AARRR(アー)モデルとは?グロースハックに重要な概念を解説!

2025.01.23

このサイトをご覧になっているみなさんは何らかのプロダクトをお持ちで、そのプロダクトをグロースさせたいと思っている方が多いのではないでしょうか。

ECサイトをお持ちならより購買してもらうサイトにしたい、メディアサイトをお持ちなら記事をたくさん読んでもらいたいなど、プロダクトによって成長させたい課題は変わってくると思います。では、どうやってその課題を解決しますか?どうやってプロダクトをグロースさせますか?

本記事ではのプロダクトがグロースを目指す「AARRR」モデルについてご紹介します。

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AARRRモデルとは?

AARRRモデルとは、ビジネスの成長を促進するためのフレームワークで、以下の5つのステップから構成されています。それぞれのステップの頭文字を取り「AARRRモデル(アーモデル)」と呼ばれています。

ステップ意味
Acquisition(獲得)ユーザーを獲得するための戦略
Activation(活性化)ユーザーを商品やサービスに関与させる
Retention(継続)ユーザーを継続的に関与させる
Referral(紹介)ユーザーに商品やサービスを他人に勧めさせる
Revenue(収益)収益を生み出す

それぞれのステップはユーザーのライフサイクルを反映しており、一連の流れを管理・改善することでビジネスのパフォーマンスを最大化することを目指します。

AARRRモデルを具体的にイメージしていただくために、こちらのバケツに例えてご説明します。

AARRRモデル_バケツの例

バケツ(プロダクト)に穴が空いている状態でも、広告によって大量の水(ユーザー)を入れれば、一時的に水は溜まります。しかし、バケツに穴(顧客体験の問題)があると、少しずつ穴から水漏れ(解約)するため、水は徐々に減っていきます。

そこで、顧客体験を改善してバケツの穴を塞ぐと、水が溜まるようになります(活性化)。水は長期間何もしないで放置すると濁ってしまうため、鮮度を保ちながら蓄積し(継続)、循環させて新しい水を取り入れる(紹介)ことが、収益化につながっていきます。

AARRRのフェーズ

それでは、AARRRモデルのそれぞれのフェーズを詳しく見てみましょう。

AARRRモデル

1. Acquisition:ユーザー獲得

まずプロダクトをリリースした時に、潜在顧客にプロダクトを使ってもらう、これがグロースの最初のフェーズ、ユーザー獲得になります。

アプリをリリースしても誰もダウンロードをしてくれなったり、サイトを立ち上げても誰も見にきてくれなかったり、使ってくれるユーザーがいなければそもそもグロースなんてできません。なので、まずはユーザーを獲得することから始めます。

ここで重要なポイントは、次のステップにつながる質の高いユーザーを獲得することです。大々的な広告で多くのユーザーを獲得しても、ブランドの価値を感じてもらえないと、継続利用や収益化することが難しいためです。

主要KPI:新規訪問者数、ページビュー数、新規登録顧客数

2. Activation:ユーザー活性化

アプリをダウンロードしてくれても使ってもらえてなかったり、広告などで誘導まではしたけど、全然サイトを見てくれていなかったり。それだと良いプロダクトとは言えません。

次のフェーズはユーザーを活性化させること、すなわちプロダクトを使ってもらうことになります。そこで重要なのはユーザーがあなたのプロダクトに価値を感じていることです。

例えば、アプリの場合、ダウンロードし初回起動したユーザーが、アプリの魅力を理解し、積極的に利用を始める状態を目指します。

主要KPI:チュートリアル突破数、オンボーディング完了数、トライアル完了数

3. Retention:継続

プロダクトを使ってくれていても、1回使って終わりだとユーザー数も増えず、いくらユーザー獲得してもキリがないと思います。

次のフェーズ継続では、ユーザーに長く、何度もプロダクトを使ってもらうことを目指します。毎日使ってくれるユーザーが多ければ、自然にMAU(Monthly Active User)も増えますし、サイトの活性化にもつながります。

そのため、ユーザーに飽きられずにエンゲージメントを維持するための様々な工夫や、ユーザーのライフサイクルや趣味嗜好に沿った高度なパーソナライズが求められます。

主要KPI:継続利用ユーザー数、再訪問頻度

関連記事:AARRRモデルのリテンションの重要性

4. Referral:紹介

最後はReferral紹介です。収益化まで成功したら、もっと多くのユーザーに使ってもらいたいと思うはずです。その時に既存のユーザーに友達などを紹介してもらう、すなわちReferral 紹介を行いましょう。

