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【ウェビナーレポート】リピーター280%増!美容医療予約アプリ「トリビュー」のアプリマーケティング

2023.03.29

この記事は、2023年2月22日に開催した「リピーター280%増!美容医療予約アプリ『トリビュー』のアプリマーケティング」のウェビナーレポートです。

リピーター280%増!美容医療予約アプリ『トリビュー』のアプリマーケティング

DearOne 安田|
株式会社DearOneの安田と申します。本日は美容医療の総合プラットフォーム、口コミ・予約アプリの「TRIBEAU(トリビュー)」を運営されている株式会社トリビュー様の具体的なアプリマーケティング施策とその効果を聞けるということでとても楽しみです。どうぞよろしくお願いいたします。

トリビュー 永野|
株式会社トリビュー プロダクトマーケティング部CRMグループの永野陽平と申します。本日はよろしくお願いいたします。

Braze 伴田|
Braze株式会社でソリューションコンサルタントをしている伴田有香と申します。よろしくお願いいたします。

Braze会社概要

Brazeはニューヨークに本社がある、カスタマーエンゲージメントプラットフォームを提供している会社です。メール、アプリ/ブラウザ内メッセージ、SMSなど、オムニチャネルでお客様とのコミュニケーションが可能なソリューションとなっております。マーケティングの自動化にとどまらず、お客様とのエンゲージメントをより高めていくことに重きを置いたプラットフォームになっています。

日本で営業開始から丸2年が経ち、現在50社以上の企業様にご利用いただいております。企業規模を問わず、幅広いお客様にご利用いただいているのが特徴です。

一般にエンドユーザーとのコミュニケーションチャネルは多岐に渡ると思いますが、Brazeを通じてワンプラットフォームで、複数チャネルにおいて一貫したコミュニケーションを取ることができます。

最近はパートナー企業様との連携も加速しており、DearOne社をはじめ15社以上のパートナー様とソリューション連携や共同提案、また今回のようなイベントを通じて、クライアント様のマーケティングをご支援するための体制を拡充している状況です。

DearOne 安田|
改めまして、株式会社DearOneでマーケティングを担当している安田と申します。よろしくお願いいたします。弊社はNTTドコモの子会社でございます。飲食・小売といった店舗数の多いリテールのお客様を中心に、幅広いデジタルマーケティングサービスを提供している会社です。

データドリブンマーケティングで顧客理解を深めるご支援をしており、クライアント様は主に店舗やEC、そしてサブスクのサービスを運営されているお客様になっております。

ユーザー獲得後の顧客とビジネスの成長をご支援

こういったクライアント様に対し、マーケティングのトップファネル、つまり認知からコンバージョンを取るところではなく、既存のユーザーや既に会員であるユーザーのロイヤル化を進めLTVを上げていくという部分を、米国発祥のグロースマーケティングという手法でご支援しております。

ウェビナー4つのテーマ

本日は、4つのテーマに沿って進めていきます。

  • トリビューのマーケティング活動全体像
  • アプリマーケティングの課題とBraze導入経緯
  • アプリでのカスタマーエンゲージメント施策とその効果
  • 施策を検討する際に大切にしていること

これらのテーマに沿って、トリビュー様のアプリマーケティングに関する具体的なお話を基に展開していけたらと考えております。

「美容医療の総合プラットフォーム」口コミ・予約アプリ「TRIBEAU(トリビュー)」を紹介!

美容医療業界の課題

トリビュー 永野|
まず、私からトリビューについて説明させていただきます。トリビューは、簡単に言うと美容医療の口コミ・予約アプリです。Web版もありますが、ユーザー数では現状アプリが中心になっています。

我々がどういう課題を解決したいかというと、美容医療業界は市場が伸び続けている一方、「情報の非対称性」がとても大きいことが課題です。

多くのユーザーが治療前から治療後の一連のプロセスにおいて不安を抱えたり、後悔したという経験を持っておられます。市場成長が続く中、不安や「わからない」状態が当たり前になったままでいいのだろうかという思いから、課題解決と向き合っております。

トリビューとは何か?

