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仮想通貨決済はわかりにくい?Web3特有の3つの課題とは【海外Hot Info】vol.40

2022.12.23

今回の「海外Hot Info」は、「Web3」の仮想通貨決済に特有の課題について、株式会社トラストバンクの森杉育生さんにお話を伺いました。

Web2とWeb3の認証と決済の違い

仮想通貨決済

安田 今回もよろしくお願いします! 今日はどんなテーマでお話しいただけるんでしょうか?

森杉さん(以下、Mr.モリスギ) 
前回、Web2とWeb3の欠点を補完するWeb5 やその アイデンティティー の話をさせてもらいましたので、今回もその延長戦みたいな感じで「Web3の仮想通貨決済に特有の課題」といったお話をできればと思っております。

Web3で決済から送金を行うまでって、実は結構ハードルがあります。そこで、それを解決するソリューションが最近出てきているので、認証・KYC・決済/送金の領域についてご紹介していきたいと思います。

まず認証と決済の話を考えると、Web2の場合だと基本的に、クレジットカード会社あるいは決済代行サービスなどが従来、中央集権的に管理してきました。

我々は普段、ログインID、パスワード、カード番号、銀行口座などを使って送金していますよね。そして、もし不正決済があれば、カード会社や決済代行サービス会社が検知をしてくれます。

安田 はい。

Mr.モリスギ 今述べたのはWeb2の世界ですが、Web3になるとアカウントやログインIDはが「ウォレット」に変わり、またパスワードではなく「シードフレーズ」、また送金先は「ウォレットアドレス」というものに変わった上で、共通のブロックチェーンネットワーク上で送金や認証が行われます。

このような世界になってくると、Web2とそもそもインフラの考え方が全然違ってきますよね。

安田 カード会社や決済代行サービス会社のような、間に入ってくる人たちがいないという、そこが大きな違いですか?

Mr.モリスギ はい。ちょうど上の図で間にいる業者などがいなくてもできるのか、あるいはいないとできないのかというところが違いですね。

安田 Web2だと、その間にいる人たちが、もろもろのやりとりとか「IDはこれだよ」みたいなルールを決めているのでしょうか?

Mr.モリスギ そうですね。Web3のブロックチェーンの場合は、そこがオープンな仕組みになっている一方、Web2はある程度クローズドで、大手プラットフォームやクレジットカード会社が決めた仕様に乗っかっている感じなので、やはりそこが大きな違いですかね。
安田 そうですよね。Web3になるとオープンな仕様だから、間に人がいなくても誰でも相手とやりとりできますもんね。

≪安田`s Memo≫

クローズドなWeb2とオープンなWeb3

Web3で決済/送金を行う際の3つの問題

仮想通貨決済は面倒くさい

Mr.モリスギ はい。それで、Web3で送金や決済を行うとき、面倒くさくて問題になるのは、「認証」と「本人確認」と「決済/送金」なんですよ。下に赤字で書きましたけど、多くの皆さんは「Web3って何かよくわかんないし、面倒くさそう」という感覚をお持ちだと思うんです。

それを具体的に言うと、以下の3つの問題に集約されてきます。

安田 はい。

Mr.モリスギ まず1つ目の「サインアップ/サインイン(認証)」ですが多分、「ウォレットって何?」という人がまだ90%以上はいると思っていて、そもそもウォレットが何なのかわからないから持っていないという方が圧倒的に多いです。

かつ、前述のようにWeb2とWeb3のアカウントって全く別物なので、例えばGoogleアカウントとウォレットと呼ばれるアカウントは、基本的に別々の管理になってきて煩わしいです。

それから、ウォレットにくっついてくる概念として「シードフレーズ」というものがあるのですが、これがいわゆるバックアップパスワードみたいなもので、仮にこれが外に漏れると、もうウォレットごと暗号資産を全て盗まれてしまうというくらい重要なものになります。

なので、逆にアナログなのですが「シードフレーズはパソコン上に保管するな」といった感じで、紙とかに書いて物理的に保管しておかないといけないんですよ。

安田 なるほど。

Mr.モリスギ Web3のサインアップ時の復元方法にはそのように、アナログ管理がいるということで、ここでもやはり「面倒くさいよね」となります。

安田 なるほど。私もそのウォレットを持っていない9 割側に含まれるのですが、そもそもウォレットアカウントってどこで作るものなんですか?

Mr.モリスギ ウォレットのアプリがいろいろあって、例えばその中で一番有名なものに狐のロゴマークの「MetaMask」があります。これは2,500 万ユーザーくらいが使っているもので、まずはここで自分のウォレットを作り、ウォレットアドレスを取得することができます。

MetaMaskのほかにもウォレットアプリはたくさんあるので、どれか自分が好きなものを選べばいいです。そこはあくまで、自分が使いたいブロックチェーンの規格が使えるウォレットを選んでもらえば大丈夫です。ですので、多くの規格に対応しているウォレットアプリほど人気になりやすい傾向があります。

安田 なるほど。そこでアカウントを作ると、先ほどのシードフレーズが払い出されるのでしょうか?

