
今回は、離脱率の高かった「注文履歴ページ」にて離脱率の改善を目的に行った、Contentsquareの活用事例をご紹介します。ファッションECサイト「GRL」を運営する株式会社Gio様と、当社のプロフェッショナルサービスとして下記のようなお取り組みをさせて頂きました。
- Contentsquareの導入
- WEB来訪ユーザーの行動分析からサイト改善施策の考案
- 改善施策の実施
- 施策の効果検証
今回はこれらの取り組みの中から、2.3.4の内容を一部ご紹介します。
GRLについて
GRLとは9,999円以下で全身揃う、女性向けの国内最大級のファストファッション通販サイトです。
マーケットサイズとしては、ファッション業界のInstagramアカウント国内3位(2024年8月現在)で、MAUは500万人を超えるなど多くのユーザーを保有しているファストファッションの最先端企業になります。
マーケティング活動においても、AmplitudeやContentsquareをはじめとした最先端の分析ツールを取り入れ、データドリブンマーケティングを推進しています。
離脱率を改善するための分析
背景・課題
注文履歴詳細ページを閲覧するユーザーが多いものの、閲覧後すぐに離脱してしまうユーザーが多く存在することが課題でした。

上のスライドは実際に、「サイト全体平均」「注文履歴トップページ」「注文履歴詳細ページ」において、閲覧後すぐに離脱してしまうユーザーの割合(離脱率)を記載しています。
- サイト全体平均:約30%
- 注文履歴トップページ:約32%
- 注文履歴詳細ページ:約70%
注文履歴詳細ページの特性上、注文内容の確認行為が主となると考えられるため他ページと比べ離脱率は高くなる傾向にあります。しかし、この差が大きすぎることに違和感があり、注文履歴詳細ページを閲覧しているユーザーの離脱要因としてどのようなものが存在するのかを特定したいと考え、Contentsquareを用いて分析を行いました。
分析概要
Contentsquareを使って注文履歴詳細ページを、下記の2つの観点で分析を行いました。
- 注文履歴詳細ページにて、ユーザーはどのような行動を行っているのか
- 注文履歴詳細ページを閲覧後のユーザーに特徴的な動きはないか
ゾーニング分析
まず初めに、注文履歴詳細ページにて、ユーザーはどのような行動を行っているのか、ゾーニング分析にて注文履歴詳細ページにおける要素ごとの指標を確認しました。
※ゾーニング分析例
ゾーニング分析とは、ウェブサイトやアプリの要素ごとでの、クリック率やスクロール率、魅力度など、ユーザーの利用度合いを定量化して確認できる機能になります。
以下が、デモ環境における実際のゾーニングチャートになります。各要素のクリック率や魅力度を数値として簡単に確認ができます。

ゾーニング分析にて注文履歴詳細ページにおける「タップ率」と「再タップ率」を確認したところ、リンクが存在しない(タップしてもどこにも遷移しない)「商品画像」部分を何度もタップしているユーザーが多く存在することがわかりました。
- タップ率:該当箇所をタップしているセッションの割合
- 再タップ率:1PVにつき、該当箇所をタップしている平均回数

このユーザーの動きが、離脱の要因になっているのではないかと考え、さらに具体的な動きを他のチャートを利用し深掘り分析を行いました。
セッションリプレイ分析
次に、「商品画像」を何度もタップしているユーザーの実際の動きをセッションリプレイ機能にて確認を行いました。
※セッションリプレイ例
セッションリプレイとは、ユーザーがサイトやアプリ上で実際にどのような動きを行っているのかを、動画形式で確認することができる機能になります。
以下が、デモ環境におけるユーザーの、実際の動きを表示している動画になります。

「商品画像」を何度もタップしているユーザーのセッションリプレイを見てみると、商品を一度お気に入りに追加し、お気に入り一覧ページから商品詳細ページに遷移しているユーザーが一定数いることが分かりました。

ユーザーの多くが商品詳細ページを見ようとしていましたが、商品画像がリンクではないため直接遷移できず、一旦「お気に入り」に登録し、お気に入り一覧ページを経由して商品詳細ページにアクセスするという行動をとっていました。
ジャーニー分析
次に、先ほどのユーザーと、同じ導線を辿っているユーザーがどれくらいいるのかをジャーニー分析にて確認しました。
※ジャーニー分析
ジャーニー分析とは、内側から外側にユーザーが辿った導線を、表示しているチャートになります。Contentsquareでは、特徴的な導線を辿るユーザーの動きをわかりやすく可視化してくれるため、簡単にユーザーの動きを把握することができます。
以下が、デモ環境における実際のジャーニーチャートになります。ユーザーが辿った導線を内側から外側に向けて表示しています。

実際に確認すると、注文履歴詳細ページに訪問したユーザーのうち約9%(月間約15万セッション)にも及ぶユーザーが、一度お気に入りページに遷移し商品詳細ページに遷移していることがわかりました。

ここから、多くのユーザーは注文履歴詳細ページから、自分が購入した商品の詳細をすぐに確認したいのではないか、それができずに離脱につながってしまっているのではないかと仮説をたてました。
仮説と改善施策
前述の通り「ユーザーは注文履歴詳細ページから自分が購入した商品の詳細をすぐに確認したいのではないか」という仮説のもと行った施策として、画像をタップすると商品詳細ページに遷移する、「商品ページを見る」というボタンを追加するというUI/UXの改修を行いました。

施策結果:商品詳細ページへの遷移率が最大9.9%向上
結果として、改修前後で注文履歴詳細ページから商品詳細ページへの遷移率を最大9.9%向上させることに成功しました。

※参考
前提として、これまでの 今までの分析を通じて、一人当たりの商品詳細ページ閲覧回数と一人当たりの平均購入金額は比例することがわかっていました。
その後繰り返し商品詳細を閲覧するユーザーの割合も増加しました。
これまでの分析から、商品詳細ページへの遷移率・回遊率を向上させることで売上に向上することがわかります。実際に注文履歴詳細ページを閲覧後、商品詳細ページを閲覧し、購入完了まで至ったユーザーの割合も約8.6%向上しました。

最後に、該当導線を辿ったユーザーの注文金額を確認すると、改修前後で約59%増加しました。

このように、Contentsquareではユーザーの行動の要因、なぜそのような行動をとっているのか、なぜ離脱してしまうのかを瞬時に把握することができます。
そのため、今の分析ツールだと、なかなか把握できない、「ユーザーが本当に求めていることは何か」を確認し、より良いユーザー体験へと繋げていくことができます。
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最後に
このようなデータドリブンな試みは多くの企業で始まっているものの、ノウハウやナレッジ、リソースが無いなどの理由でなかなか進まないとの声も多くいただきます。DearOneでは、Contentsquareなどのマーケティングツールの提供と、多種多様なノウハウやナレッジをもとに、様々な企業様のビジネスのグロースをご支援しています。
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