私たちが提供しているのは「美容医療の総合プラットフォーム」ですが、スライドの左側に記載した「見つかる」、「知れる」、「探せる」、「予約できる」、「ポイントが貯まる」という5つの基本的な機能がありますので、そこを簡単に説明させていただきます。

1「見つかる」

まず「見つかる」ですが、ユーザーの悩みや治療を希望しているパーツから、美容医療の体験談に関するさまざまな情報に応じたメニューが見られます。施術検索からコラム、アプリトップなどで悩みを解決できる施術が見つけられる機能になっています。

2「知れる」

次の「知れる」は、クリニックがどこにあるのかや、施術はいくらで受けられるのかなど、口コミなどをベースにさまざまなことを知ることができる機能です。

3「探せる」

3つ目の「探せる」は、受けたい施術に合ったクリニックやドクターが探せるようになっており、検索からクリニック詳細やドクタープロフィールなど、情報の非対称性を超えていろいろなことを詳細に探せる機能になっております。

続いて「予約できる」については、トリビュー上からチャット形式で簡単に、クリニックに直接予約できるようになっております。

5「ポイントが貯まる」

最後の「ポイントが貯まる」については、トリビュー上から予約して施術を受けるとポイント還元があったり、キャンペーン時にポイントを付与されて、お得に施術を受けられるような機能が備わっております。

以上のように、課題を解決するための5つの機能を持っているのがトリビューアプリです。

DearOne 安田|
ユーザーの課題に応えるすごく良いプロダクトですね。

Braze 伴田|
そうですね。美容医療自体はかなり浸透してきていますが、まだまだわからないことが多い業界で、自分で調べるだけだと迷走してしまいそうなので、こういったプラットフォームはかなり重要ですよね。

トリビューが推進するアプリマーケティングの全体像!

DearOne 安田|
そんなトリビュー様のアプリマーケティングに迫っていけたらと思います。続いてトリビュー様のマーケティング活動の全体像のご紹介をお願いします。

トリビュー 永野|
1つ目が組織について、2つ目が現在使っているチャネル、そしてKPI設計と、大きく3つの要素に分けてお伝えいたします。

組織体制

まず組織についてです。弊社にはマーケティングチームとプロダクトチームがあり、1週間1スプリントとしてスクラム運用をしています。マーケティングの方には、新規獲得を担当するグループとLTV最大化を目的としたCRMグループがあり、私が管轄しているのは後者のCRMグループになります。

活用チャネル

続いてチャネルです。現在活用しているチャネルはメール、プッシュ通知およびIn-Appメッセージとも呼ばれるポップアップ、そしてLINEの3つで、これらを使ったコミュニケーション設計をチームで実施しています。

KPI設計

最後にKPI設計です。大きくはMAUと予約率をプロダクト側で追っており、そこに伴走する形で各チャネルのユーザーと接点を持てるリスト数から、予約のコンバージョンレートまでKPIを分解して各チャネルを追っているという状況です。

DearOne 安田|
CRMチームのチャネルの中でメール・アプリ・LINEの3つを使っているとのことでしたが、それぞれの使い分けはどうされていますか?

トリビュー 永野|
今のところ、特に「ロイヤルユーザーにはこのチャネル」といったように決めているわけではないですが、背景として、アプリのプッシュ通知の許諾率が一般的に約30%ということですので、アプリユーザーには30%しかリーチすることができないと考えます。

よって、今はメールやLINEなどのリストを取ることで、全体としてユーザーとコミュニケーションを取れるリスト数を増やしていくという形を取っておりますが、今後はどのチャネルではどういうユーザーの開封率が高いかなども踏まえた使い分けをしながらやっていこうと考えております。

DearOne 安田|
なるほど。例えば同じユーザーでも複数チャネルのうち、どこで反応するかなどを網羅的に見ているということでしょうか。

トリビュー 永野|
はい、その辺りに今挑戦しているところです。

Braze 伴田|
施策の効果の振り返りなどをどのように行っているのか伺いたいです。例えば振り返りの頻度や、ツールが複数あればそれらの棲み分けなどもぜひ教えてください。

トリビュー 永野|
まず、ツールはBigQueryやRedashというツールのダッシュボードなどを使っていて、それを企画側がスプレッドシートに落とし、分析や管理を行っている状況です。

振り返りの頻度としては、大体施策3日後くらいに一度確認し、弊社は前述のようにスクラム運用で1週間ごとにサイクルが回っているため、1週間後くらいにはある程度の分析をして見切りを付け、また次の施策の意思決定をするという形で進めています。

Braze 伴田|
かなり速いPDCAサイクルですね。

DearOne 安田|
すごく速いですね。MAUと予約率というKPI設定をされているということですが、そのKPIを上げるためには、その前にユーザーにどんな行動をとらせたら良いといった、何か先行指標はあるのでしょうか?

