ECサイトをグロースさせるための指標|Growth Summit 2023

2023.12.11

はじめに

DearOne 安田|
こんにちは。本セッションは、「ECサイトをグロースさせるための指標」というテーマでお送りします。早速登壇者の方に自己紹介していただきます。石川さん、よろしくお願いします。

DINOS CORPORATION 石川氏|
DINOS CORPORATION(ディノスコーポレーション)の石川です。当社は、カタログ通販やテレビ通販で50年以上の歴史を持つ会社です。私は、その中でCECO(Chief e-Commerce Officer)として、EC関係、いわば「通販のDX化」を担当しています。

DINOS CORPORATION以外にも幾つかの事業会社でECに関連する業務を担当、また、自身でEC事業の支援会社を経営するなど、複数の観点からEC領域に関わっています。本日はよろしくお願いします。

DearOne 安田|
石川さん、よろしくお願いします。石川さんは、かなり幅広い立場でEC領域にかかわっていらっしゃいますので、今日のお話しは非常に楽しみにしています。 

続いて私の自己紹介もさせていただきます。株式会社DearOneでマーケティングのゼネラルマネージャーをしている安田と申します。DearOne自体のマーケティングやインサイドセールスを統括している立場で、石川さんに色々と質問していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

ECビジネスにおける指標の重要性

DearOne 安田|
早速ですが、本セッションのテーマ、ECビジネスにおける指標の重要性ということを石川さんをお聞きできればと思います。

DINOS CORPORATION 石川氏|
そうですね。まずECビジネスに限らずWebビジネス全般にいえる話ですが、Webビジネスの大きな特徴として、CV(コンバージョン)手前のデータをすべて可視化できるという点があります。

店舗ビジネスでもある程度はデータを取れるかもしれませんが、たとえば、「来店した方がどの棚の前で立ち止まったか」まで取れるかといえば、難しいでしょう。しかし、ECサイトであれば、上記のような「閲覧したが購買しなかったページ」のデータまで含めて、あらゆる行動履歴が計測可能です。

従って、「データをどう計測・活用して成長につなげていくか」はWebビジネスをやっていくうえで大前提になる命題だと思います。

DearOne 安田|
仰る通りですね。ありがとうございます。それではECビジネスで実際にどんな指標を見ていくべきなのかというテーマに入っていきたいと思います。石川さん、よろしくお願いします。

ECビジネスにおける指標の重要性

DINOS CORPORATION 石川氏|
まずは「売上」というゴールにつながる指標が何かということですね。いくつか切り口があると思います。大きくは、集客施策における指標、既存顧客を中心としたCRMにおける指標があります。

集客に関する指標としては、CPO(Cost Per Order:新規顧客の獲得単価)やROAS(Return On Advertising Spend:広告の費用対効果)、新規CPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得単価)などの指標が一般的には使われるかと思います。

また、CRM側の指標としては、リピート率や購入回数、また、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)などですね。

こうした指標の種類は専門メディアや書籍などを見れば掲載されています。

ただ、一度考えてみたいのは、「そもそもECの成長に直結する指標は何か?」ということです。これを見誤って、追いかけるべき指標の設定をミスすると、追いかけていたKPIを達成したのに、売上や利益に反映されていないという事が起こりがちです。

指標の設定は非常に重要で、私もこれまでの経験で、指標の設定を誤るとさまざまな無駄が発生すると痛感してきました。従って、最初にしっかりと指標を設定して、「設定した指標を達成すれば、その先にある目標の売上や利益もきちんと達成される」という形をつくることが大切だと思っています。

DearOne 安田|
ありがとうございます。自分たちがしていることが合っているかを検証していくものが指標ということですね。指標の設定を誤るというのは、具体的にはどんなイメージでしょうか?

DINOS CORPORATION 石川氏|
たとえば、「いま1人あたりの購入回数が現在1.5回なので、それを2.2回にしましょう」と考えるとします。この時、「2.2回を達成したら目標設定している売上を本当に達成できるのか?」ということです。

仮に購入回数が150%に増えたとしても、その分購入単価が減少していると、掛け算したら売上総額は変わらなくなってしまいます。そうすると、たとえば複数の指標を同時に追いかける必要があるかもしれません。

また、購入回数や購入単価という粒度の指標で追いかけることが間違っている場合もあるかも知れません。

上記はひとつの事例ですが、ECビジネスをマネジメントする上で、こういった話がいろいろなところに点在しているイメージです。

DearOne 安田|
なるほど。ありがとうございます。「担当者一人ひとりは自分の目標を達成しているのに、なぜか会社全体の目標数字は達成できていない」といった類の話ですね。

なお、これまでは集客施策の指標を見ている企業が多かったですが、最近はCRMに関する指標を見ている企業やマーケターの方も多くなっている印象です。見る指標のバランスについて、石川さんはどう思われますか?

