2022年5月18日に開催した『ECサイトの「行動分析×接客」による売上/LTV向上の手法』のウェビナーレポート・動画です。
株式会社DearOneのご紹介
DearOne 泉|
株式会社DearOneはNTT Docomoの戦略子会社で、大きく分けて3つの主力事業を持っています。
一つ目はスマホアプリ開発の「ModuleApps2.0」です。150サービス以上のアプリを金融・サービスからアパレルや自治体・学校に至るまで提供しており、これまで累計7000万のダウンロードを記録しています。
二つ目はグロースマーケティング支援事業の「Amplitude」と「Professional Service」です。ユーザー行動分析から施策実行までツールと伴走サポートでグロースを支援します。
グロースマーケティング支援領域について
上記マーケティングファネルの上部では、顧客が認知をし関心を持って検討しコンバージョンを行います。その獲得ユーザーを下部でロイヤル化していくのが、弊社のグロースマーケティング支援領域になります。
グロースマーケティング支援事業
グロースマーケティング支援事業では、一気通貫で顧客企業のデジタルマーケティングをサポートしており、データ活用ステップを「ためる」「整える」「分析する」「つかう」の4つに分解して、データ活用促進につなげています。
弊社はその中で最も時間を要する「分析する」に注力しており、行動分析ツール「Amplitude」を用いて支援を行っています。
Amplitudeについて
Amplitudeは2021年9月にNASDAQ上場した米国企業であり、プロダクトアナリティクスが可能なツールを提供しています。グローバルで46,000以上、日本国内では1,700以上の企業様への導入実績があります。弊社は日本の総代理店として、2019年よりプレミアムパートナーシップを締結しています。
第一部|事例で紹介!EC・SaaSのユーザー行動分析によるLTV向上戦略
グロースマーケティング成功事例1「Amplitude:書籍系サブスクの分析事例~初月無料期間での解約抑止のヒント~」
泉|
一般的なサブスクリプションサービスでは登録後1か月間ほど無料期間があり、その後有料になります。初月無料期間に解約が非常に多いというお客様の課題に対し、解約抑止に向けた分析を行った事例からご紹介します。
1 ユーザーの初月利用状況を知る
まず初月利用状況の把握から始めました。解約と継続のユーザー割合を確認したところ、初月で解約するユーザーは7割弱(解約66%・継続34%)でした。そこで解約のタイミングを分析すると、解約ユーザー総数の内37%が1日目に解約していました。
さらに分析を進めると、総数の内26%が1時間以内で解約している傾向が見られました。
2 初日のお気に入り機能利用による解約への影響を知る
次に、逆に1時間以内に解約していないユーザー行動のジャーニー分析を行ったところ、利用登録後に20%がお気に入り登録をする行動傾向が見られたため、「ユーザーに解約させないためにお気に入り登録が効くのではないか」という仮説が生まれました。
そこで、お気に入り登録回数の観点から解約率の変動を確認すると、お気に入り登録1回以上のユーザーは初日の総数と比べて17%、2回以上は4%でした。これにより、2回以上お気に入り登録をすると解約率が激減するという傾向が見えました。
3 ユーザーの初月利用状況を知る
さらに深掘りを行い、初月の平均購読書籍数を確認したところ、解約ユーザーは約11冊、継続ユーザーは約15冊書籍を読む傾向が把握できました。継続ユーザーは解約ユーザーの1.5倍の書籍を読む傾向があり、継続ユーザーは1週間ごとに購読数が約2誌増え続けていることもわかりました。
また、2か月目以降も継続利用しているユーザーが読む書籍を調べたところ、1位はムック本(旅行雑誌等お得な雑誌)でした。
4 解約ユーザーと継続ユーザーの機能利用傾向を知る
アプリ機能利用の行動傾向を見たところ、解約ユーザーに比べて継続ユーザーは「カテゴリー検索機能」をよく使っていました。
そして、ユーザー総数に対する解約率が66%である一方、カテゴリー検索を実行したユーザーの解約率は51%とやや減少傾向が見られました。
まとめ
グロースマーケティング成功事例2「ファッションECサイト:Amplitudeによる分析事例」
小島|
分析テーマは、最初の購入から金額を多く購入するユーザーへとロイヤルユーザーを増やすことです。今回の分析では、購入者全体を100%として上位20%に当たる8,500円以上の購入者をロイヤルユーザーと定義づけました。
ペルソナ分析
Amplitudeには購入者全体をクラスター分類するチャートが備わっています。 今回は10個の行動傾向に分けて、ロイヤルユーザーの含有率を確認しました。20%以上を抽出したところ、中には28.1%と多くのロイヤルユーザーを含むクラスターも見つかりました。
ロイヤルユーザーを多く含むクラスターを分析すると「カートから『あとで買う』機能の利用回数が多い」ことがわかりました。これはAmplitudeのチャートから自動抽出することが可能です。購入者全体でのこの機能の使用は0.3ですが、ロイヤルユーザー28.1%のクラスターでは7.59と高頻度でした。
その他「カートから商品を出し入れする」行動傾向が多いこともわかりました。