トリビュー 永野|
はい。登録後、何日以内にどれくらいのアプリ起動数があると、予約率が一気に上がるといった現象の分析は行っていますので、ユーザーが会員登録やアプリダウンロードをしてくれたホットな状態の時に、アプリを起動して使ってもらい、いかに手放せない状態にするかという部分には気をつけながらやっております。

DearOne 安田|
なるほど。やはりダウンロードした直後は、ユーザーも一番「使おう」と思って来ている状態なので、そこできちんと定着させられるかどうかが、その後のリテンションにも効いてくるということでしょうか。

トリビュー 永野|
はい、そう考えています。

Braze 伴田|
体制についてですが、施策を打つにあたってエンジニアのリソースを割いてもらう必要があると思うのですが、御社の中で何らかの障壁があったりはしますか?極力エンジニアのリソースを割かないで、マーケティング内で完結できることがもちろん望ましいとは思うのですが、社内でどのように協業しているかや、マーケティング活動に対して他部署の理解を得るコツなどがあれば教えてください。

トリビュー 永野|
現在、チーム内にエンジニアが2名入っていて、ある程度のことはそこで解消しています。そこでポイントとなるのは、企画のメンバーが「こういうことやりたいね」と考えた要件をいかにエンジニアが開発・実現してくれるかですが、そこに関しては、企画側と開発側とのインターフェースとなる要件定義のフォーマットを日々見返して改善を施しています。具体的には、どういう要件項目があれば過不足ないかなどについてよく議論しております。

Braze 伴田|
そのフォーマットがあるから、コミュニケーションエラーなどの障壁を超え、迅速に連携が取れるわけですね。2名のエンジニアの方はチーム専属ですか?

トリビュー 永野|
そこは他部署と兼務ですね。

DearOne 安田|
チーム側にエンジニアがいらっしゃるのは斬新で、とてもいい構成だと思います。

トリビュー 永野|
難しい開発が入ってくると、どうしても企画だけでは実施できませんからね。

DearOne 安田|
マーケティングとエンジニアが完全に分かれてしまっていると、「これを作ってほしい」、「いやいや、今すぐは無理だ」といった押し合いがよく発生すると思うので、とてもうまく回しておられますね。

アプリマーケティングの課題とBraze導入経緯

アプリマーケティングの3つの課題

DearOne 安田|
こうしたマーケティング体制の中でBrazeを導入し、カスタマーエンゲージメント施策を行われているということですが、まずは導入前、CRM活動においてどういう課題があったかを教えてください。

CRM活動における課題

トリビュー 永野|
CRMチームの課題としては、まず当時大切にしていたのが顧客体験設計の部分でした。いかに顧客を深く理解し、その顧客に対する接点の量を増やしていき、コミュニケーションをとっていくのかという部分を重視していました。

それを理想に近づけていくに当たって、大きく3つの障壁がありました。まず1つ目が「チャネル」、2つ目が「タイミングの制御」、そして3つ目が「パーソナライズ化された配信」です。

具体的にいうと当時、アプリのプッシュ通知やポップアップ施策にかなりリソースを割いていたにもかかわらず、実際に接点を持てているユーザー数でいうと、アプリの許諾率が一般的に約30%程度ということもあり、「チャネル」における接点の少なさが1つ目の課題になっていました。

2つ目の「タイミングの制御」については、それこそエンジニアの工数がすごくかかってしまうため、多くの分岐やセグメントを切ったジャーニーに基づく配信を、ユーザーに合わせたタイミングでなかなか行えないことが課題でした。

そして、3つ目の「パーソナライズ」の部分では、ユーザーの状況に合わせた最適な配信が課題でした。例えば、配信する文言を一人一人変えるなどして、送信するコンテンツをその人その人に合った状態のものにするにも、エンジニアの工数がかかってしまうため、なかなか詳細にはできていませんでした。

これら3つが課題として大きなテーマになっておりました。

DearOne 安田|
「配信タイミングの制御」におけるエンジニア工数に課題があったとのことですが、施策を増やそうと思ったらものすごく時間がかかってしまったなど、具体的にどういう状況だったのでしょうか?

トリビュー 永野|
たくさんあるのですが、例えばプッシュ通知においては、ユーザーがスマホを見る時間帯、開封率が上がる時間帯は、人によっても結構違ってきます。

例えば、専業主婦の方だと、子どもや夫のいろいろな支度が終わった後、寝る前に時間があるから、その時間帯にスマホをたくさん触っていたりします。そういった属性に合わせて、「この時間の方が配信タイミングが良い」と施策に反映させる必要が出てきます。

また、アプリ起動後にもう一度プッシュ通知したり、何かしらのアクションをトリガーにして配信タイミングを合わせるといった部分において、配信対象者を抽出してくる業務だったりとか、それに対して配信コンテンツのデータベースを作ったりといった分岐の数が多ければ多いほど、エンジニアのコストがかかってしまう状態でした。

「課題を全て解決できる!」Brazeを導入した経緯

DearOne 安田|
Brazeを選定・導入した理由について教えてください。

Braze選定経緯・決め手

トリビュー 永野|
Brazeを選定する上で決め手となった理由は、前述の課題を解決するソリューションが全て揃っていたからです。具体的には、「チャネル」における接点が少ないという課題に対して、スライドに挙げたチャネルが全て一元管理・最適化できるツールであることが大きかったです。

