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PDCAはもう古い!? いま注目される「OODAループ」を加速させる方法 3選

2023.03.24

日本のビジネスでは「いかに早くPDCAを回せるか」が長年の間重視されてきました。しかし近年、PDCAに変わるフレームワークが注目されています。

それが今回紹介するOODAループ(ウーダループ)です。OODAループとPDCAを比較し、OODAループが優れていると主張している記事を見かけますが、二つの用途は似て異なりますので、どちらが優れていて、どちらが劣っているということではありません。

今回の記事では、OODAループが必要な背景を説明し、OODAループを加速させる方法を3つ紹介します。OODAループを取り入れ、最大限の結果を出したいと考えている方はぜひ参考にしてみて下さい。

OODAループとは

そもそもOODAループとはObserve(観察)、Orient(方向付け、状況判断)、Decide(決定)、Act(行動、実行)の頭文字をとったものです。

Observe(観察=みる)

Observeでは観察をします。ただ単に「見る」のではありません。あなた自身の状況、市場、顧客や競合を調査し、できるだけ多くの情報をできるだけ早く収集します。情報を集める際には客観的なデータだけではなく、主観的なデータも収集するようにし、できるだけ多くの様々な種類の情報を集めます。 

Orient(判断の方向づけ=わかる)

Orientの段階がOODAループの4つの中で最も大切です。OrientではObserveで集まった情報の分析、理解を行います。集まった情報の中で、過去にあなたが行なったミスジャッジや失敗などのマイナスの情報が、特に重宝されます。それらを把握し理解することで、のちにあなたの強みとして活かすことができるようになるからです。

さらにOrientの段階では、分析されたデータに基づき、仮説を立てて今後の方針やビジネスの方向性を検討します。仮説をどのように立てるかで今後の道筋が大きく変わるため、1番大切な段階となっています。

Decide(意思決定=きめる)

Decideでは、Orientで挙げられた複数の選択肢の中から、潜在的な結果をすべて考慮した上で最終段階のAct(行動)で実践されるベストな選択肢を決定します。企業などのグループで行われる場合は、ミーティングを何度も重ね、ありとあらゆる可能性を検討し、決定が下されます。 

Act(実行=動く)

Actでは、Decideで決めたことを実行します。Actのステップが終了するとまたObserveのステップへ戻り、再びOODAループを始めます。こうして繰り返し行うことで効果を最大化することができます。

今OODAループが必要な背景(VUCA)

 それではなぜ近年OODAループが注目され、取り入れる企業が増えてきているのでしょうか。それは、私たちは今、変動的(Volatility)で、不確実(Uncertainty)で、複雑(Complexity)で曖昧(Ambiguity)な時代を生きているからです。このような混沌とした状態のことを表す言葉として、上記4つの英単語の頭文字をとってVUCA(ブーカ)と呼ばれています。

 OODAループはVUCAという不安定な情勢を生き抜くために必要な思考法として、より一層注目されるようになったのです。

OODAループを加速させる4ステップとその事例

OODAループは1度や2度行なって終了ではなく、常に回し続けることが大切です。ループを回す回数が多ければ多いほど革新的なアイデアを生み出しやすく、より良い結果を生むことができるようになります。

例えばAmazonでは年間1,000回以上もループを回し、常に改善を試みています。他社よりも圧倒的に多くの施策を実行することで、圧倒的な結果を出すことができています。競合他社よりもOODAループを早く、より多く行うことでより大きな効果を得ることが可能です。

Amazonのように年間1,000回以上ものループを回すためには、1回のループをいかに早く回せるかが大きな鍵となってきます。

ここからはOODAループを加速させる方法として「個々が責任を持ち意思決定を行う」「データ管理しやすい環境を構築する」「とりあえずやってみる」の3つについてそれぞれ説明します。 

個々が責任を持ち意思決定を行う

OODAループを加速させる方法の1つ目は「個々が責任を持ち意思決定を行う」事です。小さい単位で決断を下せることで、より早くループを回すことができます。OODAループを加速させるためには、組織内でより多くの人が意思決定を行える環境を整えることが大切です。

決定を下す際に、上司の許可を得て、さらに所属している部署のトップに許可を得てようやく実行ができるような企業ですと、決定し実行に移すまでに時間がとてもかかってしまいます。いかに小さい単位で決定を下せるかがOODAループにおいてとても重要になってきます。

OODAループでは競合他社よりも早くループを回すことでより大きな効果を得るために、小さい単位で決断を下せる環境を構築することが大切です。

データ管理しやすい環境を構築する

OODAループを加速させる方法の2つ目は「データ管理しやすい環境を構築する」事です。うまくデータ管理を行うことができれば、OODAループを加速させることが可能です。

