MAツール効果測定の決定版|正しいKPI設計とデータ環境

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そんな経験はありませんか?

・上司に「で、このメールでいくら売れたの?」と聞かれて答えに詰まる
・MAとGA4の数字が合わず、結局Excelでの集計作業に追われている
・「開封率は良いけど、CVしないね」と言われて反論できない

MAツールを導入したことで「素早く施策を打つこと」は出来るようになったものの、今度は「施策の効果測定に手間や時間がかかる」「正確な測定ができない」。その結果、結局PDCAサイクルのスピードが上がらなかったり、施策がどれぐらいサービス成長に貢献しているかわからない。そうした声を多く聞きます。

この記事では、MAツールコンサルタントの視点から、効果測定で重要な「どこを見るか」(KPIの増減だけでなく、施策によるユーザーの行動変容を見ることの重要性)と、「なにを見るか」(施策と分析で統合されたデータで見ることの重要性)について解説します。

MAツールの効果測定が「うまくいかない」本当の原因

KPIだけで効果を測っている

多くの企業では、施策による成果がビジネス成長につながっているかを計測する観点から、組織やサービスのKPIに基づく施策の効果測定を行なっているかと思います。

そしてこの点において、「売上の向上が実施した施策によるものなのか確信が持てない」「施策のKPIへの影響度がどれぐらいかわからない」といった課題を抱えている方は多いのではないでしょうか。

一般的に、サービスの売上などの最終的に向上を目指す指標をKGIとし、そのKGIを要素分解したものを中間指標としてKPIに設定していきます。

例えばKGIを「売上最大化・商談数増加」とした場合、中間KPIは「リード獲得」「リード育成」「商談化率」などになり、それらに対して具体的な行動のKPIが設定されることが多いかと思います。まずは具体例を下に図解いたします。

右側の具体的な行動KPIの話になりますが、例えばメール配信などのマーケティング施策を行なった際、メールの開封数やサービスへの流入数などを施策のKPIやCV目標として置くことが多いかと思います。

この場合、効果測定においてよく問題になるのは「測定している指標の粒度にギャップがある」ことです。

施策のKPIやCVとして置くものはメールの開封や流入など「施策によって誘因されたユーザーの最初の行動」であることが多い一方、サービスのKPIが売上などの「最終的なサービス成果」の要素分解であるケースが多くあります。

KPI設計の課題について KGIとKPIが離れていて連動性が見えづらい様子

この2つをユーザーの行動軸で見ると、動線上の距離が離れてしまっています。

そのため、この2つだけで効果測定を行うと、施策がユーザーに与えている影響や施策効果の解像度が低くなってしまいます。

測定する指標の間のギャップが大きいと、時間軸で見た際にも施策の実施から数値の変動までにラグが発生し、その結果数値の変動がどの施策によるものなのか分かりづらくなってしまうケースもあります。

💡関連記事:KPIとは?KGIとの違いや具体例と設定方法を紹介

施策と分析のデータやツールがバラバラになった状態で運用している

「施策はMAツールで打ち、効果測定はBIツールで行う」という運用をされている企業は多くあり、そうした企業から「MAツールの効果測定がうまくできていない」という課題を聞くことが多くあります。

データが分断された状態で生じる課題の一つに、「施策の貢献度(アトリビューション)が十分に見えなくなってしまう」という点があります。

例えば、「MAツールでメールを送った結果、ユーザーが実店舗に来店して購入した」というケースを考えてみましょう。 データが統合されていないと、MAツール上では「メールを開封した」という事実しか残らず、その後の実際の購買行動と結びつけることが難しくなります。

一方、データがつながっていれば「メールを開封したユーザーが、週末に店舗で会員証を提示して購入した」という一連の流れが可視化され、その施策が売上に寄与したことを客観的に把握できます。

つまり、ツールやデータを統合することは、単なる業務効率化だけでなく、「マーケティング施策の本来の価値を正しく可視化する」ために非常に重要なステップなのです。これを実現するための環境作りについて、後半で解説します。