2つ目の「タイミングの制御」の課題に関しては、データベースさえしっかり整っていれば、エンジニアの工数が比較的少なくてもマーケターがGUI(Graphical User Interface)ベースで配信タイミングを制御したり、アクションに合わせたタイミングを設定できる設計になっているので、そこが決め手の一つだったと考えています。

3つ目の「パーソナライズ」の課題においても同様に、データさえしっかりBraze上にあれば、マーケターがGUIベースで文言のパーソナライズの最適化や、一人一人の状態に合わせたコンテンツの出し分けをしたり、ロジックを組んだりできます。

以上のように、私たちの課題を全て解決できるソリューションとして、Braze導入を決めたという経緯でした。

最適化された顧客体験を提供する!カスタマーエンゲージメントプラットフォーム「Braze」

DearOne 安田|
Brazeについて、まだご存じない方もいるかと思いますので、伴田さんからBrazeについてご紹介いただければと思います。

Braze 伴田|
Brazeの仕組みについて、簡単にお話しさせていただきます。冒頭、Brazeは「カスタマーエンゲージメントプラットフォーム」だとご紹介しましたが、その仕組みはスライドのように5つのレイヤーで表すことができます。

Brazeの仕組み

まず「データの取り込み」には、SDK・API・パートナーソリューションの3種があります。SDKはモバイルやWeb上のユーザー行動をリアルタイムに取り込んでいくものです。またオンライン以外の既存のCRM、オフラインの購入履歴などの外部の情報は、APIを介してリアルタイムに取り込むことができます。そして、DWHやCDPなど、様々なツールと連携できるのもBrazeの特徴になっています。

続いて、取り込まれたデータを元にリアルタイムに「セグメント」を作っていきます。また「オーケストレーション」は頻度、チャネル、ユーザー様のタイミングなど、シナリオ全体をコントロールしていく部分です。

そして「パーソナライズ」は、お客様一人一人に合わせて内容を作っていく部分で、「アクション」は、様々なチャネルを実際に利用しコミュニケーションを取っていくという形になります。

そこからまた、お客様の反応など得られた情報をリアルタイムにデータとして取り込んでいき、ぐるぐるとPDCAを回していくことが可能になっています。また、パートナーソリューションの取り込み口として連携することができるのに加え、Brazeのデータを自動出力することも可能なので、もちろんBrazeの中での施策分析も可能ですが、お使いいただいているBIなど、さまざまなツールで情報を掛け合わせ柔軟な分析を行っていただくことも可能となっているソリューションです。

CEO/CTOの方針で、創業当初から自社開発にこだわっていることもあり、これらが全部ワンプラットフォームで実現できることがBrazeの強みです。永野さんにお話しいただいた選定理由に関して、2点ほど質問させてください。

まず、Brazeを導入したからこそ、その前後で大きく変わったことがもしあれば教えてください。

Braze導入により開発者を増やさずにパーソナライズ施策が増加!

トリビュー 永野|
一番大きく変わったのは、従来は施策としてキャンペーンなど、全ユーザーが対象者となり得る施策をたくさん投下していたのですが、Braze導入後はよりパーソナライズされた施策が増えてきました。

チームメンバーに開発者が増えたというわけではないのに、パーソナライズ寄りの話や施策がとても増えてきたので、Braze導入によって施策全体の質が上がったと実感しています。

Braze 伴田|
嬉しいです。それから御社の体制に関してですが、現在何人くらいの方がBrazeのツールに実際に触れておられますでしょうか?

トリビュー 永野|
現状では企画側に2名、開発側に2名、データサイエンティストが1名、データを吐き出したりなど事務寄りの作業のメンバーが1名、そして私の合計7名がBrazeに触れる状態になっています。

Braze 伴田|
結構多いですね!私は他社へのセールスフェーズで、「活用範囲を広げていきたいが、思うような体制を作れない」などの課題を聞いたりもするのですが、その辺りの障壁を乗り越えられたコツとかありますか?

トリビュー 永野|
顧客体験を向上させるにはどうしてもパーソナライズが必須になってくるので、実はBrazeへの理解を深めるために企画メンバーで時間を取り、Zoomで画面共有しながら皆でツールを触ってみる勉強会などを頻繁に行っていました。

Braze 伴田
そうだったんですね!ありがとうございます。

DearOne 安田|
自社でカスタマーサクセスまでしてくれている感じでいいですね。

アプリにおけるカスタマーエンゲージメント施策とその効果

施策1:タップ率が141%改善!ユーザーアクションに応じた配信コンテンツの制御

DearOne 安田|
続いて、トリビュー様が実際にBrazeを使って、どのようなカスタマーエンゲージメント施策を行われたかを、具体的に3つの施策に即してご紹介いただきます。