DINOS CORPORATION 石川氏|
そうですね。個人的には集客施策の指標よりも、CRMの指標の方が経営へのインパクトは大きいと思っています。

DearOne 安田|
先ほどおっしゃっていたような「成長に直結する」「売上に直結する」といった意味でCRM側の指標の方が重要度が高いということでしょうか?

DINOS CORPORATION 石川氏|
そうです。もちろんどれぐらいの時間軸で考えるかにはよります。

たとえば、新期顧客に対して広告を一気に投下した時の効果を考えるとします。この時、単月で売上は増えるかも知れませんが、利益ベースで費用を回収できるどうかの結果が出るのはもう少し長い時間軸になることが多いでしょう。

もちろんF1(1回目購入)のハードルは高いわけですが、利益回収で考えると大事なのはF2(2回目の購入)以降です。従って、F2をどう促せるかということが利益には大きく影響してきます。

このように、たとえば新規販促で考えると、新規CPAと同時に、F2への転換率を見ていくことがECビジネスとしては必須です。

DearOne 安田|
ありがとうございます。仰られた通り、ひとつの指標ということではなく、組み合わせた上で「それが本当に成長に直結するか?」という視点で指標を見ていく、重要性を考えていくという形ですね。

上記を踏まえたうえで、実際にEC事業者が見るべき指標ということについて、もう少し具体的に説明をお願いできるでしょうか。

EC事業者が見るべき指標とは?

EC事業者が見るべき指標:ユニットエコノミクス

DINOS CORPORATION 石川氏|
「EC事業者が見るべき指標は何か?」に対して一言で答えるとすると、私の回答はユニットエコノミクスです。ユニットエコノミクスは「お客さま一人当たりの採算性」であり、「一人の顧客がどれぐらいの利益をもたらしてくださるのか?」を示す指標です。

ユニットエコノミクスの具体的な計算式ですが、スライドの通り、LTV÷CACで一般的に定義されていることが多いかと思います。

LTVという指標も定義は意外と曖昧な部分がありますが、ECビジネスという前提で考えると、「1年間に顧客一人がもたらしてくれる粗利」で定義することがお勧めです。

粗利ではなく売上で見る、1年間ではなく2年間や3年間で見るなど、事業特性に応じて変化するケースはあります。

ただし、企業の事業年度が1年間であることを考えると、1年間で定義しておくことが妥当だと思っています。

また、売上か粗利かに関しては、顧客に対するプロモーションや集客コストをどこまでかけてよいかという経済性の指標として見るうえでは、やはり得られる利益を考慮しておく必要があると思います。私の場合は、利益を考慮して、粗利で設定することが大半です。

そして、CAC(Customer Acquisition Cost:顧客獲得単価)です。CACは「顧客獲得するのに要した費用」を意味しますが、定義は意外と曖昧です。私の場合、Gross ROASで見ることが多いです。

Gross ROAS、つまり「売上全体」を分子にして、「要した集客費用すべて」を分母にして割ったものです。これは分子・分母を逆にすれば、費用/売上であり、P/L(損益計算)に直結する数値になります。経営側からすると、P/L(損益計算)と紐づけて費用を捉えたいという意向がありますが、一方で、マーケティングの実務をやっている現場に、「P/L(損益計算)に紐づけて捉えて」と言っても少し難しい側面があります。

そこで、広告運用をしている人であれば大体理解しているROASに近い概念で理解できるように、Gross ROASという形でCACを定義しています。

DearOne 安田|
ありがとうございます。

EC事業者が見るべき指標:ユニットエコノミクス2

DINOS CORPORATION 石川氏|
ユニットエコノミクスはスライドのように中身はLTVとCACと2つです。

ただ、LTVという指標が少し扱いづらく、上述の定義だとまだ抽象度が高いと思っています。「LTV(1年間の顧客一人当たり粗利)を伸ばしてください」といった時に打てる手が多すぎる形です。

打てる手が多すぎると、売上との因果関係が明確ではないKPIと紐づけてしまうこともできてしまいます。

たとえば、ロイヤリティという概念です。確かに、ロイヤリティが上がれば、LTVは伸びると思います。しかし、「そもそもロイヤリティをどう定義してどう測りますか?」といった話になったり「やはりロイヤリティーはLTVで測るものですね」という話が出てきたりして、追うべき焦点がしっかりと決まらない状態になってしまいます。

こうした部分をきちんと議論して、事業の売上/利益につなげるにはどうすればいいかという部分は実務に入る上では必要になるでしょう。

DearOne 安田|
なるほど、ありがとうございます。少しお聞きしたいのですが、ユニットエコノミクスということで、全体の売上や費用などではなく、顧客一人当たりという単位でみることはなぜ重要なのでしょうか?

