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今注目されるグロースマーケティングとは?重要な3つの要素や事例を解説

2024.02.27

今注目されるグロースマーケティングとは?

日本でも少しずつ、普及しつつあるグロースマーケティング。データによる分析をもとにプロダクトを改善しながら、顧客に良い体験価値を提供し続けることで、プロダクトの成長を目指すマーケティング手法です。

本記事では、グロースマーケティングを行う上で重要な3つの要素や、成功した企業の事例をご紹介します。

グロースマーケティング(Growth Marketing)とは

グロースマーケティングとは、企業・事業・プロダクト・サービスの持続的成長にフォーカスしたマーケティング活動のことを言います。 

2010年にグロースハッカー(Growth Hacker)、2011年にリーンスタートアップ(Lean Startup)という言葉が登場しブームになりました。この2つはあくまで手法であり、プロダクト・サービスの成長を効率よく行うためのテクニックです。

グロースハック

まずは、グロースマーケティングの手法でもある「グロースハック」についてご説明します。

グロースハックとは、プロダクト自体に成長の仕組みを埋め込むことを言います。

製品自体に成長の仕組みを組み込む

2010年にアメリカのQualaroo社CEOショーン・エリス氏によって提唱された「グロースハッカー」という職種が元になって生まれた言葉だそうです。英語ではGrowth Hackと表記され、Growthは成長、Hackは「テクニック・手法」を意味し、プロダクトの持続的成長を行うための手段・戦術がプロダクト自体に埋め込まれている、ということです。

グロースハックでは顧客のデータ分析がとても重要な鍵となっています。

これまでの顧客分析は、年齢、性別、職業など属性に基づいての分析が一般的でした。しかし、これからは顧客の行動に基づいた分析が非常に大切です。実は行動は無意識的に行われていることがほとんどで、そこにビジネス拡大のヒントが隠されています。

無意識的に行われた行動には、顧客が心の底で、顧客自身も気づいていないニーズ・本音が隠されており、行動分析を行うことで仮説を立て、サービス改善に活かすことができるようになります。

行動軸でユーザーを把握・理解することが必要不可欠

リーンスタートアップ

グロースハックを実践するために必要な考え方の一つに、リーンスタートアップというものがあります。

リーンスタートアップとは、2008年にアメリカの企業家エリック・リース氏によって唱えられた、ビジネスを創出するための新しいモデルのことです。コストをかけずに必要最低限のプロダクト・サービスを開発し提供する、提供後は顧客の反応を見ながら常に仮説を立て、検証し、検証結果を分析し、意思決定を行うというサイクルを回し続け、常に改善を試みることで、顧客にとって必要なプロダクトを提供しようという考え方です。

グロースマーケティングはこの手法をベースに経営・組織・環境整備・マーケティング全体に対しグロース(Growth)軸に取り組むことを意味します。

グロースマーケティングは顧客を理解し、ファンにしていくことが重要

時代が大きく変動し、今まで行われてきた「勘」と「経験」に頼ったマーケティングでは充分でなくなってきました。

まず、スマートフォンの普及により情報接触が多様化し多くの人がスマホアプリを毎日の様に活用、ユーザー行動は複雑化し、それに伴いマーケター自身から見えにくいユーザー行動が生まれやすくなってきました。

クロスチャネルでの行動

クロスチャネルでの行動

また今まで取得が難しかったようなデータも、IoTやAIのような技術の革新とともに取得が可能となっております。もちろんオンライン情報だけではなく、顧客の購買データはもちろん、スマートフォンのGPS・Bluetoothや店舗カメラを利用した位置補足により、オフラインの情報も可視化できる時代へ突入しています。

例えば、高輪ゲートウェイにできた無人コンビニ。天井に設置したカメラと店内の赤外線、商品棚に設置した重量計のデータを組み合わせ「誰が何を買ったのか」をAI(人工知能)が判断します。そして出口ではタッチパネルに表示された購入内容を確認し、交通系電子マネーを端末にかざすと決済が完了してゲートが開きます。

高輪ゲートウェイ駅に「無人AI決済店舗」。常設店舗でウォークスルーを体験|モバイルマーケティング研究所|ModuleApps 2.0

高輪ゲートウェイ駅に「無人AI決済店舗」。常設店舗でウォークスルーを体験|モバイルマーケティング研究所|ModuleApps 2.0

2020年3月23日、JR山手線・高輪ゲートウェイ駅2階改札内に、無人AI決済店舗「TOUCH TO GO(タッチ・トゥ・ゴー)」がオープンする。TOUCH TO GOは、ウォークスルー型の完全キャッシュレス店舗で、約50台のカメラやセンサ

このようにオフラインの情報も技術の発達により取得が可能となっております。

オンライン行動はもちろん、オフライン行動も可視化される時代へ

オンライン行動はもちろん、オフライン行動も可視化される時代へ

これらのような時代の変化を受けて企業・事業・プロダクト・サービスの持続的成長を考慮すると、マーケティングも一昔前のように大きく広告を打って新規ユーザーを増やすマスマーケティングではなく、顧客を理解し、ファンにしていくことが重要となってきております。