さらに、実際にカートから「商品を削除する」を使用した人は約61%いましたが、「あとで買う」を使った人は10%足らずでした。これにより「あとで買う」機能を理解・認知していないユーザーが多い可能性を見出しました。
施策案:「あとで買う」機能の訴求
上記分析結果から施策案へと結びつけました。
一つ目はメールでの施策です。企業のプロサイトの場合、ユーザーに向けメールでコンテンツを配信していますので、スムーズなお買い物機能として「あとで買う」を紹介します。
二つ目はECサイトのカートページでの施策です。エンゲージメントツールを使用し「あとで買う」機能が便利であることをポップアップ表示で訴求します。
一方、カート内でのポップアップは離脱につながる可能性もあるため、「カートに2個以上アイテムがある」「カートを見る回数が30回以上」といった表示条件を付けて実施します。
こういった施策を行い、「あとで買う」機能の利用促進を改善した事例です。
第二部|3万回のA/Bテストで見えた顧客の行動とECサイトのCVR改善事例
深田|
株式会社Sprocketはコンバージョン最適化(CRO)を図るという観点からプロダクトの作成・提供を行っており、これまでに300社を超えるEC系・獲得系企業様を支援しています。
主にWeb接客領域をカバーしており、リアルタイムパーソナライゼーション・A/Bテスト・行動分析のツールを組み合わせてサイト内行動改善を図ることを弊社は得意としています。
A/Bテスト5万回って?
ツールをご提供するベンダーとして、ツールを導入するだけでなく企業様には使い方を習得した上でROIをクリアしていただく必要があることを実感しています。しかし習得からクリアまでには長い道のりが大きな課題となっています。
そこでA/Bテストを5万回以上実施し、離脱の箇所や種類、それに対する打ち手の業界別成功シナリオを150パターン以上蓄積してきました。
実際に費用対効果の面からも高い施策結果を安定して実現しており、20年度稼働中の導入では全ECサイト目標平均871%のところ、実績平均ROI1,565%を出しています。
本日はその中から見えてきたことを3つ、事例としてご紹介いたします。
見えてきたこと① ユーザーは思いもかけないところで離脱している
事例1:ユーザーのつまずきに注目
「みなさんにとっての当たり前は、ユーザーにとっても当たり前?」
ある企業様のサイトで弊社ツールのタグを入れてお客様の行動をリアルタイムで観察したところ、画面左上に設置したハンバーガーメニューと呼ばれるアイコンをクリックしたことがないユーザーが多いことがわかりました。
そこで、アイコンの意味をわかっていないという仮説を立てて施策化したところ、購入完了改善率が125%にアップし売上向上につながりました。
顧客企業の担当者様からも、ハンバーガーメニューをわからない人がそれほど多くいたことに対する驚きとともに、顧客理解が深まったとのフィードバックを頂きました。
事例2:購入検討時の不安を払拭する
カートで落ちる現象も非常によく見られます。理由は様々考えられますが、例えば未購入ユーザーが注文時に気になる不明点を見つけ、その疑問が解消されず帰ってしまうということが起きています。
FAQで疑問は解消可能と考えますが、実際にカートのページからFAQページへ行く、或いはFAQからカートへ戻ってくるという行動はなかなか起こりません。
そこで、誰に「未購入ユーザーに」、どこで「カートページで」、いつ「数秒後」、なにを「気になる点の説明」を対処した結果、購入完了改善率109%リフトアップ効果が得られました。
欲している情報・コンテンツの障害「フリクション」
お客様視点に立ってつまずく場所を把握し対処することで、コンバージョン率が高まり、顧客理解が深まり、顧客体験を向上させることができます。弊社ではこのつまずきを「フリクション」と呼んでいます。
フリクションは以下の4パターンがあり、お客様が離脱する原因と考えています。
- コンテンツの存在に気付かない ← コンテンツの存在を認知・認識する
- コンテンツを見ようと思わない ← コンテンツを見ようと決める
- コンテンツに到達できない ← コンテンツに到達する行動をとる
- コンテンツの内容が理解できない ← コンテンツに到達し内容を理解する
見えてきたこと② 「セルフサービス」の前提はもう成立しない
お客様の目的に合わせて最適な案内をする
サイトのトップページには様々な場所に飛べるリンクがありますが、実際にお客様が見たいコンテンツを探しきれず直帰しているケースも結構あります。
そこで「本日はなにをお探しですか?よろしければ教えてください」とメッセージを表示し、誰に「新規ユーザーに」、どこで「TOPページで」、いつ「数秒前」、なにを「目的別案内を」行って促してあげると数値として跳ね返り、購入完了改善率116%となりました。
まだ使っていない機能の利用を提案する
様々な機能がサイト内にあっても使いこなせていないケースが多くあります。
そこで例えば「絞り込み検索を使いませんか」とメッセージでご提案し、誰に「商品検討ユーザーに」、どこで「商品一覧ページで」、いつ「数秒後」、なにを「絞り込み検索機能案内を」行うことで購入金額は上がり、購入完了改善率113%となりました。
「フリクション」はなぜ起きているのか?