DINOS CORPORATION 石川氏|
後でもご説明しますが、ECビジネスの指標を考えるうえで、売上全体から個別の指標にどうやって分解するかというテーマはすごく大事になります。

たとえば「年間100億の売上を作って欲しい」と投げられても、壮大過ぎて何をすればいいかという施策に落ちていきません。

それを、「100億の売上を目指すのであれば、何人の人に集まってもらう必要があるか」、また「売る商材から考えると単価はどれぐらいになるか」等、ひとつずつ分解していくことが指標設定のセオリーだと思います。

その点、ユニットエコノミクスという概念自体が、期間を1年間で区切り、顧客一人という単位に区切り、かつ、粗利を見ていく形なので、売上全体というゴールからするとかなり細かく分解した数字になっています。

細かく分解されていることで、「何をすべきか?」という施策が比較的思い浮かべやすい、いわば「解像度が高い」状態になっているわけです。

たとえば、自分が上司から指示されることを想像してみてください。「売上100億円作って欲しい」と言われるよりも、「顧客一人あたりから得られる粗利を現状から20%引き上げて欲しい」と言われた方が、やるべきことが何かを思考しやすくなります。

指標を細かく分解することは、このように施策を思い浮かべやすくする効果があります。

DearOne 安田|
ありがとうございます。確かに「1年間の顧客一人当たり」という単位に分解することで、改善の施策が思考しやすくなります。

石川さんのご経験で、ユニットエコノミクスはこの程度の数値を目指そうという目安はありますか?

DINOS CORPORATION 石川氏|
一般的にはユニットエコノミクスが2以上という数値になれば、利益回収がかなり容易になっている状態です。2以上であれば、外部から資金を調達して、どんどん広告宣伝費に投下したほうがいいでしょう。

ユニットエコノミクスが2以上ということは、少なくとも1年以内には利益回収ができる状態です。

但し、いろいろなECビジネスを見てきていますが、2以上にするには扱っている商品の粗利率がかなり高い、つまり原価率をかなり抑えている商品でないと難しいと感じます。

一般的には1以上であれば、少なくとも利益が出ている状態ですので、まずは「1を超えているか」がひとつの目安だと思います

DearOne 安田|
ありがとうございます。ユニットエコノミクスの数値が高い状態であれば、広告費を投入すればするLTVがどんどん上がっていくといった状態になるわけでしょうか?

DINOS CORPORATION 石川氏|
LTVが上がるというよりは、利益の回収ができるかできないかという視点ですね。

ユニットエコノミクスが1を割っていれば、「設定した期間の中では利益回収が出来ていない」という状態です。一方で、1を超えていれば、1年間で利益回収できる状態ですので、広告等にコスト投下すればするだけ利益の絶対額が増える状態です。

DearOne 安田|
よく分かりました。ありがとうございます。先ほどお話の中で、「ユニットエコノミクスを高めやすい商材」について言及されていましたが、どんな商材だとユニットエコノミクスを高めやすいでしょうか?

DINOS CORPORATION 石川氏|
ECビジネスの分野でダイレクトマーケティングと呼ばれる業態ですが、商品数が多くない、いわゆる単品通販で、定期購入が前提になるような商材はユニットエコノミクスを高めやすいパターンですね。

ユニットエコノミクスの分子である顧客のLTVを高めようとすると、F1(初回購入)で終わらないことが大切になります。しかし、F2(2回目購入)以降を実現しようとすると、そのためのコストが生じてきて、意外と大きな費用になってきます。それを考えると、じつは最初から定期購入していただくことが一番コストがかかりません。

このようにダイレクトマーケティングで単品商品を扱って、はじめから定期購入していただく形は、非常にユニットエコノミクスを計算しやすいです。

DearOne 安田|
ありがとうございます。1回目に購入してもらうためのマーケティングコストを大量に投下しても、最初から定期購入であればそれ以降のコストが発生しないので、ユニットエコノミクスを高めやすいということですね。

DINOS CORPORATION 石川氏|
はい。実際には、ダイレクトマーケティングの場合、事業のP/Lを設計する段階からユニットエコノミクスを踏まえて考えます。ユニットエコノミクスから逆算して原価率や限界CPAを割り出す形ですね。従って、ダイレクトマーケティングとユニットエコノミクスはセットになるものです。

DearOne 安田|
単品商材に近い形の通販だと、商材のP/Lが、ほぼ会社のP/Lになってくるので、逆に、商品の利益設定まで踏み込みやすいわけですね。

DINOS CORPORATION 石川氏|
その通りです。

DearOne 安田|
ありがとうございます。ここまでEC事業者がとくに見るべき指標は、まずユニットエコノミクスだという内容でお話しいただきました。

ユニットエコノミクスという指標と並んで、石川さんがECビジネスに取り組む際に重視されている「モデル化」という考え方があるとお聞きしています。モデル化の概念についても解説をお願いできるでしょうか。

