• トップ
  • ナレッジ
  • 「レジのない店舗」実現のために!ローソンのDX推進【DXニュース】vol.9

「レジのない店舗」実現のために!ローソンのDX推進【DXニュース】vol.9

2021.12.02

今回取り上げるニュースは、ローソンが今、進めている“DXの全貌”です。それでは、はじめましょう!

外部パートナーと協力しながらDXを推進するローソンは、「買う場所」から「ピックアップする場所」へ

DX推進

三石所長(当時。以下、三石) 「DXニュース」第9回です! ニュースプレゼンターは、前回に引き続き、リテールテックを10年以上見続けてきたCEOの河野さんです!

河野恭久さん(以下、河野) よろしくお願いします!

三石 今回は、ローソンが今、進めている「DXの全貌」ですね!

河野 はい、ローソンは今、前回紹介したAmazon Goと同様に、会計処理を店内ではなく退店後に行う、「レジのない店舗」を実現しようとしています。すでに実証実験もやっているので、「無人ローソン」が出てくるだろう、という記事です。実用化されれば、レジ待ち時間が短縮されますね。

三石 最高ですね! あちこちで身軽に買い物できるようになる日が、今から楽しみです。

河野 ローソンと以前に紹介したアサヒの違いは、DXを外部パートナー(ローソンの子会社)と協力して進めたか、自社で進めたか、というところです。ローソンはこの「レジのない店舗」の実現のために、「実証実験の段階ですが、各社と協業で進めています」と記事にはありました。今回も僕の視点から注目ポイントをまとめてみたので、ご覧ください!

ローソンが今、進めている“DXの全貌”

河野 この記事はローソンのDXを推進しているオープン・イノベーションセンター センター長の長澤拓弥さんの講演内容を採録したものです。記事では、ローソンは「今後は店舗の価値を“商品を買う場所”から“商品をピックアップする場所”と新たに捉え、オフィスや工場、イベント会場、ホテルなど、利用者が限定される場所における付加価値サービスとしての活用も見込まれる」とあります。これはまさにDXそのものですよね。

三石 店舗の価値を変えることに取り組んでいるわけですね。

河野 そうです。「DXとデジタル化の違い」の記事でもお伝えした通り、この2つには目的の違いがありますが、ローソンはトランスフォーメーションから先に考えていったところ、推進できるテーマが多くあると気づいたようです。ただ、実用化して定着されるかはやってみないとわからないから、スモールスタートが大事と。

三石 これもグロースマーケティングに通じるところがありますね。僕たちが提唱しているグロースマーケティングでは、素早く繰り返し施策を打つことを推奨しています。最初実施するのは少しずつでも、施策を細やかにタイミングよく打っていくことが重要でしょう。

Growth Marketing3要素

河野 さらに、アサヒと同様に「DXはチーム戦だ」とおっしゃっています。次々に課題を解決していかなければならないなかで、メンバー1人ひとりの根本的な課題に正面から向き合い、組織の垣根を超えた信頼関係を築けるかどうかが成功確率を高めるポイントと。やはり組織ごとだとサイロ化してしまうので、DX専用チームをつくって、横断的に信頼関係を築く部署にするのが重要だと思われたそうです。

三石 なるほど。

河野 ここも非常にポイントです。これまでは外部パートナーに任せていた上流工程を自社の強みに変えていかなければならない。社員一人ひとりの意識改革、個人のスキルアップを後押しすることで、IT組織の機能シフトにチャレンジしていると。そして、アサヒ同様にここまでやって、人材育成まで手掛けているんです。

三石 人材育成まで。凄いですね。

河野 素晴らしいと思うのは、DXは「チャレンジ」で「失敗してなんぼ」だから、“多死”を前提としましょうと公言している点です。つまり、失敗を繰り返してイノベーションはやっとできるんだよ、と言っています。

三石 最高ですね。トップがそういう姿勢であることを公言していると、社員も安心して新しいことにチャレンジできますよね。

河野 一経営者として、素晴らしい取り組みだと思います。最後に「DX推進における実務上の要点」と「DX人財の育成」を掛け算で考えるという内容がまとめられていましたので、ご覧ください。