MAツールのより正しい効果計測に重要な観点

上記で挙げたようなMAツールの効果計測がうまくいかない原因を整理すると、大きく「どこを見るか」、と「なにを見るか」という観点から考えることができます。

・どこを見るか:既存のKPIの増減だけでなく、施策によってユーザー行動にどのような影響を与えたのか、ユーザーの行動変容を見ることが重要。それによってユーザーの解像度も高まり、ユーザーが何をするとサービスのKPIは上がるのかの理解にもつながる。

・なにを見るか:施策と分析のそれぞれの工程で統合されたデータで見ることが重要。特に同じデータを使わないと施策対象や結果のCV数がブレてしまい「信頼できないデータ」になってしまい、社内でのレポーティングなどでも使いづらくなってしまう。

ここからはこの2つ観点において、課題の解決方法を解説していきます。

【どこを見るか】:MAツール運用で押さえるべきユーザー行動変容

「行動変容を見ると言っても、具体的にどの数字を見ればいいのか?」 そう悩む方のために、従来の測定と、本来見るべき測定の指標を比較しました。

施策の種類 従来の指標
(成果が見えにくい例)
見るべき行動変容指標
(成果が見える例)
メール配信 開封率
メール内のURLクリック数
特定ページの閲覧時間
CVページへの到達率
(クリックした後、実際に検討したか?)
アプリPush 開封率
(通知タップ数)
起動後の「お気に入り登録」数
3日以内の再起動率
(通知をきっかけにアプリを使う習慣がついたか?)
シナリオ配信 ステップメール完走率 F2転換率(2回目購入)
LTVのリフト幅
(配信を受けたユーザーの顧客ランクが上がったか?)

このように、施策(点)の数字ではなく、その後のユーザーの行動(線)を追うことが、正しい効果測定の第一歩です。ここからは、そのメリットを詳しく解説します。

ユーザー行動レベルの効果測定のメリット

MAツール運用や施策の効果測定においては、ユーザーの行動レベルで観測し「施策によってユーザー行動にどのような影響を与えたのか?」という観点で見ていくことが重要です。

ユーザー行動レベルの効果測定の主なメリットは下記になります。

・近い指標(開封数など)と、遠い指標(売上など)を組み合わせることで施策の影響範囲、度合いをより正しく測定できる。
・よりリアルタイムに施策の効果を測定できる。
・ユーザーの解像度が上がり、サービス成長に必要な「ユーザーの望ましい行動」がわかることでより効果的な施策に繋げることができる。

施策によって「目標となるユーザーの行動は増えたか?」「それによってKPI等の上位の目標はリフトしたのか?」を見ることで、施策のより具体的な成果やビジネスへの影響を測ることができます。

KPIが最終成果と連動するかを確認

またユーザーのフェーズやライフサイクルに応じた施策設計をする際も、それぞれのフェーズのユーザーの特徴的な行動を見つけ出し、それを指標として施策を行うことでより効果的にユーザーのフェーズ移行を促すことができます。

その他にも、デジタルに様々なデータが収集できるようになった時代では指標設計の重要性もより増しています。サービス成長につながる指標設計などについては他のコンテンツもぜひご参照ください。

💡関連記事:North Star Metric(ノーススターメトリック)とは?成功事例も解説

ユーザー行動データの収集方法

ユーザーの行動をデータとして収集するためには、GA4などのサービスでサイトなどにタグを設置し収集するのが一般的です。

MAツールによっては、ツールが提供するSDKを使ってサイトに実装することで直接収集することができます。これによってリアルタイムの施策実施や効果測定をMAツールのプラットフォーム内で行うことができるようになります。

比較的新しい製品や海外でも使われている製品であれば、MAツール自体でSDKを提供していますが、一部の製品では提供がなかったりオプションになっている場合があります。

またSDKがWebサイトだけでなくアプリも対応しているかなども製品によって異なりますので、MAツールを検討される際はきちんと確認するのが良いでしょう。

【どう見るか】:一箇所で統合されたデータを使う重要性

施策と分析で異なるデータソースのデータを使うことの課題は前述の通りですが、マーケティングにおける運用のサイクルを1つの統合されたデータで行うことでPDCAサイクルの高速化、施策精度の向上が実現され、サービス成長につながるような施策運用が実現できます。そのため、ユーザーに関するデータを統合することは非常に重要です。