EC事業のグロースに大切な「モデル化」

売上の利益の解像度を高めるモデル化

DINOS CORPORATION 石川氏|
はい。先ほどLTVという概念も意外と定義が曖昧で、人によって解釈が変わってしまうこともあるとお伝えしました。従って、もう少し構造的に捉えられないと、KPIの適切な設定ができないと思っています。担当者に「LTVを高めて欲しい」という指示しても、指標の定義も曖昧で、打てる施策も無数にある。つまり、解像度が低い状態だということです。

従って、KPIの因数分解をする必要があります。この因数分解のことをモデル化、構造化と呼んでいます。

売上や利益などの目標を達成しようとする上で、ゴールとなる値がどういうもので、自分たちの日常業務からどれぐらいの距離感なのかという解像度を高める作業、これがモデル化、構造化です。

たとえば、よく見るKPIの因数分解が、売上をセッションとCVR(Conversion Rate:コンバージョン率)、そして注文単価に分解するというもので、これもひとつのモデル化です。

因数分解されていると、「売上100億円が目標です」と言われたとき、たとえば、「現状のCVRは0.5%だ」となった時点で、「セッションを通常の2倍稼ぐ必要がある」、もしくは「セッションを倍にするのではなく、CVRが高くなる属性に絞り込んで集客できないか」など、より具体的な施策を考えることができます

DearOne 安田|
上記の因数分解はよく見る気がします。

DINOS CORPORATION 石川氏|
そうですね。ただ、現実的にセッション、CVR、注文単価という3つの指標だけで成り立つかというと、ベテランのマーケターであれば何とかなるかもしれませんが、一般的には指標の粒度が粗すぎて施策につなげることが難しいと思います。

例えば、「注文単価を10%高めて欲しい」と言われたとき、「商品を10%上げる」こともひとつです。ただ、そうするとCVRが恐らく下がります。だとすると、「セット率をあげるために、ECのカート周りでセット商材のレコメンドを増やそう」など、いろいろいろな手が考えられます。

このように伝統的な因数分解だけだと、事業運営上はやりづらいと感じます。

売上の利益の解像度を高めるモデル化2

DINOS CORPORATION 石川氏|
ECを確実に伸ばしていこうとすると、「これをやったら売上を伸ばせるよね」と自信を持てる状態、施策を見える化する必要があります。私たちはこれを「モデル化」「構造化」と呼んでいます。

DearOne 安田|
指標を作る段階で、施策まできちんと紐づくように分解してあげることが大切であり、その手法としてモデル化・構造化だということですね。

DINOS CORPORATION 石川氏|
仰る通りです。数字をどれだけ細かく見ていっても、見ているだけでは売上や利益は増えません。数字を踏まえて、何らかの仮説を導き出して、実際に施策を試して、結果を見て、次の仮説や施策を回していくというサイクルが必要です。

従って、闇雲に指標を決めて、そこから仮説をひねり出すのではなく、「こういう施策の仮説を立てたいから、この指標を確認していく」と逆算して考えたほうが効率よいです。

ECビジネスを意思をもって伸ばすうえで、「施策を回すために指標がある」という考え方が重要なことだと思っています。

DearOne 安田|
ありがとうございます。施策の仮説やイメージが先行して存在したうえで、「この仮説や施策であれば、この指標を見ていこう」という逆算ですね。


DINOS CORPORATION 石川氏|
ECビジネスで売上や利益を考えるうえで、実施できる施策は無限には存在しません。マーケティングのセオリーや時々で流行っている施策などは無数にありますが、無限ではないわけです。

それを踏まえて、「仮説として、この施策が効果があると考えている。施策の妥当性をしっかり検証するには、この指標を見ておく必要がある」といった順番で考えています。

DearOne 安田|
ありがとうございます。そうすると最初の施策は、指標に先行して、感覚に近いところから「このあたりかな」というものが出てきて、「この施策の妥当性を見るにはこの指標をチェックしておく必要がある」という論理と感覚の融合みたいな部分もありますか。

DINOS CORPORATION 石川氏|
やはりECビジネスの分野等に応じてセオリーとして決まっている施策はあります。そこに、Instagramが出てくる、Tiktokが出てくるといった形で新しいメディアや施策の選択肢がどんどん増えていきます。この時、新しい選択肢というのは最初はある程度感覚的に試してみるしかなかったりします。

ただし、それ以外のものはある程度王道の組み合わせが存在していまです。たとえば、ECビジネスでリスティング広告一切打たないというのは無駄が多いと思いますし、実際にほぼ必須施策として活用する施策になります。