SNSなどのシェアなどもここに含まれます。既存のユーザーからさらに潜在ユーザーを増やします。そしてその潜在ユーザーにより、最初のAcquisition ユーザー獲得に戻って、またAARRRを繰り返します。このIteration(イテレーション、繰り返し)こそがグロースハックの手法となっています。

主要KPI:紹介ユーザー数、SNS共有数

5. Revenue:収益化

ユーザーもたくさんいて、プロダクトも継続的に使ってくれている。そうなるとそのプロダクトはかなり良いものになっているのではないでしょうか。

そうすると次のフェーズではそのプロダクトで収益を得ることを考えると思います。すなわち収益化です。

ECなら扱っている商品の売上ですし、メディアサイトなら広告収益かもしれません、また音楽ストリーミングアプリのようにプロダクトの使用自体で収益をあげているものもあるでしょう。あなたのプロダクトに合った収益化を目指しましょう。

主要KPI:購入ユーザー数、購入金額

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AARRRモデルを活用するには?

AARRRモデルを自社で取り入れるためのポイントを解説します。

明確な目標設定とKPIの策定

AARRRモデルの各フェーズにおいて、具体的なゴールを設定しましょう。たとえば、「Acquisition(獲得)」フェーズでは、「1か月で新規訪問者を10,000人増やす」といった目標が考えられます。

そして、その達成度を測るための指標(KPI)も明確にする必要があります。クリック率(CTR)やコンバージョン率は、この段階で重要なデータです。数字で成果を追えるようにすることが、次の行動にスムーズにつながる鍵です。

ユーザー行動を分析する

最適な施策を行う前に、どこに課題があるのか、ユーザー行動を通じて分析する必要があります。AARRRモデルをよく見ると、全てユーザーの行動が軸になっていることが理解できます。

例えばAcquisition(ユーザー獲得)では、ユーザーがどこから来ているのか、Activation(ユーザー活性化)では、プロダクトの使用を開始してくれているのか、Retention(継続)では、どれくらいの頻度で使用してくれているのか、Revenue(収益化)では、ユーザーの行動によってどれくらい収益を上げることができているか、Referral(紹介)では、ユーザーの友人や家族に商品をおすすめしてくれているのか等、AARRRモデルのフェーズを一つずつ解決するためにはまず、ユーザーがあなたのプロダクトでどのような行動をとっているのかを事細かに把握することが重要なのです。

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関連記事:Amplitudeでユーザーのライフサイクルを分析しよう!

改善の優先順位を決めて施策を実施する

ユーザー行動分析によって、どのフェーズに最も大きな課題があるかを明確にできます。AARRRモデルの全段階を一度に改善するのは現実的ではありません。たとえば、以下のような優先順位を付けると効果的です:

  • 新規流入が十分あるが会員登録率が低い → Activationを重点的に改善
  • 登録者数は多いがリピート利用が少ない → Retentionの施策に注力

行動データがなければ、このような優先順位は感覚頼みになり、効果的なアプローチが難しくなります。

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AARRRモデルを使用して事業成長に成功した事例

ここからは、AARRRモデルを使用して事業を大きく成長させた企業をご紹介します。AARRRモデルは顧客基盤を拡大し、事業成長を目指すのに適したフレームワークです。新規顧客獲得から収益化までを顧客にとっても理想的な流れで行うことができ、Apple、Twitter、Dropbox、LinkedInなどの世界を代表する企業がAARRRモデルを用い、ビジネスを大きく成長させました。

Acquisition(ユーザー獲得):Yumi

Yumiはフランスで新鮮な野菜ジュースの宅配事業を行っている企業です。理想のターゲットは25〜35歳では「健康への興味関心は高いが、自分で作るのは面倒臭い」と思っている方、35〜45歳では「健康的なライフスタイルの必要性は感じているが、時間がない方」と年齢層によって異なります。

同社は顧客獲得のためにさまざまな手法を試しました。例えばインフルエンサーマーケティング、リファラルプログラム、オフラインでの販売、栄養士との連携、パートナーメールキャンペーンなどです。

インフルエンサーマーケティングでは、ニッチな分野で非常に影響力のあるブロガーと関係性を構築するのに成功し、ブログ内で紹介をしてもらうことで大きな関心が寄せられ、多くの顧客獲得に成功しました。

リファラルプログラムでは、新しい顧客を連れて来る度に7ユーロ(900円程度)の報酬がもらえるということで大きな話題となりました。

このように興味が集まると共に、オフラインでの販売を開始。オフライン店舗では外出時に飲みたくなったら購入をすることはもちろん、そこで気に入ってもらえればオンラインで1週間分購入するといった、リテンションの導線にもなっているのです。