まず1個目は、「ユーザーアクションに応じた配信コンテンツの制御」ということで、永野さんからご紹介をお願いします。

トリビュー 永野|
まず、3つの施策全体の紹介に当たり、それぞれどういう観点なのかを少し説明させていただきます。今般、3つの課題に対しては、主に「タイミング」と「パーソナライズ」の課題に対する施策を多く実施してきたので、そこにフォーカスを当てながらご紹介していきます。

「チャネル」の課題については、まだ弊社としてLINEなどに関して検証段階で、今後どんどん質を高めていく予定なので、今回は「タイミング」と「パーソナライズ」にフォーカスいたします。

1「ユーザーごとにコンテンツを出しわけ」

まず「パーソナライズ」をテーマに、ユーザーごとにコンテンツを出し分けた施策です。施術で使えるポイントを取得できるクーポンコードをユーザーに配布することで、MAU促進や予約率の向上を狙っておりました。

スライド右側にあるバナーのような形で、「クーポンコードを入力したら、いくら分のポイントが貰えるよ」といったメッセージを送っていた施策でした。しかし、既にクーポンコードを入力してポイント取得したユーザーに対しても、このような不要な訴求を送ってしまっていたという問題が背景としてありました。

ポイントを取得済みのユーザーが、このクーポンコードを知っても意味がないので、それだけ無駄な配信をしてしまっていたという問題を解決した施策になります。

1「ユーザーごとにコンテンツを出しわけ」2

具体的な施策としては、クーポンコードを入力してポイントを取得済みのユーザーは、配信のジャーニーから離脱させるという設定に変え、他の施策のポップアップやプッシュ通知など、その人が今本当に求めている内容が優先的に送られるような形にすることで反応率を上げることができました。

非常にシンプルで工数もさほどかからない施策ながら、タップ率はプッシュ通知で124%、ポップアップで141%という改善幅がそれぞれありましたので、非常に低コストかつ高インパクトの施策だったと考えております。

DearOne 安田|
お話をお聞きすると、ごく当たり前な施策のようにも思えますが、意外とここができていない会社さんが結構あるということですよね。

トリビュー 永野|
そうですね、結構開発工数がかかったりしますからね。

DearOne 安田|
実際に素晴らしい成果を出されてすごいなと思いました。今の施策について伴田さんからも、少しデモを交えて補足いただけますでしょうか。

Brazeデモ1

Braze 伴田|
はい。今お話しいただいた施策に倣って、実際の画面で皆様にイメージを持っていただければと思います。今投影しているのがBrazeの施策を作成していく画面で、あらゆるチャネルを組み合わせたマルチチャネルで複数ステップのシナリオを描くことができるようになっております。左側にパーツがあり、これらを自由に組み合わせて作っていくことが可能です。

Brazeデモ2

先ほどお話しいただいた内容は、メッセージとそれに対する反応によってさらにメッセージを出し分けるというジャーニーになっておりました。

Brazeデモ3

メッセージの作成についてもう少し触れておくと、冒頭、Brazeはオムニチャネルだと申し上げましたが、Brazeはご覧のようにこの1画面でどのチャネルも同じような操作感で扱うことができます。よって、チャネルによってタブを切り替える必要も、操作感が変わるようなこともなく、あらゆるチャネルにワンプラットフォームで対応しております。

Brazeデモ4

操作感に関しては一例として、ポップアップ施策をご覧いただこうと思います。まずチャネルを選んで表示の形式を選択します。

Brazeデモ5

さらに、中央にあるエディターで画像を差し込んだり、文言を入力したりできます。

PowerPointやWordを触ったことがある方であれば馴染みのあるような操作感になっていますので、どんな方でもノーコーディングですぐに使い始めていただけるようなUIになっています。

DearOne 安田|
画面で見せていただくと、とてもよくイメージが湧きますね。また、日本語なのでわかりやすいなと思いました。

Braze 伴田|
外資系ツールはなかなか日本語化されていなかったり、対応までに時間がかかったりすることが多いですが、弊社はかなり早い段階で対応させていただきました。

施策2:タップ率が257%改善!アプリのプッシュ通知/ポップアップの文言・コンテンツのパーソナライズ

2「Push/PopUp通知文言パーソナライズ」

DearOne 安田|
続いて2つ目の施策、「アプリのプッシュ通知/ポップアップの文言・コンテンツのパーソナライズ」について具体的に教えてください。

トリビュー 永野|
こちらはプッシュ通知やポップアップの通知の文言を、一人一人に合わせてパーソナライズし変えたという施策です。背景としてはプッシュ通知とポップアップの文言やコンテンツの最適化によりタップ率・開封率の向上を狙いました。

