【事例あり】広告に頼らないデジタル接点の作り方 3/3

2021.01.25

広告に頼らないデジタル接点の作り方 3/3

広告に頼らないデジタル接点の作り方②の続きです。

事例 2:スターバックス(Mobile Order & Pay)*1 *2

スターバックスが提供するモバイルアプリ「Mobile Order & Pay」は顧客との接点をデジタル化し顧客体験満足を向上させました。同社は広告に頼らないマーケティングが得意として有名です。

スターバックスが顧客にとってなくてはならないブランドになるためには、顧客の心を動かす体験を提供する必要があると考えており、心を動かす体験のことを「スターバックス体験」と呼んでいます。

スターバックス体験は主に「パートナー(従業員)」、「プロダクト(製品)」、「ストアポートフォリオ(店舗)」の3要素で構成されており、アプリではこの3要素に「デジタル」が追加されます。1つ目のパートナーは人と人とのあたたかい繋がりが生まれる瞬間を大切にしながら接客をするよう意識づけられています。接客マニュアルは無く個々のパートナーがオーナーシップに基づき最適なことを行なっています。

2つ目のプロダクトでは顧客が求めているものを提供するために、様々な改善が行われています。例えば同社を代表する商品であるフラペチーノは年間約20種類もの新作が登場しており、顧客を飽きさせない工夫、あっと驚くような改革的な商品を提供しているのです。

3つ目のストアポートフォリオでは、地域の特徴や文化に合わせた店舗づくりを行なっています。

そして4つ目のデジタルでは「機能的価値」「情緒的価値」を提供しています。

スターバックスコーヒージャパン株式会社デジタル戦略本部本部長である濱野氏は「デジタルの世界では、利便性など機能的価値を提供していくことに注力されがち。しかし、お客様に強く”刺さる”のは情緒的価値であり、機能的価値と掛け合わせることで全体的な価値が高まると考えている」と述べています。

その機能的価値と情緒的価値をの掛け算こそがMobile Order & Payの成功の秘訣であり、「レジの待ち時間が長い」」「店内が混雑している」等の実際に顧客から寄せられコメントを改善するために開発され、約550万人を超える利用者のスターバックス体験を向上させることが主な目的でした。

同アプリはシームレスな操作性を持ち、モバイルから手軽に注文ができ、決済も自動的にスターバックスカードで自動決済されます。注文した商品が出来上がったらメッセージで通知され、ほとんど待ち時間なしで受け取ることが可能です。

さらに顧客から好評なのが、簡単にカスタマイズを行える点です。

スターバックスでの組み合わせは全商品で合計数万通りあり、実店舗で口頭で伝えることは困難ですが、アプリを使用することであなたの好みに合ったカスタマイズを確実に伝えることができます。

同アプリを利用している顧客の多くは、店舗で注文決済をさせる顧客と比べてカスタマイズする確率が高く、それを「列に並んで注文する時は後ろに待っている人を機にされていた方が、自分のペースでゆっくりカスタマイズを楽しめる様になったことが要因であると言っています。さらに2杯目が100円になる「One More Coffee」スムーズに行えるとして人気があります。

注目するべきポイントは、会話オーダーシステムを導入したことです。さらにAmazonの音声アシスタントであるAlexaからのオーダーも可能になりました。

これは顧客情報を集め、ニーズを理解し、顧客が求めているものがコーヒーだけでは無いことを発見し、同社が単なるコーヒーブランドではなく、経験やステータスを象徴するものであり、「プレミア感」が必要であることに気づいたため、実施することができました。

さらに、顧客一人一人に最適なタイミングでプッシュ通知を送る機能も備えています。これはダイエットアプリの中で最も人気があるMyFitnessPalの通知機能を参考にしたもので、MyFitnessPalは顧客が1日のどのタイミングで食事の記録を登録するのかを学習し、そのタイミングで顧客に通知がいく仕組みになっています。

これをマイクロモーメントと呼び、顧客が自社製品を使うかどうか迷っている瞬間のことで、顧客に接触する理想的なタイミングで通知を行うことが可能です。顧客一人一人に最適なタイミングで通知を行うことで、顧客一人一人が自分を特別に扱ってくれているという気持ちにさせることが可能で、デジタル上でパーソナライズされた顧客接点を作ることができているのです。

Mobile Order & Payが成功したのは機能的価値と情緒的価値を掛け合わせたからだと述べましたが、その背景には同社が顧客一人一人理解し、ニーズを理解しそれらをモバイルアプリに落とし込む、さらに顧客からのフィードバックに真摯に向き合い改善を続けたということを忘れてはいけません。カスタマイズの種類を増やして欲しい、店内でも利用できる様にしてほしいとの意見を受け、ローンチ後も3ヶ月で30回もの改善を行なっているのです。

顧客接点をデジタル化する際には、顧客を理解し、ニーズを把握し、一人一人に最適なマーケティングを行い、さらに顧客からのフィードバックを受け入れて常に改善を試みることが大切です。

また、「遊び心」や「パーソナライズ」をデジタルでスターバックス体験を提供するために重視しています。デジタルだからこそ行える顧客一人一人のニーズに合わせた施策が大事です。

「遊び心」を重視している理由としては、顧客に体験をしてもらい、共感性を高める手法の一つです。同社が実際に行った、商品を購入するとスタンプラリーのようにスターを集めることができるStarbucks Rewordsでは、スタンプを集めた顧客の中から抽選でオリジナルのモレスキンノートをプレゼントしました。

スターバックス商品の購入体験をすることで、スタンプラリーに参加できる、プレゼントが当たるというCoke ONと同様こちらもゲーミフィケーション要素を含み、共感を生み、SNS等で投稿して共有することでとても人気となったのです。

まとめ

広告に頼らないデジタル接点の作り方として以下の7つ手順を踏むことが大切です。

  1. カスタマージャーニーマップ作成
  2. どの顧客接点をデジタル化する必要があるか判断
  3. 顧客理解(情報の収集・活用)
  4. 顧客情報をもとにペルソナを設定
  5. 顧客ニーズの把握
  6. 施策の策定(顧客にあった手段・ツールを見つける)
  7. 顧客からのフィードバック

広告に頼らずにビジネスをグロースするために、アプリ使用しデジタル接点を作り出します。さらにアプリで収集された顧客行動データやPOSのオフラインデータを一貫して管理することで、改善を高速に繰り返し、より一層顧客に寄り添ったサービスを提供可能です。このようにグロースマーケティングでは企業のビジネスグロースを支援することができます。

ぜひ参考にしてみてください。

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