様々なリテラシーの方がネットリテラシーを利用するようになったこと、またUIに優れたアプリによるレコメンド機能等の充実によりユーザーが受け身になっていることが、セルフサービス前提の問題を生み出していると考えられます。
こちらからお客様に対してうまくご提案することにより、フリクションをなくしていく必要があります。
見えてきたこと③ ユーザーが提案を聞いてくれるタイミングがある
困っていそうなユーザーにチャットを案内する
お客様にお声がけするために出すポップアップ機能も、聞いてもらえるタイミング、困っているタイミングを把握して実行することが大切です。
例えばチャットサービスもなかなか起動して頂けない課題があります。そこでうまくチューニングを行い、お客様が躊躇されていて誘導した方が良いというタイミングでお声がけをします。誰に「検討ユーザーに」、どこで「商品詳細ページで」、いつ「数秒後」、なにを「チャット機能案内を」を行うことにより、チャット起動率128%、購入完了改善率116%の結果が出ました。
実店舗の接客から学べることは多い
お客様の様子を直接見ながら対処するお店の接客から学べることは非常に多く、デジタルでも活用する余地はまだまだあると考えています。
マルチステップWeb接客でこの体験を実現
あるアパレルブランドの事例です。トップページに来た、元々マスクを買いに来たわけではないお客様をマスク商品ページに誘導します。まず1.お声がけを行い、「いかがですか」と2.質問を投げかけ、 3.奥まで案内すると、購入完了改善率が114%となりました。
まとめ
ユーザーにとって使い勝手の良いサイトであることは大事なのですが、今後はそれ以上に、お客様が離脱する前にこちらから先回りする体験設計を取り入れて、ユーザーを先回りするサイトの構築をご提案いたします。
第三部|パネルディスカッション
SprocketからDearOneへの質問
- どこまでの対応をするのか
深田|グロースマーケティングの分析以外の対応もされていますか。
小島|はい、ツール導入はさせて頂いていますし、分析を一度お見せする方がAmplitudeの良さや使い方もご理解頂けるので、ご依頼があれば分析もしています。
弊社には私のいる部隊と別のエクスペリエンスユニットがあり、ポップアップやメルマガ実行といったメール施策の実施に対応しています。
- 得意領域はどこなのか。
深田|得意な領域は分析系ですか。
小島|会社としては、導入も分析も施策実施のところも得意としています。
- どういう風に依頼するとパフォーマンス良いのか?
