こんにちは。安田です。
アプリ開発とデジタルマーケティングを支援する株式会社DearOneでB to Bマーケティングをしています。そんな私が初心者マーケターにもわかるように解説していくこのコーナー。
今回で第5回目です。
前回第4回の記事では『データの民主化がもたらす、一億総分析時代』について解説をしました。
第1回目から順番に読んでいただければ、より理解が深まると思いますので、まだ読んでいただけていない人はぜひ読んでから戻ってきてほしいです。
それでは、今回のテーマを発表します。
マーケティングが行うべき新規獲得よりも重要な仕事
Here We Go!
マーケティング部門のミッション
マーケターの皆さん、皆さんの所属するマーケティング部門のミッションって何でしょう?
商品の認知度を高めるブランディング、商品を購入してもらうコンバージョンというのが大きな2つのミッションだと思います。
これまでは、コンバージョンという点では購買までの流れを表すマーケティングファネル(図)の上半分、顧客が購入に至るまでの「認知」から「興味・関心」、「比較検討」を経て「購入」につなげる部分に注力されている方が多いでしょう。
この部分を「トップファネル」と呼びます。
しかし、時代は大きく変わりました。ITの凄まじい発展に伴い、ビジネスのあり方、マーケティングのミッション、手法も対応させることが大事なのです。
これからは購入後のボトムファネル「FTUX(ファーストタイムユーザーエクスペリエンス)向上」「ロイヤル化」「LTV(ライフタイムバリュー) / リテンション向上」、つまり既存顧客のロイヤルカスタマー化に取り組んでいくことが大事なのです。
ビジネスを持続的に成長させることを目的とするグロースマーケティングでもこのボトムファネルを重視しています。既存顧客を大切にすることで、製品・サービスを継続利用してもらい、持続的な成長を目指そうというわけなのです。
いったいなぜ、ボトムファネルが重要なのか
なぜ今後はボトムファネルを重視して、マーケティング活動を行なっていくことが大事なのでしょうか。
その理由は3つあります。
1つ目の理由は「日本は人口減少社会」です。
日本の人口は年々減少をし続けています。総務省統計局が発表した2021年1月現在の日本総人口数は1億2557万人で、30年後の2050年には1億人を下回ると予想されています。このように人口減少が社会においては、市場ももちろん縮小します。
昨年比ですと、なんと42万人も減少してるんですよ。
さらに人口が増えない中で、新規顧客を取り続けることは難しく、成熟した社会では狩猟型で新規を取るより、農耕型で既存顧客の育成が重要となるのです。
いかに既存顧客維持に注力し、継続的に利用してもらうかを考え、ビジネスに落とし込むことが必要となるのです。
これがまず、ボトムファネルが重要になる1つ目の理由となります。
そして2つ目は「ビジネスがサブスクリプション型へシフト」です。
ビジネスモデルが変化をしているので、それに対応しようってことです。これまでは、購入して終わりだったのを、常に使い続けてもらう「サブスクリプション型」に移行しているためです。
音楽がCDから配信に変わり、レンタルビデオが動画配信になり、車を買わずにカーシェアする時代になりました。
サブスクリプション型は初期費用が安く、月額料金で回収するモデルが一般的です。
ユーザーにとっても初期費用が安いため、試しに利用する障壁が低くなり、他社への乗り換えが簡易になってしまいます。
企業は継続して利用してもらえなければ、投資回収ができず、サービスどころか会社自体クローズをせざるを得ない状況ともなりかねないのです。
そのため、継続的に利用してもらユーザーを獲得するために、ボトムファネルが重要なのです。
これが、2つ目のボトムファネルが重要となる理由です。
そして3つ目が「ユーザーのニーズの変化速度が速い」です。
ITの発展、特にSNSで製品に触れる機会が増えたために、ニーズが多様化し、さらにそれが迅速に変化しています。
マーケティングをしていれば、新規顧客の獲得は非常に大変でコストがかかることはご承知でしょう。
しかし前述のとおりビジネスがサブスク型に変化しています。サブスク型は初期売上が少なく、月額で細く長く売上を上げていくモデルです。
多額のコストをかけて獲得した新規顧客がすぐに解約してしまうと、マーケティングコストを回収することができなくなってしまうのです。
サブスク型モデルでは、顧客がサービスを購入したところがスタートで、そこから顧客のニーズの変化に継続的に対応し、サービスの解約を防ぐことが重要です。まさにボトムファネルです。
これが3つ目のボトムファネルが重要となる理由です。
3つの理由をまとめると、
- 「日本は人口減少社会へ」
- 「ビジネスがサブスクリプション型へシフト」
- 「ユーザーのニーズの変化速度が速い」
です。
既存顧客のロイヤル化の第一歩、FTUXとは
既存顧客のロイヤル化の第一歩となるのがFTUXです。FTUXとはFirst Time User Experiences(ファーストタイムユーザーエクスペリエンス)の頭文字を取った略語で、文字通りユーザーが初めて製品・サービスに触れた瞬間の体験を意味しています。
FTUXの段階で、心地よい経験をしてもらい、「また使いたい」と思ってもらえるようにすることが重要です。
このFTUXで、顧客の好感触を得るために重要となるのが「アハモーメント」です。AHA momentは”ひらめきの瞬間”と呼ばれることもあり、今まで悩んでいたことの答えが閃いたり、腑に落ちたり、点と点が繋がった瞬間のことを指しています。
初めて商品・サービスに触れた際に「何か悩んでいたことが解決した」という顧客体験を作り出すことが大切だということです。
最近感じた私のアハモーメントを紹介しますね。参考程度に。
私は長年使用しているリュックがあるんですけど、そのカバンにはPCフォルダーがなく、他の荷物と一緒に入れるためごちゃごちゃになってしまうんですよ。それで新しい鞄をついに買おうとショップに行き、店員さんと会話をしていると、どのような鞄を求めているか聞かれたわけです。
そこで「PCフォルダーが欲しい」「ほとんど毎日使用するので、フィット感があるものがいい」と伝えると、一つのカバンを持ってきてくれました。
PCフォルダー付きの、フィットするリュック。
よし、条件を満たしている。
と思った矢先、それにプラスαで一つ、私が要求していない機能がついていました。
肩にかかる重さを軽減(詳しくは分散)するための、ウエストベルト付きだったのです。
「毎日使用すると負担も蓄積するので」と一言を添えて。
私は「あー、これこれ。こういうのが欲しかった」と購入を決めてしまいました。
参考になりましたか?
ちなみに私は海外の友人と英語で会話をするときによく「Aha」をよく使っています。その流れで日本人と日本語で話しているのに、「Aha」と言ってしまった時はとても恥ずかしく、赤面したのを覚えています。
リュック購入時に「Aha」と言ってしまわなくてよかった。
まとめ
今回はマーケティングが行うべき、新規顧客よりも重要な仕事について紹介しました。これまでマーケティングでは購入に至るまでの「新規顧客獲得」にフォーカスしていましたが、今後は購入後の「既存顧客維持」に注力することが大切だということです。
お役に立ちましたでしょうか。
それではまた今度。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回の記事では『デジタルマーケティングに失敗する5つの理由』について紹介します。今後ますますIT技術を導入したマーケティングが重要となります。失敗しないためにもぜひ参考にしてみて下さい。