当時、セグメントごとのコンテンツの出し分けはできておりました。例えば、ユーザーを新規と継続に分けてそれぞれ違うものを送ったり、セグメントごとにコンテンツの出し分けをしたりはしていましたが、ただ、コンテンツを伝えるときに文言やクリエイティブは同じものを使っており、ユーザーごとに最適化されていない配信になっていたことが問題点でした。

2「Push/PopUp通知文言パーソナライズ」1

今回、これを解決した施策を2つご紹介します。まず1つ目は、ユーザー一人一人で異なる保有しているポイント額に対し、「誰々さんはポイントを使うと実質どれぐらいお得になります」という形で可視化してあげるという施策です。遷移先はユーザーの行動ログを元にパーソナライズしており、施策の目的であったタップ率については257%改善という結果になりました。

2「Push/PopUp通知文言パーソナライズ」1

もう一つはポイントではなく、よくアプリのオンボーディングのときにさまざまな質問をしたりすると思いますが、弊社でいうと、「あなたは今、ご自身のどこの部位が気になりますか?」、「どのメニューに興味がありますか?」などと最初にユーザーに聞いたりするんですね。

そこで答えていただいた内容を変数として引っ張ってきて、その人ごとに興味のある文言を入れることによって、普段の施策よりも121%改善という結果につながりました。

つまり、ポイントなど定量的な数字の情報をユーザーに合わせて出してあげる施策と、最初のオンボーディングでカテゴリー別に選択してもらった回答に応じたメッセージを出していくという施策の両方をやったわけですが、どちらも劇的に改善したという事例です。

DearOne 安田|
お話を伺って、全ての施策できちんと数字の成果が出てくるというのがすごいと思います。きちんと成果を見るという文化が根付いてるのだろうと実感しました。

Brazeデモ6

Braze 伴田|
再び画面を共有して補足します。Brazeはプロファイルで、ユーザー様の情報を人単位で管理しております。製品概要でもお伝えしたように、アプリで取れる情報や連携しているシステムからの情報など、全てここで一元的に管理されており、これらの情報は全てセグメントの条件や、パーソナライズの文言に使っていただくことができるようになっております。

Brazeデモ7

例えば、セグメントはプルダウンで設定していきます。このようにですね。例えばポイントを一定数以上持っている方とか、さらに会員ランクが高めの方といった形でいくつも条件を組み合わせて、柔軟なセグメントを作成いただくことができます。

Brazeデモ8

注目いただきたいポイントはリアルタイムに集計されていることです。よってSQLを書いて出力するなどの面倒な作業もなく、リーチできる対象者数や届きやすいチャネルまで、その場で確認しながら施策を組み立てていただくことができます。

完全にノーコーディングですので、他部署との連携が不要になったり、SQLも書かずに済んだりと皆様、現場での工数をかなり削減されているとお聞きしております。

Brazeデモ9

トリビュー様の例に倣うと、例えばメッセージのパーソナライズについても、先ほどご覧いただいたプロファイルの画面で持っている情報全てを値として差し込むことができます。「興味がある部位」のアンケートをとられているとのことでしたが、それについても差し込むことができます。

Brazeデモ10

作成いただいたメッセージはプレビュー画面ですぐにその場で、きちんと値が差し込まれているか確認したり、テスト送信したりできます。このように、モバイルでもきちんと表示されていることが確認できました。

これらは一見、ベーシックなパーソナライズなのですが、やるのとやらないのとでは大違いで、先ほど永野さんが示してくださった成果の他、開封率が2倍以上違うといった結果も数々のお客様の成果として上がっております。

Brazeではポップアップやプッシュ通知などについては、どのチャネルでもこういったパーソナライズが可能になっているので、お客様がより自分事化しやすい効果的なメッセージを簡単に作成いただくことができるようになっております。

DearOne 安田|
やはりリアルタイムで人数やクリエイティブを見ることができると、イメージも湧いてやりやすいですよね。

Braze 伴田|
そうですね。作業効率は上がるのではないかと思いますが、永野さん、いかがですか?

トリビュー 永野|
はい、非常に使いやすいです。

DearOne 安田|
パーソナライズ自体、本当に素晴らしい施策だと思いますが、何かパーソナライズ施策を打とうと思ったきっかけや出来事があったのでしょうか?

