こんにちは。安田です。
アプリ開発とデジタルマーケティングを支援する株式会社DearOneでB to Bマーケティングをしています。そんな私が初心者マーケターにもわかるように解説していくこのコーナー。
今回で第16回目です。
前回第15回の記事では『最先端のビジネス指標「ノーススターメトリック」』について解説をしました。
第1回目から順番に読んでいただければ、より理解が深まると思いますので、まだ読んでいただけていない人はぜひ読んでから戻ってきてほしいです。
それでは、今回のテーマを発表します。
データを扱うならタクソノミー設計は常識
Here We Go!
貯めただけではデータはただのゴミ
企業、特に大手企業になると莫大な量のデータが蓄積されていると思います。グロースマーケティングを行うために、いざ分析をしようとしてデータを扱ってみると、
「あれ、データがバラバラすぎて、何をどのように分析すればいいかわからない」
「データの紐付けができていない」
「複数のデータベースをつなぐ一意のキー値が設定できていない」
「データベースによって同じものを異なる名前で呼んでいる」
なんてことが現場ではよく起こっています。
データを使うことができなければ、データはストレージの容量を圧迫するだけのただのゴミとなってしまいます。
そこで、活用すれば企業にとっての宝となるデータをグロースに活かすための方法、タクソノミー設計についてみていきましょう。
データを宝に変えるタクソノミー設計
タクソノミー設計って何なんでしょうか?マーケターとして働いていてもなかなか聞く言葉ではありませんよね。
しかもタクソノミーって何だか覚えづらいですし。
しかしこれからの時代必要となる考え方で、グロースマーケティングを行う際にはタクソノミー設計が肝となりますので、ぜひ覚えてしまって下さいね。
それで、タクソノミー設計とは「データを取得時点から一貫性をもって貯めるための準備作業」のことを意味します。
顧客を行動ベースで理解するにはユーザーを定義して、同時にその人たちのオンライン、オフライン両方の行動(イベント)を細かく定義していかなければいけません。オンラインとオフライン、さらに部署間での隔たりをとっぱらってこそ、真のデータ管理と呼ぶことができます。
それを行うための方法がタクソノミー設計です。
これだけではまだ具体的に理解しきれていないと思いますので、タクソノミー設計の手順を説明していきます。
タクソノミー設計の手順
まず、タクソノミー設計の手順は下記の3つのステップに分かれています。
STEP1.イベント設計
STEP2.イベントプロパティ設計
STEP3.ユーザープロパティ設計
それぞれ見ていきましょう。
STEP1. イベント設計
まずはイベント設計で、イベント名をつけることから始まります。ここでいうイベントとはユーザーの「行動」のことを意味しています。
「アプリを開いた」「アプリを閉じた」「ログインした」という、顧客の行動を細かく洗い出し、一つのイベント名(Event Name)として命名します。
グロースマーケティングでは、イベントを分析する際に内容を把握しやすいよう、以下のような点を意識して名前をつけるようにしています。
・動詞+名刺
イベント名を動詞と名詞の組み合わせで設定します。
例えば、商品を検索するというイベントであれば、Serach(検索)+Item(商品)となります。
・キャメルケース
キャメルケースとは、複数の英語で用語を表現する際に、文字の頭文字を大文字で表記することです。
ちなみにラクダの背中のこぶのように凸凹としていることからキャメル(ラクダ)ケースと呼ばれています。例えば、Add Item to Cartでのような表記方法です。
以下がイベント名の例です。
Search Item (「商品を検索する」)
Add Item to Cart (「商品をカートに入れる」)
Start Registration (「会員登録を開始する」)
Complete Registration (「会員登録を完了する」)
Select Item (「商品を選択する」)
View Item Detail (「商品の詳細を閲覧する」)
Favorite Item (「商品を『お気に入り』に入れる」)
Purchase Item (「商品を購入する」)
Follow SNS (「SNSをフォローする」)
発火条件の設定
イベント設計が完成すれば、次に行うのは発火条件の設定です。発火条件とは、ユーザーがどういう行動を取った時に、そのイベントが実行されたとみなすか、ということで、これを定義していきます。
例えば「アプリを閉じる」であれば「ユーザがアプリを閉じた時」などと設定できます。
「アプリを閉じる」は、行動そのものですのでわかりやすいです。
しかし、実際にはもう少し考えて定義しなければいけないことがほとんどです。
練習として「購入する」というイベントを定義したい場合はどのように定義されるか考えてみて下さい。
1分間程度とって、実際に行ってみて下さいね。
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
(1分後。)
いかがでしたか?
恐らく多くの人がまず、1分間考えずに、読み続けたのではないでしょうか。
私自身、こういう場合そのまま読み続けてしまいますのでその気持ちはわかりますが、一度考えてみることでより深いレベルで理解できるので、飛ばしてしまった方ぜひ、1分考えてから戻ってきて下さい。
それでは、どのような場合が「購入する」というイベントだと定義できるのかについての話に戻ります。
「購入する」というイベントの場合、例えば、
・ユーザーが購入ボタンを押した時なのか
・購入後のサンクスページが表示された時なのか
・倉庫から商品が出荷された時点なのか
など、様々な定義が考えられます。
これら以外の定義もたくさん考えることが可能です。
このように「購入する」という簡単なイベントに対しても、いくつもの定義が考えられるため、これを統一して、複数のチャネルでも同一の「購入する」というイベントに紐づけることが大切となります。
STEP2. イベントプロパティ設計
イベントを作成することができたら、次はそのイベントについての属性情報を複数設定します。これをイベントプロパティと言います。
例えば「商品をカートに投入」した際、ユーザーがどのような商品を投入したかも把握して、どのようなユーザーがどのような商品を購入するかなどもデータとして管理したいですよね。
この場合、以下のようなイベントプロパティを付与すると、どのような商品がカートに投入されたかも把握できるようになります。
・商品名
・商品ID
・サイズ
・色
STEP3. ユーザープロパティ設計
最後にユーザーの属性を示すユーザープロパティを設定します。イベント(行動)の主語となる人の部分について属性情報を複数付帯させます。
例えば以下のようなものです。
- 性別
- 都道府県
- 会員ランク
- クーポン利用回数合意形
- 初回購入日
- 累積入金額
- 累積購入点数
これらの工程で、一旦タクソノミー設計のドラフトは完了です。ドラフトが完成したら、少なくとも複数回のレビュー会を実施してみてください。レビューを行うことで、より正確で、詳細なデータを取得、管理できるようになり、ビジネスに大きく役立てるようになります。
まとめ
この記事ではデータをゴミから宝に変える方法、タクソノミー設計について紹介しました。扱うことができない大量のデータ、ゴミを宝に変えてビジネスグロースを目指してみて下さい。
お役に立ちましたでしょうか。
当社では、顧客行動を解像度高く理解するためのタクソノミー設計のご支援をしております。
- GA4で標準イベントしか取得しておらず深い分析ができない
- 行動イベントが網羅的に取得できていない
- CDPやMAツールを導入するにあたって、データ設計を見直したい
このような課題をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。