これに近い形で「この商材であれば、このビジネスモデルであれば、こういうマーケティングの構造が王道」というものはある程度決まっています。

DearOne 安田|
ありがとうございます。石川さんの場合、過去のご経験から上記のような勘所をつかめるという部分もありそうですね。

DINOS CORPORATION 石川氏|
そうですね。失敗もたくさん経験している分、そういった部分はあるかも知れません。

DearOne 安田|
ありがとうございます。ここからモデル化について、具体的な指標や活用事例のご紹介をお願いできればと思います。

EC事業で「RFM分析」を活用するポイント

DearOne 安田|
まずRFM分析ですね。RFM分析は、マーケティングのなかでも非常に一般的な分析手法です。石川さんはRFM分析を活用するためのセオリーをお持ちだとお聞きしていますので、ぜひご紹介いただければ思います。

DINOS CORPORATION 石川氏|
RFM分析は、大学などのマーケティング科目の教科書などにも必ず載っているような話だと思います。ただ、これまでECビジネスの支援に携わってきた経験を踏まえると、実務でRFM分析使いこなせているマーケターは意外に少ないと思っています。

ECビジネスをご支援してきた中で、「RFM分析をしたことが一度もない」というケースは少ないです。「RFMの分析データありますよ」ということで見せていただくのですが、実際のデータを見ると「こういう見方をするともっと活用できるのに・・・」ということが圧倒的に多いので、私が考えるRFM指標の活用方法をご紹介できればと思います。

RFM分析

DINOS CORPORATION 石川氏|
まず、RFM分析というのは名前の通り、

  • Recency(最終購入日)
  • Frequency(購入頻度)
  • Monetary(購入金額)

という3つの軸があります。

3軸ありますので、分析結果を表現しようとすると、スライドのような3次元の分布図になってしまって平面には表せません。人間の感覚からすると、3次元の分布図は直感的にイメージしにくいでしょう。つまり、RFM分析を3つの軸でそのままで理解しようと思った時点で、実務的な活用ハードルが高くなってしまうわけです。

もちろん教科書に定番としてRFM分析は紹介されていますし、考え方は正しいと思います。ただ、ECビジネスにおけるマーケターの実務として、そのままでは施策を考えにくい、解像度を上げにくいというということです。

DearOne 安田|
確かにそうですね。3次元のグラフだとイメージがしにくいですね。

DINOS CORPORATION 石川氏|
そこで、よく提案するのは「2軸にして平面で表しましょう」ということです。次のスライドでは、Frequency(購入頻度)とRecency(最終購入日)を残して、Monetary(購入金額)を省いています。こうしただけでもかなり理解しやすいと思います。

RFM分析の2次元化

DINOS CORPORATION 石川氏|
Frequency(購入頻度)は、ECビジネスにおいては「一定期間での購入回数」で定義することが多く、とても重要な指標です。また、Recency(最終購入日)は、最終購入日からどれだけ経過したか、つまり「いつから購入していないか?」という指標です。

上のスライドでは、Frequency(購入頻度)を5回未満、5回以上という5回区切りで分類しています。また、Recency(最終購入日)を1週間、2週間、1カ月という期間で区切っています。

そして、Frequency(購入頻度)やRecency(最終購入日)をどういう単位でくぐるのがいいかは、ビジネスモデルで異なります。

しかし、「こういうECビジネスであれば、Frequency(購入頻度)はこういう理由があるから、どういう粒度で区分すればよい」ということはマーケティングの教科書には書いていません。

たとえば、毎日購入するような食品系の日用品であれば、かなり短いスパンで繰り返し購入していないとロイヤリティを測る尺度にはなりません。一方で、たとえば車や保険などのビジネスであれば、「購入回数5回以下」という区分に100%に近い人が含まれてしまうでしょうし、購入頻度も1週間などではなく1年単位という時間軸になるでしょう。

このように商材やビジネスモデルによって、適切なFrequency(購入頻度)やRecency(最終購入日)の定義は変わってきます。

従って、RFM分析をつかいこなそうとして、平面まで分解できたとしても、Frequency(購入頻度)やRecency(最終購入日)をどういう基準で見て、設定すればいいのかを悩んでいる方が多い印象です。

DearOne 安田|
仰る通りですね。それぞれの数字の尺度や基準をどう設定するかが非常に大事だと思いますが、どうやって適切な基準を見つけていけばいいのでしょうか?