マーケティングはトップファネルよりボトムファネルに

グロースマーケティングではボトムファネルが重要

従来、新規顧客を獲得するトップファネルに注力していましたが、これからは既存顧客のLTV(ライフタイムバリュー)向上のためのボトムファネルが重要となります。

今、なぜグロースマーケティングが求められているのかについては、こちらの記事で深く解説しています。

グロースマーケティングは「行動理解」「高速に施策を繰り返す」「的確な指標設計」で実践する

グロースマーケティングは企業・事業・プロダクト・サービスの持続的成長にフォーカスしたマーケティング活動の総称で、具体的には下記3つ事柄を軸としています。

・行動理解
・高速に施策を繰り返す
・的確な目標・指標設計

グロースマーケティングの3要素

行動理解は、顧客の行動を理解することを意味します。顧客の行動には顧客が自社プロダクトを知ることから、購入し、利用する、さらには利用を辞めるまでの行動全てを含みます。顧客の行動には顧客さえも気づいていない、本音が隠されているので、理解することで、ニーズを把握し、結果として継続した事業にも繋がるのです。

高速に施策を繰り返すことで、常に顧客のニーズを掴み続け、離さないために大切です。現代では、ニーズの多様化、情報化によってプロダクト離れが容易になりました。そのため、仮説を立て、高速に施策を実施し、実施した結果を基に、さらに仮説を立てて施策を打つことが重要となるのです。

的確な目標・指標設計では、「顧客体験」を踏まえた指標設計が大切です。従来のKGI・KPI設定では「売上」「販売数」など企業側の視点でしか設定されていない場合がほとんどでした。しかし、SaaSなどのサブスクリプション型サービスが普及した現代においては、他社への乗り換えが容易になったため、いかに顧客の視点に立ち指標を設計できるかが重要となるのです。

また、グロースマーケティングを実践する上で非常に重要な役割をになっているのが、データです。グロースマーケティングはデータに基づいて、仮説を立て、実践し、改善を試みます。データは貯めているものの、有効的に行かせていないという企業も少なくありません。

まずはこれまで貯めてきたデータを分析し、顧客を行動ベースで理解することから始めてみましょう。

データは持っているが活かせていない

自社の顧客を行動起点で理解することがスタート

グロースマーケティングについて詳しくは、こちらの書籍でご確認いただけます。

グロースマーケティング活用事例

Dropbox

Dropboxは、友人を招待すると無料容量アップの施策を用いて、新規登録数を60%増加させました。

Dropboxとは、ファイルの管理や共有が簡単にできるサービスです。無料のプランだと容量が2GBまでで、有料プランにすると100GBまで利用可能になるという内容でした。無料プランから有料プランにアップグレードするのは顧客の心理的ハードルがあると考え、友人を招待すると0.5GB追加になる施策を打ちました。

この施策により活発に招待が行われ新規登録者数を60%増加しました。友人を招待することで顧客がサービス内で得する仕組みは、グロースハックの王道であると言えます。この仕組みを作ったのは『Growth Hacker』という造語を生みだしたショーン・エリス(Sean Ellis)氏であります。

メルカリ

メルカリは様々なグロースハックを行っておりますが、ここでは「顧客の声を聞かずに顧客を理解した事例」を取り上げたいと思います。

メルカリに対して顧客から、Sold Outした商品を表示しないでくださいというリクエストがあり、社内でも表示しなくていいのではないかという声がありました。実際に非表示にするテストを行うと購入側のアクティビティには変化がほとんどなかったが、初出品を行う顧客の割合が下がってしまいました。

これは、売り切れた商品を見ることで、売り切れているものの類似商品を出品する気にさせる効果があったのではないかと推察されます。

このように顧客の声だけに耳を傾けず、顧客の本質を理解することで、サービスが自走していくことを妨げない事もグロースハックであると言えます。

CGO(Chief Growth Officer)の活躍

グロースマーケティングを実践するために、様々な企業にてCGO(Chief Growth Officer)が設立されております。

コカ・コーラ

2017年に従来のCMO(Chief Marketing Officer)の代わりにCGO(Chief Growth Officer)を設立*1 出典元:コカ・コーラ新人事に困惑の声 CMO職廃止し「最高成長責任者」新設。世界売上が480億ドル(2012年)から443億ドル(2016年)に減少しており、それがCGO設立の部分的な理由であったことが推測される。

2020年1月にCGOが廃止され、CMOが再設立。しかし、以前のCMOのようにマーケティングを専門とした役割でなく、オペレーションの役割も担うことになった。

資生堂

2019年1月資生堂アメリカズ社長CEOが新設するCGOに就任*2出典元:資生堂、米州地域本社社長CEOのMarc ReyをChief Growth Officerに任命。資生堂グループCEOの直属となり、グローバルプレステージメイクアップブランド事業およびメイクアップとデジタルのセンター・オブ・エクセレンスを管轄。さらに新設されるTechnology Acceleration HubとグローバルM&Aチームを統括。

DearOneの支援

本グロースマーケティングメディアを運営する株式会社DearOneは、グロースマーケティング・グロースハックの支援をし、カスタマーサクセスとコンサルティングを実施しております。当社のサービス内容について詳しく知りたい方は、こちらより資料をダウンロードいただけます。

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