ここで意味するデータ管理とは「ただ単にデータを保持していること」ではありません。データを使用する際に、集めたデータの中から最適な情報を取り出すことができて初めてデータを集める意味があります。収集したデータを活用するために個々がデータにアクセスしやすい環境を構築することが重要です。

多くの企業が「いかにデータを集めるか」にフォーカスしていますが、データを集めるだけではビジネスにそれほど役に立ちません。収集したデータを有効に活用できる環境があって初めてビッグデータは大きな役割を果たします。 

とりあえずやってみる

OODAループを加速させる方法の3つ目は「とりあえずやってみる」事です。1番シンプルに加速させることができます。これまで、より多くの時間を計画に費やして結果を出してきた方でも、OODAループではとりあえずやってみることが大切です。

 実行をしなければ結果が出ないので、改善を施すこともできません。とりあえずやってみた結果、失敗をしたとしても改善の余地が生まれます。

また、Amazonが年間1,000回以上ものループを回していると記述しましたが、それらが全て「成功」に分類されるわけではありません。OODAループを回し続ける事で、少しずつ良い結果が生まれ始めるのです。AmazonはこれからもずっとOODAループを回し続けることで、今後も世界を代表する企業であり続ける事でしょう。

PDCAと比較したOODAループのメリット・デメリットとは?

PDCAサイクルとOODAループは、どちらも問題解決のためのフレームワークとして使用されますが、それぞれ異なるアプローチの側面を持っています。

それぞれのメリットとしては、まずPDCAサイクルはプロセスの改善に適しています。問題を特定し解決策を実行することに焦点を当てることで、継続的な改善を目指します。一方、OODAループは、変化の激しい状況での意思決定に適しています。特に迅速な反応が求められる場合や不確実な状況下での意思決定に最適です。

一方それぞれのデメリットは、まずPDCAサイクルは結果指向のシンプルなフレームワークであり、継続的な改善を可能にしますが、プロセスが煩雑で周期が長いことが欠点です。一方OODAループは、課題に対しビジョンに基づいた焦点を当てた迅速かつ柔軟な対応が可能であるため、状況に合わせ微調整を行うこともできます。しかし、こちらも複雑なプロセスであり、特にデータが不足している場合は意思決定が難しいことが欠点です。

以下は、PDCAとOODAループのそれぞれのメリットとデメリットの詳細です。

PDCAのメリット

継続的改善が可能:PDCAサイクルは問題を特定、解決策を実行し、結果を評価することで継続的改善を可能にします。

結果指向:PDCAサイクルは結果指向の検証サイクルで、目標を達成するための明確なプロセスを提供し、成果物に焦点を当てるのにうってつけです。

シンプル:PDCAサイクルは理解・実装しやすく、簡単に共有できるフレームワークであることが特徴です。

PDCAのデメリット

周期が長い:PDCAサイクルは問題解決に多くの時間を要します。 問題を特定して解決策を実装するまでに、かなりの時間がかかることがあります。

プロセスが煩雑:PDCAサイクルはプロセスが煩雑で、場合によっては柔軟で臨機応変な対応が取りづらいことがあります。

OODAループのメリット

迅速な対応が可能:OODAループは課題への迅速な対応を可能にします。 現代における課題解決においてスピード感のある対応は何よりも重要です。

フレキシビリティ:OODAループは柔軟性に富み、状況に合わせた調整が可能です。

ビジョンに基づく課題解決:OODAループはビジョンと目的に焦点を当てた意思決定に基づく課題解決を促進します。

OODAループのデメリット

複雑さ:OODAループは、PDCAサイクルに比べても複雑なプロセスであり、実装するためには多くのスキルが必要です。

多くのデータが必要:OODAループを実践するには常に状況を注視し、必要に応じて即座に行動することが要求されます。 しかし、特にデータが不足している場合は、そのような意思決定が難しいことがあります。

以上のように、PDCAサイクルとOODAループは、それぞれメリットとデメリットがあります。最終的に、PDCAサイクルとOODAループは、問題解決のための異なるアプローチを取るため、どちらのフレームワークを使用するかは状況や目標に応じて選択する必要があるでしょう。

シーン別、PDCAとOODAループの使い分け例

PDCAとOODAは、どちらも継続的な改善を目的とするサイクルであり、ビジネスや組織のマネジメント、あるいは個人的な目標達成などの様々な場面で使われますが、PDCAは主にプロセス改善に使用され、OODAは主に戦略的意思決定に使用されるという違いがあります。