RFM分析とFm/Rn

DINOS CORPORATION 石川氏|
私たちの一般的なやり方は、スライドのような考え方です。まずRFM分析の結果を、Frequency(購入頻度)とMonetary(購入金額)という軸、そして、Recency(最終購入日)とMonetary(購入金額)という軸、2つのグラフに落とします。

左側のグラフでFrequency(購入頻度)とMonetary(購入金額)の関係をみると、Frequency(購入頻度)が何回目窯で到達すると、累計のMonetary(購入金額)がぐっと上がる、つまりLTVが上がりやすいというポイントが見つかります。

実際のデータだと、スライドのような綺麗な直線の比例関係になることは殆どありません。しかし、「ある閾値を超えると、ロイヤリティーが高まり、LTVが伸びていく」というポイントが見えることが多いです。

このポイントを、私たちはFmと呼んでいます。このFmを実際のデータからきちんと見つけることが非常に大切になります。場合によっては、Fmが複数個あるケースもあります。重要になるのは、最初のFmがどこで、次のFm2がどこに来るかを実際のデータを見て、きちんと導き出すことです。

右側のグラフでも同じです。

Recency(最終購入日)も同じ考え方です。Recency(最終購入日)という指標は、1、2、3、4・・・と値が大きくなるに従って、最終購入からの時間が長くなっていくわけです。ECビジネスではRecency(最終購入日)の値が大きくなっていくと、Mの値が下がっていく傾向があります。そして、これも直線ではなく、閾値となるRnを超えたところで、急に効率が悪くなるというポイントがあります。

たとえば、「Rnが6か月です」という場合、「最終購入日から6か月を過ぎてしまったお客様は戻ってきて再購入いただける確率がぐっと落ちる」ということです。

これも実際のデータを見ていくと見つかります。従って、私たちは、Frequency(購入頻度)もRecency(最終購入日)も、最初に「FmやRnがどこにあるか?」ということを見出すところから支援を始めます。

DearOne 安田|
なるほど。石川さんが仰っていたFmやRnといった閾値を私たちはマジックナンバーと呼んでいます。一定の値を超えるとすごく成果が上がる、もしくはすごく落ち込んでしまうというポイントですが、まったく同じ考え方だなと感じました。

なお、スライドの考え方でいうと、Monetary(購入金額)を結果に近いところの数字として見ていて、Monetary(購入金額)を高めるためのFrequency(購入頻度)とRecency(最終購入日)のマジックナンバーがどこにあるかを見るという形でしょうか。

DINOS CORPORATION 石川氏|
仰る通りですね。分かりやすくいえば、たとえば、Frequency(購入頻度)でいけば、一定以上の頻度で買っていただけるお客様は、明らかにLTVが高くなる。また、Recency(最終購入日)でいっても、最終購買から何日もしくは何カ月以上買っていただけていないお客様はLTVが落ちやすい。従って、このFrequency(購入頻度)とRecency(最終購入日)の閾値、FmとRnが大事だということです。

仰っていたマジックナンバーの概念も非常に有効だと思います。ただ、日々の運用内で何のツールもなくマジックナンバーを見出そうとすると大変です。

ある程度のデータ数がある企業ですと、Amplitude(アンプリチュード)などのツールを入れて、マジックナンバーの抽出を自動化するようなアプローチは非常にいいと思います。

一方で、ECビジネスに取り組まれている企業で、そういった環境がまだ整いきっていない場合もあると思います。そういう意味では、RFM分析からまず始めて、そこで注文数が増えてきたら、マジックナンバーの分析も含めて他の指標を紐づけていくという流れがいいと思っています。

DearOne 安田|
確かにご説明いただいたRFM分析であれば、どの会社でも取り組めそうです。自社の顧客データを踏まえて、それぞれの購入データを集計してグラフ化するという流れですね。

DINOS CORPORATION 石川氏|
続いて、私たちがRFM分析を実務でどう使っているかということを説明してきたいと思います。

RFM分析の2次元化2

DINOS CORPORATION 石川氏|
私たちは実務の中では、上のスライドのような形では管理していません。

上の図ですと、お客様の属性、実態が見えづらいと思っています。RFM分析をすることで、どの状況にどれぐらいのお客様がいらっしゃるかという事は分かります。しかし、それぞれの区分の中でお客様がどう動いているのかが分かりません。

スライドのRFM分析は、お客様がどこにいるかを分布図にした状態です。従って、分布図の中で、お客様がどういう動きをしているかは読み取れません。

顧客データをいくつかの箱に分類したけど、「常連」と書いてある箱の中で何が起きているかは見えないというイメージです。

「常連という箱の中には何人います」や「新規という箱の中には2,000人います」などの、今この瞬間の状態(スナップショット)にはなりますが、時間軸がある中での動きは分かりません。

従って、定期的に取得して、分布がどう変わっているかを確認することは意味がありますが、日常の運用では少し使いづらいです。

そこで、私たちがRFM分析を実務にどうつなげているかを示したものが次のスライドです。

RFM分析の実務利用

DINOS CORPORATION 石川氏|
表のセルには売上や顧客数など、各指標の値が入るわけですが、全体としては顧客の4つの箱に区分けしています。

4つの箱のうち、2つは分かりやすく、新規と休眠です。新規は、設定した期間のなかでF1が発生したお客様、そして、休眠は、たとえば、見出したRn(LTVが落ち込む閾値のR)の定義に応じて、たとえば、最終購入日から1年経過したお客様が入っている形です。