トリビュー 永野|
全体的に予約数を上げていくためには、まず開封してもらわないことには我々が見せたいものを見せられなかったりするので、開封率をちょくちょく上げるというよりは劇的に状況を打開する施策が欲しいと考えていました。

そのとき、メンバーやユーザーインタビューの中から「ユーザーの中で自分事化されてないと開封されない」という話がいくつも出ていたので、やはりここにメスを入れてチャレンジしていかないと、なかなか倍以上の効果は実現できないと考え、パーソナライズをやっていこうという結論に至りました。

DearOne 安田|
ユーザーインタビューで定性的に見たユーザーさんの声を基に、きちんと定量的なデータも見てアプリを改善されているということで、素晴らしい組み合わせだなと思いました。

施策3:タップ率と予約率が315%以上改善!施術日からの経過日数のプッシュ通知

3「施術日からの経過日数のPush通知」

DearOne 安田|
続いて3つ目の施策、「施術日からの経過日数のプッシュ通知」について教えてください。

トリビュー 永野|
これは3つ目の「タイミング」に関する課題がテーマの施策です。背景として、美容医療において皮膚科などのメニューでは、ある一定期間ごとのタイミングで施術を受ける体験サイクルになっています。

スライド右図のように、例えばボトックスを打った後、一定の期間が経って効果がなくなってきたから「もう一度打とう」といった連続的なサイクルがあるわけです。

ただ問題としては、ユーザーは過去に自分が受けた施術メニューからの日数を覚えていないことが多く、実感として「効果が薄れてきたな」となることで、またニーズが顕在化するのを待っているような状態でした。

私たちとしては、各ユーザーが過去に受けたメニューごとに、前回の施術からこれくらい経ったらまた受けた方がいいといった情報を、しっかりわかりやすく示す必要があり、「それが現状、ユーザーにリマインドされていないことが問題だ」と考えました。

3「施術日からの経過日数のPush通知」2

それを解決するために打った施策がこちらのスライドです。一番下の画像のように、「施術を受けてからこれくらいの期間が経ちました。そろそろ次の施術を予約しませんか?」という形で、ユーザーのニーズが顕在化するタイミングに合わせメッセージを送るようにしました。

BrazeのCustom Attribute(カスタムアトリビュート)という機能を活用し、ユーザーが過去に予約したメニューのデータを蓄積し、そのメニューごとにどれくらいの日数が経ったら通知するかを定義するデータベースをトリビュー側から送ることで実現した施策になります。

ここでもタップ率が、定常的に行っている施策よりはるかに高い315%の改善が見られ、タイミングは本当に重要だと改めて気づかされた次第でした。

DearOne 安田|
こちらもすごい成果ですね。確かにいいタイミングでメッセージを受け取ると、受け取る側でもパーソナライズを認識して、「自分宛に送ってくれているな」とわかりますものね。

Brazeデモ11

Braze 伴田|
では、また実際の画面で補足いたします。カスタマーアトリビュート機能で日数の経過を示したというお話があったのは、プロファイルで持っているカスタマー属性データのことになります。これをお客様ごとに変えることができるので、サービスに合わせてカスタマイズしていただくことが可能です。

Brazeデモ12

今回は「経過日数」という形で差し込んで、あれだけの成果を出されており、日数のリマインドという観点はとても素晴らしい施策だと思いました。

Brazeデモ13

加えて、どんな文言だとよりお客様が開封・予約してくれるのかの検証も欠かせません。先ほど、1週間くらいのサイクルでぐるぐる回しているというお話がありましたが、BrazeでのPDCAを回し検証を行うときは、ご自身が作ったシナリオを丸ごとコピーして行うことができるほか、文言、画像、あるいはチャネルを変えていただくことも可能です。

Brazeデモ14

分岐は一度に8個まで作成でき、他のクライアント様もABテストと言わず多変量テストという形で、短期間で施策のブラッシュアップとコンバージョンアップにつなげておられます。具体的な使い方としては、新しいものはソフトに様子を見ながらローンチさせることもできますし、ある程度長期で行うような施策であれば、コンバージョンの高いものに自動で寄せていくことも可能です。

このように、人の手を介さずに効率よくシナリオのブラッシュアップが行えるのもBrazeの特徴です。

Brazeデモ15

さらに、送る時間帯をパーソナライズすることもできます。先ほど、例えば主婦の方だと夜によく見ているというお話もありましたが、それぞれのお客様が開きやすい時間に送ることができるので、属性でセグメントを切って送り分けるのではなく、ユーザー一人一人に最適なタイミングで送り分けるということが可能です。

Brazeデモ16

そして、実はBrazeでは時間だけではなく、メール/アプリといったチャネルの最適化についても自動で判断できます。そのようにメッセージ内容だけでなく、タイミングやチャネルもパーソナライズすることでより情報が届きやすくなり、一人一人のユーザーにとっての心地よい体験につなげていくことが可能になります。

DearOne 安田|
運用面も考慮されていて、ABテストなどの検証もやりやすいというのはいいですね。

施策検討で大切にしていること

ユーザーインタビューと他者事例で常に施策アイデアを蓄積!

