データドリブン経営とは?実現のポイントと成功事例を紹介

2022.03.10

データドリブン経営とは?実現のポイントと成功事例を紹介

データを活用してマーケティングや重要な意思決定を行う、データドリブンという言葉をよく耳にするようになりました。情報化が進んだ社会では、顧客のニーズは多様化し、従来行ってきたマスマーケティングではニーズを満たすことができなくなってきました。

そこで、データを蓄積、分析、活用してビジネスに活かす企業が増えてきています。

この記事では、データドリブン経営とは何か、データドリブン経営を実現させるためのポイントを、3つの事例を用いながら解説します。

データドリブン経営とは?

データドリブンとは、ビジネス上の意思決定をデータに基づいて行うことを意味しています。従来であれば「経験」や「勘」に頼って、意思決定をしている企業が多くありましたが、顧客ニーズが多様化した現代においては、効果的ではなくなってきたのです。

このようなデータに基づいた意思決定を会社全体に浸透させて行っている経営のことを、データドリブン経営といいます。データドリブン経営では、データは主にマーケティング活動に用いられますが、データドリブンな経営を目指すためには、トップダウンで上層部から会社全体、部署の垣根を超えてデータ活用の意識を浸透させていくことが重要です。

データドリブン経営を実現する目的

データドリブン経営の目的は、主に多様化した顧客ニーズに対応することです。上記でも触れたように、従来であれば上司の経験、勘、度胸といったKKDに頼った意思決定が多く下されていました。しかし、情報爆発社会となった現代では、顧客はこれまでとは比べ物にならないほど情報に触れる機会が増え、ニーズが多様化しました。

このような現代においては、主観による判断ではなく、客観的なデータに基づいて決定することが大切となったのです。

また、現代では技術が発展したことで、データドリブン経営を実施するために必要な優秀なツールが多く開発され、それぞれの目的や予算に合うものを見つけやすくなりました。

データドリブン経営、3つの成功事例

データドリブン経営を行い、事業を大きく成長させることに成功した事例を3つ紹介します。

NTTドコモ:顧客の特性に合わせた施策で、3年で取扱高8,100億円を達成*1出典:【GROWTH SUMMIT 2021 SESSION2】わずか3年で取扱高8,100億円 ユーザー数3,500万人
Square:データのサイロ化を解消し、社員各々がデータを活用できる環境を構築*2出典:Square Relies on Amplitude as Their Central Source for User Insights
JTB:データドリブンを行う戦略組織を構築し、コンバージョン率45%向上*3出典:CVR45%増の事例も! JTBのDMPを用いたデータドリブン成功の秘訣

NTTドコモ:顧客の特性に合わせた施策で、3年で取扱高8,100億円を達成

日本最大手の通信事業者である株式会社NTTドコモは、データドリブンな環境を構築し、わずか3年で取扱高8,100億円、ユーザー数3,500万人を達成しました。

同社のウォレットビジネス部は大きくモバイル決済事業とOMO事業の2つの事業を展開しています。モバイル決済事業ではd払いとGoogle Play等のキャリア課金を、OMOではd払いの加盟店に対してマーケティングやDXソリューションを提供しています。

同社が提供するdポイントは2015年、d払いは2018年にサービスを開始しました。dポイントはサービス開始以来会員数は順調に伸びており、2021年9月末には8,554万人に達しました。現在では日本最大規模のポイントプログラムとなっています。

d払いはサービス開始当初は、バーコード表示で店舗決済をするというシンプルな仕組みでした。その後2019年に、チャージや送金が行えるウォレット機能を装備。

さらに2020年にはメルペイと戦略的提携を結び、加盟店がクーポン配布などの施策を容易に行えるスーパー促進プログラムを開始しました。その結果d払いのユーザー数は昨年比で130%のアップに成功しました。

同社はサービス開始当初、dポイントクラブを母体として、その会員がd払いを使いはじめてどの程度利用者が増えるのか、MAU(Monthly Active User)をKPIとして定めていました。