そして、その1つのデータソースで自社のユーザーの様々なチャネルのデータを正しく統合し、1人のユーザーとして捉えること(カスタマー360の実現)ができれば、本当の意味でのOne to Oneマーケティングの実現とユーザーにとっての最適な体験を提供することができます。

また、多くの企業では現在このカスタマー360の実現に向けて様々な取り組みが行われています。その中ではDWH(データウェアハウス)やCDP(カスタマーデータプラットフォーム)と呼ばれるデータ基盤を作るところもあれば、MAツールやCRMツールにデータも集めるような取り組みをしている企業もあります。様々なツールが、ユーザーデータを統合しカスタマー360を実現するための機能を提供しています。

その際に非常に重要な観点として触れておきたいのが、「どこのツールやプラットフォームでデータを集めるか」という点です。十分に課題が解決されるのか、長期的に見た時また別の課題を引き起こしてしまうのか、どこでデータを集め活用するのかによって大きく影響します。

どこにデータを集めるか

日本企業のマーケティングデータの置き場所

企業がマーケティングで使うデータにおいては、主に「MAツール/CRMツールなどの施策プラットフォームにデータを集める」「DWHやCDP製品などのデータプラットフォームにデータを集める」の2つが主流です。それぞれにはメリットとデメリットがありますので、それを意識した上で意図的に行っているのかが重要です。

MAツール/CRMツールなどの施策プラットフォームにデータを集める

代表的なツールとしてはSalesforce・MoEngage・KARTEやBrazeなど、施策ツールのプラットフォームに必要なデータも寄せていくことでよりマーケターがより触りやすいデータソースにすることができます。またユースケースに応じて必要なデータを集めて行くことができるので、マーケティングチーム主導で始めやすい形とも言えます。

MAツール・CRMツールにデータを集めるメリット

一方で、こうした施策プラットフォームにデータを集める際に注意すべき点は下記のようなものが挙げられます。

・1つのプラットフォームで必要な機能は揃うか
・プラットフォームはデータ処理で十分なコストパフォーマンスが出せるか
・データを人質に取られ「ベンダーロック」にならないか
・用途に応じた柔軟なデータ加工は問題ないか

MAツール・CRMツールにデータを集める注意事項

筆者の私見にはなりますが、サービスを立ち上げたばかりの企業や自社で扱うデータの量や種類が少ない企業などは、施策プラットフォームの方にデータも集め、マーケティングチーム主導でスピード重視でどんどん活用していく形が適する場合が多いです。

一方で、様々なサービスやチャネルを持ち、データの規模が大きく用途も広いという場合には、下記に挙げる「DWHやCDP製品などのデータプラットフォームにデータを集める」方法が適していると考えます。

DWHやCDP製品などのデータプラットフォームにデータを集める

代表的なツールとしてはBigQueryやSnowflake、Databricks、Treasure Dataなどで、大量データを扱うのに適したデータプラットフォームにデータを集めることでより柔軟にデータを扱え、かつデータを自社の資産としてAI活用など様々な用途で自由に活用することができます。

そしてデータの連携先としてMAツールを使うことで、より多種多様なデータを用いたマーケティング施策とデータプラットフォームでの高度な分析を行うことが可能になります。

データプラットフォームにデータを集めるメリット

こうした方法を採る際に注意すべき点としては下記が挙げられます。

・初期構築に時間やコストがかかりすぎないか
・ユースケースから逆算した構築ができるか
・MAツールや広告、SFAなど用途に応じたツールにデータをスムーズに連携できるか

データプラットフォームにデータを集める時の注意事項

「初期構築がスムーズにできるか」「ユースケースがなく使われない基盤にならないか」は特に留意すべき点です。

これらの観点において、海外では「すでに自社で持っているDWHなどのデータ基盤をCDPとしても活用する」という考え方が普及しています。これによって初期構築がほとんど不要になり、より豊富なデータから必要なものを引っ張ってきて使うことができます。