DearOne 安田|
ここまで、素晴らしい施策をたくさんご紹介いただきましたが、こうした施策をどうやって社内で検討されているのか。そうした施策の検討方法についても教えていただけますでしょうか。

トリビュー 永野|
大きくは二つありまして、まず1つはシンプルですがユーザーインタビューです。全社的に、実際にトリビューを使ってくれているユーザーの方と話す機会を定期的に作っており、そこでペインの原因を深掘りしています。

また弊社の場合、社員もトリビューのユーザーや美容医療経験者であることも多いので、迷ったときには「少し話を聞かせてください」というコミュニケーションを取ったりして、ユーザーのニーズをどんどん吸い上げるようにしています。

2つ目は他社事例で、他者様のコミュニケーションの仕方など“How”の部分をインプットし、自社でも展開できそうなものをチーム内に溜め込みながら、CRMの企画メンバーなどとディスカッションを重ねて施策アイデアをどんどん蓄積しています。

このように、何か結果が出たら、次は何をやるのかという施策案が積み重ねられているような状態を作ることを平素から心がけています。

シームレスな連携が可能なBrazeとAmplitudeは「ゴールデンセット」

エンゲージメントツールを最大限に活用するには

DearOne 安田|
きちんとユーザーの声に耳を傾け、また他社の施策も積極的に取り入れる素晴らしいやり方だと思いました。私たちもお客様の支援を行っていますが、実はエンゲージメントツールを導入しているお客様は結構、施策の立案に苦労されていることも多いです。

その際によく使っていただくツールとして、私たちが扱っているAmplitudeという行動分析ツールがあります。これは米国ナンバーワンのプロダクト解析ツールで、Brazeと同様、マーケターがノーコードで簡単にユーザー行動の分析をでき、さらにその分析結果をBrazeに連携して施策の実行までできるというツールです。

Amplitude活用事例:購入回数の多いユーザーの行動傾向

活用事例としては、例えばアパレルのECサイトで購入回数の多いユーザーの行動傾向を分析した際の事例があります。実はこの購入回数が多いユーザーの行動履歴を見てみると、「購入回数が2回以上のユーザー」は「閲覧履歴を見る」という行動が全体の平均に比べて非常に多いことがわかります。

よって、「閲覧履歴をもっと見せたら購入回数が増えるのではないか」といった示唆が成り立つという、このような分析が行えるツールです。そして、実はBrazeと組み合わせて使われることも非常に多いです。

Braze 伴田|
そうですね。Amplitude側のセグメントをそのままBrazeに連携したり、反対にBrazeのデータをまたAmplitudeに連携してさらに分析したりとシームレスな連携が可能なので、特にアメリカでは大半の企業がこの「ゴールデンセット」の組み合わせで利用されています。

まとめ –アプリマーケティングでリピーター増を実現する秘訣!

DearOne 安田|
それでは本日のまとめです。最後に、アプリマーケティングでなかなかリピーターが増やせないという方に向けてアドバイスをお願いします。

トリビュー 永野|
私が普段から意識しているのは、やはり、顧客を理解し施策に反映させるというプロセスを繰り返すことです。アプリマーケの良いところ、面白い点は何かすれば全てBraze上などでデータが可視化され、反応がすぐ見られることだと思います。

まずはユーザーを理解し、施策上でのチャレンジを繰り返すことが一番重要だと思います。

DearOne 安田|
まさにトリビュー様が体現されていることですね。本日はどうもありがとうございました。

スピーカー

株式会社トリビュー プロダクトマーケティング部 CRMグループ 永野 陽平 

新卒で入社したリクルートで不動産情報サイトのWebマーケティングを担当(主にCRM領域)。その後、美容メーカーにてエステフランチャイズへのOMO戦略の展開、ECサイト立ち上げからスケールまでを取締役兼COOとして推進。2022年よりトリビューにおけるCRM領域を牽引。ユーザーとの最適コミュニケーションによる顧客体験の最大化を担う。

Braze株式会社 ソリューションコンサルタント 伴田 有香 

大学卒業後、キヤノンマーケティングジャパンに入社。Salesforceのプリセールス・カスタマーサクセスに従事。エンタープライズ企業をメインとしてSalesforceの拡販/活用支援に務めた。2019年にMarketoに入社し、ソリューションコンサルタントとしてMarketo Engageのプリセールス活動に従事。2021年7月よりBrazeに参画。

株式会社DearOne マーケティング部 ゼネラルマネージャー 安田 一優

中小企業診断士資格保有。パソコン販売店店長、ITエンジニア、ITインフラSIerのマーケティングを経て、2020年よりDearOneへ参画。 DearOneではマーケティング、インサイドセールス、パートナーアライアンス等のマネージャーを担務。マーケティング、インサイドセールス、セールスの連携体制を構築。

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