Mr.モリスギ そうです。シードフレーズには「begin」「calm」「fade」など、ある特定のフレーズの構成要素があって、これを順番通りに書いてくださいみたいなパズルが出されるんです。

安田 なかなか面倒ですね!

Mr.モリスギ そうなんです。私などは子供の頃に遊んだ「ドラゴンクエスト」のパスワードを思い出しますが(笑)

安田「ふっかつのじゅもん」ですね!(笑)

Mr.モリスギ 「Web3になっても未だにこんなことやってるのか!」というのがある意味面白いんですけれども。だから、パソコン上に残さず、紙などで保管しておくのが一番安全だというわけなんです。

安田 ありがとうございます。1つ目の問題が非常によくわかりました。アカウント認証にまつわる課題のソリューションについてはモリスギさんに、「Web2とWeb3を統合するウォレット&アカウント認証ソリューションとは?」で解説いただく予定です。

Mr.モリスギ 2つ目の問題は、いわゆる「KYC」(​​Know Your Customer)と呼ばれる本人確認の部分です。免許証の写真を撮って送らないと金融口座が開けない、といった例の手続きと同様に、Web2でもWeb3でも結局、法規制に従う必要のある部分が出てきて、しかもそれを各プラットフォームごとに行わないといけない。

例えば、楽天銀行の口座を作るときに、申込書やら免許証や住民票コピーやらを提出します。次にSBI証券で口座作ろうとすると、ゼロからまた同じようなデータを出して何週間も待たされると思います。一度どこかで口座を開ければある程度信用は置けるはずなのに、どこにいっても都度、同じようなプロセスを経る必要があって、まずここがWeb2・Web3を問わず利便性を下げてますね。ですが、KYCをやらないとお金を貸したり金融商品を扱うサービスは特に安全性を担保できません。

安田 ふむふむ。

Mr.モリスギ Web3の場合は、まだ法整備が追いついてないこともあり、そもそもKYCがほとんど行われていないんですね。結局、詐欺とか騙りといった行為がかなり横行しているという事情があり、「Web3の方でもちゃんとKYCをやっていかなきゃいけないんじゃないか」「でも既存サービスと同じようにKYCやったら利便性が下がるのでは」という話が出てきているんです。

安田 なるほど。ちょっと今の話は驚きなんですけど、本人確認が行われないで決済を行うなんてすごく怖いですよね。

Mr.モリスギ Web3はそもそも分散台帳の仕組みなので、誰がどう支払ったかに関しては先ほどのウォレットアドレスでしかわからないんですよね。だから、例えばそれが僕なのか安田さんなのかということが一切わからないまま決済が行われているので、それは当然詐欺も起こるだろうと…。

安田 う〜ん。

Mr.モリスギ もちろんビットコインなど、本気で追っていけば使っているのは誰かが特定できるものもありますが、それでもやはり普通の決済と比べると犯罪などに使われる可能性が高く、どうしても一般の人からすると「怖いし、使いたくないね」という声につながってしまうんですね。

安田 それはそうなりますよね。KYCにまつわる課題のソリューションについてはモリスギさんに、「Web2とWeb3のいいとこどり!本人確認の課題を即解決するKYCソリューションとは」で解説いただく予定です。

Mr.モリスギ そうですね。そして3つ目の問題ですが、そもそも仮想通貨を取引するためには、最初に仮想通貨を購入する必要があるじゃないですか?この購入のハードルも意外と高くて、例えば日本で取り扱いがない外国の暗号資産を手に入れたいとなると、3回くらい取引所を経由しないといけないんですよ。

安田 何だかマネーロンダリングが連想されますが。

Mr.モリスギ はい。例えば、日本の有名な取引所ですとイーサリアム、ビットコインなど4つほどのメジャーな銘柄の中からまずどれかを買い、違う取引所にも口座を開設してそちらに移し、さらにそこで日本の取引所では売っていない仮想通貨を買ったり交換したりする、といったことが必要になります。

それから、仮想通貨には「レンディング」といってお金みたいに貸し出し、その利率で儲けるサービスもあります。ただ、それを行うには先ほどと同様、何回も取引所を経由したり、何個も口座を分けなくてはいけないなど、そもそも使える状態にするまでのハードルがいろいろあるんですね。

ここまできて初めて、やっと自分の使いたい仮想通貨で決済や送金ができるということになるので、まあ以上の3つの問題を聞いただけでも、それは「面倒くさい…」となりますよね。

私自身、普段から実際にこうした取引に触れていても「面倒」「わかりづらい」「怖い」と思いますので、こうしたボトルネックが解消されないと、Web3はなかなか普及しないだろうなと思っています。
安田 そうですね。決済/送金にまつわる課題のソリューションについてはモリスギさんに、「仮想通貨購入のハードルを下げるWeb3決済ソリューションとは?」「Web3特有の仮想通貨決済/送金ソリューションとは?」で解説いただく予定です。

≪安田`s Memo≫

Web3決済/送金にまつわる3つの問題が「面倒くさい」「怖い」とWeb3のハードルを上げている


―次回の【海外Hot Info】では、Web2とWeb3を統合するウォレット&アカウント認証ソリューションについて、引き続き森杉さんにお話を伺います。次回もぜひお楽しみに!

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