広告に頼らないデジタル接点の作り方①の続きです。
事例 1 :コカ・コーラ(Coke ON)*1
Coke ONとは日本コカ・コーラが2016年にリリースし、2020年10月までに2200万DLを達成したスマートフォンアプリです。対応する自動販売機でドリンクを購入することでスタンプが付与され、15個集めるとコカ・コーラ社商品と交換できるチケット1枚と交換できるという仕組みです。
アプリを使用することで、顧客一人一人のデータを収集・管理することができ、個々に適したキャンペーンを打つことも可能にしました。
同社は2007年に開始したオウンドメディア「コカ・コーラパーク」でも大成功を収めており、会員数は1300万を越えていました。しかし、2012年頃からSNSが普及し始め少しずつ伸びが鈍化し、同社の活動もSNSへと移行開始。
そして2016年にコカ・コーラパーク閉鎖を決断。決断に至った理由はSNSの普及により、デジタルプラットフォームとユーザーの接点の持ち方の変化でした。そのタイミングで、Coke ONへ注力する方向へと舵を取る決定を下し、そこで選んだ方法が、「広告に頼らないデジタル接点」です。
成熟しきった清涼飲料ビジネス市場で、市場全体としては堅調に伸びているものの、自動販売機での売り上げが過去10年に渡り徐々に下降していることに気づき、再び成長させることはできないかと考え開発したのがCoke ONでした。
同社は様々な手段がある中で、当時の状況を配慮した上でスマートフォンアプリを選択しました。さらに広告に頼らないデジタル接点を作ることが大事だと考えました。その背景として上記で述べた通り、SNSやスマートフォンの普及により顧客接点がデジタル化しており、さらに広告をブロックするアプリがダウンロードされているという状況があったのです。
同社はCoke ONをデジタルマーケティングではなく、デジタルビジネスという言葉で表現しています。デジタルマーケティングを進める上で、自分がやっていることが最終的にどの様なインパクトをもたらしているのかがわからないためずっと歯痒く、そこでデジタルビジネスと表現しました。その特徴としてユーザーが商品を認知し購入に至るファネルの各KPIを一気通貫で管理できる点だと述べています。
アプリの認知を高め、購入とリピートを増やす施策について3つの視点で捉えています。1つ目がインターナルマーケティングです。ダウンロード数が増えていくと、車内から「Coke ONを使って何かしたい」との声が上がるようになり、それを機にアプリの規模はさらに拡大してきました。
2つ目はエクスターナルアライアンスです。これは外部との連携を意味し、規模が大きくなるにつれて様々なパートナーから声がかかるようになりました。
3つ目はオーガニックPRです。2020年はキャッシュレス決済を提供する各社と連携し、積極的にプロモーション活動を実施しました。その結果昨年同期比で3倍のメディア露出に成功しました。
認知を広げることができれば、次は実際に使用してもらうための施策が大切です。
同社が実際に行った施策として、Coke ONウィークというものがあります。ユーザーは設定した週間目標歩数を達成するとスタンプが獲得できる仕組みで、800万人を超える参加者が集まりました。
それ以外にもコロナ禍で何ができるのかと模索し「おうちでリフレッシュプログラム」を実施。自宅でできる簡単なエクササイズ動画の発信とともに、1,000歩分歩いたら抽選でドリンクチケットなどをプレゼントするという企画です。これも大きな反響を呼び、109万人のユーザーが参加する結果になりました。
「購入」「リピート」というボトムファネルを支えるために同社は2つの要素が大きな役割を果たしています。1つ目は「ゲーミフィケーション要素」です。ゲーミフィケーションとはゲームで使用されている構造を、ゲームとは別の分野で使用することを意味しています。これを、単にドリンクがもらえるというだけでなく、ゲームをすることでポイントが貯まるといった「感情に訴える楽しさ」を提供していることがリピートに繋がっていると言及しています。
2つ目の要素は「フリクションレス」です。購入に至るまでの障壁をなくすことです。上記でも説明した通り、顧客にとってシームレスやフリクションレスといった「いかに障壁を減らしてスムーズに購入に至ることができるか」という点が大事です。そこで同社は、キャッシュレス決済を導入したことで快適に購入し、心地よい購入体験をしてもらうように心掛けたのです。
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【事例あり】広告に頼らないデジタル接点の作り方 3/3