これはコンポーザブルCDP※という新しいCDPの形につながる考え方ですが、多くの企業で統合データ基盤の開発が進む中で有力な選択肢になる場合もあると考えます。

※コンポーザブルCDPとは:自社データウェアハウス(Snowflake/BigQuery等)を基盤に、必要な機能だけを組み合わせて構築するCDP形態。データを外部にコピーせず、セキュリティと柔軟性を両立できるのが特徴

特に様々なサービスを展開している企業や扱うデータ量の多い企業、自社のデータ基盤でAI活用を進めている企業などはコンポーザブルCDPを構築することでデータ基盤をすぐにCDPとして様々なマーケティング用途で活用できるようになります。

関連記事:コンポーザブルCDP(Composable CDP)とは?既存のCDPとの違い

事例で見る「正しい効果測定」のサイクル

MAツール中心の分析、施策実行、効果検証が完結できるサイクル事例

こちらの事例では「MoEngage(モエンゲージ)」というMAツールを使い、分析→施策実行→効果検証のサイクルを実現されている企業様のお取り組みが紹介されています。

記事の中でも触れられていますが、MAツールにおいてはやはり価格と機能のトレードオフの関係性があり「求める機能が予算でどこまで実現できるか」も重要です。

私はMoEngageの代理店にいる立場ではありますが、個人的にはMoEngageは「そこそこの価格で、分析機能など運用サイクルを回すのに一通りの機能が揃っているMAツール」という印象です。

高度な分析、高度な施策設計になると足りない部分が出てきますが、「まずは運用を自走したい」「ノーコード操作で施策の回数を増やしたい」などの目的が大きい場合には選択肢の1つとして非常に有力な製品だと思います。

MoEngageの詳細や資料請求などはこちらから

効果測定を支えるデータプラットフォームの構築事例

【9/10-10/3|無料ウェビナー】迅速な意思決定を支えるデータ基盤の作り方 売上を伸ばす施策事例もご紹介
※終了しました アーカイブをご希望の方はご連絡ください

こちらの事例では分析や効果測定で行われる「データに基づく迅速な意思決定」を実現するために必要なデータ基盤について、実際に使われるようなDWHを中心としたデータプラットフォームをどう構築したらよいかを解説しています。

「基盤に集めたデータをどうマーケティングに活用していくか?」という点は、「データ基盤の構築」と、「データ分析環境の整備」がひと段落した企業が次に目指す基盤の、代表的なユースケースになります。

特に海外では、ウェビナーでも紹介していますが「Hightouch(ハイタッチ)」という製品をDWH環境と組み合わせてマーケティングに活用することが広まっています。

HightouchはDWHにあるデータをそのままマーケティングに活用できる様にする新しいCDPの製品です。

Hightouchを使うことで、DWHのデータを自由に使った施策用のセグメント作成や施策ツールへの自動連携がマーケターでも簡単にできるようになり、これによって自社の統合されたデータをフル活用したOne to Oneマーケティングに貢献します。さらに、対話形式でセグメント抽出や分析、施策レポーティングもできるAIエージェント機能も開発されており、これからの時代のマーケティングでより求められていく領域のソリューションです。

💡関連記事:Hightouch(ハイタッチ)とは?概要や機能、連携方法をわかりやすく解説

まとめ

施策の実施から分析までをスムーズに行うためにはデータやツールといった環境の整備が不可欠です。そして、この領域においてはマーケティングやデータに関する分野の様々な知見が求められます。

DearOne社ではこのデータのマーケティング活用の領域に特化した事業を行っており、海外の先進的なツールや運用に関するナレッジに常にアンテナを張っています。そして皆様の持つ自社のサービスやユーザーに関する深い知見と組み合わせることで、より多くの価値が創出されるようツールやコンサルティングの提供を行っています。

自社のデータ活用に課題がある方や「どんなことができるのかから知りたい」という方はお気軽にお問い合わせください。

また、「施策設計から分析までが1つの管理画面でノーコードで実現できるMAツール」としてMoEngageを、「自社のデータ基盤をマーケティングにも活用するCDPツール」としてHightouchの取り扱いを行っています。こうしたアプローチに興味のある方もぜひご相談ください。

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