深田|どういうスコープで仕事依頼をするのが、御社が最もパフォーマンスを発揮できるのですか?部分部分の依頼でも良いのですか。
小島|部分部分のご依頼も受けますが、やはりAmplitudeの導入から分析~支援までまとめてご依頼頂くことが多いです。
深田|分析の切り口が素晴らしいと思ったのですが、この辺りは御社側ですでにナレッジを持たれた上でこの切り口で行こうという感じなのか、あるいはAmplitude側である程度サポートしてもらえるのでしょうか。
泉|基本はまず、クライアント様から頂いたご要望によって分析テーマを設け、Amplitudeを使って現状確認から進めるのが入り口の部分です。その後我々も前提として仮説を立てて確認を行い、現状を正しく理解します。
そこから順にステップを踏んで、Amplitudeを用いながら細かくスピーディーにセグメントを分析し、セグメント内のロイヤルユーザーの行動傾向を深掘りしていきます。それを簡単に行えるのがAmplitudeの強みです。
ですので我々の知見と、非常に使いやすいUIとなっているAmplitudeの行動分析ツールはお互いに補完し合いながら、誰でも分析が行えるようになっています。
深田|分析依頼の仕方はクライアント様によって千差万別です。全体像もよくわからないのでとりあえず見てくださいというご依頼のパターンもあれば、一定のあたりをつけてこの辺を見てほしいとお願いされることもあると思います。
御社にとってはどちらのパターンが多いですか。あるいはやりやすいのはどちらですか。
小島|よくわからないけれど分析してほしいというクライアント様には、事前にすり合わせをしながら分析の整理・方向付けを一緒に行います。一方で目標があるクライアント様が進めやすいのも事実です。
しかしいずれの場合も、弊社独自の視点で切り口をしっかり形作った上で施策検証・分析を行いますので、やりやすさという観点からはそれほど変わらないと思います。
- カスタマーサクセスは、何がきっかけでその分析テーマ、観点を出しているのか。
深田|御社にはツール導入後にカスタマーサクセスの業務があり、分析をされるわけですが、どういう切り口で分析テーマを出すかディスカッションが大事になってくると思います。そのディスカッションの御社での掘り方を具体的に教えて頂けますか。
泉|基本はクライアント様とミーティングでしっかりすり合わせを行った上で、分析テーマを決めます。それから深掘りを行うわけですが、前出のような丸投げの場合は、そのサービス特徴をまず押さえることを意識しています。
実際に自らサービスに触れてみて、このサービスならコンバージョンポイントはどこにあるのか、コンバージョンポイントに至るまでに解約・離脱してしまうポイントはどこなのか、その一つ一つの観点から分析をスタートするのが一般的です。
- プロセス
深田|前出のように、コンバージョンのポイントがあれば、それをした日・しなかった日の違いを見たりするあり方が大きいと。
泉|基本はコンバージョンが最終着地点と考えているため、まずはそこから見ていきます。また他の切り口では、ユーザーの状態も確認する観点から、新規ユーザーと既存定着ユーザーや休眠ユーザーと休眠復帰ユーザーといった形ですね。
大まかにその4つに分類し、各ユーザーの取る行動を押さえると、つまずきが見えてきます。
というのも、分類を通じてそれぞれの違いを見ると比較検証がしやすいからです。
DearOneからSprocketへの質問
- 定性データと定量データのバランスをどう考えて施策に落とし込んでいるのか
泉|データに基づき分析や施策を打つタイミングで、定性データと定量データのバランスをどのように取りながら施策に落とし込んでいるのでしょうか。
深田|データ積みはしますが、最初は経験則で仮説立てからスタートすることが多いです。
ECサイトであればトップページから商品探しに行って、詳細ページにたどり着きカートに入れて買うという流れ自体は基本的に共通しているので、その過程でどんなフリクションがあり、どう離脱してくのかも共通しています。
ですので促進を打ち出す行動にもやはり一定のセオリーがあり、定性的なところからスタートする形が弊社の場合は多いです。
その後にデータを見てセグメント分類を行います。例えばこの流入元から来ている人はOKだけど、この流入元の人にはいまいち効果が出ていないといった、手前の行動で分類を行うと、良し悪しが見えてくるので、悪いセグメントを引き算していきます。チューニングをかけるのも最適化の過程でよく行います。
しかし一方で、「離脱した人」の原因をデータ分析から見つけるのは難しくないですか。
泉|難しいですね。
深田|うまくいっている人の行動はデータで分かりますが、逆にダメだった人の場合の原因を突き止めるのは非常に難しいと感じています。御社の場合はどうされていますか。
泉|弊社はAmplitudeを用いているので、離脱したユーザーがその後どんな遷移をたどっているのか、主にどんな機能を使っているのか、比較的容易に見ることができます。
そうやって確認を行うと、このユーザーはお気に入り登録を使う割合が少なかったから、ここの認知が足りなかったから、この機能を使ってもらえたらサービスに対する理解が深まるのではといった、ユーザーの行動傾向から悪いところを確認して仮説を立てるステップを踏んでいます。
小島|最終的には定性データのヒューリスティックな観点になります。Amplitudeの場合、データで離脱した人の傾向や、どこで離脱したかをスピーディーに追えるので、そこを見た上で最終的には想像になりますが。
深田|先ほどのセッションで、お気に入り登録の話が非常にセンスが良いと思いました。お気に入り行動の傾向を0回、1回、2回と比較して、2回で離脱が結構減るという観点から、あえてお気に入りを使わせようという策ではなく、ワンクッション置いてその手前を見るという。そのあたりの考え方についてお聞かせ頂けますか。
泉|お気に入り登録を2回させれば良いというデータが見えたとしても、いきなり施策でどうこうするのはユーザーにもストレスを与えてしまいます。それよりも、ユーザーにどう受け取ってもらうか、どう自発的な行動を促せるかが課題となってくると考えています。
顧客側がどうサービスを使うか、その視点を意識した結果、間に一つのステップを挟んだ方が良いという考えに至った感じです。
小島|継続ユーザーがお気に入りを使っているとなると、今度はお気に入りを使っている人は何をしているのだろう、と一歩踏み込むことを意識しています。
- ABテストの施策でネタが尽きると思うが、どうしているのか?