また専門家と連携をすることで栄養学を熟知し、「製品の品質にこだわっている」といった権威性、地位を獲得することができました。製品の質がよくなければ簡単に他社に乗り換えも可能なため、新規ユーザー獲得とともに、高品質の製品を提供し顧客価値を上げることが大切です。

Activation(ユーザー活性化):Apple

Activationの段階において重要なことは「ユーザーの好みのコンテンツを提供すること」です。ユーザーひとりひとりに合ったコンテンツを提供することで、彼らの興味を引き、アクティブユーザーに育てることができます。

Apple Musicは登録初期段階においてユーザーに「好きな歌手」「嫌いな歌手」を尋ねることでユーザーの関心を集め、利用を促しています。さらにこれらの質問をすることでデータを収集し、アルゴリズムに利用することで後にユーザーに送るプッシュ通知の正確性を向上させることが可能です。

Retention(継続):Twitter

Twitterは通知機能を使用し、ユーザーが継続して利用するように促しています。TwitterなどのSNSではよく通知機能が用いられ「他者の行動を通知する」ことで、より多くのユーザーが再度利用するよう仕組まれています。

Retentionの段階ではアクティブユーザーがサービスに戻ってきて、再び利用する仕組みを作ることが重要です。

Referral(紹介):Dropbox

Dropboxは、AARRRモデルの事例によく使用されます。

同社はインターネット上でファイルを保存・共有できるプラットフォームを提供しており、登録するだけで2GBのオンラインストレージを無料で利用できます。製品の共有を容易にし、さらにユーザーが「共有したい」を思えるようなインセンティブを組み込んだことで、ユーザー数を爆発的に増加させることに成功しました。

具体的には、Dropboxに友人を招待、招待された友人が登録し、ソフトウェアをダウンロードする度に、招待者と招待された側の友人の双方に500MBのストレージをプレゼントするという仕組みです。この施策のおかげで、15ヶ月間の間に登録者数が60%以上も伸びたことが明らかになっています。

口コミで製品認知を広げる「口コミマーケティング」は、圧倒的なコストパフォーマンスを誇ります。友人がおすすめする商品は他人がおすすめする商品よりもいいものだと判断するため、どれだけ「友人に紹介したい」と思わせることができるかが重要です。

Revenue(収益化):LinkedIn

LinkedInはユーザのニーズを満たすためにそれぞれに対応するプランを提供することで収益化をしています。

無料でも使用できますが、LinkedIn Premium(有料版)では無料版では提供されていないサービスを提供しています。

多くのアプリ、例えばゲームであれば無料で利用できるものがほとんどです。しかし、進むにつれて難易度も上がっていき、課金しなければこれ以上進めない、という絶妙のタイミングで課金されるような仕組みを組んでいます。

また、ゲーム内で課金をしなければアバターをオリジナルにすることができないなど、ゲームに対して感情を持たせ、特別感を生み出すことで収益化を行うなども多く見られます。

お客様の行動を理解し、データに基づいて改善を繰り返すことでグロースに大きく近づくことができるでしょう。

タクソノミー設計で指標を設計できれば、Amplitudeを使用して指標を計測できます。AmplitudeはアプリやWebなどのオンラインデータと、店舗POSなどのオフラインデータ全てを結合して、ユーザー行動分析を簡単に行うことができる分析ツールです。AARRRモデルを元にタクソノミー設計を用いて指標を設計しAmplitudeを使って計測し、そこから分析を行うことでプロダクトを改善させてグロースを目指すのです。

データをゴミにするか宝にするかはタクソノミー設計次第|グロースマーケティング公式|Growth Marketing

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ビジネスグロースにはデータが大切です。しかし貯めるだけではなんの役にも立たず、使うことで初めて価値を持ちます。そこでこの記事ではデータを有効活用するための方法「タクソノミー設計」について紹介します。溜まったゴミを価値ある宝の山へと変えるため、ぜひ参考にしてみて下さい。

まとめ:AARRRモデルを取り入れよう

AARRRモデルは、ユーザーの行動を5つの段階(獲得, 活性化, 定着, 収益, 紹介)に分けて分析し、ビジネス成長を加速させるフレームワークです。それぞれのフェーズで課題を特定し、データに基づく改善を行うことで、効率的に成果を上げることが可能です。

課題の特定や高度な施策を行うための、分析ツールにはAmplitudeがおすすめです。
「定着したユーザーはアプリやサイト内でどのような行動を取っているか」などの、ユーザーの行動特徴を数クリックで見ることができます。

当社では、Amplitudeの導入・運用の支援を行っています。豊富な実績を持つ分析コンサルタントが、課題に合わせてご支援いたします。ますは、お気軽にお問い合わせください。

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