最近ではノーススターメトリックを設定し、決済回数を把握し、企画を立て、拡大に向けて取り組んでいます。ツールを導入してプロダクト改善のサイクルを高速で回すことがチーム内で定着した結果、オペレーションするメンバーの意識や仕事のやり方が改善され、今年度からさらにパフォーマンスを向上させることに成功しました。

特にメルペイとの戦略的提携によるスーパー促進プログラムでは、加盟店がdポイント、d払いを使用したことがある顧客情報をデータとして貯め、再来店を促進するメッセージを送ったり、クーポンを配布したりすることできるようになりました。加盟店は顧客をセグメント分けし、顧客の特性に合わせた施策を打つことが可能となったのです。

Square:データのサイロ化を解消し、社員各々がデータを活用できる環境を構築

アメリカ、サンフランシスコに本社を構える、モバイル決済企業であるSquare(スクエア)は、データドリブン経営を目指す上でデータのサイロ化を解消し、社員それぞれがデータにアクセスし、有効的に活用できる環境を構築しました。データの民主化です。

同社は2,000人以上の従業員を抱える高成長企業であり、データサイエンティストなどのデータの鍵を握る数人に依存するのではなく、ここの社員が組織で定めた指標に基づいて責任を持ち、データドリブンな意思決定ができるようにすることが重要だと考えました。

Squareは毎月何十億ものイベントを追跡しています。イベント追跡は顧客が製品とどのように関わっているのかを理解するため、またチームが顧客により良いサービスを提供できるようにするために必要不可欠でした。そこでユーザーイベントデータの収集、調査、インサイトのための分析ソリューションとしてプロダクトアナリティクスツール「Amplitude(アンプリチュード)」の導入を決めました。

導入後は、同社の横断的なチームが指標の追跡やデータに裏付けられたプロダクト及び、マーケティングの意思決定に使用する一元的なリソースとなっています。個々がデータへのアクセス権を持ち、必要時に、必要なデータを有効的に活用できるようになり、100人以上の社員がインサイトを得られる環境を構築しました。

JTB:データドリブンを行う戦略組織を構築し、コンバージョン率45%向上

日本最大手旅行会社のうちの一つであるJTBは、データドリブンを行う戦略組織、Data Science Centralを構築し、データドリブン経営の実現に向けて取り組みました。組織が誕生する以前からもデータを専門的に扱う組織がありましたが、データを分析してマーケティングに活かすというデータドリブンな経営とは言えないような組織でした。

JTBが目指したデータドリブンの組織とは、統合データ基盤、顧客分析、マーケティングアクション3つのチームに分けて、まずそれぞれの役割を明確にし、この3つのチームを統合する形でData Science Centralが存在しています。

「分析=データ抽出」という従来の社内における認識において、データドリブンという発想もない状態からデータを元に、データの向こう側にある顧客の購買心理を読み解くということに注力するようになりました。会社内で社員を巻き込み「コンテクストを捉える」という答えのない見立てを行うことを開始したことで、データドリブンが浸透するようになったのです。

データ分析では出張で泊まる顧客は男性の方が多い。しかし、男性、女性別で単価を比較すると、女性の方が10%も高いということを発見しました。そこから、男性は宿泊して寝れればいいが女性は男性と同じフロアが嫌、また少しでも予算内でおしゃれな施設がいいなど、女性の方が単価が高いのはなぜか仮説を立て、女性のインサイトに合わせたサービスを実施していこうとなりました。

そこから『女性の出張はJTBのこのプランで』という形で、どういったサービスが行われているのかサービス別のクリエイティブを出し分けることで、コンバージョン率を45%アップさせることに成功しました。

