こんにちは。安田です。
アプリ開発とデジタルマーケティングを支援する株式会社DearOneでB to Bマーケティングをしています。そんな私が初心者マーケターにもわかるように解説していくこのコーナー。
今回で記念すべき第10回目です。
前回第9回の記事では『グロースのカギとなる魔法の数字「マジックナンバー」とは何か 』について解説をしました。
第1回目から順番に読んでいただければ、より理解が深まると思いますので、まだ読んでいただけていない人はぜひ読んでから戻ってきてほしいです。
それでは、今回のテーマを発表します。
あなたは顧客を正しく理解できているか?
Here We Go!
顧客を知る方法
顧客について理解を深めたいとき、あなたならどのような方法を取りますか?
現代はITが発展し、便利な時代ですのでGoogle Analytics等のツールを使用して売上データ、POSデータを分析して顧客の行動理解を試みるって方が多いと思います。
従来は行動分析ツールもそれほど広がっておらず、顧客理解をするためには、ユーザーアンケートや、顧客インタビューが主流でした。
しかし、これらの方法ももちろん重要ですが、多くのデータを集めるには、莫大な量のアンケート·インタビューを行う必要があり、さらには、リアルタイムに顧客を知ることはできないのです。
データで顧客を知る
現代では、上記のようなGoogle AnalyticsのWebアクセスログや、ビジネスインテリジェンスツール(BIツール)を利用して、大量のデータから顧客を理解できるようになりました。そのおかげで、迅速な意思決定が行えるようにもなりました。
しかし、これだけでは本当の意味で顧客を理解しているとは言えないのです。
これらは「結果の数字」を知る段階に過ぎません。
さらに、グロースマーケティングでは「結果」を重視することはもちろん、そこに至るまでのプロセス、方法を考え出す必要があり、この段階はまだまだ序の口とされています。
多くの企業で言われている「顧客理解」はこの段階で止まってしまっているような気がします。
それでは次に、グロースマーケティングにおいて、「顧客理解をした」と言える程度がどのレベルのものなのかを説明していきます。
本当の意味で顧客を知る、とは
本当の意味で顧客を知るためにはどのようなことが必要で、何をもって「本当の意味で顧客を理解できた」と言えるのでしょうか。
先程の「結果の数字」とは定点観測で、レベル1とします。
グロースマーケティングで必要とされる程度の顧客理解は、レベル3までに達する必要があるのです。
それではまず、顧客理解のレベル2「課題模索」について説明します。
この段階は要因分析のことです。「離脱ポイントで何が起きているのか?」「この店の不振の原因は?」といった、特定の課題をスポット的に分析し、課題模索するという行為を意味しています。
Google BigQuery、Adobe Analyticsなど、SQLの条件指定を活用して分析することが一般的で、データサイエンティストなどが従事することが多いですが、これも比較的到達しやすいレベルです。
ここまでがレベル2の「課題模索」です。
レベル1の「結果の数字」をもとに、その原因となる要因を顧客行動を見つけ出します。
しかしここの段階もまだ、本当の意味での顧客理解とは言えないのです。
そしてここからがようやく、グロースマーケティングで必要とされている段階、レベル3。
「行動理解」です。
あと1レベルですので、最後までついてきてください!
データドリブンで、具体的に「どのような行動を取る人」という行動ベースで把握することが重要なのです。
従来であれば、上記で述べたようにユーザーアンケート、インタビューを行い、限定的なデータの中から顧客のペルソナを「想像」するしかありませんでした。
しかし現代では、行動分析ツール「Amplitude(アンプリチュード)」を始めとした優秀な分析ツールが存在しているため、ツールを利用して行動ベースで具体的に「どのような行動をした人が、継続率が高い」ということを理解することができるのです。
生活雑貨のECサイトを例に挙げてみましょう。
日用品やおしゃれな雑貨などを扱っているECサイトをイメージしてください。このECサイトのユーザー行動を分析した結果、ロイヤルカスタマー(継続購入率が高く、累積の購入金額も多い)が、新着商品のお知らせをよく見ている、という傾向が発見できました。
これは、その生活雑貨のファンのため、新しい商品の情報をいち早く知りたい、いいものがあれば早く手に入れたいというユーザーの心理を表わした行動です。
こうした、リテンションにつながる良い行動を一部の熱狂的なファンだけでなく、その他の顧客に広げていくことでロイヤルカスタマーの拡大が図れます。
現在は新着情報をこまめにチェックしていない人でも、ひょっとする新着情報を知りたいというニーズはありながらも、「サイトのどこにその情報があるか知らなかった」「時間が無くて自分でチェックしている暇がない」等の課題を抱えているだけなのかもしれません。
こうした場合に、ECサイトの目立つ場所に新着商品の情報を掲載する、登録した人には新着商品の情報をアラートでお知らせする、等のプロモーション施策やサイトの機能改善を図っていくのです。
こうすることによって、あらかじめリテンションに寄与すると判明している「新着商品のお知らせを見る」という行動を多くのユーザーにとらせ、ロイヤルカスタマーを拡大していくことができます。
ロイヤルカスタマーとは逆に、休眠、チャーン抑止の観点でも行動理解が重要です。休眠、チャーンしたユーザーグループを抽出し、そのユーザーはどういう行動をしていたのかを分析します。
例えば動画配信サービスの場合、「シリーズものの最終話を見終わる」と解約率が高まる、というパターンがわかったとしましょう。自分の見たかったシリーズが終わったのでサービスを不要と考えて解約してしまうのです。
「シリーズものの最終話を見終わったらチャーンの危険信号だ」とわかれば、最終話を見終わったところに、そのユーザーが興味のありそうな別のシリーズを提案する等の施策を打って、チャーンを抑止することもできます。
以上が顧客理解のレベル3、「行動理解」です。
この「行動理解」こそが本当の意味での「顧客理解」と呼ぶことができます。レベル1の「結果の数字」をもとに、レベル2で「要因分析」を行い、さらにそこからレベル3の「行動分析」を行うことで、真の意味で顧客を理解したと言えるのです。
まとめ
今回の記事では顧客理解のレベルについて紹介しました。日本ではまだまだレベル3「行動理解」にたどり着いている企業が少ないのが現状です。グロースマーケティングにより、多くの企業が行動分析を行い、本当の意味での顧客理解をし、ビジネスをグロースさせるためにぜひ参考にしてみてください。
お役に立ちましたでしょうか。
それではまた今度。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回のテーマは『顧客分析して満足?それじゃ二流』です。
え、今回で行動分析をして顧客理解できたのに、これ以上何をすればいいの?