小島|私自身も携わっていて感じるのですが、ABテストの施策は結構ネタ切れするのですが、どうされていますか。
深田|ネタは意外となかなか尽きないです。やらなければならない箇所がたくさんあるので、端からやっていくだけでも結構時間がかかり、1、2年分くらいのストックがあります。
小島|半年くらい行うと疲弊してきて、施策を考えるにも疲れるという経験もありますが。
深田|確かに聞きますね、カスタマーサクセスのチームが四六時中ABテストばかりを行っていると。けれども、ここでこういう仮説を立ててこうすれば良かったということを素早く共有し、次の仮説を試して精度を上げていく、一方で新しいチャレンジも行うといった両方を同時に回しながら集約していくと、ネタに困ることはそれほどありません。
弊社内のナレッジポータルでは、定番施策アイデアがすでに200個近くたまっています。
- 5万回の施策実施、スピーディに施策を回すコツは?
小島|5万回もの施策回数にはかなり時間がかかると思いますが、スピーディに回すコツは何ですか。
深田|地道な積み重ねしかないですね。5、6年前に事業をスタートした頃は、1人月で回せるテスト回数は10回未満でした。しかし現在では、例えば仮説を見つける時間自体がかなり短くなったり、仮説集を作ってきたおかげで、1人月で50回以上回せるようになりました。
さらに、無駄が多いケースにも注意を払っています。コンバージョン・ABテストの結果、母集団として取れそうな場所や判定数値も一定件数取れそうな場所が広すぎてよく分からなくなる場合、そのバランスを非常に考えながら行っているため、手戻りはかなり減りました。
結果の読み解き方に関しても、作業を簡単にするツールをたくさん作るといったことを積み重ねてきたので、スピード感を持って行えるようになりました。
小島|やはり御社のノウハウ蓄積の部分が大きいですね。本日はありがとうございました。
アーカイブ動画
スピーカー
株式会社Sprocket 代表取締役 深田 浩嗣
15年にわたりモバイル領域でのデジタルマーケティングを提供しECを中心に200社以上のWebサイト立ち上げ・改善を実施。2014年、株式会社Sprocketを設立、Web接客手法でコンバージョンを最適化するツール「Sprocket」を開発・販売する。短期的なCVRの向上にとどまらず、中長期的なLTVの向上を支援することを目指している。
著書:『いちばんやさしいコンバージョン最適化の教本』(インプレス)ほか。
https://twitter.com/fukadakoji
株式会社DearOne グロースマーケティング部カスタマーサクセス
シニアコンサルタント 小島 健一
元ミュージシャンであり、大手レコード会社からCDリリースを経験後、デジマケ業界へ。サイト改善PDCAコンサルティングなど、業界大手のクライアントに対し、アクセス解析を中心としたデータ活用支援のコンサルタントとして従事。DearOne入社後は、大手不動産検索サイトへのAmplitude実装支援からのCDP活用、ECサイト運営会社へのオンボーディング支援など実績多数。
株式会社DearOne グロースマーケティング部 カスタマーサクセスユニット 泉 利也
人材会社に入社しインサイドセールスを経験。その後広告制作会社にて広告営業、顧客フォローアップ、自社WEBサービスのマーケティング業務に従事。DB整備、メールマーケ施策、広告運用、分析ツールを用いたユーザーのサイト回遊促進の施策立案、実施に携わる。
2020年8月よりDearOneに参画。分析ツールAmplitude導入に用いるデータ設計、実装サポートに加え、利用促進のための分析サポートを担当。