そして、残りの2つの箱は、育成顧客とロイヤル顧客という形で分類します。ロイヤル顧客は、先ほどのRFM分析でいうFm(LTVが高くなる閾値のF)を超えているお客様です。

スライドの場合はFmの値は4、つまり、設定期間での購入が4回以上あるお客様をロイヤル顧客の箱に分類しています。そして、育成という箱に入っていただいているのは設定したFmに到達していない、ただ、F1は発生している、そして、休眠ではないお客さまです。

この表をどう見るかというと、新規のお客さまというのは獲得数は当然追いかけますが、それ以上に年度の中でFmまで到達する、つまりロイヤル顧客になる方がどれぐらいの比率でいらっしゃるのか、その方々の単価がどれぐらいかを見ています。

育成顧客も同様です。育成顧客の所属数に対しての稼働率であったり、育成顧客からFmの閾値を超える、つまり、ロイヤル顧客の箱に移られる確率だったりを見ています。

また、ロイヤル顧客は、稼働率を高めるしかありませんので、ロイヤル顧客の所属数に対する稼働率を中心に見ていきます。

上記のような形で分類していくと、事業全体の売上も新規の箱、育成顧客の箱、ロイヤル顧客の箱、休眠の箱、それぞれに分解することができます。また、それぞれの箱の中でも、更にいくつかのグループに分けられます。そうすることで、KPIをどう設定して、どんな施策で伸ばしていくかがシンプルになります。

例えば、ロイヤル顧客の箱はシンプルで、上述の通り、期中の稼働率をどう伸ばしていくかという発想です。また、場合によって単価をあげていこうというケースもあります。

また、育成顧客の箱は、Fmに到達する確率をどうやって高めていくかが基本方針です。

育成顧客がFmに到達する確率に応じて、来期以降のロイヤル顧客の箱の大きさが決まってきます。これによって事業全体の成長度合いも可視化されます。

私たちの場合、このように基本となるRFM分析を使って、LTVが伸びるFm、そして、LTVが落ち込むRnを見出して、FmとRnを閾値にして4つの箱に分解するという運用が基本になっています。

DearOne 安田|
ありがとうございます。顧客と売上を4つの箱に分類する。4つの箱それぞれで基本となるKPIが決まっているので、「数字があるけど何をやればいいか分からない」ということが起こりにくくなるわけですね。

確かに「あなたは育成顧客の箱で、稼働率をあげてください」とか「FMの到達率をあげる施策を考えて下さい」と言われると、やることが一気に絞られて施策のイメージが湧きますね。

また、育成顧客の箱のなかでも、たとえばターゲットにするお客様がF1であれば、「どうすれば2回目を買っていただけるか?」ですから、施策はさらに具体的になりますね。

DINOS CORPORATION 石川氏|
仰る通りです。現場のマーケターは更に細かく分解していきます。たとえば、ロイヤル顧客に移られるお客様はF1からF4(4回目購入)までどんな風に行動しているのか、また、育成の箱に残ってしまうお客様の行動との違いは何かということを分析し、そこに対して改善策を検討するといった流れです。

上記をやろうとすると、更に細かくセグメントや分析する必要があります。ただし、ECビジネス全体を経営する視点としては、4つの箱の状態をきちんと押さえて「このKPIをこれぐらい伸ばせれば、売上にこういうインパクトがある」という部分までを把握できればいいので、スライドのデータ粒度で十分だと思います。

DearOne 安田|
非常に分かりやすいです。先ほど仰っていた、経営側として「事業成長にきちんとコミットする指標」でありつつ、実務をするマーケターにとっても「やることが明確化される指標」であるというバランスが取れていることが大切ですね。

DINOS CORPORATION 石川氏|
仰る通り、指標と施策がつながらないと意味がないということは冒頭で申し上げた通りです。ただ、経営側は施策一つひとつのKPIを見る余裕はないので、大きな指標は売上や利益などの事業成果に確実につながっていることが大切です。

紹介したようなプロセスでデータを分析して指標の粒度をきちんと整えれば、指標から売上へのインパクトがきちんと見えるようになります。スライドでいえば、たとえば、「ロイヤル顧客の稼働率が5%上がると、どれぐらいの売上インパクトがあるか」ということが可視化できているわけです。

DearOne 安田|
上記と売上全体に占めるロイヤル顧客・育成顧客・新規・休眠の売上比率と売上額を踏まえれば、「ロイヤル顧客の稼働率が何パーセントになると、ロイヤル顧客の売上額が何パーセント変わるのか、それが全体の売上にどうインパクトするのか」まで分かりますね。

なるほど。さらに先ほど仰った通り、現状や期中の分析ということだけでなく、育成顧客の箱からロイヤル顧客の箱にどれぐらい移るかによって、「来期はロイヤル顧客の分母がどうなるか」という未来を見ることもできるわけですね。

