼ばれるSnowflakeの技術になります。
Snowflakeではストレージするデータを細かく分割し、圧縮した上で保存されます。これによりデータの検索や処理の際に必要なパートのデータのみを参照することができるのでより高いパフォーマンスを発揮することが可能になります。
4つ目のポイントはデータのシェアです。従来はFTPやAPIなど複雑な方法でシステム間のデータ連携を行う必要がありましたが、Snowflakeではプラットフォーム内のデータ共有が安全かつスピーディに行えます。
社内の部門間でデータを共有することやプライベートな環境で特定の企業の環境と連携することに加え、Snowflakeをお使いでない企業とのデータ共有も可能になっています。
このような機構によってより柔軟なコラボレーションを実現することできます。
まとめになります。
Snowflakeではマルチクラウドで企業のデータを柔軟に統合していくことができます。そこで統合されたデータはセキュアかつ高いパフォーマンスで処理することでき、さらにSnowflakeのプラットフォームを通じて自由度高くデータの連携、共有を行っていくことができるようになります。
このようにSnowflakeは企業のデータ活用の中核となる基盤を提供することができます。
DWHをフル活用するコンポーザブルCDP Hightouch
DearOne 小林|
ありがとうございます。続いて、Hightouchについて、DearOneの佐々木から紹介させていただきます。よろしくお願いします。
DearOne 佐々木|
Hightouchは創業が2019年、サンフランシスコに本社があります。米国では400以上の実績がありますが、日本ではまだ導入企業は少ないので「まさにこれから」というソリューションです。
Hightouchは、ご覧の通りデータ連携機能やセグメント作成機能など様々な機能があり、snowflakeといったDWHと組み合わせて使うことで「コンポーザブルCDP」を実現できるツールです。
今でこそ、様々な機能がありますが、一番最初はDWHのデータを分析やMAツールに流し込む(データ連携機能)ところからHightouchはスタートしております。
我々なぜHightouchを提供し始めたかでいうと、実は2019年から行動分析ツールのAmplitudeを取り扱ってるんですけど、そこにデータを投げたかったんですよね。これまではお客さんにSDKを入れてください、そうすればAmplitudeにデータを入れることができますと話をしていました。ただ、SDKを入れてくださいって思ったより重くてですね。
そこから何かよいツールがないかと探していた時に出会ったのでHightouchでした。Hightouchのデータ連携機能(リバースETL)を使うと、このAmplitudeにデータを投げ込むことができたっていうのは一つ大きな発見でした。
Hightouchのデータ連携先は、200以上あります。ただどうしても、海外ツールが多いのが現状です。ただし、日本でユーザーが多いKARTEさんと連携したいという場合は、Custom Destination Toolkit(コネクタ機能)でAPI連携をする必要はありますが、UI上の操作のみで30分ぐらいあればデータ連携が可能になっています。
基本的な機能としては、データ連携はもちろんですけれども、セグメントの作成もあります。このセグメント機能はSQLを書く必要がないので、マーケター自身がセグメントを作成できるというのが大きなポイントです。毎回エンジニアにお願いしていると、伝えるところで少し精度が落ちてしまい、意図したものがアウトプットされるかかどうかってなかなか難しいと思います。なのでマーケターが自分でできるっていうのはHightouchの強みだと思います。
【デモ】Snowflake×HightouchによるコンポーザブルCDP
セミナー当日、会場で実施したデモと同様の動画を公開しておりますので、こちらからご視聴ください。
SnowflakeのデータをHightouchで外部ツールへデータ連携
SnowflakeのデータをHightouchでセグメント作成
コンポーザブルCDPの導入事例
DearOne 小林|次のパートとしてSnowflakeの事例紹介をお願いできればと思います。
DearOne 佐々木|
ここでは、6月に米国で行われたSnowflake Summmitでも紹介された事例を紹介したいと思います。Snowflake SummmitにはHightouchも参加していて、以下の3つの事例が紹介されました。
この中から、一番面白いと感じたShutterstockさんの事例についてここで紹介したいと思います。Shutterstockは、写真やイラスト、動画、音楽などのコンテンツを投稿したり、購入したりできるプラットフォームを運営しています。
Hightouch導入前はデータソースが複数あり、次のような課題を抱えていました。
- CDPに入ってくるのは一部のデータのみのため完全なデータではない
- CDPでデータ収集・連携するためのデータ処理コストが高い
まずは、snowflakeを導入しデータソースを一元化した上で、Hightouchを導入。まさにSnowflakeとHightouchでコンポーザブルCDPを実現したものです。
これによりマーケティング活動の他、データの可視化・ガバナンスという面でも様々な効果を得られました。
ほんの少しですが、セミナーの内容を抜粋してお届けしました。コンポーザブルCDPが、どのようなソリューションなのかイメージいただければ幸いです。
セミナー後半のパネルディスカッションや、懇親会のレポートも引き続きお楽しみください。
パネルディスカッション
パネルディスカッションでは、日本市場におけるCDPの今について、参加者の皆様の現状などもヒアリングさせていただきながら、泉氏、佐々木それぞれの考えをお伝えしました。具体的に、以下の3つでトークが繰り広げられました。
- 日本企業のCDP導入状況は?導入の際に苦労するポイントは?
- CDP運用における陥りがちな課題や落とし穴は?
- ズバリ、今後のCDP市場の展望は?
実際に多くのCDP導入・運用の案件に携わってこられた泉氏、日本国内外の多くのCDPツールに精通している佐々木の貴重なお話しを聞いていただけたと思います!
参加者の声・懇親会
当日は、幅広い業界・業種から約40名の方にご参加いただきました。セミナー終了後のアンケートでは「満足」「とても満足」と回答した方は90%以上に上り、満足度の高いセミナーを開催できました。
「勉強になった」や「具体的なユースケースが聞きたい」など、前向きなコメントも多くいただきました!
90分のセミナーの後は、参加者や登壇者を交えた懇親会を開催しました!
懇親会終了のギリギリまで、名刺交換やお話しをされており、情報交換として有意義な時間をお過ごしいただけたと思います。
今後も、データ活用を推進する方々に良い情報をお届けできるセミナーやコンテンツ配信ができればと思っております。引き続きよろしくお願いいたします!