データドリブン経営を実現させる3要素

データドリブン経営を実現させるためには下記3つの要素が大事な鍵を握ります。

データの活用基盤
・データ分析ツール
・データドリブンな企業文化

データの活用基盤

まずデータドリブンな経営を目指すためには、データを蓄積し、管理するための基盤が必要となります。主なシステムはデータウェアハウス(DWH)やデータマネジメントプラットフォーム(DMP)などです。

データウェアハウスとは、様々な顧客データを保存するためのプラットフォームのことを指し、データの蓄積・整理が目的です。一方データマネジメントプラットフォームは、整理されたデータをマーケティング施策に使用できる形に変換することが目的とされています。

自社の目的に合わせて最適なものを選択することで、効果を最大限に感じることができるようになるでしょう。

データ分析ツール

データドリブン経営では、データを蓄積し、分析することで意思決定に役立てます。分析ツールとしては、一般的にBIツール(Business Intelligence)が多く利用されています。BIツールは、蓄積された膨大な量のデータを管理し、集約し、必要に応じて分析まで行うことができるツールです。

データドリブンな企業文化

データドリブンな経営を実現させるためには、データドリブンな企業文化が欠かせません。データドリブンな企業文化とは主に、誰もが必要時に必要なデータにアクセスでき有効に活用できる組織や、部署の垣根を超えた一貫したデータ管理や、データドリブン経営の目指すところを明確にして社内全体に浸透させる、といったことです。

データドリブンな経営は組織全体で取り組むものであり、個々の社員が意思決定を迫られた際に判断基準となる、指標や、方向性も定めておくことが大切となります。各々が意思決定を行えるようになるため、方向性が定まっていなければそれぞれがバラバラに進んでしまうこともあります。

違う方向に進んでしまっては当然結果も思うように出ません。まずはデータドリブンな企業文化を浸透させ、社員一人一人が責任を持って意思決定できる組織構築を確立させましょう。

データドリブン経営でよく見られる課題

ここからはデータドリブンな経営を目指す企業によく見られる下記3つの課題について紹介します。

・データのサイロ化
・不明確な指標
・計画に時間を浪費

データのサイロ化

データのサイロ化とは、部署間でのデータ共有に隔たりがあり、データが連携されていない状況のことです。データのサイロ化が起こっている場合には、部署ごとで別々のシステムを使用し、それぞれで顧客のデータを管理している場合があります。それぞれが管理をしてしまっていると、データ分析、活用の際に効果を最大限引き出すことが難しくなります。

データドリブンな経営を実現させるためには、部署の垣根を超えた一貫したデータ管理が必要ですので、データ統合のためのソフトウェアを活用するなどして、組織全体でデータを管理できる体制の構築を目指しましょう。

不明確な指標

データドリブンな経営を目指す際、データドリブン経営を通して目指す姿や、指標、目的が定まっていなければ、思うように成果を出せないでしょう。目的によって導入すべきシステム、ツールも異なります。さらに、データドリブン経営では、社員それぞれがデータを有効的に活用し、意思決定できる環境構築を目指しており、指標が定まっていなければ、重要な意思決定を下す際の判断基準が不明確で、それぞれがバラバラの方向に進んでしまう可能性が出てくるのです。

目的、指標を明確にして、経営層からトップダウンで浸透させ、それぞれの社員が指標に基づき、責任を持って意思決定できるようにしましょう。

計画に時間を浪費

データドリブン経営ではスピードが大きな鍵を握ります。計画に時間をかけ過ぎてしまっても、計画中に市場、顧客ニーズは変化してしまい、必要とするデータも変わってしまうからです。

また、企画に時間をかけても成功するとは限りません。そのため、1週間に1回のペースで大きな企画をして施策を実施するよりも、毎日小さくても繰り返し行うことが重要です。

まとめ

データドリブンな経営を目指すためには、経営層からトップダウンで企業文化を浸透させていくことが重要です。データドリブンを通して何を実現させたいのか、目的は何なのかを明確にしてから進めることで、より大きな成果を期待することができるでしょう。

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