DINOS CORPORATION 石川氏|
スライドは実績が23年となっていますが、この状態が作れると、計画も非常に立てやすくなります。また、年度が始まる前から着地点がそこそこの解像度で見えている状態になります。

DearOne 安田|
中期の事業計画を組むにしても、このレベルであれば作れそうですね。ありがとうございます。非常に勉強になりました。視聴者の方々も、この分析と活用方法はぜひ活用いただければと思います。

施策の組み立て方と効果検証

DearOne 安田|
ここで次のテーマ、施策の効果測定という話に入りたいと思います。これまでの話の中で、施策をやるための指標という話もありましたが、施策効果を指標でどう測っていくのかということについてご説明いただけますか。

DINOS CORPORATION 石川氏|
はい、施策の効果測定というテーマは、ECビジネス全体の指標というよりは、現場のKPIに近づいていきます。

ECビジネスにおける施策の効果検証を考える際には、年間スケジュールを立てるところから始めることが大事だと思ってきます。下のスライドは一例ですが、1年間の中には様々な祝日があります。また、クリスマスやハロウィンのようなシーズンイベントも存在しています。

EC事業における施策の効果測定

DINOS CORPORATION 石川氏|
年間スケジュールと先ほどのFmとRnから分解した4つの箱を照らし合わせながら、こうしたイベントやそれに紐づくキャンペーンをどのお客様にどうご案内して、KPIを上げていくかを考えます。

年間スケジュールを踏まえて、キャンペーンの組み合わせを考えることで、「ここで稼働率を伸ばしに行こう」や「このイベントは単価が高い商品が動きやすいので、ここで単価を伸ばそう」といったことを事前にある程度計画できます。だからこそ、この年間カレンダーをきちんと作っておくことが大切です。

DearOne 安田|
分析して決めたKPI目標に対して、どこでどう伸ばしていくかをシーズンイベントに紐づけて考えるということですね。

DINOS CORPORATION 石川氏|
そうです。先ほどは年間カレンダーとお話ししましたが、実務では、これを各月に落していく作業があります。各月まで落し込むと、たとえば「1月は大体こういう動き方をしていこう」ということが決まってきます。

そのうえで、たとえば、新規顧客が獲得するためのキャンペーンを実施するようであれば、キャンペーンの効果検証を日々回していきます。この場合、見ないといけないKPIというのはもっと細かくなっていきます。

たとえば、売上をセッション数とCVRと単価に因数分解して考えます。さらにCVRもひとまとめで考えるわけではなく、流入経路毎に分解して考えます。流入経路によってCVRは変わってきます。オーガニックの自然流入であれば、ブランド名やサービス名を認知して入ってくる方が多いので、CVRは高くなります。一方で、SNS広告からの流入になると、CVRが限りなくゼロに近い数字になったりします。

こうした本当に細かい粒度の指標というのは、日々数値を簡単に確認できるダッシュボード等を用意して運用する形がおすすめです。

EC事業における施策の効果測定2

スライドは、私たちが使っているダッシュボードの一部を抜粋していますが、実際には全体で150行から200行ぐらいの分量があります。

データを簡単に取れるようにすることが大前提で、分類としては売上を因数分解して、必要に応じて粒度を細かくしていきます。たとえば、売上を法人と個人に分類して、更にそれをカテゴリー単位に分ける。そのうえで日次でデータを追いかけます。

この粒度でダッシュボード化することで、たとえば、「昨日はこういうキャンペーンが実施されています」ということに対して、施策によって増えるはずのダイレクト流入のセッションは増えているか、セッションがCVに結びついているかを検証できます。

また、たとえば、「この顧客セグメントに対してクーポンを出しました」であれば、そのセグメントに対するクーポンの使用率はどう推移しているかといった粒度で全部の施策を効果検証していきます。

DearOne 安田|
ありがとうございます。改めて、日常業務における日次数字の細かい管理と、前半から中盤でお話しいただいた経営まで紐づく指標を結びつけるという部分の重要性を感じました。

最後にEC事業をグロースさせたい企業に対するアドバイスを石川さんにお願いできますか。

DINOS CORPORATION 石川氏|
ECビジネスにおいて、やはり最初のKPI設定が間違っていると、現場の人がどれだけ頑張っても売上・利益が伸びない、給与等にも還元してあげられないという事が起こります。従って、KPI設定をずらさないということが大前提になります。

経営側が、事業目標に対する適切なKPI設定をするためには、実際のデータに対するRFM分析をうまく活用して、自分たちのECビジネスにおける肝となるポイント、FmとRnを導き出すことが大切です。FmとRnを踏まえて指標を設定していけば、KPIが大きくずれることはなくなります。

DearOne 安田|
石川さん、ありがとうございます。ECビジネスを展開されている方々にとって非常に有意義なセッションだったと思います。本セッションはこれで終了したいと思います。ありがとうございました。

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