以下に、PDCAとOODAの使用例をシーンごとに紹介します。

【PDCAの使用例】

製造業における品質管理

Plan(計画):生産ラインの品質管理についての目標を設定し、品質検査の方法を決定する。
Do(実施):品質検査を実施し、品質問題を特定する。
Check(評価):品質問題の原因を分析し、改善策を立案する。
Act(改善):品質問題を解決するための改善策を実施する。

ITプロジェクトの開発

Plan(計画):開発目標を設定し、開発フェーズを決定する。
Do(実施):ソフトウェアのコーディング、テストを実施する。
Check(評価):テスト結果を評価し、品質問題を特定する。
Act(改善):品質問題を解決するための改善策を実施する。

【OODAループの使用例】

ビジネス戦略の策定

Observe(観察):市場動向や競合他社の動きを観察し、自社の戦略を確認する。
Orient(方向性の決定):自社の強みや弱み、市場のニーズなどを分析し、戦略の方向性を決定する。
Decide(決定):戦略の具体的なアクションプランを決定する。
Act(実行):決定したアクションプランを実行する。

ビジネスプレゼンテーションの実施

Observe(観察):聴衆の興味や反応を観察し、プレゼンテーションの内容を決定する。
Orient(方向性の決定):聴衆の期待や関心に合わせ、プレゼンテーションの方向性を決定する。
Decide(決定):プレゼンテーションの具体的な構成や使用する資料を決定する。
Act(実行):プレゼンテーションを実行し、聴衆からのフィードバックを収集する。次回のプレゼンテーションの改善点を決定する。

以上のように、PDCAは主にプロセス改善に使用され、継続的に行われることが多い一方で、OODAは主に戦略的意思決定に使用され、一連の流れの中で行われることが多いです。ただし、両者を組み合わせて使用することもあり、例えばビジネス戦略の策定後にPDCAを実施し、戦略の詳細な実装計画を作成することもできます。

社内でのOODAループ実現に必要なこと

社内でのOODAループ実現には、以下のような要素や実践が必要です。

リアルタイムな情報収集システムの整備

OODAループでは、常に最新の情報に基づいた判断が求められます。社内での情報共有や情報収集の仕組みを整備することが必要です。具体的には、社内ツールやSNS、コミュニケーションツールなどを活用し、情報を集め共有していきます。さらに、社員一人一人が情報収集を行う文化を醸成し、自主的に情報を共有する習慣を作ることが重要です。

意思決定プロセスの最適化

OODAループには、迅速な意思決定が求められます。社内での意思決定プロセスを最適化し、迅速かつ適切な判断を下せるようにすることが必要です。具体的には、その意思決定のプロセスを明確にし、意思決定に必要な情報を共有するルール作りが重要です。さらに、意思決定に必要な人員や役割分担も明確化し、適切な立場にある人間がいつでも迅速に判断を下せるようにします。

チーム間コミュニケーションの促進

OODAループには、個々の判断や行動に加え、チーム全体のコミュニケーションが欠かせません。社内でのチーム間コミュニケーションを促進し、情報や意見の共有を円滑に行えるようにすることが重要です。具体的には、定期的な情報共有のためのミーティングを設け、部署の垣根を超えた社員間のコミュニケーションを促進するようにします。また、社員が自由にアイデアを出し合えるような環境を作ることも同じくらい大切です。

継続的なトレーニングやシミュレーションの実施

OODAループは、継続的なトレーニングやシミュレーションによって、徐々に実践力を高めることができます。実際のデータを用いた社内でのトレーニングやシミュレーションを実施することで、チーム全体のOODAループ実践力を向上させることが有効です。

以上が、社内でのOODAループ実現に必要となることです。これらの要素をバランスよく整備し実践していくことで、素早く的確な判断・行動に基づくOODAループを実現することができます。

まとめ

OODAループとはObserve(観察)、Orient(方向付け)、Decide(決定)、Act(実行)の頭文字をとったフレームワークで、私たちが現在生きている変動的で、不確実で、複雑で曖昧な時代を生き抜くために必要です。

OODAループを加速させる方法として「個々が責任を持ち意思決定を行う」「データ管理しやすい環境を構築する」「とりあえずやってみる」の3つを紹介しました。決定権をより小さな単位に与えることで素早くループを回せるようになります。データの管理を徹底し、誰もが必要な情報を取り、活用できるようにすることで加速できます。また、とりあえずやってみることが非常に大切で、やってみることによって改善点を見つけ出すことができます。

OODAループを高速に回すことによって、効果的なグロースマーケティングを実施できます。競合他社よりも早くOODAループを回し、より良い結果を出すためにぜひ参考にしてみて下さい。

Amazonでのグロース施策は年1,000回以上 の記事はこちら

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