●DX推進における実務上の要点

①良い失敗を繰り返すことを前提にチャレンジする

②会社や組織の垣根を越えた信頼関係が大切

③社内や業界内ではなく、業界の外側に目を向ける

④一人ひとりが戦略理解を常にアップデートする

⑤社内他部署の仲間を増やす

⑥既存の業務やシステムの理解者を巻き込む

×

●DX人財の育成

✓会社のことを横断的に理解している

✓社内のキーマンから信頼されている

✓会社の置かれている状況を理解し、未来を予測してあるべき姿を見出すことができる

✓あるべき姿を実現するために、組織のあり方を見出すことができる

✓テクノロジーに明るく実現していくスキルがある

三石 これは、全大企業必読ですね。

DXは「王者の戦い」が通用しない世界。そのワケは?

河野 ローソンとアサヒのDXは、共通の学びがありますよね。DX専任の担当者を立てて、チームをつくり、人材を育成して、会社全体でDXに取り組んでいる。ただ、実際に推進するのは相当大変だと思います。

三石 「言うは易く行うは難し」という通り、実現が難しいですよね。僕はファーストペンギンという言葉が好きで、ローソンもアサヒも、DXの観点では日本の大企業のファーストペンギンでいっているんだろうなと感じます。

ファーストペンギン

(編集部注:「ファーストペンギン」とは、その名の通りペンギンの群れから未知数の危険が待っている海に飛び込む最初のペンギンのことを指します。つまり、誰も挑戦したことがなくリスクがどれだけあるかわからない分野にあえて挑戦する人や企業のことを指すのです!)

河野 僕もそう思います。現状のアサヒやローソンにピッタリの言葉ですね。

三石 ファーストペンギンは王者の戦い方と真逆なんですよね。王者の戦い方はおいしいとこ取りで、最初からそんなに無理する必要はなく、他社がうまくいったら後出しじゃんけんで取って勝てばいい。でも、DXは王者の戦い方ではよくないのではないかと個人的に思っていたんです。

河野 なるほど。どういう点がですか?

三石 DXは、とにかくやらないと経験やノウハウが積まれないからです。全大企業がアサヒやローソンに続き、今後どのようにDXへ取り組んでいくのか、注目したいところです。

≪三石所長(当時)`s Memo≫

DXは、実践しなければ経験やノウハウが積まれない。他企業のおいしいとこ取りを待つよりも、いかに実践するかがポイント

河野 まさにそうですね。補足すると、DXは今だけの流行りではなく、市場のジェネレーションが変わり、テクノロジーも進化していくので、継続してサービスやプロダクトをウォッチし続けて、改善し続ける仕組みを構築する必要があります。それがまさに僕らが提唱する「グロースマーケティング」なわけです。

三石 改善し続ける仕組みを構築するのは、グロースマーケティングの「素早く繰り返し施策を打つ」ことに通じますね。また、ウォッチし続けるためには「ブレない指標を決めておく」ことも大切です。

河野 そうそう。上辺だけを見て「今流行っているから」とDXに手を出しても、持続性がありません。一方、ローソンとアサヒは社内に完全に浸透させる動きをしているので、継続できているです。

三石 素晴らしい。僕が興味深かったのはやはり“多死”のところで、「新規事業開発は多産多死なので多死を認める」。本当にそうで、それに合わせて人事制度も調整しないといけませんよね。

河野 そうですね。加点方式にして。

三石 「新規事業やっておいて!」じゃなくて、チャレンジした時点で点数をあげないといけない。全社として、人事制度として、というのがローソンは凄いですね。

≪三石所長(当時)`s Memo≫

継続してDXへのチャレンジを続けるためには、それに合わせて「人事制度」自体も変革を起こす必要がある

河野 社長として耳が痛いです(笑)。うちはまだできていないので。

三石 これこそ「言うは易く行うは難し」ですね。

―――次回の【DXニュース】も、最新の気になったニュースを河野さんに解説していただきます。ぜひお楽しみに!

ナレッジランキング

Recommended